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脳梗塞

脳梗塞とは

脳梗塞とは脳卒中の1つで血管系に問題が生じることによって脳(中枢神経)に障害を起きる病態のことを指します。

脳梗塞とは脳梗塞を細かく見ていくと脳血栓症脳塞栓症の2つに分けることが出来ます。いずれも脳の動脈がふさがれて血流が途絶え、神経細胞が死んでしまった状態です。

反対に血管が破れて何らかの障害を起こしてしまうことを脳出血と言います

脳血栓症(のうけっせんしょう)

動脈硬化が生じることで血管が細くなり、血管内腔が塞がることで起こる脳梗塞です。これをいわゆる脳血栓症(アテローム血栓性梗塞)と呼びます。

脳塞栓症(のうそくせんしょう)

心臓疾患(例えば、心房細動などの不整脈、心臓弁膜症、心筋梗塞など)や首の頸動脈で生じた血栓(血の塊)が、脳の動脈血管を詰まらせる脳梗塞を脳塞栓と呼びます。

脳塞栓では脳の太い動脈血管を塞いでしまうことも多く、突然症状が起こるため重症化しやすいことから普段から注意が必要です。

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脳卒中について

脳卒中とは脳血管障害とも呼ばれています。脳血管の詰まり、血管の出血などが原因となる、脳に必要な酸素や栄養を供給が途絶えることで、様々な障害が現れる病気の総称を指します。

厚生労働省発表の「人口動態統計の概況」によると、脳卒中は日本人の死亡原因の第4位となっています。

脳卒中による死亡率の内約は以前は脳出血が多かったのですが、近年では脳梗塞が約6割と増加傾向にあります。

脳卒中には虚血性脳卒中と出血性脳卒中の2つの種類があり、虚血性脳卒中を引き起こす原因の代表が脳梗塞。

出血性脳卒中の場合は脳出血くも膜下出血が挙げられます。

血液が滞る脳梗塞

脳梗塞は脳に血液を送っている血管が詰まったり、流れが悪くなることで脳に供給される酸素や栄養が不足し、脳の組織が部分的に壊死してしまう状態を指します。

脳卒中とはどんな病気?脳梗塞には3つのタイプがあり、脳の細い末梢血管に小さな梗塞が生じるものをラクナ梗塞、脳動脈や頸動脈などの太い血管で動脈硬化が進行し血液の通り道が狭くなり流れを妨げるのがアテローム血栓性脳梗塞、心臓に生じた血栓が血液に乗って流れ、脳の血管を詰まらせたものを心原性脳梗塞と呼びます。

脳梗塞の発症では前兆の発作が現れることがあり、これを「一過性脳虚血発作(TIA)」と呼びます。

脳梗塞を起こした3割程度の人が一過性脳虚血発作と思われる症状を経験していると言われています。

血管が破れる脳出血

高血圧や加齢によって血管壁は傷んで弾力を失い、徐々に弱くなっていくことで脳の細い血管が変性し、それに高血圧などが加わることで血管が少し膨らんででくることがあります。

日中の活動中や周りの環境などによって血圧が一時的に上がったりすると膨らんだ血管が破れて出血を起こします。それが脳出血です。

脳出血はある日突然起こるため、前兆の発作などはありません。

動脈瘤が破裂するくも膜下出血

脳を覆っている「くも膜」と「軟膜」との間の「くも膜下腔」と呼ばれる部分には脳に血液を供給している血管が走っています。

その血管の一部が膨らんで動脈瘤を作ってしまい、破れて出血を起こすことで、くも膜下腔に広がります。この症状をくも膜下出血と呼び、脳卒中の約1割がくも膜下出血とされています。

くも膜下出血は脳出血と同じで突然に発症しますが、頭痛や複視など物が二重に見える前兆が感じられる場合があります。

この症状は一過性で消失することがありますが、疑わしい場合には、早めの専門医の受診が勧められます。

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脳梗塞のタイプは3つ

脳梗塞は発症原因によってタイプが3つに分けられています。障害される部位や発症メカニズムによって症状や治療法、予後が異なります。

細い血管を塞ぐラクナ梗塞

ラクナ梗塞とは脳の動脈にコレステロールが溜まったり、血栓ができて血管の内腔が狭くなったことで脳の細い血管が閉塞する小さな脳梗塞を指します。

脳梗塞のタイプは3つCTやRIの画像上直径1.5cm以下の小さなもので多発する特徴があり、ラクナ梗塞は障害を受ける血管の範囲が狭いため、症状があったとしても軽いものが一般的です。

日本では脳梗塞患者の約3割がラクナ梗塞と言われています。

ラクナとはラテン語で小さい空洞、水たまりといった意味がありますがラクナ梗塞の脳を解剖すると小さな穴が水たまりのように見えるという理由からこの名前が付けられました。

太い血管を塞ぐアテローム血栓性脳梗塞

アテロームとはコレステロールが原因で血管の内壁にできる粥状の塊り(粥腫)を指しますが、それらが原因で脳の動脈や頸動脈など脳の太い血管が詰まる脳梗塞をアテローム血栓性脳梗塞と呼びます。

粥腫(じゅくしゅ)ができると血管の内腔が狭くなり、血流が悪くなります。さらに粥腫を覆う膜がはがれると血栓ができ、それらが一気に血管を詰まらせてしまいます。

CTやMRIの画像上直径1.5cm以上の病変で主幹動脈を閉塞してしまうことが多く後遺症が残ることもあり、ラクナ梗塞よりも症状は重くなります。

心臓の血栓が原因となる心原性脳塞栓症

心原性脳塞栓症とは、心臓でできた血栓が血流で運ばれて脳の動脈を詰まらせるのが脳梗塞です。

発症原因として既往に心房細動弁膜症、心筋症などの心疾患がある場合がほとんどです。

心原性脳塞栓症は日中活動時に突然発症し、意識障害などラクナ梗塞やアテローム血栓性脳梗塞と比べ、重篤な症状がみられるのが特徴です。

梗塞の範囲が広いと脳浮腫を起こし、生命の危険が及ぶこともあります。

脳梗塞の原因

脳梗塞を発症には様々な原因が考えられます。今までは中高年以降に発症しやすいと言われてきた脳梗塞ですが30~40代という若年者にも増加傾向にあります。

脳梗塞,原因,不整脈脳梗塞の原因を簡単にいうと血栓(血の塊り)が生じて脳の血管を詰まらせる状態です。

さらに大きく分けると心臓病と動脈硬化の2つが原因として挙げられます。

心臓病が原因とされる脳梗塞では脈数が異常に早くなる心房細動などの不整脈が起こることで血栓(血の塊り)が発症し、脳の血管に飛んでいき詰まらせます。

動脈硬化では生活習慣病が深く関係し、喫煙や糖尿病、高血圧、高脂血症等が原因となり、やはり血栓を発症し脳梗塞発症の原因となるのです。

さらに過度な飲酒や塩分の摂り過ぎ、運動不足や肥満なども脳梗塞を起こすリスクが高くなります。ようするに動脈硬化の原因となることは脳梗塞発症の要因となっていることが分かります。

脳梗塞,原因アルコールの過度な摂取は脳梗塞の危険因子の一つとされています。

脳梗塞を罹患しやすい性格の人は真面目な人であることが多いと言われています。

アルコール中毒予備軍のような人に真面目な人が多いのも事実です。

また、アルコールの大量摂取と睡眠障害が重なってしまうと脳に多大な影響を及ぼすことがありますので注意が必要です。

このように脳梗塞を引き起こしてしまう原因は様々ありますが、日常で何気なく行っている食事や睡眠、そして運動などを気遣うだけでも脳梗塞を回避できるので規則正しい生活を心掛けたいものです。

動脈硬化

脳梗塞のほとんどが脳の血管に起こる梗塞が原因となるため、動脈硬化を進行させる病気や生活習慣があると進行し、いずれ脳梗塞を起こすリスクが高まります。

高血圧

血管に常に強い圧力が加わることによって血管が傷つけられ、動脈硬化が早まります。高血圧は脳梗塞の最大の危険因子といえます。

糖尿病

血液中の多すぎるブドウ糖によって血栓ができやすくなります。

高脂血症

高脂血症で余分なコレステロールが血管壁に蓄積するとアテローム性の動脈硬化が進行してしまいます。

心疾患

脳梗塞のタイプの一つである心原性脳塞栓症の原因は心疾患です。心臓の働きが低下すると心臓内の血流が悪くなり、心臓内に血栓ができやすくなります。

脳梗塞の原因となる心臓疾患はいくつかありますが、特に注意したいのが心房細動です。心原性脳塞栓症の2/3の人は心房細動が原因とされています。

喫煙・飲酒

喫煙は動脈硬化を促進する最悪の生活習慣で受動喫煙でもリスクが高まります。

飲酒については適量なら問題はありませんが、飲みすぎは高血圧を助長し、中性脂肪が増えすぎる原因になります。

加齢・性別

年齢を摂れば血管は弱くなり、動脈硬化を進めて高血圧を促し、脳梗塞のリスクを高めます。性別で言えば、女性よりも男性の方が脳梗塞を起こしやすいと言われています。

家族歴

特殊な遺伝病を除いて脳梗塞自体が遺伝することはありません。

しかし、脳梗塞の危険因子となる高血圧や糖尿病、高脂血症といった病気は親から体質を受け継ぎやすく、食事や生活習慣も似通っていることが関係しているからです。

肥満(メタボリックシンドローム)

脳梗塞と動脈硬化肥満と脳梗塞の因果関係は十分に証明されていません。

肥満によって引き起こされる高血圧、糖尿病、高脂血症といった病気が脳梗塞の危険因子であるため、脳梗塞を起こす危険は十分にあります。

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動脈硬化とは

ほとんどの場合、脳梗塞は脳の血管の動脈硬化が原因で発症します。動脈硬化とは「動脈が硬くなる」ことです。

もともと動脈壁は柔軟性があり、血液の拍動に合わせて弾力をもっています。

しかし、余計なコレステロールが蓄積すると、そのコレステロールを処理するための細胞が増加・変性し、血管内に溜まっていくことで徐々に血管壁が厚くなり、血管が詰まりやすくなります。

動脈硬化を引き起こす危険因子は、高血、糖尿病、脂質異常症、喫煙などが挙げられます。

血圧が高い人が適切な治療を受けずに放置していてると脳の動脈硬化が進み、やがて血管が破れて脳出血が起きやすくなったり、血管が詰まって脳梗塞になりやすくなります。

また、糖尿病等の血液中の糖の代謝異常がある人は、とくに脳梗塞になりやすいと言われており、糖尿病を患うと初期の段階でも血管の動脈硬化が進行していきます。

生活習慣が原因となることも

脳梗塞になりやすい人肥満、高血圧や糖尿病、脂質異常症といった生活習慣を発症する背景には、過食、栄養バランスを無視した食生活、運動不足、過度な飲酒、喫煙、ストレス、睡眠不足などの背景には不健康な生活スタイルが考えられています。

脳梗塞を防ぐにはこのような生活習慣の改善が非常に大切なのです。

また、脳梗塞の新しい危険因子として慢性腎臓病が注目されています。

慢性腎臓病と診断された人は将来脳梗塞を起こすリスクが高いことが最近わかってきました。

慢性腎臓病は糖尿病腎症や腎硬化症など生活習慣病に関連するものが多く、その予防には生活習慣の改善が重要とされています。

脳梗塞の症状・前兆

生あくびが起こる原因は主に疲れや体調不良などですが、眠気がなくてもあくびが止まらなかったり、頭痛・めまいを伴う時には脳梗塞の前兆である可能性があります。

脳梗塞は何らかの原因により、脳に必要な酸素や栄養が届かず障害を起こす病気です。頻繁にこのような症状が現れるということは常に脳に必要な栄養素が足りていないことが考えられます。

突然起こる脳梗塞

脳梗塞の症状・前兆脳梗塞の症状は突然に起こります。

朝目覚めた時や日中の活動中、食事中、入浴後など、また、少し前まで意識しなくても当たり前にできていた会話、歩く、物を握るなどの動作ができなくなります。

このような症状に気が付いたら脳梗塞の可能性があると思い、一刻も早い治療が必要な場合がありますので迷わず専門医を受診してください。

脳梗塞の代表的な症状

スムーズに会話ができない(言語障害)

人と話す、話を聞く、本を読む、文字を書くといった機能の一部、または全てが障害された状態を言語障害といいます。

言語障害には運動性失語症障害と感覚性失語障害の2つのタイプに分けられます。

運動性失語症障害では人が話している内容は理解できるのに言葉がうまく話せない状態で口や舌が麻痺しているために発音がうまくできない、ろれつが回らないといった症状が起きます。

感覚性障害は脳の言語をつかさどる中枢が障害されて生じるもので相手の話が理解できなくなります。

よだれ・片方の手足に力が入らない等(運動障害)

運動障害とは手足や体の動きをつかさどる脳の領域が損傷を受けた影響により、体の一部、または全体に麻痺が現れることを指します。

症状の現れ方は様々で手足が重く感じる程度の軽いものから、まったく動かなくなる重いものまであります。片側の手や足に出る場合が多いです。

半身の感覚が鈍い・しびれる(感覚障害)

熱さや冷たさ、痛み、触覚などの感覚が異常な状態を感覚障害と呼びます。感覚障害は運動障害と一緒に起こることがほとんどです。

手あるいは足に強く出るといったことはありますが、体の一部分ではなく半身に出ることが一般的です。

二重に見える・視野の半分が欠ける(視野障害)

脳梗塞によって右脳、左脳のいずれかに障害が起こることで、それによって支配する側の半分が見えなくなります。

視力の低下や二重に物が見える複視、視野の半分が欠けてみえる半盲などの症状が考えられます。

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脳梗塞の応急処置

脳梗塞の発作は突然に起こることが多く、症状としては意識がなくなったり、口がきけなくなったり、手足が動かなくなったりすることが多く見受けられます。

脳梗塞は時間が経過するほどに脳細胞のダメージが進み、重症化します。以下に治療を始められるかが患者さんの予後を決めます。

1秒でも早く脳の血流を回復させることが大切です。いざという時に落ち着いて対応できるよう手順を確認しましょう。

発作が起きてまずやること

衣類をゆるめ、無理に歩かせたりせず安静を保ち、静かに寝かせます。

患者の状態を短時間で観察します。
  • 意識の有無:呼びかけに答えるか、声の方を見るか、つねったら反応するか
  • 意識があれば:手足は動くか、舌はもつれないか、頭痛・嘔吐などの症状の有無
  • 呼吸の状態

おかしい!と思ったら119番

    1. 脳梗塞の応急処置局番なしの119に電話します。
    2. 救急であることを伝えます。
    3. 現在いる場所、車の入り方などわかれば詳しく伝えます。
    4. 患者さんの名前、年齢、性別をわかる範囲で伝えます。
    5. いつ何をしている時に発作が起きたのか。突然か、徐々に起こったのか。以前に同じようなことはあったかなど、倒れた時間や発作が起きた時の状況を伝えます。
    6. 意識、脈や呼吸の状態、けいれん・嘔吐・頭痛・麻痺の有無、程度など詳細に伝えます。
    7. 救急車が到着するまでに何をしておけばよいか指示を受けます。

救急車が到着するまでの救急処置

倒れた場所が狭く処置に不便な時

布団やマット、毛布やシートなどを担架代わりにし、広い便利な場所に移します。この時、頭をできるだけ動かさないように呼吸の楽な位置に保ちます。

寝ている時の体勢

あおむけか麻痺した側を上にして横向きにします。枕はいりません。

いびきをかいたり、のどがぜいぜいしている場合

タオルを巻いて肩の下に入れ、アゴを少し上に持ち上げ、頭が少しのけぞるようしてあげると気道を確保できますので呼吸が楽になります。

嘔吐がある時

顔を横に曲げるか体を横向きにして吐物の誤嚥を予防します。嘔吐した後と尺物が残っている場合は指先や割りばしなどにガーゼを巻き付けて口腔内をきれいにふきとります。

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脳梗塞の治療

脳梗塞の発症後は時間との勝負です。急性期の場合では早急な治療が予後を大きく左右し、その後のリハビリにも大きな影響を与えます。

脳梗塞,治療また、脳梗塞の治療では脳梗塞の起こった場所、大きさ、患者の年齢や健康状態によっても治療法は異なります。

脳梗塞の発症から「3時間以内」「出血の危険度が低い」という2つの条件が満たされると点滴によって脳の血管に詰まった血栓(血液の固まり)を溶かす薬として血栓溶解療法(t-PA)が適応されます。

このような内科的治療を実施しても血栓が溶けない時には状況に応じて外科的手術・脳内視鏡手術にて血栓の除去をする場合もあります。

さらに状況に応じて脳を保護する脳保護薬や脳の浮腫(むく)みを抑えたり、血栓を作らないといった抗脳浮腫療法が実施されます。

脳梗塞の発症から6時間以内でもt-PAが使用されることがあります。

しかし、点滴で投与するのではなく梗塞を起こした脳の血管箇所までカテーテルを通して局所に投与しますが、出血性塞栓症のリスクがあるので医師が判断します。

さらに出血が危惧される場合や脳梗塞発症から48時間以内の治療では梗塞箇所の回復が難しくなるため、多発や再発防止の治療として血液が固まらせないための抗凝固剤の投与されます。

脳梗塞のt-PA治療

脳梗塞の基本治療は塞栓した(詰まった)血栓を一刻も早く溶かし、血流を開通させてあげることです。

血管を再開通させる方法の一つとして薬物療法と血管内治療に大別されます。

2005年より日本でも認可されたt-PA(組織プラスミノーゲン・アクチベータ)静注療法は血栓を溶かす薬であり、急性期の脳梗塞の治療に対して積極的に用いられている治療の一つです。

血栓を溶かす薬は以前より存在していましたが、病変部以外にも作用してしまうため、出血の合併が多いのが難点でした。

しかし、t-PAは血栓に多く含まれる成分に効果を発揮するため、血栓がない正常組織への影響が少ないのが長所です。

高い確率で血流の再開が得られ、静脈内点滴投与で特殊な技術や設備を必要としない点もメリットです。

条件とリスクがある

t-PAが使用できる条件として発症してから4時間半以内ということです。

発症4時間半以内の投与でなければ有効性が認められず、さらには出血性脳梗塞の発生率を上昇させてしまいます。

脳梗塞のt-PA治療以前までは発症3時間以内とされてきましたが、2013年ガイドラインが変更されて4時間半になりました。

発症から治療開始までが4時間半以内なので発見から最低でも3時間半以内には処置が可能な病院へ到着していないといけません。

3時間半というのは診察や検査などで最低でもこれ位の時間がかかるためです。また、いつ発症したか不明な場合にはリスクもあるためt-PA療法は適応とはなりません。

脳梗塞は突然その症状が出現することが多い上に重症になると本人との意思疎通が十分に取れないことも多いため、第三者の証言が重要になります。

第三者が最後に元気だった姿を目撃した時刻、または発症した時刻を目撃しなければ発症時間とは言えません。

患者側の条件として術後すぐの場合や出血性の病気がある、血液検査で凝固機能に異常がある、重い糖尿病がある、ワーファリンなど坑凝固薬を飲んでいる場合などでは重い出血性の合併症のリスクから患者には禁忌となるためt-PA治療は行えません。

脳梗塞の治療(急性期)

脳梗塞の発作が出た直後から1~2週間程度の症状が不安定な時期を急性期といいます。

問診、診察、検査、画像検査、診断を経て、脳梗塞であること、どのタイプの脳梗塞であるかの診断がついたらすぐに治療を開始します。

抗血栓療法

急性期はどのタイプの脳梗塞であっても薬物療法による治療が一般的です。梗塞した血管を再開通させて血流を回復させるとともに脳組織を守る治療を行います。

脳梗塞の治療(急性期)これを抗血栓療法といいます。抗血栓療法は標的となる血栓の種類と目的によって、血栓溶解療法、坑凝固療法、抗血小板療法の3つに分けられます。

血流が途絶え、壊死してしまった細胞は再生しませんが、その周辺の半死半生の状態になっている細胞に血液を送り回復、梗塞の広がりを防ぐことができます。

脳梗塞のタイプや発症からの経過時間によって薬を使い分けます。

脳浮腫を改善する治療

アテローム血栓性脳梗塞、心原性脳梗塞の場合、脳梗塞が起こると、その部分や周辺に脳浮腫という脳のむくみが生じ、それによって脳が圧迫されます。

その結果、脳ヘルニアが起こると脳幹と呼ばれる脳の生命維持機能をつかさどる部位が圧迫され、意識障害、運動麻痺・感障害などから重篤となり、最悪死に至ることもあります。

これを防ぐために坑浮腫療法を行います。これは点滴で坑脳浮腫薬を投与し、脳の余分な水分を排出させます。時には開頭して手術が行われます。

脳を保護する治療

脳梗塞では脳が虚血状態となって活性酸素(フリーラジカル)という有害物質が発生し、脳細胞を破壊、新たに血栓を作るとされています。

そこでこの活性酸素を除去し、脳細胞の死滅を抑えることで後遺症を軽減するエダラボンという薬を投与する治療を脳保護療法といいます。

脳保護療法はすべてのタイプの脳梗塞に発症後24時間以内に投与を開始します。

中大脳動脈に閉塞病変があり、血栓溶解療法(t-PA静脈療法)の適応外となった患者さんや効果が出なかった患者さんへの救命措置がなされます。

カテーテルを使って血栓溶解薬を閉塞部に直接注入し、血栓を溶かす局所線溶療法や「メルシー・リトリーバー」という血管内治療器具を使用し、塞栓物をひっかけて回収する血栓除去療法などがあります。

減圧開頭術

脳浮腫が進行し重度の脳ヘルニアの状態になってしまった場合、減圧開頭術を行うことがあります。

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脳梗塞の治療(慢性期)

脳梗塞の発症から1か月目以降を慢性期といいます。1か月以上経過すると脳のむくみは無くなり症状は安定してきます。

慢性期の治療の基本は再発予防のために高血圧などの危険因子を管理することリハビリが中心です。

血栓を作らないための抗血栓療法

脳の動脈に血栓を作らないためには血液を固まりにくくする抗血栓療法を行います。この治療には坑凝固薬と抗血小板薬を投与しますが脳梗塞の種類によって治療も異なります。

心原性脳梗塞に有効な坑凝固療法

坑凝固薬は心原性脳梗塞に作用します。主に慢性期ではワーファリンという薬を使います。

脳梗塞の治療(慢性期)ワーファリンは内服薬の中でも血栓抑制の効果が非常に高いですが過剰摂取すると出血傾向になります。

ワーファリンの量は個人差が大きいため、入院中にその人にあった量を微調整していきます。

この薬は納豆や青汁などビタミンKを多く含む食品を摂ると効果が減退するため、食事にも注意が必要です。

アテローム血栓性梗塞・ラクナ梗塞に有効な抗血小板薬

アテローム血栓性梗塞やラクナ梗塞の再発を予防する上では血栓ができるのを防止する薬が使用されます。

抗血小板薬とは血液中の血小板の働きを抑制させる性質がある薬です。

本来、血小板は出血した際に血液を固まらせて出血を止める役割を果たしていますが、アテローム血栓性梗塞やラクナ梗塞においては、この血小板が血栓の形成にかかわっているため、抗血小板薬を使います。よく使われる薬としてアスピリンがあります。

体への侵襲が少ない血管内治療

頸動脈ステント留置術(CAS)
頸動脈の内側に余分なコレステロールや脂質がたまって動脈硬化を起こし、脳へ血流が滞ることを頸動脈狭窄症と呼びます。

放置していると、いずれ脳の血管を詰まらせて脳梗塞を発症させる危険性があります。

頸動脈狭窄症には一般的に内科的治療を行いますが、過去に脳梗塞の罹患歴、狭窄が進行している場合に血管内治療を行います。

血管内治療はカテーテルを足の付け根から脳の狭窄部位まで入れて血管内からステントを留置し血管を拡張、維持させる治療です。外科手術と比べて体への負担が少ないというメリットがあります。

再発予防のための手術

頸動脈内膜剥離術(CEA)
頸動脈の動脈硬化によって7割以上詰まった場合などに狭窄部を手術で切除する方法です。

全身麻酔下で頸動脈の血流を一時的に遮断し、頸動脈を切り開いて血管壁にこびりついたプラークを削り落とします。

バイパス手術

バイパス手術とは狭窄部を迂回する道を作り、狭窄部を回避して血液の流れをつくる治療です。今後の再発予防だけではなく、すでに脳梗塞を発症し後遺症がある場合でも症状の回復が期待できます。

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脳梗塞の手術

脳梗塞,手術脳梗塞の治療は基本的に、血栓溶解剤や抗凝固剤、抗血小板剤などを用いて行われる薬剤投与によって進められます。

しかし、同じ脳梗塞でも中には外科手術を行うケースも稀にありますが、手術が必要なのか否かは脳の血流状況や神経の状態を診ながら医師が慎重に判断します。

脳梗塞で行われる手術は、あくまでも脳梗塞自体を手術するというよりも予防再発を防ぐ意味合いの方が強くなります。脳梗塞の症状が劇的に変化する訳ではないことを理解する必要があります。

そこで脳梗塞を阻止するための蓄積したアテロームを排除するための手術は大きく3つあります。

頸動脈の血管内膜のアテロームを手術によって切除する「頸動脈内膜切除術」、閉塞している血管に対して新しい血管を再建する「バイパス手術」、ステントと呼ばれる金属製の筒状を目的箇所まで挿入して血管内に留置して広げる「ステント留置術」があります。

脳梗塞予防の3つの手術

頸動脈血栓内膜切除術

心臓から脳に向けて血液を送る血管として非常に重要な経路になっているのが頸動脈です。

この頸動脈に生じた動脈硬化を放置してしまうと血管壁で形成された脂肪の塊りであるアテロームが大きくなり、やがては脳内血管に剥がれた血栓が流れ込んで梗塞を引き起こすリスクが高まります。

頸動脈のエコー検査で血管内の状況を把握することが可能です。頸動脈内の内腔が狭窄して血流が明らかに減っている場合は血流を確保するための治療を行なわなければなりません。

この場合では外科手術となり、血管内部を塞ぐアテロームを手術によって切除する頸動脈血栓内膜切除術が適応されます。

バイパス手術

脳の血管内腔が狭くなる脳血栓症の状態ではバイパス術が選択されることがあります。狭窄した血管とは別の新しいルートの血管を作ってあげるという手術です。

ある程度の太さがある動脈同士を結ぶ確実な手術とされています。もやもや病と言われるような状態の時に選択されることがあります。

手術は開頭しての手術となります。頭皮を切って頭蓋骨を開く手術ですが、最近では比較的小規模な開頭での施術が可能となっています。

ステント留置術

脳梗塞の手術でよく耳にするようになったのがカテーテル術です。

カテーテルという細い管を血管が狭くなっているところまで進め、ステントと呼ばれる筒状の金属網を血管内に留置して血流を確保する方法です。

血管内手術とも呼ばれるこの手術は外科手術とは異なり体を切開しない手術となるので手術できないと言われる方(高齢の方や全身麻酔が不向きな人など)でも手術可能なケースが多くあります。

カテーテル手術は体への負担も少なく、手術時間が1~2時間程度と比較的に短いことでも知られています。

但し、ステント留置では脳梗塞を引き起こすリスクがあります。

これはカテーテルを血管内に挿入することで血管内のアテローム血栓を剥離してしまい脳梗塞を引き起こすというリスクを考えなければなりません。

手術には様々な方法があり、それぞれのメリット・リスクを承知したうえで執り行わるものなので少しでも疑問に感じたことがあった場合には医師に相談を行うことが大切です。

リハビリと血圧管理

脳梗塞,リハビリ脳梗塞を発症して手足の麻痺や言語障害が認められる場合、早い段階(1週間以内)からリハビリを実施します。これは発症後6ヵ月間が麻痺した箇所の絶好の回復期間になるからです。

患者の容態が安定してくると徹底した血圧の管理が行われます。血圧をコントロールするために降圧剤が使用され、脳梗塞を含めた脳疾患の再発予防がされます。

入院した場合、患者さんの治療状況にもよりますが大体14日~28日間の入院期間が必要です。

脳梗塞の治療は医師の的確な判断のもと脳のダメージを最小限に留める治療が実施されるのです。

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脳梗塞の種類

一過性脳虚血発作

脳梗塞の症状のように一方の手足が麻痺したり、半身が痺れたりという症状が現れるのですが、24時間以内に症状が消えてしまうことがあります。

これを一過性脳虚血発作(TIA)といいます。

一過性脳虚血発作(TIA)とは症状は運動障害、感覚障害、言語障害、視野障害など様々で数秒から数分で消えるものもあれば数時間続くこともあります。

何が原因で起こるのか

脳梗塞の原因と同じで生活習慣などの様々な原因から動脈硬化が起こり、そこにできた血栓が剥がれ、血液に乗って脳の血管にひっかかり、塞栓が起きます。

そのため、片側の麻痺・しびれや言葉がうまく話せない、片目が見えなくなるなどの症状が考えられます。

脳梗塞との違いは、できた塞栓が直ぐに溶けてしまったり、血流が元に戻ることです。症状は一時的ですぐに消失します。

放置するとどうなるのか

一過性脳虚血発作で後遺症が出ることはありませんが、放置していれば発作を繰り返し、高い確率で脳梗塞へ進行することが考えられます。

一過性虚血発作を起こしたことがある人の場合、そうでない人と比べると脳梗塞に移行する危険性は非常に高く、約30%の人が約5年以内に脳梗塞を発症しているというデータがあります。

体調変化に気付いたら専門医へ

「疲れているのかな?」など自己判断で放置するのは危険です。

一過性脳虚血発作体調の変化に気づいたら直ぐに診察を受けましょう。早い段階から適切な治療を行えば、未然に脳梗塞の発症を防ぐことも可能です。

TIA後の脳卒中発症リスクを予測するスコアとしてABCD2スコアが用いられます。
  • A(age:年齢)
  • B(blood pressure:血圧)
  • C(clinical features:神経障害)
  • D(duration:症状の持続時間)及びD(diabetes:糖尿病)
以上の合計点で脳梗塞の発症リスクを評価します。点数が高いほど脳梗塞リスクが高いとされています。

医師に発症時の状況をしっかり説明はきちんと伝えることが大切です。

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隠れ脳梗塞

脳ドックでMRI検査で隠れ脳梗塞と診断されて驚かれる方が少なくありません。最近テレビ番組やメディア等でも取上げられる「隠れ脳梗塞」とはどんな疾患なのでしょうか?

隠れ脳梗塞隠れ脳梗塞は脳卒中の中で75%以上占めるくらい患者数の多い疾患です。

MRI検査では40代で3人に1人、50代で2人に1人、60代では8割以上に隠れ脳梗塞が見つかるというデータがあるくらいです。

加齢による隠れ脳梗塞も考えられますが、隠れ脳梗塞と診断されてから脳梗塞を発症させない予防が重要です。

何も予防せずに不摂生な生活をそのまま続ければ、5年以内に約3割の人に脳梗塞を発症するリスクがあるとされています。

この隠れ脳梗塞には症状が全く現れない無症候性脳梗塞や症状がある一過性脳虚血発作(TIA)等、様々です。

TIAと呼ばれる一過性脳虚血発作では、「朝起きると手足に痺れがある」「食事をしている時にポロッと箸を落とす」「ろれつが回らない」といった症状が見られ、これは微小塞栓という小さな血管の詰まりが症状を引き起こしていると考えられています。

隠れ脳梗塞は短い時間で症状が治まるものがほとんどですが、但し頻繁に症状があるなら専門医を受診しましょう。

隠れ脳梗塞のチェックテスト

病院で検査をしなくても隠れ脳梗塞の可能性があるかどうかを簡単にテストができます。

ここでは「両手突出しテスト」と「目隠し足踏みテスト」の2つのチェックテストをご紹介しますのでチェンジしてみましょう!

両手突き出しテストの方法

  1. 背筋を伸ばしてまっすぐ立ち、眼を閉じます。
  2. 両腕を肩の高さまで持ちあげ、左右平行になるようにまっすぐ前方に突き出します。※このとき手のひらを上に向け、親指が外側、小指が内側になるようにしながら、指をできるだけまっすぐ伸ばします。
  3. その状態のまま、ゆっくりと10秒間静止します。
結果:片方の腕が無意識に内側に傾くように下がってくるようなら、前頭葉部分に「隠れ脳梗塞」の可能性があります。

肘(ひじ)が徐々に曲がってきたり、手の指が少し開きぎみになったりすることもあります。手が内側にねじれないでそのまま腕が下がってきたりした時には脳の錐体路部分への隠れ脳梗塞が疑われます。(参照:No!脳梗塞ネット)

目隠し足踏みテストの方法

  1. 真っ直ぐに立ち、後で立ち位置が分かるように何かで印をして置きます。スタート時点の自分のいる位置を確認しておきます。
  2. 眼をつぶりながら、その場で太ももを上げ、腕をしっかりと振って50回の足踏みを行います。
  3. 50回目の足踏みが終わりましたら眼を開き、スタート時点との立ち位置からどれくらい離れているかを確認します。
結果:どうでしたか?スタートした位置よりも向きが45度以上、距離が75㎝以上離れていたら、小脳頸髄に隠れ脳梗塞の可能性が疑われます。(参照:No!脳梗塞ネット)

アテローム血栓脳梗塞

アテローム血栓性脳梗塞とは脳の主幹動脈や表面に行く血管に小さな血栓が生じ、アテローム硬化してしまう状態で脳梗塞を発症する前兆として重要です。脳血栓症の部類に含まれる脳梗塞です。

アテローム血栓性脳梗塞の「アテローム」の意味は別名として粉瘤・ふんりゅう、アテローマ脂肪、よく呼ばれるのが「脂肪の固まり」です。

また、アテロームは血管壁にお粥のような塊ができる状態を粥状(じゅくしゅ)、盛り上がっている状態を粥種(じゅくしゅ)と呼びます。

動脈の壁に粥種が出来てしまう原因としてはコレステロールといった脂質が考えられます。

粥種のように脂質が血管内にふくらみを作ると動脈の筋肉の部分(平滑筋)が同時に増殖し、血管内の内腔をさらに狭窄してしまいます。

アテロームが出来ている部分では潰瘍を形成し血栓が付着しやすくなっているので内腔は閉塞を起こしやすい状態になっているのです。

アテローム血栓症脳梗塞の症状・治療

アテローム血栓性脳梗塞ではTIAと呼ばれる一過性脳虚血発作という症状が現れやすい疾患です。一過性脳虚血発作とは一時的に脳梗塞の症状アテローム血栓症脳梗塞を発症しても数分以内に症状が消失してしまいます。

この一過性脳虚血発作が見られ、ご自分でも異変を感じ脳梗塞の前兆として捉えることが出来れば医療機関に足を運んで適切な処置や予防を施すことができます。

アテローム血栓性脳梗塞の治療では血圧コントロールがとても大切でアテロームを形成しないような食生活の改善も積極的予防法として選択されます。

アテローム病変は心臓に起きると心筋梗塞を発症してしまうこともあるので生活習慣病の予防は、脳や心臓を養う血管を守るために有効です。

健康食品でもコレステロールや動物性脂肪の摂取を控えるように言われているのはアテローム変性を防ぐためです。

人によって脂質の代謝酵素に異常をきたしている場合も考えられますので食事に気を配ることはとても大切なのです。

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心原性脳梗塞

心原性脳梗塞(しんげんせいのうこうそく)とは心臓に原因があって脳梗塞を起こす状態を指します。脳卒中では脳塞栓症の部類に含まれます。

心原性脳梗塞とは反対に非心原性脳梗塞では脳卒中の中の脳血栓症となり、原因としては脳の血管内にアテローム(脂肪の固まり)変性が見られるアテローム血栓性脳梗塞やラクナ梗塞が含まれます。

心原性脳梗塞では具体的に、心筋梗塞・心房細動・感染性心内膜炎・僧房弁狭窄症などの心疾患が原因として挙げられます。

これらの心疾患が問題となり、心臓内や頸動脈、大動脈弓の血栓(アテローム血栓)が剥がれて、脳の血管内へ流れてしまうことで脳塞栓(脳に血栓が血管に詰まる)を起こす原因とされています。

一度、脳塞栓が起きた箇所は再び治療によって開通されたとしても塞栓によって傷つけられた血管壁がもろくなり、出血性の脳梗塞を引き起こす可能性があるのです。

脳塞栓

脳塞栓(脳の血管に血栓が詰まる)の症状は急激な状態を示すことが多く、発症して数分後に症状が現れます。

また、脳塞栓によって脳が浮腫(むく)んだ状態になると意識レベルが低下し、大脳皮質症状と呼ばれる症状を伴いやすくなります。

さらに急性期の脳塞栓では再発の可能性が高くなるので治療開始までの時間はとても重要です。

このように心臓に原因があって脳梗塞を起こしてしまった時は原因となる心臓疾患の治療も重要になります。

とくに心筋梗塞の原因となる動脈硬化は脳の血管にも影響をあたえるので脳血栓のリスクも非常に高くなります。

脳や心臓にストレスが大敵であることは皆さん重々承知していると思いますが、何よりも普段の食生活の見直しが大切です。

陳旧性脳梗塞

陳旧性脳梗塞とは過去に脳梗塞が起こったことを指します。他にも陳旧性がつく病名に陳旧性心筋梗塞というものがありますが、これも心筋梗塞が過去に起こったという意味です。

脳梗塞に限らずを病気を発症してしまった時、急性期と呼ばれる段階では早急な治療が必要になり、逆に陳旧性の状態は慢性期の段階とも言えます。

陳旧性脳梗塞陳旧性脳梗塞の場合では「過去に脳梗塞が起こり、放置され勝手に治癒して痕跡」、若しくは「過去に脳梗塞を発症し治療した痕跡」です。

たまに脳梗塞を同時に発症している事も多いので注意が必要です。

最近では、陳旧性脳梗塞はプチ脳梗塞と呼ばれることもあり、脳梗塞のMRI検査で偶然に見つかる事が多くあります。

MRI検査で陳旧制脳梗塞が発見されると、そのほとんどが小さく症状も出ないものが多いのですが、再発や脳梗塞の発症リスクを避けるために食生活や血圧管理といった予防を徹底する必要があります。

近年では脳梗塞は予防が出来る病気だと言われているので、隠れ脳梗塞とも言える陳旧性の脳梗塞を増加させない生活が大切になります。

多発性脳梗塞

最近、多く見られるのが脳梗塞の一つである多発性脳梗塞です。

多発性脳梗塞を簡単に説明すると「自覚のない脳梗梗塞を起こしている」状態です。

本人に違和感があれば医療機関で検査や治療が行えるのですが、症状が現われても数分で治まってしまうことが多く「年のせい」で片づけられることも少なくありません。

多発性脳梗塞は多発梗塞性痴呆とも呼ばれ、同時に複数の脳血管に小さい血栓が詰まってしまう状態です。

多発性脳梗塞を繰り返すことによって認知症の症状が現れはじめながら症状が進行していきます。

ラクナ梗塞から多発性脳梗塞に進行する

多発性脳梗塞は脳血栓症であるラクナ梗塞から進行するケースもあります。そのためラクナ梗塞のように一過性脳虚血発作(TIA)のような前兆が現れることもあります。

多発性脳梗塞ラクナ脳梗塞は無症状なことが多いので見過ごされやすいのですが、特徴のある症状を組み合わせることで病巣がどこにあるか発見することも可能です。

例えば、前大動脈部で閉塞を引き起こした場合には感覚障害や片側の足に強い麻痺が起きたり、中動脈部で閉塞を起こした時には顔や舌に片麻痺の症状が見られることがあります。

また、脳梗塞の一般的な症状である「物忘れ」が激しい場合には認知症を疑われることがあり、アルツハイマー病と脳梗塞を見分けるためには画像診断が必要です。

脳梗塞も認知症も早期発見が治療にとって非常に有効です。

認知症に似た症状を持つ疾患は数多くあるので加齢による変化だと決めつけるのはとても安易な考え方です。

多発性脳梗塞が起きてしまった場合での痴呆の進行はゆっくりであることが多く、徐々に悪化の一途をたどります。

初めの段階から人格障害がみられるケースもあり、感情の起伏が急に激しくなったと感じたら一度医療機関を受診してはいかがでしょうか。

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小脳梗塞

小脳が人間の平衡感覚や筋肉の緊張を調整するような役目を果たしています。

以前に、ミスチルの桜井さんのが小脳梗塞で緊急入院されて話題となりました。

小脳梗塞小脳の位置は大脳のちょうど後ろの下方にあり、延髄の後ろ側にかぶさるようについています。

小脳に問題が起きると平衡感覚(バランス)が鈍ります。

飲酒時のようにフラフラした歩き方をして眩暈(めまい)を生じることもあり、この眩暈は回転性めまいと呼ばれています。

小脳は運動機能も司っているため、全ての動きがぎこちなく手元がおぼつかないような状態になります。

小脳梗塞は小脳出血よりも発症頻度が高く、塞栓症や血栓症によって引き起こされることが多いです。

また、外傷や生まれつきの骨のかたちによって小脳梗塞を発症することもあり原因は様々です。

さらに骨のかたちが原因になる場合では年齢に関係なく若年者の方でも小脳梗塞を起こす恐れがあります。

小脳梗塞の症状

小脳梗塞を発症すると前述の他に頭痛や嘔吐などの症状がみられ、言葉が出なかったり上手く発音できない構音障害(こうおんしょうがい)がみられることもありますが、左脳が障害された失語症とは異なります。

小脳梗塞,症状構音障害で会話時だけに障害が現れます。

感覚障害や複視、眼振などがみられることがあり、いつもと違う感覚が続くような時は専門医で相談しましょう。

小脳梗塞が疑われる場合、通常CT検査を実施しますが非常に発見しづらいことがあるので、念の為にMRI検査をしておくと良いでしょう。

冒頭で述べたように小脳梗塞は一般的に治療の経過も良く、症状も早く消失しやすいとされ、自覚症状に気付いた時には早めに専門医で相談しましょう。

脳梗塞の検査・脳ドック

脳ドックで早期発見

脳ドックとはMRIやMRAの普及とともに健康に見える人を対象に隠れた脳の病気の有無を調べるシステムとして日本で世界に先駆けて始まりました。

施設やどの程度まで調べるかなど検査項目も様々で費用は一般的に3万円~(※施設で異なる)です。検査内容はMRI、MRA、眼底検査、血圧、血液検査、頸動脈エコー等が行われます。

脳ドックを受ける頻度

若年で何も異常がないのであれば数年に1回程度で問題ないとされていますが、中高年~高齢者の場合には高血圧といった既往も考慮して検討されるといいでしょう。

何がわかるの?

画像検査では脳の機能しない部分に起こる脳梗塞を無症候性脳梗塞(隠れ脳梗塞)と呼ばれます。

無症候性脳梗塞は60歳以上の10%の人に見られ、とくに高血圧症に多く発見されます。

脳ドックで脳梗塞の早期発見さらに白質病変という梗塞に似た病変があり、こちらも60歳以上では10~20%にみられ、将来5~6倍も脳梗塞を発症しやすいとされています。

MRA検査・頸動脈エコーでは経脈が細さ(無症候性頸動脈狭窄)、狭窄している箇所などが発見できます。

また、脳動脈の一部が膨らんだものを未破裂脳動脈瘤といい、大きくなると脳や脳の神経を圧迫し、もし破裂してしまうとくも膜下出血を起こす危険性があります。

頻度は少ないのですが、脳腫瘍が稀に見つかることもあります。初期の脳腫瘍は自覚症状がないため、脳ドックは早期発見をするのに非常に有効です。

いずれにしても脳ドックは脳卒中などの早期発見、治療に繋がります。

脳梗塞リスクマーカー検査

脳梗塞リスクマーカーは隠れ脳梗塞を知るために有益な検査になります。

隠れ脳梗塞とは「自覚症状がないまま脳梗塞を起こしてしまった状態」を指し、症状があっても数分で消失してしまうのが特徴です。

脳梗塞は一般的に加齢に比例して発症するものですが、隠れ脳梗塞は年齢を問わないで起きているケースもありますので気になる人は定期的な検査が勧められます。

脳梗塞リスクマーカーは保険適応外

脳梗塞リスクマーカー,検査脳梗塞リスクマーカーは血液検査となり、アクロレイン・インターロイキン-6・CRPの3項目を検査します。

CRPは炎症数値を調べる項目、アクロレインはタンパク質の名前になり、この検査は保険適応外になります。

医療機関によって料金は異なってきますが、概ね1万円前後となっています。

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脳梗塞の予防

飛躍的に進歩した医療業界で脳梗塞は予防可能な疾患だと言われるようにまでなりました。

その理由の一つに脳梗塞を含めた脳卒中を引き起こす危険因子が日常生活の中に溢れているからです。

脳梗塞の予防で一番重要なのは動脈硬化を避けることです。

加齢による動脈硬化もありますが、喫煙や飲酒、塩分の摂り過ぎ等の生活習慣が原因とされる動脈硬化に関しては予防することは可能です。

塩分の摂り過ぎ

脳梗塞,予防,塩分塩分の摂り過ぎると血液中の塩分(Naナトリウム)濃度が高まり、血液中の塩分を一定量まで薄めようとする働きをします。

その結果、血液中に水分が取り込まれ、血液の量が増えてしまうので血管の壁に圧力がかかり、血圧が上がるのです。

喫煙

脳梗塞,予防,喫煙喫煙者は非喫煙者と比べて、脳梗塞を起こす確率が3.8倍もリスクが高まることが分かっています。

たばこに含まれるニコチンやタールの薬物作用によって副腎が刺激され、血圧を上昇させるホルモンが分泌されるので血圧が上昇します。

また、喫煙することで一酸化炭素を吸い込みますので、全身に十分な酸素を運ぶことができなくなり、血圧上昇だけではなく心臓にも負担がかかっているのです。

飲酒

脳梗塞,予防,飲酒習慣的な大量飲酒は脳梗塞のリスクが高めてしまいます。

飲酒中の血圧は一時的に下がりますが、長期間の過度な飲酒は血圧上昇の原因となることがわかっています。

飲酒量を控えたり、節酒することで少しづつ血圧が下がることが確認されていますので脳梗塞の予防には適量を心掛けることが大切です。

食生活と運動不足(肥満

脳梗塞,予防,運動脳梗塞の予防には食生活が大事です。血液の流れを悪くすると言われている悪玉コレステロール(LDLコレステロール)を含む食品は食べ過ぎには注意です。

悪玉コレステロールを含む食品とは、卵黄、輸入ししゃもの卵、マヨネーズ、うなぎ、カステラ等の卵類です。

また、運動不足による肥満が高血圧を引き起こす原因とされています。

その人に合った適度な運動を心掛けましょう。

同じタイプの再発が多い

脳梗塞は再発率が高い脳梗塞のタイプ別で再発率を見てみると発症から1年以内に再発率が高いのは、心原性塞栓症で8%、次に多いのがアテローム血栓性塞栓性脳梗塞で6%、ラクナ梗塞は5%という統計になります。

脳梗塞の再発は初回と同じタイプである確率が高くなり、同じ原因で血栓ができやすいためです。

但し、異なるタイプの脳梗塞が起こることもあります。

再発を繰り返すことで脳の障害される部分が広がり、既にある後遺症が更に重くなることや新たな後遺症が増えることもあります。

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脳梗塞の再発予防

脳梗塞の発症後、約10%の患者さんに再発があるとされており、再発予防が大切になってきます。

再発予防として抗血栓療法という薬物療法が多く用いられ、アスピリンなどの抗血小板薬、ワーファリンなどの坑凝固薬が代表的な薬になります。

但し、これらを服薬していれば再発が起こらないわけではありません。

脳梗塞の原因の多くが生活習慣による動脈硬化であるため、危険因子の管理、生活習慣の改善を行う必要があります。

脳梗塞を予防する生活

処方された薬を守る

処方された抗血栓薬は脳梗塞の再発を防ぐ上で大切です。毎日用法や用量を守って内服しましょう。

血圧を毎日測定する

脳梗塞の再発予防脳梗塞を発症する多くの人が高血圧症です。

血圧は1日中変化しており、個人差も大きく、同じ数値の血圧であっても人によっては普段の血圧より低い、高いと判断が変わってくるのです。

血圧に興味を持って定期的に測定する習慣をつけることが大切とされ、毎日決まった時間に測定するのが理想的です。

食生活の見直し

動脈硬化は塩分の過剰摂取や乱れた生活習慣等が原因であることが考えられます。

減塩・1日3食・調理方法や食事の食べ方を見直すことが予防の第一歩に繋がることでしょう。

また、納豆などに含まれるビタミンKを過剰摂取すると坑凝固剤の効果を減退させてしまうこともあるため、知識を深めることも大切です。

規則正しい生活を送る

過労やストレス、睡眠不足などは血圧を上げる原因となり動脈硬化に繋がります。

適度な運動をする

適度な運動は気分転換となり、ストレスの解消にも繋がります。

普段から階段を使う、一駅歩いてみる等、日常生活の中で少し意識する程度でもいい運動量になります。

脳梗塞と性交渉

脳梗塞を発症する危険因子の一つとして性交渉があります。

脳梗塞,性交渉これは性交渉によって脳梗塞を発症してしまうのではなく、いくつもの要因が重なった結果として「脳梗塞が引き起こされる可能性がある」と言う考え方です。

通常、脳梗塞は動脈硬化によって脳の血管が狭まることによって発症リスクが非常に高まることは知られています。

動脈硬化で血管の内腔が狭くなっている上に興奮した状態(血圧が上がった状態)が続くというのはあまり好ましくはありません。

避妊薬ピル

避妊薬のピルが脳梗塞の原因とされる血栓症のリスクが高くなるというデータがあります。

ピルといえば女性が性交渉時、避妊目的で使用される避妊薬として知られています。

ピルを服用していない女性と比べて血栓症を発症する確率が約3倍も高くなるという報告があるります。

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脳梗塞のチェック

FAST法

脳梗塞チェック,FAST家族や身近な人に異変を感じた時、FASTを使って脳卒中の危険が潜んでいないかのチェックすることができます。

但し、このFASTは簡易チェック取りなますので、明らかに症状がある場合には必ず専門医を受診・相談してください。

下記のFASTは脳梗塞の前兆とを利用したチェック方法になります。

FASTのFはFACE(顔)

顔の片方が下がっているような場合には脳卒中の疑いがあります。顔の片側だけが下がると下がった方の口から食べ物もこぼしたり、まぶたが下がったような印象を受けます。

本人に「口角を上げてみて」と言って、明らかに両方上がらない時には医療機関の受診が先決です。

FASTのAはARM(腕)

脳卒中を起こすと片腕に力が入らない状態となり、両腕を上げた状態をキープすることができません。

私たちは腕を動かす動作を無意識的に行っているつもりですが、体の筋肉を使うためには脳からの指令がないと行えない仕組みになっているのです。

FASTのSはSPEECH(言葉)

脳の中でも左半分に障害が起きてしまった時、話すことが容易に行えなくなります。

呂律(ろれつ)が回っていない場合、早急に医療機関を受診しましょう。

最後はFASTのTはTIME(時間)

脳梗塞を発症した時間を医療機関に伝えることが非常に大切です。脳梗塞の発症時間によって治療方法が大きく異なることがあるからです。

大切な家族や友人・知人に気になる症状を感じたのであれば、一刻早く恐怖感を与えないように医療機関の受診させることが大事なのです。

脳梗塞の後遺症

脳梗塞の発症後、後遺症として半身不随になるのでは?というイメージを持たれる方は多いのではないでしょうか。

脳梗塞を起こした時の年齢腦梗塞,後遺症や治療がはじめられるまでの時間、治療後のリハビリによって大きな差が生じます。

脳梗塞の後遺症で左脳にダメージを受けることで言語障害になることがあります。

言語障害があった場合、同時に体の右半身に麻痺を起こります。これは言語中枢の多くが左側の脳にあるからです。

脳梗塞の後遺症はダメージを受けた脳の場所や程度によって障害の現れ方は様々になります。

神経障害

片麻痺は脳梗塞の代表的な後遺症です。体の左半分、若しくは右半分が麻痺を起こし、少ししか動かなかったり、全く動かないこともあります。

運動障害

自分の意志に反して手足が動き止められない。会話時に口を上手に動かすことができない。手や指先で細かい動作が困難になる。

感覚障害

痛みの感覚や熱い・冷たいものに触れた時の感覚が鈍る。体に痺れ(しびれ)を感じる。

視覚障害

見ている物が二重に見えたり、視野が極端に狭くなることがある。

嚥下障害

飲食物が上手く飲み込めない、または気管に入ってしまう。ヨダレが垂れていも気が付かない。嚥下障害を起こしてしまう。高齢者では誤嚥性肺炎を起こし重症化するケースもあります。

排尿障害

頻尿・尿が出ない。トイレまで間に合わず尿を漏らしてしまう。

高次脳機能障害

記憶障害

物忘れが酷くなる、憶えることが困難になる。同じ話を何度も繰り返しえす。

注意障害

分かっているのに2つのことを同時にできない。集中力が続かなく仕事でミスが目立つようになる。

行為障害

体に障害が無いのに「箸を持つ」などの単純作業が出来なくなる。

言語障害

相手の話しが理解できない、伝えたい事がうまく言葉にできなかったりする。文字を書くことが困難になる。

認知障害

認知機能とは、思考、記憶、理解、学習、言語、計算、判断などを指します。

脳梗塞による認知障害では物を見ても名前を思い出せないが手で触れたり、音を聞くと思いだします。

自分が病気であることが理解できない、自分の家に帰れず迷子になる。

感情障害

夜間譫妄(やかんせんもう)

認知症の高齢者に多いとされる夜間譫妄夜。昼間は普通に過ごせるが、夜になるとソワソワ落ち着かず、幻覚や幻聴に襲われ、興奮して暴れたり大声を出す。

鬱病(うつびょう)

常に気分が憂鬱(ゆうつ)になり気力がわかない。人と会うことがおっくうになる。

周りの理解が大切

脳梗塞の後遺症で高次脳機能障害だけが強く残ってしまった場合、社会生活に支障をきたす場合があります。

関節拘縮などがない場合、健常者と同じ外見なので脳梗塞を患ったことを自ら公表しない限り、周囲に理解してもらえません。

とくに性格に関連する症状は精神的なこととして片づけられることもあり、周りも病気に対する知識を深めていく必要があります。

患者に対して拒絶するのではなく、どうしてそのような状況なのか理解してあげる気持ちが大切です。

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脳梗塞のリハビリ

脳梗塞を発症すると約7~8割の方に何らかの後遺症がみられ、症状が軽い方から寝たきりになる方まで様々です。

脳梗塞,リハビリ後遺症が残った場合には患者さんに合わせたレベルの「リハビリテーション(リハビリ)」を継続して行われます。

リハビリを行うことで成長ホルモンの分泌量が増え、脂肪を分解を促してくれます。

脂肪が分解されることで筋肉量が増え、使われていなかった血管を再生させます。

脳梗塞のリハビリは治療と同時に開始されることが多く、集中治療室からリハビリはスタートしています。

脳梗塞の直後ではダメージを受けた部位によりますが、体を動かすことは不可能に近い状態です。

脳梗塞を発症してから3週間までが急性期、症状が落ち着いてから約6ヶ月までを回復期、それ以降を維持期、この3つに分けて専門の療法士によってメニューが組まれ実施されます。

専門の療法士によるリハビリ

脳卒中のリハビリは国家資格を要する専門の作業療法士(OT)理学療法士(PT)言語聴覚士(ST)の方々がチーム医療として行われます。

理学療法士(PT)は、患者の着替えや食事の動作がスムーズに行えるように手・腕の機能を見ながら作業できる力を回復させていきます。

作業療法士(OT)は、歩行・座る・立つなどの日常生活において基本的な動作が出来るように筋肉や関節の状態をみながら、基本動作の練習を補助していきます。

言語聴覚士(ST)は、会話・読む・書くと言った言語機能に関するリハビリに関わっていきます。とくに脳の左半球にダメージを受けた方は言語の障害が著しくあらわれます。

脳梗塞,リハビリ脳梗塞のリハビリが治療と同時に開始される理由は、寝たきりの状態で起きてしまう床ずれ(褥瘡じょくそう)・エコノミー症候群で知られている静脈の血栓が発症を防いだり、筋力低下を防ぐなどとの意味合いを込めて行われます。

また、体を動かさないと関節が拘縮を起こし、廃用性症候群と言った状態に陥るのを防ぐためにもリハビリテーションは積極的に行われます。

急性期のリハビリ

脳梗塞の発症直後から適切なリハビリを行うことで後遺症から最大限の回復を見込むことが期待できます。

安静な状態を長期間続けてしまうと廃用症候群を発症する可能性があります。

脳梗塞のリハビリ(急性期)廃用症候群とは、全身の筋力低下、筋肉・骨の委縮、心臓や肺の機能低下、床ずれなど様々な障害を起こすことを指します。

健康な人が長期間ベッド上で寝たきりが続くと下肢筋力の20%が低下し、その回復には1か月以上もかかるといわれています。

手足に麻痺がある場合、放置していると拘縮といって関節が固まってしまい、動かすと痛んで十分に関節を動かせない状態になりやすく、その後の生活にも大きな影響を与えてしまいます。

廃用症候群を予防にはリハビリが必要不可欠で急性期リハビリの目的といえます。

急性期とは、脳梗塞の発症から1~3週間位を指し、リハビリは発症した当日、若しくはその翌日からスタートします。

最初はベッドの上でできるリハビリになります。

具体的には、床ずれを防ぐために2~3時間おきに体位を変える体位交換、手足の関節を曲げたり伸ばしたりする関節可動域訓練、ベッド上で寝ながら手足や足が不自然な位置にならないようにする良肢位保持などです。

麻痺(まひ)意識障害があり自分で体を動かせない場合、理学療法士や看護師が患者さんの代わりに体位交換や関節可動域訓練を行います。

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回復期のリハビリ

回復期とは脳梗塞の発症後、症状が落ち着いた頃~6か月間、病状が安定してリハビリが主体になった時期を指します。

自宅に帰ることが困難な場合やさらなる機能回復を目標とするために時間をかけた訓練をした方が良いと判断された場合、リハビリ専門の病院へ転院して機能回復を図っていきます。

回復期は後遺症がありながらも日常動作ができることを目標としており、この時期のリハビリが後遺症克服への要となります。

医師たちによる専門家がチームを組まれスクリーニングが行われ、その情報をもとに患者さんに応じたプログラムを作成し、集中的な訓練がスタートします。

座る練習

回復期に入って状態が落ち着いて頃から上半身を起こす訓練を始めます。徐々に角度を上げていき最終的に90度までベッドを体を起こします。

これは起立性低血圧の予防や心臓や肺の機能回復、さらに腰から上の筋肉を鍛え、背骨にも刺激を与えます。

1日10分くらいからはじめ、血圧低下やめまいなど異常が見られなければ回数・時間を増やしていきます。

歩行訓練

脳梗塞のリハビリ(回復期)30分程度、座位で座っていられるようになったら立つ練習を始めます。最初は支えながら時間を調整して患者さんのレベルに合わせます。

立位でバランスがとれるようになると平行棒や歩行器を使用し、歩く練習を行います。歩行練習まで来ると患者さんもやる気が出ることが多いです。

行動範囲が増えてくると転倒して怪我をするリスクがあるため、安全面に配慮しながら慎重に行われます。

日常動作

衣服の着脱、食事、排泄、入浴など日常生活において必要な動作を少しずつ練習していきます。

維持期のリハビリ

維持期とは回復期以降を指し、主に退院後になります。

これまでのリハビリで改善された機能を在宅生活でも維持するため、可能な限り自立度を高め、機能維持を図る自主トレーニングが必要になります。

訪問リハビリやサービスを活用しながら在宅でのリハビリを根気強く継続していきます。

維持期で大切なのはリハビリの継続を行って回復した機能を維持することですが、そのためには同居する家族キーパーソンの協力が不可欠となってきます。

脳梗塞のリハビリ(維持期)しかし、病院と違う環境や家族に甘えてしまう、家族が過度に手を貸してしまう、逆に家族が厳しくしすぎて患者さんのやる気を損ねてしまうなど、返って悪くなってしまうケースもあります。

リハビリは患者さんのやる気次第で成功するかどうかが決まります。

患者さんと家族の間で「自分でやること」と「サポートが必要なこと」を話し合い明確にしておくことが大切なのです。

退院時に家族がどう接するべきかなど、気がかりなことがあったら医療機関の担当者に聞いておきましょう。

社会復帰について

麻痺(まひ)や言語障害の後遺症がある場合、社会復帰時に大きな障害となってきます。

相談できるケースワーカーいる場合には、相談して身体機能の回復の程度と可能性を考えて社会復帰を決めましょう。

患者さんに合った社会復帰でなければ「役割や責任を軽んじてしまう」ことに繋がり、本人が意欲を無くしてしまいかねません。

また、身体的障害よりも精神症状の方が大きい場合には」社会復帰が困難になります。

うつ症状や認知症、自発性の低下などの症状に対しては薬物療法の他に生活環境を整えることが大切になります。

患者本人をはじめ、家族・主治医・ケースワーカー・リハビリ専門医などがチームとなって相談し合い、再発予防、合併症の予防、再発の早期発見、治療にあたることが望ましいでしょう。

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参考文献等

  • 全日本民医連「けんこう教室 脳梗塞」
    東京都文京区湯島2-4-4
    https://www.min-iren.gr.jp/?p=35615
  • 日本医科大学付属病院「脳梗塞」
    東京都文京区千駄木1-1-5
    https://www.nms.ac.jp/hosp/section/neurosurgery/info/cerebral-infarction.html
  • 町田市民病院「脳梗塞」
    町田市旭町2-15-41
    http://machida-city-hospital-tokyo.jp/knowledge/stroke.html
  • 日本生活習慣病予防協会「脳梗塞」
    東京都港区西新橋2-8-11
    http://www.seikatsusyukanbyo.com/guide/cerebral-infarction.php
  • NHK健康チャンネル「脳梗塞」
    https://www.nhk.or.jp/kenko/disease-391/
  • 国立研究開発法人国立循環器病研究センター「脳梗塞が起こったら」
    大阪府吹田市藤白台5-7-1
    http://www.ncvc.go.jp/cvdinfo/pamphlet/brain/pamph103.html

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