メディカル24
本当に役立つ、身近な医療情報

膵臓病の基本情報

膵臓の病気

膵臓の炎症性疾患(膵炎)

膵臓に炎症を起こす病気を膵炎と呼びます。膵臓はたんぱく質を分解する強力な消化酵素を含む膵液を分泌する器官です。健常時には膵臓自体が膵液によって消化されることはありません。しかし、何らかの原因で膵液によって、膵臓が自己消化されて炎症を起こすのが膵炎です。

膵炎はいくつかの種類に分けることができます。病気の進行速度によって下記のように分けられますが、他にも膵臓がんや十二指腸乳頭がんによる膵管の詰まり、感染症・外傷・遺伝などがあり、原因不明のこともあります。

急性膵炎

何かの原因によって膵臓に起こる急激な炎症による疾患です。

慢性膵炎

緩やかな炎症によって少しずつ膵臓の細胞が壊されて膵臓の組織が硬く変性し、膵臓の機能が低下してしまう疾患です。

急性膵炎の後に続いて起こることもあります。

アルコール性膵炎

多量のアルコール摂取や飲酒習慣によって起こる膵炎です。

胆石性膵炎

胆石症の人が胆石によって膵管が詰まり、滞った膵液によって膵炎を起こすのが胆石性膵炎になります。

自己免疫性膵炎

免疫系の乱れによって膵臓の細胞が壊されて起こる膵炎です。

薬剤性膵炎

薬の副作用によって起こる膵炎です。

膵臓の腫瘍

膵臓に発生する腫瘍は組織の作られ方によって、組織が細胞で充実した充実性腫瘍と嚢胞(のうほう)という袋ができて中に液体がたまる嚢胞性腫瘍とに分けられます。

膵臓がん(充実性腫瘍)

膵臓に発生する悪性腫瘍(がん)となり、膵臓にできる腫瘍では代表的なものだと言えます。

膵内分泌腫瘍(充実性腫瘍)

膵内分泌腫瘍(膵神経内分泌腫瘍)とは膵臓の内分泌細胞(ホルモンを分泌する細胞)にできる腫瘍で、インスリノーマ・グルカゴノーマ・ガストリノーマなどがあります。

嚢胞性腫瘍

膵臓の嚢胞性腫瘍には、膵管内乳頭粘液性腫瘍(IPMN)、粘液産生膵腫瘍(MCN)、漿液性嚢胞性腫瘍(SPN)などがありますが、比較的に発生頻度は少ないです。


その他の膵臓の病気

膵石症

膵管の中に石が発生します。多くは慢性膵炎に伴って起こります。

膵嚢胞

膵臓の内部や周囲に袋のような嚢胞ができるものです。原因不明であったり、膵炎に伴ってできることや、先に挙げた嚢胞性腫瘍の場合もあります。

膵性糖尿病

もともと膵臓病があり、その進行に伴って糖尿病が起こる場合を膵性糖尿病と呼びます。例えば、慢性膵炎や膵臓がんでは病気が進行していくと、膵臓の内分泌機能が損なわれて糖尿病が起こることがあります。

膵嚢胞

「嚢(のう)」とは袋を指す言葉で「胞(ほう)」とは体の中で膜に包まれた袋状の部分のことを指します。

つまり、膵嚢胞(すいのうほう)とは、膵臓の内部や周囲にできた袋のようなもの(嚢胞)を全般に指し、袋の中には液体が溜まっています。

膵嚢胞の原因と性質

膵嚢胞には良性のものと悪性のものがあります。また、良性から悪性へと変化するものがあり、おおむね膵嚢胞の作られ方や原因によるものだと考えられています。

膵嚢胞の原因となる疾患の代表的なものに膵炎があります。急性膵炎や慢性膵炎など、膵臓に炎症が起こると膵臓の組織がむくんで水分が溜まり、嚢胞を作ることがあります。

このようにして炎症によって作られる膵嚢胞は、基本的に良性疾患になります。ところが膵嚢胞の中には嚢胞性腫瘍の場合があります。

腫瘍とは臓器にできる瘤のような細胞の集まり全般を指しますが、その成長がコントロールされず臓器機能や人体に悪影響を及ぼすようになるのが悪性腫瘍で、その一例ががんです。

膵嚢胞性腫瘍には、良性から悪性の段階までがあり、良性から悪性に変化するものもあります。

膵嚢胞性腫瘍の種類

膵臓の嚢胞性腫瘍には、膵管内乳頭粘液性腫瘍(IPMN)、粘液産生膵腫瘍(MCN)、漿液性嚢胞性腫瘍(SPN)があります。

膵臓がんと比べると膵臓腫瘍としては頻度は低いですが、特にIPMNは膵管の中に納まらずに膵管の外に浸潤すると悪性腫瘍となることから注目度が上がっている腫瘍です。

膵嚢胞の症状

膵嚢胞が小さく、数が少ない場合や膵管の流れを阻害しない場合には症状がないことも多くあります。

しかし、膵嚢胞が大きく数が増えることで膵管の流れが阻害されると、腹痛・背部痛・消化不良・腹部の不快感・食欲不振、時には急性膵炎や黄疸が出ることがあります。

膵嚢胞の治療

膵嚢胞が良性で大きさが小さく数が少ない場合、特に症状がなければ経過観察として定期的な受診や検査で様子を見ることもあります。

良性の膵嚢胞でも大きく数が多い場合や、膵管を閉塞して流れを滞らせるなどで症状が著名であったり、悪性の場合には外科手術で切除することがあります。外科手術では入院治療が必要です。

膵臓の手術は合併症のリスクが高く、術後管理も難しい大手術となることがあるため、手術の適応には年齢や体力などが考慮されます。


膵臓の構造・働き

膵臓の位置・構造

膵臓は鳩尾(みぞおち)の奥の背中側に位置する細長い器官で、近くには胃や十二指腸、小腸、脾臓などがあります。

膵臓の中心には膵臓から分泌された膵液を通す膵管が通っており、膵管は十二指腸とつながっています。

そのつなぎ目の部分はファーター乳頭(十二指腸乳頭)と呼ばれます。膵臓は十二指腸とつながっている側を頭部、真ん中の部分を体部、末端の部分を尾部と呼びます。

膵管は分岐して胆管ともつながっており、胆のうに溜められている胆汁が分泌される時の通り道でもあります。このため、膵臓に腫瘍ができたり、炎症が起きたりすると膵管が閉塞して黄疸が起きることがあります。

膵臓の働き

膵臓には大きく2つの働きがあり、1つは外分泌器官として、2つ目は内分泌器官としての働きになります。

外分泌器官としての働き

外分泌とは体表や消化管などの上皮細胞の表面に分泌することを指し、膵臓の9割以上は外分泌細胞だと見られています。

膵臓膵臓では膵液という消化液を作って分泌する働きがあり、膵液は膵管を通って十二指腸に分泌されて小腸で機能して食べ物を消化します。

膵液にはでんぷんを分解するアミラーゼ(アミロプシン)、脂肪を分解するリパーゼ(ステアプシン)、たんぱく質を分解するトリプシン・キモトリプシン等が含まれています。

膵臓が自らの酵素で溶けないのは、実際にはたんぱく質分解酵素は活性のないトリプシノーゲン・キモトリプシノーゲンの形で分泌されているからです。

これらの酵素は胃液中のペプシンや腸液中のエンテロキナーゼといった他の消化酵素によって分解されることで活性化されるのです。

膵液はたんぱく質を分解する作用の強い消化液です。急性膵炎や十二指腸潰瘍などのように膵液が腹腔内に漏れ出すような状態になると、強い炎症や腹膜炎等を引き起こす要因となります。

また、病気によって膵液が分泌されなくなると消化不良を起こすこともあります。

内分泌器官としての働き

内分泌器官とは、血管にホルモンを分泌する器官のことです。膵臓にはランゲルハンス島という組織が点在しています。

膵臓の数パーセントの細胞はこの内分泌細胞だと見られています。ランゲルハンス島は数種類の内分泌細胞の集まりで、そのうちα細胞はグルカゴン、β細胞はインスリン、δ細胞はソマトスタチンというように、それぞれ異なるホルモンを分泌しています。

グルカゴンやインスリンは、血糖値のコントロールに影響するホルモンです。膵臓病や手術で膵臓を切除したりすると二次的に糖尿病になったり、血糖コントロールが難しくなることがあります。

また、血糖コントロールが悪いと細胞に活動するためのエネルギーが上手く供給されなくなってしまいます。


膵臓病が疑われる症状

  • 膵臓の位置は奥まっているため、初期や軽症の場合では特徴的な症状に乏しく、進行していても症状がはっきりしないことがあります。
  • 膵液は強力な消化酵素を含んでいるため、急性膵炎など炎症による強い症状が現れることがあります。
  • インスリンやグルカゴンといったホルモンの分泌に関わっているため、血糖値が不安定になる、血糖コントロールが上手くいかないことがあります。
膵臓の病気が疑われる主な症状について説明していきます。

痛み

膵臓の病気では時に痛みが現れることがあります。痛み方は様々で急性膵炎や膵がんでは強い痛みを伴うことがありますが、慢性膵炎や膵がんの初期・進行時では痛みがはっきりしないことや鈍痛が続く場合があります。

また、痛む場所も様々ですが代表的なのが腹痛です。多くは心窩部(みぞおち)の奥の痛み、中央から左側にかけて痛むことが多いとされています。

膵臓は背中にも近いため、背中の痛み、時には腰痛・肩に抜けるような痛みとして感じることもあります。

消化器系の症状

膵臓は消化に関わる臓器なため、膵臓の近くに位置する胃や小腸等の消化器症状として現れることがあります。

主な消化器症状としては、吐き気・嘔吐・食欲不振・食事量の減少・腹部の膨満感(お腹が張る感じ)・消化不良・下痢・便秘などが挙げられます。

血糖値に関連した症状

膵臓がんや膵内分泌腫瘍(インスリノーマやグルカゴノーマなど)が発生した場合、血糖値が不安定になることがあります。

低血糖では、気分不良・空腹感・冷や汗・吐き気・倦怠感・手の震え・意識消失などといった症状が考えられますが、高血糖においては、気分不良・倦怠感・意識障害などの症状が考えられます。

全身症状

倦怠感(体が怠い感じがする)・易疲労感(疲れやすい)など、悪性腫瘍においては体重減少が急に進むことがあります。

黄疸

膵臓病によって膵管の通りが悪くなり、胆汁が上手く分泌されずに胆汁の流れが阻害されて起こるのが黄疸です。胆汁として小腸に分泌されて大便を着色するはずの黄色い色素(ビリルビン)が上手く排泄されなくなり、血中のビリルビンが上昇して皮膚や白目の部分が黄色くなります。

また、ビリルビンで着色されないため、便の色は白っぽい色になり、代わりにビリルビンは尿中に排泄たれるために尿の色が濃い黄褐色~茶褐色となります。

強い炎症時の症状

重症の急性膵炎を起こした場合、上記に挙げた痛みや嘔吐などの症状が強く現れる上、ショック症状(血圧低下・意識障害・呼吸障害・腎障害など)を伴うことがあり、危険な状態になる場合があります。


膵臓病になりやすい人

リスク要因

膵臓には大きく二つの役割があり、一つ目は消化液である膵液を分泌すること、二つ目にインスリンやグルカゴンなどのホルモンを分泌することです。膵臓から分泌される膵液には、糖分・たんぱく質・脂肪・核酸など食べ物に含まれる様々な物質の消化を助ける消化酵素が含まれています。

そのため、飲酒や脂っこい食事など食習慣は、膵液の分泌に大きく影響します。膵臓をはじめとする胃や腸といった消化管は、自律神経系の影響を受けて活動しています。

そのため、ストレスや喫煙、睡眠不足、運動不足といった生活習慣が膵臓病へ繋がることが考えられています。

膵炎になりやすい人

膵炎とは膵臓が自己消化されて炎症を起こす病気となり、膵臓病の中でも代表的なものになります。急性膵炎や慢性膵炎の原因として多いのが飲酒です。

特に多量の飲酒習慣がある人は膵炎にかかりやすく、さらに膵炎を繰り返しやすい、慢性膵炎に移行しやすいこと等が言えます。次に多いのが胆石症です。

脂肪を分解する消化酵素を含む胆汁が固まったものが胆石となり、胆石が膵管に詰まることで膵炎を起こすことがあるのです。つまり、胆石症がある人や胆石を繰り返している方で胆のうを切除していない場合には、膵炎にかかるリスクが高いことが言えます。

胆石症は脂っこい食事をする方・運動不足・肥満体形・中高年以上の人に起こりやすい病気です。その他の原因としては遺伝性の膵炎もあり、血縁者に膵炎にかかった人がいる場合には膵炎を罹患しやすいことが考えられます。

膵臓の腫瘍にかかりやすい人

膵臓の腫瘍は原因がはっきりしない場合が多くあります。膵臓の腫瘍の中で代表的なものは膵がんですが、インスリノーマやグルカゴノーマといった腫瘍や嚢胞性腫瘍は発生頻度が少なく、統計が十分に取れていないことから因果関係を明らかではありません。

膵がんだけで見ると、喫煙・多量の飲酒・運動不足・肥満・食生活の乱れ・ストレス・生活習慣の乱れ等が、関係しているのではと考えられており、統計上では60代以上の男性に多いとされています。

慢性膵炎を罹患されている方は、膵がんにかかるリスクが数倍に上がると言われています。また、膵がんは糖尿病との関連も指摘されていて、糖尿病の人では膵がんにかかりやすいと言われています。

膵臓病と似た病気

膵臓病による消化器症状には、吐き気・嘔吐・消化不良・腹部の膨満感・便通の異常などが考えられますが、いずれも他の消化管の病気でも見られる症状であり、必ずしも膵臓病の症状だとは言えません。

これらのような理由から、膵臓病は他の病気と間違えられやすいことがあります。

胃や食道の病気

膵臓は胃の隣りにある臓器です。膵臓病では特徴的な症状に乏しいこともあり、胃の病気と勘違いされることも少なくありません。

例えば、心窩部(みぞおち)の付近の痛み、吐き気・嘔吐・胃の不快感・消化不良・腹部膨満感(お腹が張る感じ)など、膵臓病ととても似た症状があります。

逆流性食道炎のような食道の下部で起こる場合も、やはり上記に似た症状を呈します。

また、このような症状は食生活やストレス・飲酒などといった要因によって日常生活の中でしばし現れる症状でもあります。

気が付くと症状が消えていた、というようなこともあります。漫然と「胃の調子が悪いかな」「食べ過ぎたかな」などと思っていたら膵臓病であったというケースも少なくありません。

胆のうの病気

胆石症や胆のう炎の病気に伴う代表的な症状が黄疸です。黄疸は実際には胆のうの病気で起こるだけでなく、膵臓病でも起こります。

また、胆石症では膵管に胆石が詰まることで黄疸を発症することもあります。胆のう疾患の代表的な症状となる、心窩部(みぞおち)の痛み・背部の痛み・吐き気・食欲不振などは膵臓病の症状と似ています。

糖尿病の急な悪化

糖尿病患者がこれまで血糖値のコントロールが順調だったのに急に悪化したという場合には膵臓がんなどの可能性が疑われます。

このような状況の方にある場合、膵臓病を見逃さないためにも精密検査を受けることです。


膵臓の検査

初診で行われる主な検査

膵臓の病気では症状が乏しい時や他の臓器の症状と見分けがつきにくい場合もあり、診断が難しいケースもあります。

その一方で膵炎や膵がんのように、できるだけ早い治療が必要な場合も少なくありません。

初診や検診などでは、医師による診察(問診・視診・触診・聴診など)とともに血液検査・レントゲン検査・尿検査といった検査が広く行われています。

これらの検査は比較的に体の負担が少なく、安価に素早く全身状態や症状を把握することが可能だからです。緊急に対処できる検査としては腹部超音波検査(エコー)があります。

消化器系や救急系の診察室にはこのエコーが常備されていることが多く、緊急事にはライブにて腹部の状態を画像化することができます。

エコー検査の方法は腹部を露出し、医療用ゼリーを腹部に付着させてプローブという超音波を発生させる機器を当てるだけです。

体への負担や痛みといった苦痛が少ない上、放射線被曝もないので妊婦でも使うことができます。

このような初期検査で膵臓病が疑われた場合には次に挙げるような精密検査(二次検査)へ進み、確定診断が行われます。

膵臓病の精密検査(二次検査)

画像検査

膵臓病の画像検査としてはレントゲン検査・腹部超音波検査の他に以下のようなものがあります。
  • CT検査(コンピュータ断層撮影法)
  • MRI検査(核磁気共鳴画像法)
  • MRCP検査(磁気共鳴胆管膵管撮影法)
  • 腹部血管造影検査
  • PET検査(陽電子放射断層撮影法)
画像検査の目的は、膵臓の状態、膵臓の周囲の状態(腹腔内の状態)、膵臓を通る血管の状態などを目視確認することで診断の一助とすることです。

それぞれの検査に得手不得手・長短があり、全ての膵臓病で上記検査が実施されるわけではありません。

内視鏡検査

膵臓には膵液を分泌するために膵管が通っており、膵管は十二指腸で開口しています。

そのような構造なことから口や鼻から入れた内視鏡を使って膵管の状態を見ることができます。

膵管に対して行われる内視鏡検査は、ERCP(内視鏡的逆行性胆管膵管造影)やEUS(超音波内視鏡)があります。また内視鏡を通して組織検査(生検・細胞診)を行うことが可能です。

その他の検査

他に腫瘍マーカー検査が行われる場合があります。膵がんのスクリーニングや治療結果の診断を目的として多く使われています。

膵臓病の問診

医師による問診はどのような病気においても診断や重症度の判定には欠かせないものです。膵臓病でも「どのような検査をするか?」「どのような仮診断をするか?」には問診が重要になってきます。

問診によって得られた情報は診断の大きな手助けになります。膵臓病の問診では次のようなことが確認されます。

症状

膵臓病は症状が乏しいこともありますが、詳しく問診することで診断のヒントになります。

痛み

体のどの部位、どのような質の痛み、いつからか、どんな時に出現するか、痛みとともに随伴する症状、痛み方の変化などが確認されます。

膵臓病では心窩部(みぞおち)の奥・左腹部・背中・腰・肩などが痛むことがあり、急性膵炎では数時間で急激に激痛となることが多くあります。

腹部の症状

吐き気、嘔吐、食欲不振、消化不良、下痢、腹部の張り、腹部膨満感(腹部が張る感じがする)、便の色の変化(白っぽくなる)など。

全身症状

全身の倦怠感(体がだるい)、易疲労感(疲れやすい)、顔色不良、急な痩せ、黄疸(白目や皮膚が黄色くなる)、尿の色の変化(尿が紅茶色になる)、血糖値の急な異常など。

生活習慣・食習慣・嗜好

生活習慣や食習慣などの中に膵臓病と関連性が考えられることがあります。

飲酒

飲酒は生活習慣や嗜好の中でも特に膵臓病との関連が高いことがわかっており、飲酒量が多い、高頻度、長期間に渡っての飲酒習慣がある人では膵臓病の発生率が上昇します。

また、一時的に多量にアルコールを摂取することによって急性膵炎の誘因となることがあります。

その他の生活習慣・食習慣

ストレス、過労、喫煙歴、運動習慣の有無、高脂肪食の有無、睡眠時間など、いずれも膵臓病に関連するリスク要因となり得ることが考えられています。

既往歴

膵臓病には他の病気との関連性が指摘されているものもあり、また、膵臓病の経歴があると他の膵臓病のリスクが高まる場合もあります。
  • 胆石症:胆石症は膵炎の要因となり得ます。
  • 糖尿病:糖尿病を患っている人では膵臓がんのリスクが高いという報告があります。また、糖尿病の急な増悪は膵臓の腫瘍が引き金になっていることもあります。
  • 卵巣がん・子宮がん・乳がん:こうしたがんが遺伝的な要因で起こる場合、膵臓がんの発生リスクも高くなる可能性があります。
  • 急性膵炎:急性膵炎から慢性膵炎に移行することがあります。また、膵嚢胞などの要因になることもあります。
  • 慢性膵炎:慢性膵炎が膵臓がんの発生リスクが上がることがわかっています。膵嚢胞や膵石症の要因になることもあります。
  • 自己免疫疾患:自己免疫性の膵炎を起こすことがあります。
  • 現在治療中の病気:他の病気のために使っている薬によって膵炎が起こることもあります。

家族歴

膵炎や膵臓腫瘍では遺伝性に起こることもあるため、血縁者に類似した病気の人の有無が確認されます。


膵臓の血液検査・尿検査

検査項目

膵臓から分泌される消化酵素は、十二指腸に分泌されて小腸で食べ物を分解する働きをするため、本来は血液中にさほど多くは含まれないものです。

これが血液中や尿中に多く含まれるということは、膵臓に炎症や膵臓の損傷が起きている、もしくは膵管が閉塞していること等が考えられます。

また、血中に異常に多く含まれた消化酵素が尿で排泄されていることを表しています。

膵臓病の診断に用いられる検査項目には以下のようなものがあります。
  • アミラーゼ(AMY)
    膵臓で作られる「でんぷん」を分解する消化酵素となり、多くの膵臓病で値が変化します。但し、アミラーゼは唾液にも含まれる消化酵素のため、膵型アミラーゼ等やリパーゼといった他の膵臓系の消化酵素との検査値の比較が必要です。
  • 膵型アミラーゼ(P型アミラーゼ)
    膵臓から分泌されたアミラーゼを特定したものです。多い場合は膵臓の炎症や膵管の閉塞などが考えられます。
  • アミラーゼアイソザイム
    血中のアミラーゼにおいての唾液型・膵型の分布を見るものです。膵型が異常に多い場合、膵臓の炎症や膵管の閉塞などが考えられます。
  • リパーゼ
    膵臓で作られて脂肪を分解する消化酵素です。血中にリパーゼが異常に多く含まれる場合、膵臓の炎症や膵管の閉塞といった病気が疑われ、アミラーゼと同時にリパーゼが上昇していると確定的なことが言えます。
  • 膵ホスホリパーゼA2(膵PLA2)
    アミラーゼと比べても膵臓病に特異的な消化酵素です。急性膵炎では正常値の10~数百倍にもなります。膵炎や膵腫瘍の診断に役立つ項目です。
  • エラスターゼ1
    膵臓に特異的な酵素です。アミラーゼ・リパーゼ・トリプシンといった他の酵素の検査結果と併用し、膵炎や膵腫瘍の診断のマーカーとしてよく用いられる項目です。
  • トリプシン(IRT)
    トリプシンは膵臓から分泌されるたんぱく質を分解する消化酵素です。血中のトリプシンの増加は膵臓の炎症や損傷・膵管の閉塞を表しています。
  • (膵分泌性)トリプシンインヒビター(PSTI)
    膵臓で多く産生される物質となり、特に急性膵炎で著名に上昇します。他には肺炎など強い炎症を伴う病気でも上昇することが多いため、アミラーゼやリパーゼといった他の検査項目と併用して診断に用いられます。

尿検査の項目

膵臓病の尿検査で特異的な値が見られるものに尿中アミラーゼがあります。尿中アミラーゼは、血中に多く含まれたアミラーゼが尿中に排泄されることで検出されます。

アミラーゼには唾液型と膵臓型があるため、膵臓病を特定するには尿中アミラーゼだけでなく、他の血液検査などと併用されます。

他の膵臓病に関連する項目

必ずしも膵臓病に特異的ではありませんが、膵臓病で異常が見られることがある血液検査項目には以下のようなものがあります。
  • 血糖値:膵臓疾患で変化することがあります。
  • LAP・ALP・ビリルビン:胆道系疾患で上昇する項目ですが、膵臓病で胆道(膵管)の閉塞を伴っている場合、これらの数値が上昇することがあります。
  • CRP:体に炎症があることを表す指標です。膵炎や膵臓腫瘍などで上昇がみられます。また、尿検査では以下のような項目があります。
  • 尿糖:膵臓病により二次的に糖尿病を来している場合に上昇します。
  • 尿中ビリルビン:膵臓病により胆道(膵管)の閉塞を伴っている場合に上昇します。

膵臓の画像検査

 腹部レントゲン検査(腹部X線検査)

腹部に放射線(X線)を当てて体内の様子を白黒の画像にして撮影する検査で単純レントゲン検査などとも呼ばれます。

炎症や腫瘍などによる消化管内のガスの貯留や腹腔内ガス・腹水・結石がある時には腫瘤などを陰影として撮影することができます。

手順が簡素で負担が少なく安価に短時間で結果が得られるというメリットがあり、腹部の病気の初期診療には欠かせない検査です。

デメリットは放射線被曝があるので妊婦は避けるべき検査とされていますが、撮影によって受ける被曝量は健康に支障をきたさない程度のものです。

しかし、膵臓病の診断に直接結びつけるのは難しいところがあり、炎症でのガス貯留や腹水の貯留、手術後の腹部の状態の確認などに用いられることが多い検査です。

腹部超音波検査(エコー検査)

腹部超音波検査は腹部の表面から超音波を当て、その反響を画像化して体の内部の状態を描画する検査です。

その場で画像を見ることができ、得られる画像はリアルタイムの動画にもなり、スケールを当てて腫瘍などの大きさを測ることもできます。

検査では体表面に超音波プローブを当てるだけなので、体への負担が小さく放射線被曝もないので合併症はないと言ってもよいでしょう。

膵臓は内腔のない実質臓器になるため、超音波検査でも観察しやすい臓器だと言えます。

腫瘍や膵炎の原因となる胆石の有無なども確認することができます。また転移による腹水なども確認しやすい検査です。

このようなメリットから膵臓病が疑われる場合、初期診療として超音波検査は行われることが多い画像検査の一つです。

CT検査(コンピュータ断層撮影検査)

CT検査はX線を使って体の内部を撮影した画像をコンピュータで処理し、詳しく撮影するとともに体を輪切りや縦切りの連続した層状の画像にして撮影できます。

連続した画像を並べて見ることで体内の様子を立体的に把握でき、CT装置によっては3D画像の撮影もできます。

レントゲン検査と比べると放射線被曝が多いというデメリットがあることと費用も高価(数千~1万円代程度)になること等、その特性から二次検査(精密検査)として行われることが多い検査です。

撮り方には単純CT検査(造影剤を使わない)と造影CT検査があり、造影剤を使うことによって腫瘍や転移した部分が強調して映し出されるので、膵臓がん等の精密検査では造影検査が行われることが多いです。

但し、造影剤によるアレルギーは最も大きな合併症の一つです。

CT検査は急性膵炎など強い炎症によって急激な自覚症状が出現した場合にも緊急検査としてよく行われます。

MRI検査(核磁気共鳴検査)

MRI検査は放射線ではなく、磁気の共鳴を利用して体の内部を撮影します。画像はCT検査のように層にして撮られた画像で体内の状態を立体的に把握することができます。

組織の種類によっては、CT検査よりはっきり撮影することができます。造影剤を使用することで、がん組織など強調したい部分をより効果的に確認することもできます。

膵臓病の中でも腫瘍性疾患であれば「どの部分にどんな大きさの腫瘍ができているか」など転移の有無や程度を知ることができます。

MRI検査のメリットの一つは放射線を使わずに撮影できることです。

デメリットは検査時間が長く閉鎖的で音がうるさいため、閉所が苦手な人や大きな音が苦手な人には不向きな場合があります。

また、磁気を帯びるものや金属は機械を狂わたり火傷の危険があるため、ペースメーカー埋め込みや入れ墨・アイメイクなどをしている人は検査を受けることができない場合があります。

造影剤の使用がある場合にはアレルギーの恐れがあります。

MRCP

MRCPとは膵臓・膵管・胆のう・胆管を中心として撮影するMRI検査になります。膵臓がんはCTやMRIでは映りづらい場合があり、膵管・胆管の撮影に特化してMRCPであれば膵臓がんや膵管拡張症の早期発見も可能です。

最近は人間ドックの項目に追加されたり、オプション検査として行うことができるようにしている医療機関も多くあります。

検査内容はMRIと同様です。

PET検査・PET-CT検査

PETとは陽子放射断層撮影という意味です。陽子を含んだブドウ糖液を内服し、ブドウ糖の取り込み量が多い細胞集まった陽子が黒く映し出されるという検査です。

主にはがん細胞の有無を全身的に確認すること、つまり転移の有無や程度を見るのが目的の検査です。膵がん発覚時、そのステージ診断や治療効果の判定のために行われることが多い検査です。

PET-CT検査はCT検査(コンピュータ断層撮影)を組み合わせたもので輪切り状の画像を連続して得られます。

デメリットとしては「放射線被曝がある」「検査を行っている医療機関が限られている」「検査費用が比較的高価で保険適用で3~4万円程度する」「画像はブドウ糖の取り込みを表しているため必ずしも確定診断には用いることができない」ことなどが挙げられます。


内視鏡検査・組織検査

ERCP(内視鏡的逆行性胆道造影)

膵臓には膵液が通る膵管という管が通っています。肝臓と胆のうから分岐している胆管は膵管と合流して十二指腸乳頭(ファーター乳頭)で開口して膵液と胆汁を分泌しています。

そのため、ERCPは口や鼻からファイバースコープを挿入します。さらに十二指腸乳頭から細い管を挿入し、膵管や胆管に造影剤を注入してエックス線で膵管・胆管・胆のうの様子を撮影することができる検査です。

ERCPの特徴・メリット

ERCPでは膵管を直接造影することで腫瘍や膵管の閉塞や拡張といった病変の有無を確認することが可能です。

胆管も撮影することができるため、膵炎の原因となる胆石症の診断にも有用です。

また、管から膵液や胆汁を採集して検査したり、ブラシや生検鉗子を取り付けることで組織検査(生検・組織診)といった他の検査も行うことができます。

膵管の閉塞があるような場合、管を通して治療をすることもできます。開腹する外科的な手術を行うよりも、はるかに体への負担は小さくなります。

ERCPのデメリット・合併症

デメリットとしては放射線被曝があること通常の胃内視鏡検査(いわゆる胃カメラ)と比べると検査時間がやや長くなり、検査中の苦痛が伴いやすいことがあります。

検査時間は早くて30分程度ですが、処置を伴う場合には1時間~2時間近くかかることもあります。

検査時間が長い時には痛みも伴うため、軽い鎮静剤を使うことが通例ですが、それでも痛みを完全に防ぐことは難しい場合があります。

合併症の代表的なものとして検査後に急性膵炎を起こすことがあります。他には造影剤によるアレルギー・胆管炎・消化管穿孔・鎮静剤によるショックなどが考えられます。

組織検査

ERCPで行うことができる組織検査は腫瘍性疾患の確定診断には大事な検査です。組織を採取して顕微鏡で直接その細胞を見ることで、がんをはじめとした腫瘍の確定診断を行うことができます。

EUS検査

EUS検査とは超音波内視鏡検査のことになります。内視鏡のスコープの先端に超音波の機械を付けることでカメラを通している部分の周辺の臓器の状態を調べることができます。

膵臓を詳しく知るには有用な検査だと言えます。また、EUSで臓器の状態を見ながら組織を採取する検査(超音波内視鏡ガイド下穿刺吸引生検、EUS-FNAB)を行うことができます。

EUS-FNAも膵臓がんのような腫瘍性疾患の確定診断には有用な検査なのですが、現在のところは行える医療機関は限られています。

腫瘍マーカー

膵臓の腫瘍マーカーとその意義

腫瘍マーカーとは、腫瘍が発生した際、その組織によって特異的に血中に増える物質を指し、腫瘍の種類によって数多くの腫瘍マーカーがあります。

膵臓でのみ産生されている酵素などがあるため、これらが腫瘍マーカーとして用いられることもあります。

但し、腫瘍マーカーは早期での上昇が乏しかったり、複数の種類の腫瘍で上昇する場合があったり、腫瘍以外の病気で上昇する場合があります。

腫瘍の種類を特定するには腫瘍マーカーだけで判断するのは難しく、とくに腫瘍の早期発見を目的としては使いにくい検査になります。

通常、診断するには他の血液検査や画像検査を併用し、確定診断には組織検査(生検)が行われます。

腫瘍マーカーは既に確定診断がされたがんの治療効果の判定再発や転移の有無を判断するのに用いられることが多くなります。

膵臓がんの腫瘍マーカー

膵臓において代表的な腫瘍性の病気は膵臓がんです。

膵臓がんで腫瘍マーカーとしてよく用いられる項目には以下のようなものがあります。
  • CA19-9(糖鎖抗原19-9)
    多くの消化器のがんで用いられる腫瘍マーカーです。特に膵臓がんで特異的だとされています。胃がん・大腸がん・肝臓がん・胆のうがん等でも上昇が見られることがあります。
  • CEA(癌胎児性抗原)
    胃がん・大腸がんなど多くの消化器のがんで上昇が見られる腫瘍マーカーです。膵臓がんでは特異性は低いため、治療効果判定に使われることが多いです。
  • CA50(糖鎖抗原50)
    膵臓や胆道系あるいは、卵巣などの悪性腫瘍のマーカーとして用いられる項目です。
  • CA125(糖鎖抗原125)
    膵がんで腫瘍マーカーとして用いられることがあります。他には卵巣がん・子宮がん・乳がん・大腸がん・肺がん等との鑑別も必要です。
  • DUPAN-2
    膵臓がん・胆道がん・肝細胞がんで高頻度に上昇が見られる腫瘍マーカーです。食道がんや大腸がん・肝硬変・胆道の炎症などの可能性もあるため、他の腫瘍マーカーとともに用いられることが多いです。
  • SPan-1
    膵臓がん・胆道がん・肝細胞がん・肝硬変などで上昇が見られる腫瘍マーカーです。他の消化器系のがんや慢性膵炎との鑑別が必要な項目です。
  • シリアルLex-i抗原(SLXあるいはシリアルSSEA-1)
    腺癌の腫瘍マーカーとなる項目です。膵がんだけでなく、他の消化器系のがん・肺がん・子宮がん・膵炎などでも上昇が見られることがあります。

膵臓の腫瘍マーカーとして用いられる酵素

膵臓から分泌されている酵素は膵臓に特異的な物質であることから腫瘍マーカーとして用いられることがあります。

膵臓の腫瘍マーカーとして用いられることがあるのは、血清アミラーゼエラスターゼ1といった項目です。

腫瘍性の膵臓病や膵炎をはじめ、他の膵臓病でも上昇することが多い項目です。腫瘍マーカーとして見るには他の検査項目と併用されることが多くなります。


参考文献等

  • 国立研究開発法人 国立がん研究センター 東病院「膵のう胞性腫瘍」
    千葉県柏市柏の葉6-5-1
    https://www.ncc.go.jp/jp/ncce/clinic/hepatobiliary_and_pancreatic_surgery/050/3/20171102124710.html
    「膵臓の病気と治療について」
    https://www.ncc.go.jp/jp/ncce/clinic/hepatobiliary_and_pancreatic_surgery/050/3/20171102164745.html
  • 日本消化器病学会「慢性膵炎ガイドQ&A」
    東京都港区新橋2-6-2
    https://www.jsge.or.jp/guideline/disease/suien.html
  • 徳洲会グループ「膵嚢胞性疾患」
    東京都千代田区九段南1-3-1
    https://www.tokushukai.or.jp/treatment/digestive_surgery/suinouhou.php

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