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前立腺がん

前立腺がんの原因(危険因子)

前立腺がんの原因として第一に考えられているのは加齢です。前立腺がんは60代以上になると患者数が増加し、反対に40代以下の患者が少ない傾向にあります。

前立腺がんの約90%が60歳以上の方であるというデータからみても、加齢が前立腺がんに強く影響していることがわかります。

高齢になればなるほど発生率が高まります。

そのようなことから国内での前立腺がんが急増する原因は、人口における高齢者の割合が高くなっていることが深く関連しているかと考えられています。

二つ目の原因として考えられているのが男性ホルモン(テストステロン)の影響です。前立腺は男性ホルモンの影響を受けやすい器官です。

男性ホルモンは加齢によって減少することから、体内のホルモンバランスが崩れて、がんを発症してしまうのではないかと考えられています。

また、男性ホルモンの働きを抑える治療が、前立腺がんに有効であることも根拠の一つとして挙げられます。

遺伝

前立腺がんは遺伝の影響を受けると言われ、特に親族・家族(父や兄弟)に前立腺がんに患った人がいる場合、前立腺がんを発症する確率が高まると考えられています。

食生活

高タンパク質・高脂肪(例えば乳製品(特に牛乳)や肉など)の食生活は、前立腺がんの罹患率が高まると考えられています。

日本での食生活の欧米化が進むのと比例して、前立腺がんの患者数が増加しているという理由からです。中でも脂肪分の多い食事が問題視され、具体的にいうとスナック菓子や揚げ物等が挙げられます。

生活習慣

前立腺がんと生活習慣の関係については、未だ解明されていないことが多くあります。そのようなことから飲酒や喫煙に関しても、どの程度影響があるのかはわかっていません。

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前立腺がんの症状

前立腺がんには自覚できるような初期症状がほとんどないため、早期発見には年1回は腫瘍マーカーなどの定期検診を受けることが大切です。

腫瘍マーカーにおけるPSA検査では血液中のPSAの増加有無を知ることで前立腺がんの早期発見の重要なカギとなります。

進行してくると

前立腺がんは進行すると様々な症状が現れはじめます。

しかし、それは前立腺がんに限った症状ではなく、多くが同時に発症している前立腺肥大症の症状でもあります。人によって程度の差はありますが、多くは加齢によって経験される症状でもあります。

例えば、前立腺がんが尿道や膀胱に進行した場合の症状は以下の通りです。
  • トイレには行くものの尿が出にくい
  • トイレに立つ回数が多い
  • 夜何度もトイレに起きる
  • 排尿後、まだ尿が残っている感じがする
  • 尿意を感じるとトイレに行くまで排尿を我慢できない
  • 下腹部の不快感
その後、前立腺がんが周囲の膀胱や精嚢にまで浸潤すると肉眼で血尿が確認できたり、咳やくしゃみ等少し腹部に力が入いると失禁したりします。

さらに進行してくると尿が出なくなり、精液が赤くなったりもします。

尿道から遠い組織で発生した場合、これらの症状より先に骨転移による症状が現れることがあります。

骨転移した時の症状

他のがんで末期近くになると骨に転移することが多いのですが、前立腺がんでは比較的早い段階で骨転移を起こしやすいのが特徴です。

前立腺がんの骨転移による主な症状は以下の通りです。
  • 腰痛
  • 骨折しやすくなる
  • 下半身麻痺 等
さらにリンパ節に転移するとリンパの流れが滞ってしまうために下半身にむくみが生じます。

末期症状

前立腺がんは進行が緩やかながんではありますが、末期状態まで進行することがあります。

主な末期症状は以下の通りです。
  • 尿が出なくなる
  • 微熱
  • 倦怠感 等
末期がんとは全身(肺・肝臓など)に遠隔転移が確認された状態ですが、末期前に骨転移による症状(痛みなど)で発覚することが一般的です。

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前立腺がんの転移

前立腺がんが転移しやすい場所として挙げられるのはになります。他のがんでは骨に転移すると末期に近くまで進行してからになるのが一般的です。

しかし、前立腺がんは早期から比較的骨転移しやすく、腰痛や足に痛みを感じるので整形外科に行ったら前立腺がんの骨転移だったということも少なくありません。

実に前立腺がんの転移の約8割が骨転移だと言われています。骨に転移しているかどうかは骨シンチグラフィ検査にて確認できます。

骨に転移が見つかるとホルモン療法を用いて治療を行いますが、痛みを感じるようであれば局所的に放射線治療を行うこともあります。

他臓器への転移

前立腺がんは、他の臓器やリンパ節等にも遠隔転移することはあります。その代表的な場所はリンパ節になり、骨の次に多いと言われています。

リンパ節に転移しているかどうかはCT検査で確認することが可能です。リンパ節に転移するとリンパの流れが滞って下半身にむくみや麻痺が現れることがあります。

その他、肺や肝臓にも前立腺がんから転移する可能性はあり、肺への転移では胸部レントゲン検査でわかります。他のがんの転移は、CT検査やMRI検査にて詳細な情報を得られます。

転移したら

がん細胞が前立腺付近でとどまる場合、外科手術にてがん細胞とその周辺を摘出することで完治が目指せます。

しかし、前立腺がんが前立腺周辺にとどまらずに転移していたら、病巣の周辺全ての摘出や、全てのがんに放射線治療が中心となり、がんを体内から根絶や完治を目指すことが難しくなる場合があります。

その場合、転移の程度にもよりますが完治を目指すのではなく、残り余命の中で生活の質を最大に保つための治療になることが多くなってきます。

ホルモン療法で男性ホルモンを抑制しながら進行を食い止め、がんと共存しながら暮らしていくという治療方法が一般的となってきます。

 

前立腺がんの末期症状

前立腺がんの初期段階は自覚症状が少なく進行も緩やかなため、早期であれば根治が目指せますが、末期状態になると治療や完治が難しくなってきます。

末期に至ってしまうと、多くの場合以下の症状が現れます。
  • 尿がまったくでなくなる
  • 全身の倦怠感と微熱
  • リンパ節への転移によって起こる下半身のむくみ
  • 骨への転移によって起こる全身の痛みや病的骨折
  • その他、肺や肝臓への転移等
末期がんの治療の方針は、がんを根治や縮小させるという方向よりも残された余命をどのように過ごすか、生活に支障が出ないようにどこまで痛みを和らげるか、といった治療方針にシフトされる場合もあります。

阻止するためには

前立腺がんは自覚症状が少ないことから、ある程度進行してから受診するという人は少なくありません。

また、早期発見であれば治療の選択肢が多いこともあり根治が目指せるのですが、発見が遅れる程、他のがんと同様に治療の選択肢が少なくなっていきます。

対策として50歳を過ぎたら年に1回は腫瘍マーカーPSA検査を受けるということが、末期がんを防ぐ第一歩です。

定期検査を徹底しておくことで「がんが発見された時にはかなり進行していた」という事態を避けれる可能性は高くなります。

また、排尿困難を自覚する前に骨に転移し、整形外科を受診してから泌尿器科に転院してくる患者さんがいらっしゃいます。

その場合、整形外科の診療範囲内で原因の究明を続けてしまうと「前立腺がんの診断時にかなり進行していた」という事態に陥る可能性があります。

これら2つを徹底して守っておけば、根治の可能性が残った状態で泌尿器科を受診できる可能性は高まります。

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前立腺がんの治療

前立腺がんの主な治療法として以下の5つが挙げられます。
  • PSA監視療法(無治療経過観察)
  • ホルモン療法
  • 放射線療法
  • 手術療法
  • 化学療法(抗がん剤使用)
PSA監視療法とは、がんの悪性度が低く、がん細胞が前立腺の内部でとどまっているときに積極的な治療をせず、様子を見るといった方法です。

ホルモン療法ですが、前立腺がんの進行を促進する男性ホルモンを抑制することで、がんの進行を遅くらせる方法です。

ホルモン療法は注射や内服でホルモン剤を投与し、最も有効とされている方法になります。

男性ホルモンを抑制させることで、女性の更年期障害のような症状が副作用として起こることがあります。

放射線療法では、前立腺に放射線を照射してがん細胞を死滅させる方法です。手術療法はその名の通り、がんを手術で取り除く方法になります。

最後の化学療法は、抗がん剤を使用して症状を和らげる治療法になります。

ステージ別の治療方法

前立腺がんは進行度によって4つのステージに分類され、患者さんがどのステージに分類されるかでその治療法が変わってきます。

ステージ1(A)期

早期に発見され、ほとんど進行していない段階です。通常自覚できる症状もなく、PSA監視療法、ホルモン療法、手術療法、放射線療法のどれか一つ、または複数を組み合わせた治療を行います。完全に治すことが可能になります。

ステージ2(B)期

がんが前立腺の中だけにとどまっている段階です。患者さんによっては症状が無いことが多く、ホルモン療法、手術療法、放射線療法のどれか一つ、または複数を組み合わせた治療を行います。
この段階では完治が可能だと考えられています。

ステージ3(C)期

がんが前立腺の外まで広がっているが、転移はしていない段階です。排尿困難や血尿等の症状が現れてきます。ホルモン療法、放射線療法のどちらか、または組み合わせて治療を行います。

ホルモン療法でがんが小さくなれば、手術療法を行うこともあります。

ステージ4(D)期

リンパ節や骨、他の臓器等、前立腺から離れた臓器にもがんが遠隔転移している段階です。排尿困難、転移部の痛み等の症状が現れていることが多いです。ホルモン療法を中心に放射線療法や化学療法といった治療が行なわれます。

前立腺がんのステージ(病期)

前立腺がんの進行度を示すものとしてステージ(病期)があります。なぜステージに分けられるかというと、がんの進行具合によって最も適切な治療方法が変わってくるからです。

ステージには主に日本国内で採用し、広まってきたABCDに分ける方法と国際基準となっているTNMで表す方法の2種類があります。

現在、国内ではABCD分類の方が一般的に広まっていることに加え、シンプルで患者さんにとってわかりやすいという利点があります。

しかし、より詳しく分類できるTNMで表す方法の方が現在では推奨されています。

ABCD分類

前立腺がんのステージを4段階に分けたものがABCD分類です。がんの大きさや転移の有無等によって分けられています。具体的なステージは以下の通りです。
  • ステージA:前立腺肥大症の治療等で偶然発見されたがん。
  • ステージB:がんではあるが、前立腺の内部で全ておさまっており、周囲に浸潤していないがん。一般的に早期がんと言われるのはこの辺りです。
  • ステージC:周囲には浸潤しているが、転移まではしていないがん。
  • ステージD:他の臓器や骨等に転移しているがん。

TNM分類

前立腺がんのステージを大きく3つに分けるのがTNM分類です。具体的なステージは以下の通りです。
  • T:偶然発見されたがんから周囲に浸潤しているがんまでがT(tumor)に属します。前立腺でがんがどれほど広まっているかを表します。
  • N:リンパ節への転移があるかどうかを表すのがN(nodes)です。
  • M:前立腺から離れた組織・臓器に転移しているかどうかを表すのがM(metastasis)です。
TNM分類では、ここからさらにTは4つ(T1~T4)、NとMはそれぞれ2つ(N0とN1、M0とM1)に分かれて表示することが可能です。

例えば、がんが前立腺の内部にとどまり、リンパ節への転移やその他の臓器への転移がみられない場合、「T2 N0 M0」と表すことができます。

前立腺がんの生存率

前立腺がんは比較的進行が緩やかながんとして知られています。がんは主に5年生存率(診断・治療開始から5年後に患者が生存している割合)が治療の一つの指標になります。

がんが再発する場合、5年以内に発生することが多いからです。しかし前立腺がんは進行が遅いので、10年生存率も治療の指標として重要になります。

前立腺がんは高齢者に多いため、前立腺がんが直接死亡原因になるとは限らず、もっと言えば前立腺がんの有無が寿命に影響がないということも考えられます。

4つのステージと生存率

前立腺がんは進行度によって4期のステージに分けられます。患者さんの病状がどのステージになるかによって生存率が変わってきます。
  • ステージA期:早期に発見され、まだほとんど進行していない段階
  • ステージB期:がんが前立腺の中だけにとどまっている段階
  • ステージC期:がんが前立腺の外まで広がっているが、転移はしていない段階
  • ステージD期:リンパ節や骨、他の臓器等、前立腺から離れた臓器にもがんが転移している段階
特にステージA~C期の状態では5年生存率は100%近いと考えられ、さらに10年生存率も80%以上と高い割合が期待できます。

しかし、ステージD期になると前立腺から離れた他の臓器等に遠隔転移している場合には途端に生存率が低くなり、5年生存率は50%前後となります。

中でも最も厳しいのは骨痛・神経圧迫等の症状が伴う骨に転移しているケースです。つまり前立腺がんも他のがんと同様に早期発見・早期治療が大切なのです。

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前立腺がんの手術

がん細胞が前立腺の内部、または周辺の狭い範囲にとどまっている場合、外科手術にてがん部分とその周辺を全摘出することで、がんを完治が目指せます。

但し、多少進行していてもリンパや他臓器への転移がないと判断された場合、手術が適応されるケースもあります。前立腺がんの手術方法には、開腹手術腹腔鏡手術ロボット支援下腹腔鏡手術の3種類があります。

それぞれにメリットとデメリットがありますが、どれも体内からがん細胞(病巣)を切除するという直感的にわかりやすい手法です。他の療法と組み合わせて実施することもあります。例えば、ホルモン療法でがんを小さくしてから手術をすることがあります。

開腹手術

臍(へそ)の下、または肛門周辺から切開し、前立腺とその周辺を全摘出して膀胱と尿道をつなぎ直す手術になります。

開腹手術のメリットは執刀医の視野が広く、周辺の臓器や細胞まで目が行きとどくことです。また、腹腔鏡手術よりも時間がかかりません。

開腹手術のデメリットは前立腺周辺は血管が多いため出血が多くなることです。そのため、手術前に献血と同じ要領で患者の血液を採取しておき、手術中は自分の血液を体内に戻すこと(輸血)形をとる場合があります。

腹腔鏡手術

腹部に数か所の数センチの穴をあけ、小型カメラを通じた映像を見ながら行う手術方法です。腹腔鏡手術のメリットは出血も切開も最低限で済むため、術後の回復が速いことです。

デメリットは執刀医の視野が開腹手術に比べて狭いため、がん細胞を全て取りきれない可能性もあり、執刀医の高度な技術が不可欠になります。

ロボット支援下腹腔鏡手術

近年、増えてきているのが手術支援ロボット(名称はダヴィンチ)を使った手術です。

日本でも前立腺全摘出の場合には保険適用になっています。医者は手術台から少し離れたブースに入り、そこで映し出される三次元の映像を見ながら手術を行います。

ロボット支援下腹腔鏡手術のメリットは、傷や出血が少なく術後の回復が速いことです。デメリットとしては、医師にさらなる高度な技術が必要となります。

前立腺がんのホルモン療法

前立腺がんは男性ホルモンの影響があることが分っています。

そのような性質から男性ホルモンを抑制することで前立腺がんの進行を食い止めようというのがホルモン治療(内分泌療法ともいいます)です。

既に他の組織や臓器に転移があり、手術でがん細胞を根絶するのが難しい場合や、体に負担のかかる治療を受けられない高齢者でも可能な治療法になります。

大きな副作用もなく、ほとんどの前立腺がんに効果が期待できるため、前立腺がんの治療の最も基本的な治療方法とされています。

ホルモン治療の長所

ホルモン治療の大きな特徴はあらゆるステージ(病期)の患者さんに実施できる治療法であるということです。

前立腺がんの治療法には、手術療法や放射線療法等がありますが、がんが前立腺周辺にとどまっている場合には効果的な治療法です。

しかし、ある程度進行していて他の組織や臓器に転移があると行えないという短所があります。

しかし、ホルモン治療は前立腺がんが進行し、他臓器や組織に影響を及ぼしていても転移した先でも元々の前立腺がんの性質は引き継がれる

ホルモン治療の短所

ホルモン治療の大きなデメリットとしては、がん細胞を全て死滅できるわけではありません。

ある程度の期間治療を続けて行くと「ホルモン治療が効かなる」「がん細胞が現れ再び増殖し始める」などがあります。

これらのがん細胞はホルモン不応性と呼ばれ、このようながん細胞により、再び症状が現れることを再燃と呼びます。

再燃という状況にあんると、その前立腺がんを治療が難しくなり、抗がん剤を用いた化学療法と呼ばれる方法に替わります。

化学療法では前立腺がんによって起こる症状を和らげることを目的とした治療にシフトされることが多くなります。

化学療法は副作用も多いため、ホルモン治療ほどの効果がある治療とは言えないのが現状です。

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前立腺がんの放射線治療

放射線治療とは前立腺がんの患部(病巣)に放射線を照射することで、がん細胞を死滅させていく治療方法になります。

がんが前立腺の内部にとどまり、他の組織に転移していない場合には根治を目的とした治療が可能です。

治療の結果は、外科手術によるがん細胞の摘出と同程度だと言われています。

放射線治療法は大きく分けて、体の外から放射線を浴びせる外照射法と、体内から放射線を浴びせる組織内照射法の2つがあります。

外照射法

外照射法とは体の外から放射線を照射させる手法です。

強い放射線を一気に当てると周辺の正常な細胞にまで影響するので、弱い放射線を複数の角度から患部に照射させていきます。

一つ一つの放射線レベルが弱いことから、周辺の正常細胞には影響を与えず、がん細胞だけを死滅させられるのです。

最近では、コンピュータによって放射線の強弱がコントロールされ、より適切に患部に放射線を照射できるIMRT(強度変調放射線治療)という方法が用いられることが多くなってきました。

副作用として、頻尿、排尿痛等がありますが、従来の方法に比べると副作用は軽く済み、治療期間は約7~8週となります。

外科手術によるがん細胞の摘出では、適応外とされるステージ3期の前立腺がんでも放射線の外照射は選択可能です。

組織内照射法

組織内照射法とは、体の内部から放射線を患部に照射させる治療手法です。

近年増えているのは小線源といって、前立腺の内部に線源というカプセルを埋め込む方法です。

カプセルには弱い放射線を放つ成分が入れられているため、その放射線によってがん細胞を死滅させることができます。

カプセルは体内に埋め込まれっぱなしになりますが、カプセルから出る放射線は1年程度でなくなるため、がん細胞が死滅した後体内にあっても健康上問題はありません。

副作用は外照射法よりも弱く、早く治まることが多いです。

また、組織内照射法の場合、正常な前立腺の細胞が残っているため、再発の判断が難しいことがあるので注意が必要です。

前立腺がんの検査

PSA腫瘍マーカー検査

前立腺がんが疑われる場合、診断確定には腫瘍マーカー(PSA数値)や直腸診等の検査が必要になります。

PSA(前立腺特異抗原)は、前立腺がんになると数値が上昇する特性を持っているため、検診等で前立腺がんの最初の判定時に用いられています。

このPSAは良性腫瘍などの前立腺肥大症等でも数値が上昇するため、検査の入り口としては精度の高いマーカーとなり、診断根拠の一つとして用いられています。

直腸診の検査

直腸診とは昔からある手法で、医師が患者の肛門から指を挿入し、前立腺が腫れていないかを触診する方法です。

前立腺がんの中にはPSA値が正常の範囲内となることがあるため、そのような前立腺がんは直腸診で発見されることもあります。

そのため、PSA検査と直腸診の併用により、前立腺がん発見の精度をより高められます。

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超音波検査(エコー検査)

前立腺がんの画像検査として代表的なのが超音波(エコー)検査になります。

前立腺検査の場合、肛門から検査用器具を挿入し、直腸を通して超音波をあてます。その結果、前立腺の大きさや形を確認することができます。

これらの検査で前立腺がんの疑いがある場合、前立腺組織の一部を採取し、詳細な検査で腫瘍が悪性となることで初めて診断が確定します。

がんの広がりを調べる検査

前立腺がんと診断された場合、次にがんがどのような状態なのかを調べる検査にて今後の治療方針が決まります。

よく用いられるのはMRI検査です。磁気を使った画像診断となり、前立腺のどこに病巣があるのか、前立腺の外に拡がっていないか等(浸潤)を調べられます。

その他、下記の検査があります。
  • 肺転移を調べる胸部レントゲン
  • リンパ節や他の臓器への転移を調べるCT検査
  • 骨転移を調べる骨シンチグラフィ検査
これらは、前立腺がんの存在の確定診断にも治療法の選択にも有用な検査になります。

前立腺がんのPSA

PSA(前立腺特異抗原)は、前立腺から分泌されるタンパク質の一種となり、健常な男性の血中にもわずかに存在します。

前立腺がんになると血中のPSA数値が上昇するため、前立腺がんの腫瘍マーカーとして用いられています。

前立腺がん以外でも血中のPSA数値が上昇することがあり、PSA数値だけで前立腺がんの確定診断は行われません。

このPSAは前立腺がんのスクリーニングとしては高い精度を持っており、PSA数値は前立腺以外の臓器の異常には反応することはありません。

前立腺がんでは自覚できる初期症状が少なく早期発見が難しいことから、PSAは前立腺がんの発見の重要な指標になっています。

腫瘍マーカーとしてのPSA

最近、PSA数値は検診や人間ドックでの血液検査の項目の一つとして、オプションで付けられる病院が多くなりました。

年齢によって基準値となるPSA数値が決まっているため、その基準値より血中PSA濃度が高ければ「前立腺がんの疑いある」ということになり、精密検査を受けることになります。

但し、前立腺がん以外の前立腺肥大症や前立腺炎においてもPSA数値は上昇しますので、ここではあくまで「疑いあり」という診断となります。

さらに詳しい検査(直腸診やMRI検査、前立腺生検等)を受けることで、初めて前立腺がんと診断されます。

再発・再燃の指標としてのPSA

PSA数値は、前立腺がんの早期発見だけに使われているわけではありません。

前立腺がんと診断され治療を受けた患者さんにおいては、PSA数値が再発再燃の指標ともなります。

例えば、前立腺がん全摘出手術を受けた後、再発しないかどうかPSA数値を定期的に観察していくことになります。

万一、再発が無ければPSA数値は正常値のまま推移していきますが、小さながんが残っていた等で再発することでPSA値は上昇します。

また、ホルモン療法では一旦治まったPSA数値が、徐々に上昇してくると再燃が疑われます。

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前立腺がんの予防

前立腺がんの予防については諸説あり、完全に予防できるという方法は解明されていません

しかし、主に食事や生活習慣に注意することで、がんの発生をある程度抑えられるのではと考えられています。

食事習慣

もともと欧米に多かった前立腺がんですが、近年では日本国内でも前立腺がんの患者数が急増しています。

高齢化も大きい理由の一つですが、他に食事の欧米化が考えられます。

その昔、日本人の食生活は、野菜や豆類が中心の和食でした。しかし、近年では乳製品や動物性脂肪の摂取量が増えてたことなど食生活の変化が前立腺がんのリスク要因に繋がっているという説があります。

このようなことから動物性脂肪や乳製品を控えめにし、緑黄色野菜をバランスよく摂取するなど心掛けることで前立腺がんの予防に繋がるかもしれません。

生活習慣

前立腺がんの発生に生活習慣が深く関わっているという説があります。

その大きなリスク要因としてまず挙げられるのが喫煙習慣です。他のがんと同様に喫煙習慣は体に害をなすと考えられています。

また、運動不足も前立腺がんのリスク要因のひとつと言われています。

その他の説

その他、適度な性生活が前立腺がんを予防するという考えもあります。

射精することで前立腺に溜まる発がん性物質を洗い流すことで、がんを予防に繋がるというのです。

また、大豆製品を食べることで前立腺がんの予防になるという説があります。

大豆製品にはイソフラボンという女性ホルモンと似た働きをする成分が含まれているため、イソフラボンを摂取することで男性ホルモンの活動が抑えられ、前立腺がんになりにくいと考えられています。

他に抗酸化作用があると言われているリコピン(主にトマトに含まれる)やコーヒーも前立腺がんのリスクを下げる効果あるという報告があります。

紹介したこれらの前立腺がんの予防に関する情報はあくまでも仮説的な話となり、前立腺がんの原因については完全に解明されていないのが現状です。

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参考文献等

  • がん研有明病院「前立腺がん」
    東京都江東区有明3-8-31
    https://www.jfcr.or.jp/hospital/cancer/type/prostate.html
  • 東京医科大学病院「手術支援ロボット・ダヴィンチ」
    東京都新宿区西新宿6-7-1
    http://hospinfo.tokyo-med.ac.jp/davinci/department/hinyo.html
  • 順天堂大学医学部付属順天堂医院泌尿器科「前立腺がん」
    東京都文京区本郷3-1-3
    http://juntendo-urology.jp/disease/prostate_cancer/
  • 愛知県がんセンター中央病院「前立腺がん」
    名古屋市千種区鹿子殿1-1
    https://www.pref.aichi.jp/cancer-center/hosp/12knowledge/iroirona_gan/13zenritsusen.html
  • 国立がんセンター東病院「前立腺がん」
    千葉県柏市 柏の葉6-5-1
    https://www.ncc.go.jp/jp/ncce/clinic/radiation_oncology/consultation/pbt/04_3.html
  • 京都大学医学研究科泌尿器科学教室「前立腺がん」
    京都市左京区聖護院川原町54
    http://www.urology.kuhp.kyoto-u.ac.jp/patient/disease/zenritsusen/zenritsusen.html

前立腺がんの関連書籍

 
  • 前立腺がん (よくわかる最新医学) 著者:赤倉功一郎(JCHO東京新宿メディカルセンター)
    前立腺がんと診断されてから患者さんが知りたいことすべてが書かれています。前立腺がんの治療(手術、放射線療法、薬物療法、PSA監視療法)について解説。
 
  • 前立腺がんを生きる: 体験者48人が語る 著者:健康と病いの語りディペックスジャパン
    患者さんの立場から前立腺がんのことについて、前立腺がんを罹患した方達の声を集めて作成された本になります。
 

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