メディカル24
本当に役立つ身近な医療情報

肝臓がん

肝臓がんの原因

肝臓がん(肝細胞がん)は、肝臓に直接できる原発性肝臓がんと他の臓器からの転移によって発症する転移性肝臓がんの2種類があります。

肝臓がん全体の約90%は体の他の場所からの転移による転移性肝臓がんとなり、残りの10%が原発性肝臓がんとされています。

また、全体の90%が肝炎ウイルス感染が原因とされ、その内の約70%がC型肝炎ウイルス、残りの20%がB型肝炎ウイルスが原因だとされています。

したがって、肝炎ウイルスにはA型・B型・C型・D型・E型がありますが、慢性肝炎が起こりやすいB型・C型が多く、肝炎ウイルスの感染者は肝臓がんにかかりやすいハイリスク者と呼ばれます。

このB型・C型肝炎ウイルスの感染経路は主に血液感染とされ、輸血や血液製剤、針刺し事故や注射の回し打ちなどがあげられます。

さらにB型ウイルス肝炎は、これらに加えて性行為や母子感染が感染ルートだとされています。

現在、薬物治療によって肝臓がん発症確率を大幅に下げることが可能になりました。

また、他の肝臓がんの原因として考えられているのは、喫煙・アルコールの大量摂取・糖尿病などの生活習慣病・運動不足による肥満・食事に混入するカビ毒(アフラトキシン)が等があげられます。

最近の研究ではコーヒー愛飲者は肝臓がん発症率が低いという報告もあり、より詳しい研究が求められています。

以上の事を踏まえて肝炎ウイルスへの感染を早期に知り、適切な処置をすることが肝臓がん予防に繋がるという考え方から、多くの地域の保健所や医療機関において肝炎ウイルスの検査を受けることが可能になっています。

スポンサーリンク


肝臓がんの治療

近年、肝臓がん(肝細胞がん)の治療には様々な方法があります。肝臓はいわば血液の塊みたいなもので、他の臓器とは違って「がん進行度と肝機能の状態」を総合的に確認しながら治療が行われます。

肝臓がんの基本治療法として、外科療法・局所療法・肝動脈塞栓術の3種類があります。肝臓という臓器は再生能力が高く、腹水などの合併症がなく慢性肝炎や肝硬変がない場合、肝臓の約70%まで切除が可能だと言われています。

少し前までは外科療法にが主流とされ、開腹してがんを切除していましたが最近では腹腔鏡手術(お腹に4~5か所小さな穴を開けて、カメラを挿入してモニターを見ながら手術をする)があります。

次に局所療法ですが、手術によって開腹せずに皮膚の上からがんの腫瘍に直接長い針をさして治療する方法となり、主な治療方法に、エタノール注入療法(PEI)・マイクロ派凝固術(MCT)・ラジオ派焼灼術(RFA)があります。

これらの治療法も外科的療法に比べると患者さんへの負担が軽く、回復も早いという利点がありますが、完全にがんを消滅させることは難しく再発のリスクを伴います。

肝動脈塞栓術とは肝動脈に栓を詰めて血流を遮断し、がん細胞への栄養を断つ方法となり、がん細胞を死滅させるものです。大きながんには効果的ですが、小さいがんには治療効果は薄くなります。

以前は肝臓自体が放射線に弱いため、放射線療法は適さないといわれていましたが、近年ではピンポイントで放射線を照射できる医療機械が開発され、放射線治療が選択肢として選ばれるようになりました。

さらに先進医療となる陽子線や重粒子線は腫瘍の中心部で働きかけ、その後消失する特性があり、また照射回数が少なく済み、肝臓がんの治療で大きな成果をあげています。

化学療法では分子標的薬(全身に作用せず、がん細胞にだけ作用するもの)が開発され、以前よりも軽い副作用で治療が可能になってきています。

スポンサーリンク


肝臓がんのステージ

肝臓がんのステージも他のがんと同様に4つのステージに分けられ、数字が大きいほど癌が進行していることを指します。

肝臓がんの分類は①直径2cm以下である、②1個だけである、③血管浸潤(癌が血管の中や胆管に入り込むこと)がない、以上から下記の組み合わせによって決められます。
  • ステージI期は①②③の全てに当てはまる
  • ステージII期は①②③の内2項目に当てはまる
  • ステージIII期は①②③の内1項目に当てはまる
  • ステージIV期は①②③のどれにも当てはまらない、もしくはリンパ節転移がある、遠隔転移(肝臓以外の身体部分に転移)がある
上記の基準が設けられていますが、これに加えて肝機能の状態や腹水の有無等を総合的に考慮してステージが決定されます。

肝臓がんの生存率

あらゆる癌(がん)において、治療後の予後を示すものとしてよく使われるのが5年生存率です。

がん患者が治療を初めてから5年後の生存している確率になりますが、5年生存率には再発や転移をしてしまった人も含まれています。

肝臓がんのステージ別5年生存率は、ステージI期で49.8%、ステージII期で37.7%となりますが、ステージIII期にはぐっと下がり17.7%、ステージIV期では7.7%となっています(公益財団法人 がん研究振興財団「がんの統計’11」より)。

肝臓がんの全ステージを合わせた5年生存率の平均は28.5%となり、他のがんと比べると予後はあまり良くありません。

これはがんの中でも肝臓がんが再発しやすいことが原因とされ、手術後3~5年以内に再発する確率が比較的に高いことが考えられます。

その理由として肝臓がんの多くが他の部位からの転移によるものが全体の90%を占めることが考えられます。但し、転移性肝臓がんでは原発巣の癌が完全に切除可能なら治癒の可能性はあります。

また、全体の10%を占める原発性肝臓がんの場合では、慢性の肝炎や肝硬変が原因になっていることが多く、そのようなケースでは手術で肝臓を切除することが困難であったり、手術でがんを切除できたとしても、再び肝炎肝硬変による再発が懸念されています。

スポンサーリンク


参考文献等

  • 静岡県立 静岡がんセンター「肝臓がん最近の動向と治療法の選択」
    静岡県駿東郡長泉町下長窪1007
    https://www.scchr.jp/video/contents/kantansui/27_01.html
  • がん研有明病院「肝臓がん」
    東京都江東区有明3-8-31
    https://www.jfcr.or.jp/hospital/cancer/type/liver_i/index.html
  • 国立がん研究センターがん対策情報センター「肝細胞がん」
    東京都中央区築地5-1-1
    https://ganjoho.jp/public/cancer/liver/
  • 国立研究開発法人国立国際医療研究センター「肝炎情報センター・肝がん」
    千葉県市川市国府台1-7-1
    http://www.kanen.ncgm.go.jp/cont/010/kangan.html
  • 東京大学医学部附属病院消化器内科 肝癌治療チーム「肝臓がんとは」
    東京都文京区本郷7-3-1
    http://park.itc.u-tokyo.ac.jp/livercancer/about/index.html
  • 愛知県がんセンター 中央病院「肝がん」
    名古屋市千種区鹿子殿1-1
    https://www.pref.aichi.jp/cancer-center/hosp/12knowledge/iroirona_gan/04kan.html

肝臓がんの関連書籍

 
 
  • 肝臓病――治る時代の基礎知識 (岩波新書)著者:渡辺純夫(順天堂大学・医学部大学院医学研究科)
    肝がんをはじめとする肝臓病。肝臓疾患の原因から最新の薬剤、治療法まで、肝臓の専門医がわかりやすく解説する。患者さんには勇気が出る一冊。

スポンサーリンク

HOME