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脳腫瘍

脳腫瘍とは

脳腫瘍とは脳に発生する腫瘍(良性・悪性)と総称になり、原発性脳腫瘍と他の臓器から癌(がん)が転移してくる転移性脳腫瘍があります。

脳腫瘍の患者全体で考えると原発性脳腫瘍は約85%、転移性脳腫瘍が約15%を占め、原発性脳腫瘍の50%以上が良性になります。

また、男女別の発症頻度では、男性の方が女性よりも若干多くなり、高齢になるほど発症率は高くなります。さらに人口1万人に対して1人の割合で発症すると言われています。

脳の構造と働き

脳は身体の中枢として働く臓器となり、大きく分けて大脳、間脳、小脳、脳幹の4つの部位に大別されます。

大脳

脳の構造と働き大脳は脳の中でも一番大きな割合を占めています。大脳は大脳縦列と呼ばれる深い溝により左右の大脳半球に分かれています。

それぞれの半球は主に体の対側の運動や感覚をつかさどっており、左右の大脳半球は、大脳縦列の奥にある脳梁でつながっています。

大脳の主な働きは人間ならではの高次な脳機能にあります。

その機能は、見る、聞く、言葉をあやつる、物事を認識する、記憶、感情の表現、運動機能など多岐にわたります。

大脳の表面に近い2~3mmほどの部分は大脳皮質と呼ばれ、ここで知的活動や本能、情動、記憶などの機能が働きます。

間脳

間脳は大脳と中脳をつなぐ位置にあり、脳幹と大脳を関連させ本能の中枢にもなります。間脳は視床、視床下部、下垂体で構成されます。

視床は中枢神経系で最大の神経核であり、聴覚系以外のすべての感覚情報を集めたり、運動情報を中継し大脳皮質へと伝えます。

視床下部は視床の前下方にある小さな領域で、自律神経、生命維持や食欲、性欲、ホルモン分泌など生命活動に深く関わっています。

小脳

小脳は大脳の後下方、脳幹の背側にあり、脳幹と3つの大きな線維束で繋がっています。

小脳は四肢・体幹の動きを調節し、姿勢やからだの滑らかな動きを維持しています。また、眼球の動きを調整し、体の平衡を維持しています。

歩行、姿勢など、運動機能の調節、記憶をつかさどります。

小脳に腫瘍ができたり障害が起こると、よろめきやすいなどの平衡障害、筋力が低下する筋緊張障害、筋収縮のタイミングが遅れる運動障害といった症状がでます。

脳幹

脳幹は大脳の下方中心部に続く中脳、橋、延髄を総称したものです。

脳幹は小さい部分ではありますが、血液循環、血圧、呼吸、嚥下など生命維持には欠かせない機能をつかさどります。

脳幹は神経の伝導路であり、末梢から留数へと情報を送る求心性線維と中枢から末梢へと情報を送る遠心性線維の束に貫かれています。

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他のがんとの3つの違い

脳腫瘍とは良性・悪性も含めた病名です。脳腫瘍は体の中枢である脳の腫瘍であるため、他の臓器からできる腫瘍とには違いがあります。

良性でも危険なことがある

脳腫瘍と他のがんとの違い脳腫瘍の性質が良性か悪性かによって治療方針も大きく変わります。良性であっても発生部位によって危険な状態を招くことがあります。

例えば、生命維持に欠かせない役割を果たしている脳幹に腫瘍ができた場合、腫瘍によって圧迫されたり、障害を受けることで体に重大な影響を与えることがあります。

他の臓器に転移しにくい

他の臓器のがんが脳に転移することはありますが、もともと脳にできた悪性腫瘍(原発性脳腫瘍)が、遠く離れた臓器まで転移することは稀になります。

これは脳にはリンパ系がないためです。しかし、頭蓋内や脊髄内を流れる脳脊髄液の中に腫瘍組織が広がっていくことはあります。

機能維持が最重要課題

身体のどの臓器においても不要なものは何一つありません。しかし、子宮や卵巣、生殖器など失っても、直接生命に直結しないことがわかっています。

がんの治療に際しては、再発や転移のリスクを考慮しできるだけ広い範囲を切除します。

一方、脳の機能は生命維持や知能活動など、重要な機能をつかさどる神経が多く、失うことで取り返しのつかない事態が生じる恐れがあるため、機能の維持を考えた治療を進めていかなければなりません。

脳腫瘍の進行速度

脳腫瘍では良性でも脳腫瘍ができた部位によっては悪性のように扱われる場合があります。

他の臓器に発生する腫瘍と違い、腫瘍と混在しているのが脳に機能があるため、手術・治療に関しては、単に腫瘍を摘出すればいいという単純なものではありません。

脳腫瘍での良性・悪性は、発育形式によって決まります。

元の正常な細胞と比べて、腫瘍をつくっている組織の細胞の形が大きく違っている、分化度が低い、十分に成熟していないといった場合、悪性腫瘍とみなされます。正常な細胞に近いものほど悪性度は低いといえます。

脳腫瘍の成長の仕方

良性の腫瘍は周囲の組織に入ることなく、周囲の組織を圧迫しながら発育していきます。

脳腫瘍の進行速度さらに塊りを作りながら遅く成長していき、周囲の正常な組織との視界がはっきりしていることが多く、手術で腫瘍をすべて摘出できるケースが多く、治癒する可能性が高くなります。

悪性の場合、周囲の組織に染み込むように広がり、周囲の組織との境界が不明瞭なことが多いため、すべて取り除くことが困難なケースが多くなります。この広がり方を浸潤といいます。

通常、細胞は細胞分裂を繰り返し、一定のところまで分裂を終えると死滅していきますが、がん細胞は早いスピードで増殖し続けていきます。

脳幹は脳の中でも深い部分にあり、生命維持に欠かせない役割を果たしています。脳幹部にできた腫瘍は、たとえ良性であっても治療が難しく、危険な状態を招くことがあります。

原発性腫瘍の多くは良性

脳腫瘍のタイプは様々で、髄膜腫や下垂体腺腫など原発性腫瘍には良性のもが多く、腫瘍を完全に取り除くことができれば完治が望めます。

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脳腫瘍の原因

外傷による脳へのダメージがあった場合、脳腫瘍と似たような症状(頭蓋内圧亢進症状)が現れることがあります。

脳腫瘍,原因そのせいで勘違いをされる方が時々いらっしゃいますが、脳腫瘍は外傷によって発症することはありません。

現在、わかっている脳腫瘍の原因は遺伝子の変異だと言われており、脳自体には不明点な多く、これ以上のことは解明されていないのが現状です。

但し、遺伝的な要因として身内に脳腫瘍を患った人がいた場合、罹患率が上がると言われてます。

このように直接の原因は不明になるのですが、脳腫瘍を進行させると言われる(リスク要因)はあります。
  • 年齢(高齢者または子供)
  • 高たんぱく、高脂肪食品の摂りすぎ
  • 喫煙
  • 頭部への放射線照射
  • ストレス
  • 有機溶剤等の化学物質
  • 携帯電話やパソコンの電波※WHOは電波の関与を否定
外的要因として信頼性の高いと考えられているのが頭部への放射線照射です。過去に頭部への放射線照射を受けた患者さんが、10年経過後に腫瘍が発生した報告がります。

脳腫瘍の直接の原因ではなく、リスク要因しか挙げられないことには理由があります。がん細胞を生み出しているのは、その患者さんの体であるということです。

つまり、その患者さんが「どういう遺伝的要素を持っている」「今までどのような生活を送ってきたか」等を一つ一つ要素で調べていくのは複雑過ぎ、不可能となります。

さらに一つ一つの要素の相乗効果や複合的な要素も加味すると、どの要素が原因でがんを発症したのかを特定するのは現実的ではありません。

そのようなことから脳腫瘍のリスク要因を考えたり、はっきりと「これが原因である」「この要素を持っていると100%がんが発症する」等と特定することは難しいことなのです。

なぜ脳に腫瘍ができるのか

脳腫瘍とは、頭蓋内に発生するあらゆる新生物の総称です。

なぜ脳に腫瘍ができるの?脳腫瘍の患者さんは10万人あたり約10人と推測されており、数は多くありませんが稀な病気ではありません。

脳腫瘍には良性のものも悪性のものもありますが、その多くは良性であり、治療すれば完治できるものも多くあります。

しかし、治療をしないで放置していると頭蓋内圧が亢進し、やがては重症な症状に至る場合があります。

脳腫瘍は、完治するものから予後不良なものまで様々になります。

脳腫瘍の種類は2タイプ

脳細胞において正常な細胞に異常が生じ、それが増殖を重ねると腫瘍が形成されます。脳腫瘍には原発性脳腫瘍転移性脳腫瘍の2つのタイプがあります。

原発性脳腫瘍

原発性脳腫瘍には、神経膠腫(グリオーマ)、脳実質、末梢神経、髄膜・血管、脳下垂体、先天性遺残組織、骨などを発生母地とするものが挙げられます。

原発性脳腫瘍は全脳腫瘍の85%を占め、最も多いのは40~50歳代ですが子供から高齢者まで幅広い年代にみられます。

転移性脳腫瘍

他の部位からがん・肉腫から転移したものです。50~60歳代が最も多く、20歳以下はほとんどみられません。

脳腫瘍が発症しやすい年齢

脳腫瘍の発症率は他のがんに比べると低い頻度となり、1万人に1人程度と言われていますが、子供から高齢者まで幅広い年代に発症します。

しかし、脳腫瘍の種類や部位は年齢によって少し違いがあり、治療方針も異なります。

原発性脳腫瘍の約10%は子供

子供の悪性腫瘍で白血病に次いで多くみられるのが脳腫瘍です。じつに子供のがん患者の5人に1人が脳腫瘍だと言われています。

脳腫瘍が発症しやすい年齢全脳腫瘍のうち、原発性脳腫瘍の約10%が15歳未満の子供です。子供の脳腫瘍で多いのが神経膠腫となり、約60%を占めます。

また、胚細胞腫頭蓋咽頭腫も多く、これら3つが約80%を占めています。小児の脳腫瘍は小脳や脳幹部に多発し、良性の場合が多くなります。

良性だとしても発生した部位が、生命維持をつかさどる脳幹部になると治療が難しく、悪性と同じように扱われます。

症状としては脳脊髄液の通貨障害を起こし、水頭症を起こしやすくなります。いずれにせよ、発育期の脳に大きな影響を与えかねないため、慎重に治療していく必要があります。

放射線照射治療は、悪性の脳腫瘍治療に飛躍的な効果があるとされていますが、乳幼児には極力避けられます。

成人に多い脳腫瘍

大人の脳腫瘍では、神経膠腫・髄膜腫・下垂体腺腫などが多くなりますが、高齢者においては髄膜腫が圧倒的に多くなります。

年齢では40~50代以降の人に多く、性別では男性の方が多いという傾向にあります。

成人の脳腫瘍は大脳にできることが多く、良性のものがほとんどですが、中には非常に悪性度の高いものもあります。

腫瘍が大脳に発生した場合、運動麻痺、知覚障害、言語障害などに症状が起こります。

増加傾向の転移性脳腫瘍

転移性脳腫瘍の割合は全脳腫瘍のうちの14%と比較的低いものなのですが、高齢者の転移性脳腫瘍の割合は近年増えてきています。

これは脳以外の体の部分、元の原因となる腫瘍の肺がん、胃がん、乳がんなどが毎年増加傾向にあることが懸念されます。

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脳腫瘍チェック

脳腫瘍とは頭蓋骨の内部にできる腫瘍の総称です。

脳腫瘍の症状は腫瘍によって脳が圧迫されて頭痛として現れる頭蓋内圧亢進症状と腫瘍ができた場所によって様々な症状が出る局所症状の2つに分けられます。

気になる症状がある場合、下記に脳腫瘍の簡易チェックリストを載せましたのでYesかNoで回答してみてください。
  1. 頭痛が続いていますか?
    脳腫瘍チェック
  2. 原因不明の吐き気や嘔吐(おうと)がありますか?
  3. 言語障害、もの忘れ、麻痺等がありますか?
  4. てんかんのような痙攣(けいれん)発作がありますか?
  5. 視力が低下しましたか?
  6. 聞こえにくくなりましたか?
  7. 歩くときにふらついたり、手が痺れますか?
  8. 人格が変化しましたか?
  9. 上記1~8の症状が、徐々に進んでいますか
※これらのチェックリストはあくまでも参考にしてください。

前述のチェックリストについて具体的に説明していきます。

1.頭痛が続いていますか

脳腫瘍になると初期には2割、その後は7割の患者に頭痛が現れます。この頭痛は腫瘍によって脳が圧迫されて起こるものでに最も痛みが強いのが特徴です。

2.原因不明の吐き気や嘔吐(おうと)がありますか

風邪等の心当たりがないのに嘔吐がある場合には注意が必要です。

特に脳腫瘍の場合、吐き気がなくいきなり嘔吐して、その後も普通に過ごせる、嘔吐すると頭痛が少し治まる等の症状があるという患者さんがいるので、このような場合は特に気をつけましょう。

3~8その他

腫瘍のできる位置によってこれらの症状が出たり出なかったりするので、1つでも当てはまるものがあれば要注意です。

「以前と比べて患者の様子は最近どうか」という視点で考えてみると良いかもしれません。

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脳腫瘍の症状

頭蓋内圧亢進症状

脳腫瘍の症状には2タイプあり、一つは頭蓋内圧亢進症状と言って頭蓋骨の内部に腫瘍が発生し、その腫瘍が大きくなることにより、頭蓋骨内で行き場を失った圧力が、脳そのものを圧迫して起きるものです。

脳腫瘍,症状脳が圧迫されることにより、頭痛・嘔吐・意識障害等の症状が現れます。

初期段階では朝起きた時に頭痛がするが、昼間は痛みが軽い(これは睡眠中に脳の圧力が高くなることによって起こる脳腫瘍の特徴です)のですが、進行して行くと一日中、頭痛が現れるようになります。

また、頭蓋内圧亢進症状による嘔吐も代表的な症状になるのですが、とくに体調を崩すこともなく過ごせたりします。

脳腫瘍は子供から高齢者まで発症しますが、患者さんが子供の場合、症状を上手く周囲に説明できないことがあるため、客観的にわかる嘔吐は重要な指標になります。

脳腫瘍が末期になると脳全体が腫瘍に強く圧迫されてきますので、意識不明を伴う痙攣や性格の変化が起こることがあります。

局所症状(巣症状)

もう一つは局所症状(巣症状)があります。他の臓器や組織に発生したがんが脳転移したものです。脳のどこに転移するかで症状が異なります。

例えば、部位によっては視力低下が原因で視野が狭くなったり、見え方が変わる(雲や霧がかかったように見えます)などの症状がみられます。

メガネやコンタクトで矯正できない場合、早めに病院での検査が勧められます。

その他、目眩(めまい)や会話中に言葉が出てこない、話している内容が意味不明になり意思の疎通ができなくなったりします。

脳の転移箇所によっては、運動が困難、酷い物忘れ、無気力(この場合、うつ病と間違えられることもあります)等の症状が考えられます。

検査が必要な脳の症状

検査が必要な脳の症状
脳は部位ごとに役割を分担しているので障害を受けた部位によって症状が異なります。

下記の症状は、脳腫瘍の発見のきっかけになる局所症状になります。

万一、症状を覚えた場合には、専門医を受診し必要な検査を受けましょう。

例え脳腫瘍ではなくても脳梗塞や認知症など他の病気を見つけるきっかけにもなるかもしれません。

しびれ・手足の麻痺

大脳の体性感覚野・運動野の神経が圧迫されることによって、神経障害、機能の低下が生じます。

フラフラする

大脳の運動野、あるいは小脳の機能低下が疑われます。

言葉がうまく出ない

言語活動にかかわる部位の障害が考えられ、舌や口が動かしにくい、失語などの症状が現れます。

聴覚障害

脳神経にできた腫瘍により、難聴が起こることがあります。片方の耳だけ症状が出ることもあります。

性格が変わった

前頭前野の機能低下から、変化を引き起こしている可能性があります。

視覚障害

脳の深いところにできた腫瘍(下垂体腺腫など)が視神経を圧迫し、視野が狭くなったり、一部の視野が欠けたり、視力の低下など視覚面での障害を引き押すことがあります。

良性・悪性腫瘍でも症状が違う

良性腫瘍は緩やかに成長することが多く、麻痺などの症状がある場合には腫瘍が大きくなって周囲の脳に影響を及ぼしている可能性があります。

一方の悪性腫瘍では初期の小さい時から周囲の脳浮腫などにより、麻痺などが出ることが多くなります。

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子供の脳腫瘍の症状

成人の脳腫瘍は大脳に発生することが多く、腫瘍の発生箇所によって特有の症状が現れます。一方、子供では小脳脳幹に発生することが多く、水頭症になりやすいことが考えられます。

水頭症

脳の内側には脳室という部屋があり、それぞれ通路が結ばれている構造で脳室内では上から下へ髄液が流れています。

その一部の通路が塞がれてしまい、髄液が流れなくなってしまうことを水頭症と呼びます。

水頭症では頭蓋内圧亢進症と同じような症状が起こります。成人と比べて子供の脳は脳脊髄液が流れる通路が閉塞されやすいことが言えます。

症状が大人と比べて軽い

子供の脳腫瘍の症状子供の頭蓋骨は3~4歳位まではしっかりとつながっておらず、小児期でも柔らかい状態となります。

これは出産でお母さんの産道を通るときにできるだけ頭を小さく、コンパクトに出てくるためだと考えられます。

大人になるに連れ、骨と骨の結合がになります。

そのため、子供では腫瘍が大きくなっても大人と比べて典型的な症状が現れにくく、発見が遅れてしまうことがあります。

普段と様子が違うと思ったら

子供の機嫌が悪かったり、普段と様子が違うなど、それが長引く時には勝手な判断はせず、身体的な検査も視野に入れましょう。

子供は自分から症状を上手く伝えられないこともあるため、保護者が異変に気付いてあげることもとても重要なのです。

原因不明の吐き気・嘔吐・頭痛

単に食欲が低下しているだけの場合もありますが、水頭症により頭蓋内圧亢進症のような症状が現れていることがあります。

しかし、子供の頭蓋骨はやわらかいことから圧が緩和されやすく、一時的に症状が出たり治まったりします。

朝、体調不良が続き学校へ行きたがらない

起床後、頭蓋内圧の高まりによって症状が出やすいためです。

フラフラと歩く

子供の脳腫瘍は小脳に発生することが多くみられます。小脳の機能低下は運動面で異常を引き起こします。

足を左右に開きフラフラ歩く場合などの症状がある時には注意しましょう。

脳腫瘍の頭痛と特徴

脳腫瘍の代表的な症状として約7割の患者さんに頭痛があると言われ、初期段階の症状でも約2割の患者さんが訴えています。

脳腫瘍以外が原因となって頭痛が起きている場合もありますが、脳腫瘍の頭痛には特徴があります。

脳腫瘍,頭痛例えば、脳腫瘍が原因の頭痛は朝起きた時が最も症状が酷く、昼・夜になってくるとやや穏やかになってきます。

さらに進行すると頭痛は慢性化し、昼や夜でも徐々に痛みは増していきます。

また、嘔吐を伴うことが多くなるのですが、突然吐いたと思ったら直ぐに症状が落ち着くのが特徴です。

これは嘔吐すると脳圧が少し下がることで頭痛が一時的に軽減されます。これも脳腫瘍から起こる頭痛の特徴です。

但し、脳自体には痛覚がないため、全ての脳腫瘍にて頭痛が起こる訳ではありません。実際に頭痛がない人もいます。

また、首筋が硬直したり、ひどい肩こりを自覚する人もいます。

さらに脳腫瘍を原因とする頭痛の場合、ふらつき・視力低下・手足のしびれ等の症状が合わせてみられることがあります。

脳腫瘍の頭痛への対処法

脳腫瘍の頭痛ではクモ膜下出血のように「バットで殴られたような強い痛み」というよりも、鈍痛、頭全体の圧迫感、頭が重たい感覚など個人の症状や脳腫瘍が発生している箇所によって異なってきます。

共通しているのは、頭痛が日を追うごとに酷くなっていくことです。

心当たりのある頭痛がある場合、市販の鎮痛薬を服用するのではなく、専門医を受診して適切な対処法を考えましょう。

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脳腫瘍の再発

原発性脳腫瘍では腫瘍が良性と悪性に分けられます。良性の腫瘍は周辺の他の細胞との区別がはっきりしているのが特徴です。

そのため、腫瘍を手術で摘出することで再発は少なく完治に至るケースが多くなります。

しかし、悪性の腫瘍になると周囲の他の細胞・組織に浸潤しながら成長していくため、手術は難しくなってきます。

脳は場所によって様々な働きを分担しているため、他の臓器のがんのように周辺の細胞もまとめて摘出するという手段は使えません。

そのようなことから手術で腫瘍をできる限り取り除き、残った腫瘍はに関しては放射線療法や化学療法(抗がん剤使用)にて対処することが一般的になります。

取り残された腫瘍の一部が成長し、放射線療法や抗がん剤の効果が得られなかった場合には再発という可能性が考えられます。

グレード(悪性度)が2では再発率が約50%と言われており、グレード3~4に至ってはさらに高くなると推察されます。

再発時の治療

脳腫瘍の治療には、外科的手術、放射線治療、抗がん剤治療の3つが基本となります。

他のがんと同様、外科的手術が治療の土台となることが多いですが、再発に対する手術は1回目の手術よりも難易度が高くなります。

脳腫瘍,再発さらに悪性腫瘍では周囲への浸潤していることが多いため、外科的手術だけではなく放射線治療や抗がん剤治療を並行して行うケースが通常です。

近年、脳腫瘍において放射線治療は注目される治療法になります。

再手術が不可能なケースや良性腫瘍でも再発を何度も繰り返す場合には、放射線治療を中心に検討されます。

抗がん剤による治療も行われますが、脳には血液脳関門という部位があり、そこを通過できないと抗がん剤の効きが悪くなることから、その意味でも放射線治療が注目されています。

また、定位放射線治療といって病巣に放射線を照射時に正常な脳細胞には照射しないという治療法が進歩しており、再手術ができないような形での再発でも一定の効果が期待できます。

脳腫瘍の治療

脳腫瘍の治療方法は大きく分けると、外科的手術・線治療・薬物療法(抗がん剤治療)の3種類からなります。

外科的手術では、その名の通り腫瘍を手術で切除して腫瘍摘出を試みる治療方法になります。

対象となる脳腫瘍が良性だった場合、正常な脳細胞と腫瘍の境目がはっきりしているため、外科的手術はとても効果的です。

手術にて腫瘍部分だけを摘出することができれば完治が目指せます。

脳腫瘍,治療一方、対象となる脳腫瘍が悪性だった場合、正常な脳細胞と腫瘍の境目が浸潤により不明瞭なため、外科的手術だけでは完治が期待できません。

取り除ける範囲の腫瘍は摘出していきますが、取りきれなかった部分は放射線治療抗がん剤治療で補うという形となります。

放射線治療とは、手術で取り残された腫瘍等に放射線を腫瘍に照射して治療する方法です。

近年、医療技術の進歩は目覚ましく、ガンマナイフと呼ばれる定位照射する方法(患部に集中的に放射線を当て、正常な細胞には放射線を当てない技術)が登場しています。

但し、小さい子供等、放射線治療に向かない患者さんもいます。そのような場合には薬物療法が適応されます。

放射線治療と同様に手術で腫瘍が取りきれなかったケースや手術が難しい箇所に腫瘍が発生している場合に適応されます。

抗がん剤は全身を回って腫瘍部分に効果を発揮するため、脳だけでない脳腫瘍が転移性脳腫瘍の場合にも使用することが可能になります。

また、外科的手術後の再発予防として、一定期間抗がん剤を行なう場合があります。

根治を目的としない治療

患者さんが高齢者であったり、脳腫瘍がかなり進行している場合、本人または家族の希望次第で治療をしない緩和医療が選択されます。

余命期間中の生活の質を保つことを第一に考慮して、痛みやその他の不快な身体症状の軽減を図ることを最優先とします。

併せて精神的、社会的なフォロー体制がとられます。

腫瘍の摘出手術

画像診断の結果、脳腫瘍が確認されて安全に摘出できると判断されると、開頭または経鼻的に手術を行い腫瘍の摘出手術が行われます。

摘出した腫瘍の組織を調べて、今後の追加治療や方針について検討します。

摘出に先立って調べる定位脳生検

腫瘍が手術では摘出しにくい場所にある、または腫瘍が複数あり摘出できない、さらに画像検査で脳腫瘍の判断がつかない場合、特殊な針を病巣に刺して組織の一部を採取します。

この検査は局所麻酔をして行われます。検査自体が及ぼすダメージはほとんどありません。出血や感染など、合併症が起こる危険性もほとんどないでしょう。

脳脊髄液に広がっているか調べる腰椎穿刺

脳脊髄内に腫瘍組織が散らばっている恐れがある場合、実際に脳脊髄液を採取して調べることがあります。

但し、この検査は頭蓋内圧が高い時には行いません。脳ヘルニアを発症する危険があるためです。

腰椎の隙間に細い針を刺し、少量の脳脊髄液を抜きます。

アプローチしにくい腫瘍組織に内視鏡

腫瘍の摘出手術が難しく、生検用の器具も届きにくい脳の深い部位にある腫瘍に対しては内視鏡を使って腫瘍の一部を採取することがあります。内視鏡手術は全身麻酔をで行われます。

脳腫瘍の経鼻的手術

脳腫瘍の手術は、開頭手術といって皮膚を頭の外側から広めに切開し、頭蓋骨の一部を切り取り、患部を露出させて手術を行うのが一般的です。

しかし、腫瘍の発生部位によっては開頭手術ではなく、から手術器具を挿入し、腫瘍を切除する場合があります。

これを経鼻的手術(経蝶形骨手術)と呼びます。

頭部に大きな傷を残さず、脳の腫瘍に直接アプローチが可能となり、開頭手術に比べて体への侵襲は軽くなります。

しかし、開頭手術に比べると手術での視野が狭く、腫瘍の大きさや性質によっては開頭手術の方が安全である場合もあります。

下垂体腺腫、頭蓋咽頭腫、胚細胞腫、髄膜腫など、脳の底の方に発生した腫瘍であれば経鼻的手術が検討されます。

経鼻的手術の方法

脳の底の方に腫瘍がある場合、その上には大脳があるため、開頭し骨を切り取っただけでは腫瘍まで到達できません。

そこで鼻や口の方から脳にアプローチして腫瘍を取り除きます。

脳腫瘍の経鼻的手術手術用顕微鏡や内視鏡を使って視神経や動脈などの隙間から腫瘍を摘出します。

鼻の奥には頭蓋骨の蝶形骨洞と呼ばれる空洞があり、その下に下垂体があります。

この部分の骨を切除して腫瘍を摘出します。

腫瘍を取り出した後の隙間には体の一部から採取した脂肪を埋め込みます。

骨のくぼみ(トルコ鞍)に脳の組織が垂れ下がってくるのを防ぐためです。

脂肪は主にその人のお腹などから採取されます。

経口(口から)の場合、前歯の付け根を粘膜を切開し、そこから副鼻腔(鼻の穴の裏側にある空洞)を通して下垂体部にまで到達させます。

経口の場合は前歯の付け根を切開する必要があるため、鼻からのアプローチの方がダメージが少ないと言えます。

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脳腫瘍の覚醒手術

脳腫瘍の治療では手術で腫瘍をすべて取り除くことが最も治療効果が期待できるとされています。

脳腫瘍を手術する目的は、瘍を切除して症状を軽減・消失させることと、脳腫瘍が大きくなり、運動障害や感覚障害などの予防することにあります。

そのような予防的な手術は脳の機能を残しつつ、できるだけ多くの脳腫瘍を摘出していきますが、腫瘍の発生場所によっては難しい手術になるケースもあります。

脳腫瘍の摘出手術は全身麻酔下で終了まで実施するのが一般的です。

しかし、言語や運動にかかわる領域付近にできた腫瘍の場合、開頭後に麻酔から覚醒させることがあります。これを覚醒手術といいます。

脳腫瘍の覚醒手術手術中に実際に話ができるか、電気刺激がうまく伝わるかなどを確かめることで脳機能の維持を図るのが目的です。

手術中に症状が悪化した場合、直ぐに手術をやめることが可能となり、手術後に神経症状が悪化する危険性が全身麻酔下の手術と比べて低くなります。

手術中に症状が出た場合、その段階ですぐ手術はストップしますが、症状が即回復することもあれば回復しないこともあります。

回復した場合は手術が続行されます。万一、手術中は回復されない場合でも、ほとんどのケースが術後から約1か月位に症状が回復することが多くなります。

麻酔が切れてて痛くないの?

覚醒下手術がなぜ可能なのかというと脳には痛覚がないため、患者さんは苦痛なく手術を受けられます。

利点が多い覚醒下手術

全身麻酔下の手術に比べ、症状の悪化を最小限に抑えつつ、腫瘍の摘出が可能である覚醒下手術。

侵襲が最小限であるため、術後の回復も早いといわれています。

しかし、脳機能を維持するという点では確実性の高い方法ですが、腫瘍の様子や患者さんの全身状態などによっては、無理に行わない方が良い場合もあるため、医師と相談して治療方法を決めましょう。

脳腫瘍における放射線治療

良性の脳腫瘍の場合

原発性脳腫瘍は、その性質により良性と悪性に分けられます。

良性腫瘍の場合、手術で腫瘍を取り去ることで完治できるケースがあるため、放射線治療が適応されることは少なくなります。

しかし、良性腫瘍であっても手術が難しい位置にあったり、周囲の血管等を巻き込んでいたりして手術が困難な時、再発を繰り返している場合には放射線治療が施されます。

悪性の脳腫瘍の場合

原発性脳腫瘍が悪性の場合、手術と組み合わせる形で放射線治療が行われます。

悪性腫瘍になると正常な脳組織との境目が明瞭ではないことが多いため、全ての腫瘍を手術で取り去ることが難しくなります。

脳は各位置で重要な役割を司っているため、他のがんと同じように正常な組織までも一緒に摘出してしまうと患者さんはその組織が担っていた役割を永久に失うことになります。

脳腫瘍,放射線治療手術後の後遺症を残さないため、悪性腫瘍を手術で取り除けるだけ取り除いた後は放射線治療や薬物療法(抗がん剤使用)で残りの腫瘍細胞を死滅させていくという方法がとられることがあります。

放射線治療や薬物療法では目に見えないごく小さな腫瘍細胞にも効果を発揮しますので手術後の再発の予防にも繋がります。

近年、医療機器の進歩により定位照射と言って、患部に集中的に放射線を当て、正常な脳組織を傷つけないガンマナイフと呼ばれる放射線治療の機器もあるため、副作用等はそれほど酷くありません。

また、転移性脳腫瘍の場合、手術と放射線治療が組み合わされて行われることも多くなります。

転移性脳腫瘍では一人の患者さんに複数の腫瘍が存在することがあり、大きさが3cm以下で転移数が3~4個の場合には定位照射がとても効果的です。副作用や後遺症はほとんどありません。

脳腫瘍の放射線療法と副作用

脳腫瘍の治療の第一選択として手術が検討されますが、術後の組織検査で悪性だった場合や腫瘍が取り切れなかった時には追加療法として放射線療法を行なうことがあります。

放射線療法は放射線のエネルギーを利用して腫瘍を小さくしたり、増殖を抑えたりする治療法です。

放射線治療は手術療法や化学療法と異なり、傷ができたり、薬剤を投与するわけでもなく、患者さんへの負担が比較的少ない治療法なことがわかります。

放射線治療の進め方

脳腫瘍の放射線療法と副作用患者さんに合わせた照射が行われます。

腫瘍の種類、大きさ、部位、患者さんのことを把握し、事前に検査をおこない治療計画を立てます。

スケジュール通りに照射を行い、照射終了後1か月前後で再度画像検査にて効果の確認、今後の治療方針について再度検討します。

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放射線療法の副作用

放射線は腫瘍細胞だけではなく、正常な細胞にも影響を与えることがあり、副作用が起こる可能性が考えられます。

急性期障害(照射中~照射直後)

脳がむくむため、頭痛や吐き気、倦怠感、食欲不振などが生じることがあります。症状が軽度の場合、薬の処方や消化の良い食事にするなど工夫します。

脊髄まで照射を行う場合、白血球などの血球の減少が起こることがあります。

白血球の減少が著しい場合には感染の恐れがあるため、注射をして白血球を増やす治療を行います。また治療を中断することもあります。

亜急性期障害(照射1か月後~1年半後)

一時的に腫瘍が大きくなることがある他、記憶力の低下などの症状があります。しかし、症状の多くは一時的となり、治療を休憩することで回復します。

晩期障害(照射3か月後~3年後)

放射線の影響で細胞が壊死して病巣をつくったり、極めて稀ですが脳内の血管が閉塞してしまうことがあります。

また、視神経や聴神経は、放射能の影響を受けやすいと言われ、大量の放射線が照射されることで視力や聴力の低下が起こることもあります。

脳腫瘍の定位放射線治療

一般的な放射線治療(リニアック)

一般的な放射線治療ではリニアック(直線加速器)と呼ばれる放射線治療装置を使った方法となり、X線や電子線を患部の広い部分に照射することで病巣を撃退していきます。

リニアックは、正常な細胞にも照射されることがあるのですが、比較的損傷が緩いため広く普及されています。

高精度の定位放射線治療(ガンマナイフ)

定位放射線治療とは、正常な細胞にできるだけ損傷を与えないよう、多方面からピンポイントで病巣に大量の放射線を当てる治療をいいます。

リニアックよりも正常な細胞に照射することが少なく、効率的に治療ができます。

従来の多数回に分割してきた照射に比べて、腫瘍に対して短期間で正確に大量の照射が可能となりますので、正常な細胞への障害を少なくした状態で腫瘍をコントロールできます。

この治療では、ガンマナイフ、サイバーナイフといった専用の装置を使用します。

すべての脳腫瘍にできる治療ではなく、下垂体腫瘍、聴神経腫瘍、頭蓋咽頭腫、転移性脳腫瘍などが適応とされています。

ガンマナイフの治療方法

ガンマナイフは頭頸部のみの腫瘍で使用し、コバルト60と呼ばれるγ線を用いて治療します。

頭部に201個の穴の開いたヘルメット状の装置を固定して201方向から放射線を照射します。

1本1本の放射線は微量ですが、患部に大量に集中してあたりますので、腫瘍に大きなダメージを与えることが可能になります。

リニアックやガンマナイフの欠点を補うサイバーナイフ

リニアックやガンマナイフにもそれぞれ欠点があります。

脳腫瘍の定位放射線治療ガンマナイフの場合、頭部を固定する上で金属製のフレームを頭蓋骨に固定するため、動けない・圧迫感があるなど患者さんへの負担がかかります。

また、リニアックはあらゆる部位に治療ができる反面、ピンポイントでの照射が難しいことから、正常細胞に影響を与えないように照射するのは容易ではありません。

サイバーナイフはこうしたリニアックやガンマナイフで対処しきれない部分を補うだけではなく、患者さんの負担をできるだけ軽減した治療法として開発されました。

サイバーナイフは病変だけを治療できるため、痛みもなく患者さんへの負担が軽減し、通院でも治療が可能などといった利点が多い治療です。

最先端ロボット技術第4世代サイバーナイフ

第4世代サイバーナイフは、より高精度で究極な放射線治療を導入している病院も増えてきました。

ロボットが照射中に生じる人間のわずかな動きを感知し、正しい位置に移動して照射します。

そのため、1mmの誤差も生じない高精度の照射が可能になります。

腫瘍の大きさが1cm以下であれば、腫瘍の種類にもよりますが治癒する可能性が高くなります。治療時間も15分程度とより負担が少なくなります。

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手術後の合併症

医療技術の発展により、手術の安全性は高くなっていますが合併症のリスクはあります。

脳腫瘍の手術後の合併症合併症は手術の難易度や腫瘍の状態・発生部位、侵襲の大きさの影響などによって変わり、術前に必ず医師から合併症について説明があり、同意書にサインを求められます。

もし、合併症を起こしても多くの場合、対処法が確立されています。

術前にある程度のリスクが予測されていれば事前に準備がされ、病院側も体制が整っているため、手術が原因で死亡に至るということは稀となります。

代表的な合併症

頭痛

脳は頭蓋骨の中に入っていますが、手術の影響で中の圧力が上がってしまうと正常な脳が圧迫され、吐き気、嘔吐、頭痛などの頭蓋内圧亢進症が出ます。

強い頭痛が続く場合、緊急手術を行い頭蓋骨の一部を切除して頭蓋内圧を下げたりすることもあります。

出血

悪性度の高い腫瘍は出血しやすい傾向があります。腫瘍をすべて取り切れなかった場合、術後に出血がみられることがあります。

出血が止まらないような場合、緊急で再手術をすることもあります。

脳の損傷

慎重に手術を進めていても血管や神経を傷つけしまうことや脳機能が低下してしまう可能性があります。

その場合、術後に直ぐ回復したり、1か月程度で回復する場合もありますが回復しない場合もあります。

脳浮腫

手術の影響で脳にはむくみ(脳浮腫)が生じてしまいます。悪性腫瘍においては特に強くむくむ傾向にあります。

浮腫みがあると頭蓋内圧が高まるため、放置しておくと危険な状態になる場合がありますで術後には点滴で利尿剤やステロイド剤を投与し、脳浮腫を抑制します。

感染

手術中は滅菌操作で手術を施行しますが、長時間脳を露出させた状態になることから微生物が侵入してしまう可能性が0%ではありません。

手術中から術後の数日間は抗生物質にて感染予防をはかりますが、術後に感染症の発症を防ぎきれないことがあります。

術直後、2~3日程度発熱するのは一般的な経過ですが4日以上経過しても発熱が継続していたり、創部に感染兆候が見られる場合には注意が必要です。

けいれん発作

手術で脳がダメージを受けることから、けいれん発作が起きることがあります。

水頭症

脳の内側には脳室という部屋があり、それぞれの通路を結んでいる構造で脳室内では上から下へ髄液が流れています。

手術の影響でその一部の通路が塞がれてしまい、髄液が滞る症状を水頭症といいます。

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脳腫瘍の検査

脳腫瘍の画像検査脳腫瘍が疑われると問診・神経学的検査の後、画像検査をします。

画像検査で腫瘍が確認された後にも治療方針を決める際などに何度か繰り返し検査が行なわれます。

画像検査では腫瘍の大きさ・性状・部位などがわかるため、年齢・性別などを加味し、脳腫瘍の種類や悪性度をおおよそ判断できます。

こうした診断を元に今後の治療方針を決められていきます。

確定診断には組織検査が必要

画像検査でおおよその予測はつきますが、確定診断には手術による組織検査を行い、病理診断をしなければなりません。

術による全摘出が難しく、化学療法や放射線治療を選択する場合には開頭または穿頭により、腫瘍生検で確定診断を行う場合があります。

脳腫瘍の主な検査

一般的な脳の画像検査としてCTやMRI、脳血管造影などがあります。

CTは放射線を使用した検査、MRIは磁力を使用した検査で、頭蓋内を縦切り、または横切りにした状態で映し出すことができます。

CTの検査は、MRIに比べて短時間の検査で終わりますが、解像度に関してはMRIの方がより詳細にわかります。

CT(コンピュータ断層撮影)

CT検査は、短時間で明瞭な画像が得られるため、第一選択として行われる検査です。X線を用いて身体の横断面をスキャンし、病巣の位置や形状などを観察します。

コンピュータによる3次元再構成による画像を使えば、腫瘍と性状構造物の立体的イメージがつきやすいです。

微量になりますが放射線被ばくのリスクがあります。造影剤を注入して行うことで、より詳細な画像を得ることができます。

MRI

MRI装置では強い磁気とラジオ電波を利用して脳の断面を撮影し、腫瘍を描出します。

様々な断面による良質の画像を被曝ばくしないで得られます。しかし、強い磁力を用いるため、体内に精密機器や金属がある方は検査できないことがあります。

脳血管造影

局所麻酔をした後、首の動脈からカテーテルを挿入し、脳の血管に造影剤を注入します。その後、X線撮影をして血管の様子を映し出す検査です。腫瘍を養う血管の性状が明確にわかります。

脳腫瘍の組織検査

画像検査でおおよその診断がついた後、組織検査を行います。

脳腫瘍の組織検査脳腫瘍の正確な診断には手術を施行して腫瘍の組織を採取し、組織検査を経て病理診断によって確認するしかありません。

画像検査でおおよそのことが確認できますが、実際に腫瘍の組織を調べてみないと、どのような種類の脳腫瘍なのか、良性、悪性度の高いものなのかはっきりとはわかりません。

この病理診断によって脳腫瘍の種類や悪性度知ることで今後の治療方針が決定します。

組織検査の方法には、いくつかありますが腫瘍の状態によって異なります。

また、病理検査の確定診断では病理医という病理診断専門の医師が行います。

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脳腫瘍の種類とタイプ

脳腫瘍には幾つかの種類があり、タイプも大きく異なります。脳腫瘍の種類が判明すれば治療方針にも大きく影響します。

脳腫瘍とは、頭蓋内に発生した腫瘍の総称となり良性・悪性含めすべてのことを指ます。また脳腫瘍は転移性脳腫瘍、原発性脳腫瘍に分けられます。

転移性脳腫瘍

転移性脳腫瘍とは他の臓器にできた悪性腫瘍が脳に転移してできた腫瘍です。主ながんとしては、肺がん、腎臓がん、乳がん、胃がん、大腸がんなどが挙げられます。

発症する年齢は40~50代が多くなります。がん細胞の性質は、もともとのがん細胞の性質を受け継いでいます。

そのため転移性脳腫瘍は悪性の腫瘍です。

原発性脳腫瘍

脳腫瘍の種類とタイプ原発性脳腫瘍は頭蓋内の組織から発生した腫瘍のことを指します。

全脳腫瘍の80%以上が原発性腫瘍とされ、小児から高齢者まで幅広い年代にみられます。

原発性脳腫瘍は頭蓋外に転移することはほとんどなく、これは脳にリンパがないためです。

原発性の腫瘍は、どの組織から発生したものなのか、腫瘍の性質が良性・悪性かといった観点から幾つかの種類に分類されます。

神経膠腫(グリオーマ)

原発性腫瘍で最も多いのが神経膠腫(グリオーマ)となり、全体の約30%を占め、髄膜腫をあわせると約半数になるといわれています。

神経膠腫(グリオーマ)は脳の神経細胞を養う神経膠細胞(グリア細胞)がもとになってできる腫瘍です。この神経膠腫には様々な種類があり、星細胞腫、悪性星細胞腫、膠芽腫、髄芽腫などに分類されます。

なかでも膠芽腫は悪性度が高く、増殖のスピードが非常に速いため、診断がつき次第すぐに治療を開始されます。

グリオーマ以外の脳腫瘍

脳を包んでいる膜にできる髄膜腫や脳の下垂体の組織から発生する下垂体腺腫など神経膠細胞以外の細胞が元になっている腫瘍にも多くの種類があります。

ほとんどの場合が良性ですが、稀に悪性の場合もあります。

良性の脳腫瘍

原発性脳腫瘍には良性と悪性腫瘍の2タイプがあります。

良性の脳腫瘍とは、周囲の脳組織との境目がはっきりしていて進行が遅い腫瘍を指します。

良性,脳腫瘍反対に悪性の脳腫瘍とは、周囲の組織との境目が曖昧となり、進行が比較的に速い腫瘍となり見分け方としては、周囲の脳組織への浸潤の程度を見ることで確認ができます。

このようなことから良性の脳腫瘍では、急激に腫瘍が大きくなるようなことはほとんどありません。

脳腫瘍を理解する上で気を付けたいのが、良性という言葉の持つ意味です。

良性というと無害な腫瘍のように思われますが、脳腫瘍における良性は決して無害とは限りません。

あくまで進行が遅く、周囲の脳組織との境目がはっきりしている腫瘍というだけで治療対象であることは間違いありません。

何故なら頭蓋骨内部という空間において腫瘍が大きくなることで脳内が圧迫され、さまざまな症状があるという点では悪性脳腫瘍と変わらないからです。

また、良性だった腫瘍が悪性に変異することがあります。このようなことから良性の脳腫瘍は治療対象になるのです。

良性脳腫瘍の治療

良性の脳腫瘍の治療では、他のがんと同様で外科手術が一般的になります。

悪性の脳腫瘍とは異なり、良性の脳腫瘍では周囲の脳組織との境目が確認できるため、手術で腫瘍を全て取り除くことで完治が目指せます。

但し、手術が難しい箇所に腫瘍がある場合には部分的に腫瘍の切除をして残りの部分は放射線治療を施します。

また、腫瘍が大きくなるスピードが遅いケースや腫瘍の成長が止まっている場合には直ぐに手術をしないで暫く様子をみることもあります。

定期的に腫瘍の大きさ等を測定し、周囲の脳組織を圧迫して患者さんに症状が現れるまでは経過観察となります。

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悪性脳腫瘍

原発性(他の臓器や組織からの転移ではなく、脳が発症元となるがんのこと)の脳腫瘍には良性と悪性の2種類あります。

良性の脳腫瘍は周囲の組織との境目が、はっきりしていて進行が遅いのが特徴です。

身体に与える影響としては腫瘍が大きくなることで脳を圧迫することで起きる症状となります。

手術が難しい箇所に発生した腫瘍以外は手術で摘出することが可能ですので完治が目指せます。

反対に悪性腫瘍とは周囲の組織に浸潤する性質から境目がわかりにくく、進行する腫瘍を指します。進行が速いので脳を圧迫する影響力が大きくなります。

また、周辺の正常な脳組織との境目がわかりにくいため、全ての腫瘍を摘出するのは難しく、ある程度の腫瘍を摘出した後は放射線や抗がん剤を使用した治療が必要な場合が多くなります。

悪性脳腫瘍の状態によりますが、生存率が全体的に低いことで知られています。

悪性脳腫瘍の原因

脳腫瘍の原因は遺伝子の変異ではないかと考えられていますが、脳自体は解明されていないことから、わからない部分が多いのが現状です。

脳腫瘍の進行を早める、いわゆる「リスク要因」として下記が挙げられています。
  • 悪性脳腫瘍,原因,喫煙タンパク質や高脂肪食品の過剰摂取
  • 過度なストレスを常に感じる環境に身を置いている
  • 喫煙習慣が長くヘビースモーカーである
  • 脳腫瘍に罹った家族がいる
他には、放射線による被曝・有機溶媒・殺虫剤など、化学物質への長時間暴露等も原因(少なくともリスク要因)の候補として言われています。

さらに携帯電話の電磁波が原因の一つと聞きますが因果関係は不明です。

小児脳腫瘍

子供の脳腫瘍は白血病に続いて多くなります。

小児脳腫瘍は大人の脳腫瘍が大脳に発生しやすいのとは異なり、約6割が小脳脳幹に発生します。

小児脳腫瘍発症原因について不明となり、初期症状としては、頭痛・嘔吐・ふらつき等からはじまります。

但し、治療は大人とは異なり、子供の脳は大人と比較して放射線に対する感受性が強く、後遺症が残るリスクが高まります。

そのような理由から放射線治療ではなく、抗がん剤治療(化学療法)が行われることが多くなります。

子供は症状など自分の状況を上手く伝えられない、具合が悪くても言葉に出さないことが考えられます。

そのようなことから症状が進行してから、病院を受診するというケースも少なくありません。

初期症状の一つである頭痛に関しても、子供が自分から訴えない限りは親や医師は気付くことはありません。

普段からのコミュニケーションや子供の異常に敏感になること、嘔吐やふらつき等以外でもを見逃さないこと等が大切になります。

近年、小児脳腫瘍を患う子供やその両親等が参加できる「小児脳腫瘍の会」等が発足され、患者さん同士、親同士の情報交換の場などがあります。

小児脳腫瘍の患者数

アメリカでの悪性と良性を併せた小児脳腫瘍の発生率は10万人当たりで4.3人と推定されています。

日本でも小児に発生する固形がんの中では脳腫瘍が最も頻度が高く、白血病についで2番目の死亡者数となります。

白血病による死亡率は年々減少傾向にありますが、15歳未満のがんで亡くなる子供たちの中では脳腫瘍が最も大きな原因となっていると考えられています。

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転移性脳腫瘍

脳腫瘍には原発性脳腫瘍転移性脳腫瘍の2つのタイプがあります。

転移性脳腫瘍原発性脳腫瘍は、頭蓋骨の内部に腫瘍が発生した状態であり、さらに良性悪性があります。

転移性脳腫瘍は他の臓器や組織にがんが発生し、それが頭蓋骨の内部に転移してきた状態を指します。

転移してきたという性質上、悪性腫瘍のみとなります。

転移性脳腫瘍が発見された場合の余命は約6カ月と言われ、これは他の臓器や組織に発生したがんが進行している(=治療予後が悪い)ということを意味します。

近年では治療方法が進歩したことから、宣告された余命以上に長く過ごされる患者さんが多くなっています。

転移性脳腫瘍の治療

転移性脳腫瘍において選択可能な治療は3つあります。
  • 開頭手術
  • 化学療法(抗がん剤治療)
  • 放射線治療(全脳照射または定位放射線治療)
このうち開頭手術が可能かどうかの判断は
  • 手術によって生存期間が6カ月間を超えられるか
  • 転移してきた元のがんがどのくらい進行しているか(治っているか)
以上が目安となります。

生存期間が6カ月を超えると判断された場合、外科手術と放射線治療を並行して行なわれます。

しかし、正常な脳組織に浸潤していたり、手術が難しい箇所に腫瘍がある場合には腫瘍を全て取り除くことはしません。

手術で取りきれなかった腫瘍は放射線治療にて腫瘍の縮小・死滅させるという方法が選択されます。

さらに手術自体が難しいと判断された場合でも、やはり化学療法や放射線治療が選択が優先されます。

放射線治療では、病巣だけを狙いピンポイントで照射していくのですが、病巣周辺の正常な組織へ放射線がかからないことが理想的な治療になります。

近年、ガンマナイフ、サイバーナイフ(どちらも定位的放射線治療装置)といった、病巣だけを正確に放射線を照射できる医療機器等があります。

小脳腫瘍

小脳腫瘍とは脳実質(脳そのもの)に生じる腫瘍の一つで小脳に発生するものです。

小脳腫瘍においても髄芽腫・星細胞腫は子供に多い腫瘍で、また血管芽腫・類上皮腫・転移性腫瘍に関しては成人によく起こります。

小脳腫瘍髄芽腫とは悪性の腫瘍となり、頭痛や嘔吐、ふらつき歩行等が主な初期症状となります。

3歳未満の子供への放射線治療は、精神発達遅滞の後遺症が残る可能性があるため、化学療法が推進されています。

また、星細胞腫は20歳未満によく発生する良性腫瘍になります。

ほとんどのケースが摘出可能であるため、外科手術だけで治療することが多くなるのですが、腫瘍が脳幹部、視神経、視床下部等に発生した場合、手術治療だけでは難しくなります。

発症するメカニズムはよくわかっていませんが、思春期になると自然に治ることもある不思議な腫瘍です。

再手術はとても難しく、最初の手術が予後を左右すると言われています。

小脳腫瘍の主な症状

小脳腫瘍の主な症状では運動機能の低下が考えられます。

体幹の失調により、真っ直ぐに立ったり、歩くことが困難となり、酒に酔った人のようにフラフラと歩くようになり、動作自体も遅く転倒しやすくなります。

さらに舌の運動機能が低下することで会話等の際にろれつが回らなくなったり、認知機能低下も小脳腫瘍の症状になります。

空間認知が上手くいかないため、物を取ろうとしても届かない、掴めないといった現象が起こります。

また、小脳は大脳の記憶を保存している場所でもあります。小脳腫瘍になると記憶が思い出せなかったり、勘違いしたり、物忘れが酷くなることが考えられます。

その他の症状として、慢性頭痛とめまいが現れることがあり、通常の三半規管の失調によるめまいであれば、目を閉じたり横になったりすることで徐々に回復するものですが、小脳腫瘍によるめまいは目を閉じると悪化します。

これは脳が視覚情報から平衡を保とうとしているため、目を閉じると脳が混乱するためです。

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末期の脳腫瘍

初期段階の脳腫瘍の症状は頭痛からはじまります。

日中よりも朝起きた時が最も症状が強いのが特徴です(これは、寝ている間は脳の圧力がやや高まるからです)。

頭痛の他にも、嘔吐(吐き気は伴うときと伴わないときがあります)、めまいやふらつき等の症状が徐々に現れはじめます。

腫瘍が大きくなってくると
  • 脳腫瘍,末期慢性的な頭痛
  • 視力低下(腫瘍の発生箇所による)
  • 手足の痺れ(しびれ)
  • 言葉が上手く出てこない
  • 聴力の低下
  • 気分の落ち込みや無気力(うつ病に間違えられることもあります)
このように周囲からでも異常に気付くようになります。

脳腫瘍が末期になると視野の欠損や失明、失語、意識障害等、重篤な症状が現れはじめます。

通常、腫瘍の大きさが5cmを超えてくると致命的と言われています。

脳腫瘍末期の治療

脳腫瘍が末期と診断されると余命3~6カ月という宣告が伝えられることがあります。

脳腫瘍において手術が難しいと判断された場合、根治療ではなくは緩和ケアとしての治療が選択されるケースが多くなります。

この緩和ケアとは、放射線治療や化学療法(抗がん剤使用)によって、今以上進行しないように現状維持に努めたり、痛みを和らげたりする治療になります。

緩和ケアでは、QOL(クオリティ・オブ・ライフ=生活の質)を落とさないことが目的となります。

転移性脳腫瘍の場合

脳腫瘍において余命とは、発症した脳腫瘍が、良性・悪性・原発性・転移性かによって変わってきます。

転移性脳腫瘍の場合では悪性となり、平均的な余命は約6カ月と言われていますが、手術や放射線治療、化学療法等で余命が6カ月より延びる見込みがある場合には積極的治療が行なわれます。

しかし、延命見込みが難しく余命が6カ月満たないことが明らかな場合には、緩和療法が選択されることになります。

緩和療法とは、根治を目指す積極的治療とは異なり、患者さんが感じている不快症状(痛み、めまい等)を取り除くことを目的とした治療です。

なるべく生活の質を落とさずに、余命を暮らすための治療になります。

原発性脳腫瘍の場合

原発性脳腫瘍の場合、良性腫瘍と悪性腫瘍の場合があります。

良性腫瘍の場合、手術にて腫瘍を全て切除することができれば完治となります。

しかし、稀にですが良性腫瘍から悪性に変異することがあります。

脳腫瘍,余命悪性の腫瘍の場合は基本的に予後不良となることが多くなり、効果の高い治療法を組み合わせて治療を進めて行きます。

脳腫瘍にはグレードと呼ばれる悪性度の指針があります。

進行の速さや治療の可否等も加味してⅠ~Ⅳに分類されます。グレードⅠが最も軽くグレードⅣが最も悪性度が高くなります。

グレードⅠは、ほとんどが良性の腫瘍で余命は健康な人とそれほど変わりません。

グレードⅡは腫瘍の成長はゆっくりですが、周辺組織に浸潤していく性質を持つため、手術は難しく完治は困難なケースもあります。余命は10年以上と予測されます。

グレードⅢは腫瘍の成長が速い悪性の腫瘍です。余命は10年未満と予測されます。

グレードⅣは腫瘍の成長が非常に速く、悪性度も非常に高い悪性の腫瘍です。余命は1年以内と宣告されることが多くなります。

脳腫瘍の生存率

脳腫瘍とは、頭蓋骨の内部にできる腫瘍の総称になります。

脳腫瘍全体の5年生存率(がんの治療開始から5年後生存している人の割合)は平均して約75%と言われています。

これは他の臓器のがんと比較しても高い数値となるのですが、良性腫瘍と悪性腫瘍の両方が含まれた数値になります。

種類別の5年生存率をみていくと、まず最も発生頻度の高い神経膠腫(しんけいこうしゅ、グリオーマ)は約38%の生存率になります。

神経膠腫の中でも最も悪性度が高い膠芽腫(こうがしゅ)になると、5年生存率は約6%と腫瘍の発生箇所によって5年生存率は大きく異なります。

脳実質から生じる腫瘍の5年生存率

脳腫瘍は脳実質(脳そのもの)から生じる腫瘍と、脳付属器から生じる腫瘍に分けられます。

前述した神経膠腫は脳実質から生じる腫瘍となり、脳実質を構成する神経細胞と神経膠細胞の内、神経膠細胞が腫瘍化したものです。

脳腫瘍,5年生存率また、神経膠腫はその腫瘍化している細胞によって、さらに星細胞腫や上衣腫に分類されます。

このうち最も多いのが星細胞腫になります。脳幹部に発生する星細胞腫は別名脳幹グリオーマと呼ばれ、小児によく発症する腫瘍です。

星細胞腫は周囲の正常な脳細胞との境界が不明瞭であるため、手術だけで全ての腫瘍を切除することが難しいため、手術後には放射線治療や抗がん剤治療が行われます。

悪性度が比較的低いグレード2の星細胞腫では、5年生存率は約60~70%ですがグレード4では10%以下となります。

星細胞腫のグレード4が前述した膠芽腫と呼ばれ、5年生存率が約6%しかない最も悪性度が高いものとされています。

脳付属器から生じる腫瘍の5年生存率

脳の付属器から生じる腫瘍は良性であることが多く、正常な脳組織との境目がはっきりしているのが特徴です。

この場合、完全に切除できれば完治の可能性がある腫瘍です。

転移も少ないので5年生存率も高めになります。脳の付属器から生じる腫瘍は、髄膜腫、下垂体腺腫、神経鞘腫等があります。

髄膜腫の5年生存率は約93%と高く、下垂体腺腫は約96%、神経鞘腫は約97%といずれも高い数値を示しています。

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参考文献等

  • 国立がん研究センターがん対策情報センター「脳腫瘍(成人)基礎知識」
    東京都中央区築地5−1−1
    https://ganjoho.jp/public/cancer/brain_adult/index.html
  • 国立がん研究センター 希少がんセンター「脳腫瘍」
    東京都中央区築地5-1-1
    https://www.ncc.go.jp/jp/rcc/about/brain_tumors/index.html
  • 国家公務員共済組合連合会 立川病院 「脳神経外科」
    東京都立川市錦町4-2-22
    https://www.tachikawa-hosp.gr.jp/shinryo/10/noushin-syuyou.html
  • 岡山大学(医学部)脳神経外科「脳腫瘍とは」
    岡山県岡山市北区鹿田町2-5-1
    http://neuro.hospital.okayama-u.ac.jp/disease01/1568
  • 東京医科大学病院 脳神経外科「脳腫瘍とは」
    東京都新宿区西新宿6-7-1
    http://team.tokyo-med.ac.jp/nou/neuro/disease01.html

脳腫瘍の関連書籍

 
 

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