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胃がん

胃がんとは

昔から日本人に多い胃がんは長らく日本人のがんの部位別の死因では1位となっていました。

その一方、がん検診を定期的に受けている人には死亡率が低いという統計があり、早期発見により長期生存も可能ながんであることが考えられます。

胃の壁は4層からなり、その最も内側の粘膜にある細胞が何らかの原因でがん化することで発生するのが胃がんです。

胃粘膜の細胞は胃液によって傷つけられたり、壊されたりしやすい環境に常にさらされていますが細胞の再生は適度にコントロールされています。

がん化すると細胞は無秩序に増えていきます。腫瘍(できもの)は徐々に大きくなり、正常な細胞や臓器の働きに支障を来すことに繋がることがあります。

胃がんは粘膜表面に起こった上で下層に進行すると説明しましたが、そのような進行をしない特殊な胃がんをスキルス性胃がんと呼ばれ悪性度が高いことでも知られています。

胃がんの分類(種類)

一口に胃がんと言っても分類方法や呼び方も様々です。医師の説明や資料等を見ても何がどう分けられているのか、と混乱してしまうことがあります。

胃がんの分類や呼び方にはいくつかあります。
  • がんの深さによる分類・呼び方(深達度、T分類)
  • がんの進行度による分類・呼び方(病期またはステージ)
  • 形態学的な分類、肉眼的分類(ボールマン分類)
  • がん細胞や組織の種類による分類(病理学的分類)
医師からの病状説明等でよく使われるのは上の2つとなり、深達度T分類病期、またはステージです。

がんの深さによる分類

「早期がん・初期がん」「進行がん」という分け方は、この深達度による分類になります。

胃の膜は内側から粘膜・粘膜下層・固有筋層・漿膜からなり、胃がんは、胃の膜の最も内側の粘膜層から発生し、次第に粘膜の下側に進んでいきます。この深さによる分類になります。
  • T1:がんが粘膜もしくは粘膜下層にとどまっているもの(これを一般に早期胃がん・初期がんと呼びます)
  • T2:がんが固有筋層に至っているもの
  • T3:がんが漿膜組織に至っているもの
  • T4a:がんが漿膜を超えて胃の外に達して腹腔に出ているもの
  • T4b:がんが漿膜を超えて胃の外に達し、近隣の多臓器に直接に達して浸潤しているもの
T2以降は「進行がん」と呼ばれます。

がんの進行度による分類

胃がんの治療の際、治療方針を決める指針となっているのがこの病期・ステージの分類です。

深達度(T1~T4)に、リンパ節転移があるかどうか、また、進行度・肝転移・腹膜転移の有無・遠隔転移の有無の組み合わせ、ⅠA~B・ⅡA~B・ⅢA~C・Ⅳに分けられます。

Ⅳ期に近づくにつれて、がんが進んだ状態ということになります。

形態学的な分類・肉眼的分類

胃がんの見た目の形の特徴によって分類したものがボールマン分類です。

0型から4型に分けられ、0型は「早期がん」と呼ばれるもの、1~4型は粘膜下層に達している「進行がん」です。

「進行がん」の中でも1型は表面に隆起した腫瘍があるもの、2型・3型は潰瘍を形成するものでその広さにより分けられます。

4型はいわゆるスキルス性胃がんと呼ばれるもので、明らかな腫瘍や潰瘍といった特徴的な所見がなく、がん組織との境界があいまいで胃壁に広がっているものを指します。

4型では表面的な特徴に乏しいため、胃カメラやバリウム検査などでの早期の発見が難しいとされています。

がんの組織の種類による分類

がん組織を採取して顕微鏡等で確認する方法により分類されます。

専門的な分類となりますので、一般的に耳にすることは少ないですが、がん細胞の悪性度や治療方針を考える指針となります。

大きく分けると、一般型には、乳頭腺癌・管状腺癌・低分化腺癌・印環細胞癌・粘液癌があり、特殊型には線扁平上皮癌・扁平上皮癌・カルチノイド腫瘍があり、さらに細分化されます。

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胃がんと高齢者

最近の統計では、高齢者における胃がんの発生率は高くなる傾向にあります。但し、高齢になると胃がんのリスクが高いという意味ではありません。注意したいことが何点かあります。

まず、胃がんのリスク要因としては、塩分の過剰摂取・飲酒・喫煙・ヘリコバクター・ピロリ菌の感染などが挙げられますが、高齢者ではこのようなリスク要因を持つ人が多いことが考えられます。

さらに胃がん検診を受けている人には死亡率が低いことが知られていますが、職場を退職し、定期的な検診を受ける機会が減る高齢者が増えるのも要因の一つだと考えられます。

高齢者と内視鏡手術

がんが胃粘膜内に限られている早期がんでは、まず選択される治療法は内視鏡(いわゆる胃カメラ)を使用するがんの切除術です。

内視鏡での治療は数十分~1時間程度になり、入院期間も2~3日で済みます。のどの局所麻酔や眠くなる薬を使う程度ですので体への負担がとても小さくて済みます。

退院後、ほぼ元通りの生活ができるので高齢者にはとても適した治療方法だと言えます。

高齢者と外科的手術

進行した胃がんでは外科的手術によって胃の一部、若しくは全体を切除する方法が根治的な治療法になります。

外科的手術では全身麻酔が欠かせません。高齢者において全身的な手術は体への影響が大きく、時には生命のリスクにも関わります。

また、術後にはリハビリ生活が必要となり、数日の食事制限や食生活の変化を余儀なくされます。

高齢者は、胃がん以外の持病を抱える方が多く、全身麻酔や食事制限への対応が大変になる方も少なくありません。

その他の胃がん治療

進行がんでもリンパ節転移や他の臓器への転移が見られる場合、抗がん剤や放射線治療が行われます。

抗がん剤や放射線治療ではどうしても、がん細胞だけでなく、正常な細胞も傷つくことで副作用が起こり、体力を奪ってしまうことや、体力が回復しにくいことがあります。

とくに高齢者の胃がんでは、進行した状態で見つかることが多いのに対し、進行したがんの治療は高齢者の体にはとても負担がかかるものです。

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胃がんの原因

胃粘膜の細胞ががん化するには、様々なリスク要因があると考えられています。

統計などの研究により、胃がんの発生を高めるリスクになる要因と考えられているものは主に以下のようなものがあります。
  • 食生活(塩分・塩分を多く含む食品の過剰摂取、野菜類の不足)
  • 生活習慣(喫煙・飲酒・ストレス)
  • ヘリコバクター・ピロリ菌

胃がんと食生活

塩分・塩分を多く含む食品

諸外国と比較して胃がんは日本人に多いがんと言われ、日本人は1日の塩分の平均摂取量では男性で11g前後と数十年前に比べれば減ってきているものの、欧米に比べると多くなります。

厚生労働省や国立がん研究センターの研究では、塩分濃度が高い食生活や食塩を多く含む食品(ねりうに・いくら・塩辛など)の摂取量が多い人では胃がんの発生率が高いという報告があります。

食塩そのものに発がん性があるかどうかについては明らかではありませんが、一部の研究では指摘もされています。

野菜類の不足

野菜類の不足は胃がんだけでなく、しばしば他のがんや成人病のリスク要因になるという研究結果があります。

野菜類から取れる食物繊維やビタミン類・色素類には、活性酸素の産生を抑える働きや、細胞のがん化を抑制する効果が期待できるという研究があります。

胃がんと生活習慣

喫煙

喫煙者は吸わない人と比べて、胃がんのリスクが約2倍になるという研究結果があります。

タバコには様々な化学物質が含まれており、何が関与しているかは明らかではありませんが、活性酸素を産生させたり、末梢血管の血流を妨げたりという影響などから、細胞や遺伝子を傷つけやすいと考えられています。

飲酒(アルコール)

アルコール摂取においては、胃の入り口にあたる噴門部の胃がんのリスクが高くなることが研究で明らかになっています。

アルコールが分解されて発生するアセトアルデヒドの毒性によって、口腔や咽喉頭・食道などのがん発生率が高くなることでも知られています。

また、最近の研究では、アルコール分解酵素を持っている量が少ない人に関して、飲酒量が増えるほど胃がんのリスクが高くなるという結果もあります。

ストレス

日常生活において、ストレス状態が続いている人では、胃炎や胃潰瘍のリスクとともに胃がんのリスクも高くなるる可能性があります。

ヘリコバクター・ピロリ菌

ピロリ菌の感染者は、感染していない人と比べて、胃がんの発生率が数倍になるという報告があります。

ピロリ菌の除菌治療は、胃がんの発生予防には有用だとされています。

また、ピロリ菌の感染者の喫煙や飲酒・塩分・ストレスなど他の因子が加わるとリスクがより高くなるという結果があります。

日本人と胃がん

「日本人に胃がんが多い」というのを耳にされた方は多いのではないでしょうか?国際的な統計で見ると胃がんは日本・中国・韓国などの東アジアに多くみられ、欧米では罹患率の低いがんだと言えます。

実際のところ、日本では部位別のがんの罹患者数や、部位別のがんによる死亡率で胃がんは長らく首位を保ってきました。

日本人の胃がんは男性に多くみられ、男性の部位別のがんの罹患者数では1位です。2015年度の予測では前立腺がんが上回ると予測されていますがそれでも2位には入ると予測されています。

女性では胃がんの罹患者数は横ばい状態で、1990年代から女性では、乳がんや大腸がんの罹患者数が胃がんの罹患者数を上回っています。

男女全体では、胃がんは2番目~3番目に多いがんになります。

年齢別で見ると胃がんは40代以降、高齢になるほど罹患率が高くなっています。若い世代での罹患率は減少していますが高齢化が進んでいるため、人口全体で見ると胃がん患者数はあまり減っていない状態です。

一方、胃がんによる死亡率は下がっています。

死亡数でも胃がんは長らく首位でしたが、現在では、肺がん・大腸がんに次いで3位となり減少しています。

これは罹患者数の減少と胃がん検診による早期発見・早期治療や、治療技術の発達によるものだと考えられています。

日本食と胃がん

がん研究センターの大規模な調査によって、日本人の伝統的な食生活と胃がんに関連性があるのではないかという結果が得られています。

日本人の胃がん発生のリスク要因として塩分の多い食事が挙げられています。

特に日本人がよく食べる、いくら・うに・数の子などの塩漬けの魚卵や塩辛・漬物などを多く食べる人ほど、胃がんのリスクが高いことが調査結果によりわかっています。

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胃がんとピロリ菌

ピロリ菌(ヘリコバクター・ピロリ菌)とは細長い形をした細菌になります。

胃の中は胃酸によって強い酸性なのですが、ピロリ菌は胃酸を中和する酵素を持っており、強酸性の胃の中でも生きられます。ピロリ菌は胃がんをはじめ、様々な病気との関連があると言われる細菌なのです。

ピロリ菌と胃がん(胃の病気)の関係

ピロリ菌と胃がんの関係は、しばしば耳にすることがありますが、必ずしもピロリ菌に感染したから胃がんになるというわけではありません。

最近の研究ではピロリ菌にも様々な種類があり、その毒性も異なることがわかっています。東アジアや日本人で感染が多い型では、胃がんの発生率が高いことがわかってきました。

ピロリ菌では胃がんだけでなく、慢性胃炎や萎縮性胃炎、さらには胃潰瘍のリスク要因となることが指摘されています。この慢性胃炎に関しては、胃がんのリスク要因でもあります。

日本のピロリ菌感染者においては、ピロリ菌に感染していない人と比べた胃がんのリスクは約5倍、ピロリ菌感染者で萎縮性胃炎を起こしている場合には約10倍にもなるという研究結果があります。

ピロリ菌検査

胃がんの発生率とピロリ菌の感染率は、40歳頃から多くなり、年齢が高くなるほど割合が高くなります。

このため、早期に感染の有無を発見して除菌することは、胃がんをはじめとする病気の予防に有用ではないかと考えられています。

ピロリ菌検査には、内視鏡を使わない検査と内視鏡を使う検査があります。

内視鏡を使わない検査

  1. 抗体検査:血液や尿中のピロリ菌に対する抗体を調べる検査です。
  2. 尿素呼気試験:特殊な尿素を含む試験薬を飲んで、数十分後に呼気を容器に吹き込んで調べる検査です。比較的簡素で精度も良い検査です。
  3. 便中抗原検査:便の中に排泄されるピロリ抗原の検査。負担がなく簡単なので子供でも行いやすいです。

内視鏡(胃カメラ)を使った検査

内視鏡を使って胃の粘膜や組織を採取して検査します。このため、内視鏡による体の負担を伴う検査です。
  1. 迅速ウレアーゼ試験:胃の粘膜を取ってピロリ菌が作る酵素の有無を調べる検査です。数10分で検査結果が出ます。
  2. 培養法:採取した胃の粘膜を培養してピロリ菌の有無を調べる検査です。培養のため検査結果には数日かかります。
  3. 鏡検法:採取した胃の粘膜を顕微鏡で見る方法です。結果は早くわかりますが、精度は他の検査にくらべると落ちます。

ピロリ菌検査の費用

一般的に胃炎や胃潰瘍などの症状がない場合、胃がんの予防の目的での検査では保険適用にならないため、自己負担となります。

内視鏡を使わない検査であれば、全額負担でも数千~1万円前後、内視鏡を使用する検査に関しては費用がかかります。

お住まい自治体によっては、検査費用の一部負担や年齢に応じて検査のクーポンを配っていたりします。

ピロリ菌の除菌治療

ピロリ菌の代表的な除菌方法

ピロリ菌の標準的な除菌方法は「3剤併用療法」と呼ばれ、抗生物質(いわゆる抗菌薬)2種類と胃酸を抑える薬(プロトンポンプ阻害薬)とを組み合わせて1週間内服する方法です。

最近、抗生物質に菌の耐性がついてきているため、ピロリ菌除去の成功率は7割程度とされています。このため、抗生物質の内容を変えた治療法も推奨されており、こちらの成功率が9割となっています。

薬の内服を終えたら、治療前と同様にピロリ菌検査を行って陰性になったかどうかを確認します。

薬以外の除菌方法

最近ではプロバイオティクスの研究が盛んになっています。一部の乳酸菌などを含む食品では、ピロリ菌抑制効果があるとも発表されていて、そのような商品も発売されています。

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胃がんの症状

胃がんは特徴的だと言える初期段階での症状は乏しく、これといった初期症状が少ないのが胃がんの特徴とも言えるかもしれません。

胃粘膜にがん細胞が発生し、進行して行くとその部分が盛り上がり潰瘍のように、くぼんだりしながら粘膜より下の筋肉などの層に進んでいきます。

そのことから、少し粘膜異常では症状を自覚しにくく、その前の盛り上がっていない状態ならなおさら症状が少ないのです。

胃がんの初期段階に多い症状

胃がんの初期症状としてよく見られるものには以下のようなものがあります。
  1. 胃の不快感、なんとなく胃の調子が悪いように感じる、胃がすっきりしない
  2. 胃の膨満感(胃が張る感じがする)
  3. 胃もたれがする
  4. むかつき、胸やけ、吐き気
  5. げっぷが増える
  6. 食欲不振
  7. 口臭がきつくなった
上記のような症状は、胃炎や胃潰瘍などにもよくある症状です。また、体調が悪かったり、食事が合わなかったりといった日常生活の中でも起こりやすい不調と言えます。

胃がんによる腹痛

胃がんの主な症状の一つに腹痛がありますが、腹痛と言っても人よって痛み方には違いがあります。また、胃がんの進行状況によっても痛みの質は異なってきますので様々になります。

胃がんの進行に伴って痛み方も様々で、痛むタイミングや場所が変化したりもします。また、それぞれの痛み方が複合して現れることもあります。

胃がんが大きくない初期段階、胃の粘膜の表面やその付近にがんがある場合、腹痛を感じる方は少なくなります。

しかし、胃がんの腹痛という症状は患者さんによって様々で、初期から痛みを訴える人もいれば、進行していても痛みが起こらない場合もあります。

痛みが起こりやすい場所

胃がんの痛みとして多く言われているのが、みぞおちの痛み(心窩部痛)です。みぞおちとは、左右肋骨の中央末端のくぼみの部分で、ちょうど胃が位置しているためです。

胃は腹壁で最も上方にある臓器ですので、胃がんの腹痛は上腹部の痛みとして感じられることが多くなります。心窩部痛は、痛みが散って背中や肩の方に抜けるような痛み方をするケースがあり、背中が凝っていると感じる方も少なくありません。

また、腹部のリンパ節転移や腹膜転移していると、腹部全体や下腹部に腹痛が移動したり、肝転移がある場合では、右の脇腹・右の背中に痛みを感じることがあります。

慢性的に持続する心窩部痛や上腹痛

時間やタイミングに関係なく、常に感じられる心窩部痛や上腹部痛は、胃がんが原因となっている可能性があります。

これは胃がん自体が痛みの刺激となっているため、食事を食べる・食べないといった条件に関わらず持続する痛みがあることが考えられます。

痛みの程度は様々ですが、初期には違和感や不快感だったり、鈍痛であることが多く、進行して行くと痛みが増して行くことがあります。

食後や食事中に起こる心窩部痛

食事をすると強い酸性の胃酸が刺激になることが原因で、心窩部痛が起こることがあります。これは粘膜の傷が原因であることが多く、胃潰瘍に多い痛みになります。

胃がんは胃潰瘍のように粘膜をえぐるような傷を作りながら進行していくことがあり、胃がんにおいても同じような腹痛が現れることがあります。

下腹部や腹部全体に起こる腹痛・便通に絡む腹痛

下腹部や腹部全体が痛む場合、リンパ節転移・腹膜転移・大腸など他の臓器への転移が原因となっている可能性があります。

リンパ節や腹膜に転移すると腸を圧迫することがあり、また、刺激すると便通や腸の動きと連動するように痛むことがあります。

進行胃がんの症状

胃がんの進行具合は、がん細胞が胃の粘膜深くに進んでいるか(深達度)と、リンパ節や他の臓器への転移の有無と程度とを総合した病期(ステージ)で表されます。

「進行胃がん」とは、深達度から見た胃がんの分類で、胃がんが胃粘膜4層のうち、内側から2層目の粘膜下層を超えている状態を指します。

つまり、「進行胃がん」と言っても、粘膜下層に到達した範囲が限られたものから、多臓器に転移が進んだ末期状態まで実に様々な状態を含みます。

このため、進行胃がんの症状は、どのくらい病気が進行しているか、どんな風に進行しているかによって実に様々です。

進行胃がんで見られる様々な症状

進行胃がんで見られる様々な症状を下に挙げてみました。
  • 全く症状がない
  • 胃の慢性的な不快感、違和感
  • 胃の膨満感(胃の辺りが張る感じ)
  • 胃もたれ、むかつき、胸やけ、吐き気、嘔吐
  • げっぷ(曖気)がよく出る
  • 食欲不振
  • 腹痛(主に胃痛・心窩部痛(みぞおちの痛み)・上腹部痛)、背部痛、肩こり
  • 吐血、下血、黒色便、大便に黒いものが混じる
  • 微熱、倦怠感
  • 貧血症状(顔色不良、立ちくらみ)、血液検査で貧血の所見が出る
  • 急激な体重減少(数か月で数kg以上)
  • 腹痛(特に腹部全体の痛み・下腹部痛)、腰痛
  • 便秘、下痢、下痢と便秘を繰り返す
  • 腹水、むくみ
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上記は大まかではありますが、下方の症状になるほど、がんが進んでいる時によく見られる症状となり、さらに転移が起こったり、末期になると複数の症状が複合的に起こることもしばしばです。

腹痛の症状ですが、胃がんではかなり進行しないと自覚されないことが多く、腹痛ではなく、慢性的な不快感や膨満感、むかつきとして自覚される方が少なくありません。

いずれにしても、普段の生活において少しの体調不順と考えがちとなりますので気を付けたいところです。

症状との付き合い方

進行胃がんの症状は個人差が大きく、転移を起こしているように進行度の高い胃がんでも、症状がほとんどないという方も少なくありません。

胃がんの症状が現われはじめるのは、大きくなった胃がんや転移がんにより、圧迫刺激されることが原因と考えられます。

そのようなことから、症状がない・症状が緩和されたというのは、がんが進行していないという目安にはならないのです。

症状は苦痛をもたらすものです。日常生活に影響したり生活の質を低下させたりしないよう、症状は「軽減されるべきもの」と考え、病状や治療の進み具合とは分けて考えるのが上手な付き合い方なのかもしれません。

胃がんと慢性胃炎

慢性胃炎は胃がんと違う病気となりますが、胃がんの発生に慢性胃炎の関与が考えられています。

慢性胃炎の多くは、ヘリコバクター・ピロリ菌感染・ストレス・飲酒・喫煙などのリスク要因が、関連しているのではと言われています。

慢性胃炎を患うと、治癒しにくく、数か月、時には数十年も胃の炎症が続くケースがあります。

慢性胃炎の炎症の過程では、胃の粘膜を修復時に粘膜が縮んで硬くなる萎縮が起こり、この萎縮の過程で細胞ががん化しやすいことがわかっています。

このことから慢性胃炎の罹患者は、慢性胃炎でない人に比べて胃がんの発症リスクが数倍になるという研究結果があります。

また、ピロリ菌に感染し、萎縮性胃炎を罹患している人は、さらに胃がんに移行する確率が上がり、何もない人と比べるとリスクは10倍ほどになるとのことです。

慢性胃炎との区別

胃がんと慢性胃炎とは、バリウム検査や症状からでは区別が難しい場合があります。

バリウム検査においては、明らかな腫瘍(できもの)や、くぼみ等の立体的な変化の影を見る検査となるので区別は難しいでしょう。

また、胃に凹凸等を確認したとしても、がん細胞の存在を特定しなければ胃がんという診断はできません。

胃がんのがん細胞は、専用の染料にて染まりやすく、胃カメラ検査の際に胃の粘膜に染料を吹きかけて、がん細胞の有無を確認することが可能です。

また、胃の粘膜の一部を採取し、顕微鏡で見る組織検査(生検)では、がん細胞の有無を肉眼的に確認し、胃がんと慢性胃炎の区別することが可能です。

慢性胃炎の症状

症状から胃がんと慢性胃炎を区別することも困難と言えます。

胃がんの症状の多くは、胃の粘膜の変化によって起こるため、慢性胃炎の症状にとても似ています。

慢性胃炎の主な症状は、胃の慢性的な不快感・胃や腹部の膨満感(張る感じ)・むかつき・胸やけ・胃もたれ・食欲不振などですが、症状がほとんどないない場合もあります。

これらの症状は胃がんにおいても比較的に見られる症状で、進行胃がんでも症状が乏しいこともあります。

さらにこのような症状は、体調不良や暴飲暴食のものだと思ったり、市販の胃腸薬を飲んでやり過ごしたりと症状を抱えたまま過ごしてしまう人も少なくありません。

慢性胃炎は、胃がんへの移行のリスクがあるので、このような症状がある場合や気になる人は、早めに診察を受けることが胃がんの早期発見には得策です。

胃がんと胃潰瘍の違い

胃がんと胃潰瘍は全く違う病気となり、胃潰瘍は胃の粘膜に傷がついてクレーターのようにくぼみができたり、穴が開いたようになる病気です。

しかし、胃がんにおいても胃潰瘍と似たような症状があり、胃がんの組織はもろく、見た目だけでは胃潰瘍のように見えることもあります。

胃潰瘍と胃がんの共通のリスク要因として、ピロリ菌の感染があり、感染によって胃潰瘍になっている組織からがんが発生することもあります。

まとめると、見た目では胃がんと胃潰瘍はとても似ており、胃がんの起こり方と胃潰瘍とが関係していることもわかります。

症状の違い

胃がんと胃潰瘍の症状もとても似ています。なぜなら、いずれの症状も胃の粘膜の変化によって起こるからです。

胃がんの主な症状としては、胃痛・心窩部痛(みぞおちの痛み)・胃の不快感・胃もたれ・吐き気・むかつき・胃の膨満感・食欲不振・吐血や下血・貧血などがありますが、いずれも胃潰瘍でもよく見られる症状です。

強いて違いを言えば、胃がんの痛みは食事や日常生活に関係なく持続的に痛む場合が多くなります。

対して胃潰瘍では、主に食後や食事中に痛むことが多くなり、これは傷ついた胃粘膜を胃液が刺激することによって起こるからと考えられます。

しかし、胃潰瘍でも慢性的な痛みを訴える人もいたりと、人によって痛み方は様々です。

また、胃潰瘍に類似した病気として十二指腸潰瘍がありますが、十二指腸潰瘍では空腹時に痛むことが多く、胃潰瘍と十二指腸潰瘍を併発することもあります。

以上のようなことから、症状だけでは胃がんと胃潰瘍の断するのはとても難しいことだと言えます。

胃がんと胃潰瘍の診断

このように見た目でも症状でも胃がんと胃潰瘍は似たところがありますが、違いはどのように判断するのでしょうか?誤診はないのでしょうか?

結局のところ、胃がんと胃潰瘍の違いは「がん細胞があるかどうか」ということになります。

このため、胃カメラなどの技術や診断基準が発達していない時代には、残念ながら誤診があったことは否定できません。

しかし、現在では胃カメラの検査では、がん細胞を特定できる染色検査をしたり、胃粘膜を採取して顕微鏡で確認する生検を行うことで、がん細胞の有無を詳細に確認することが可能になってきています。

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胃がんの末期症状

まず、胃がんの末期というと、どのような状態なのかについて考えてみましょう。

「末期」という言葉は一般によく使われる言葉ですが、これに対して医療用語としてよく使われている言葉に「終末期」という言葉があり、概ね「末期」とは「終末期」を指していることが多いと思われます。

ここでは「末期=終末期」として書いてあるとお考え下さい。ところで、「終末期」とは何かについて実は世界保健機構(WHO)や厚生労働省・学会などでも明確な定義はしていません。

共通理解されている意味としては「これまでに明らかにされている治療方法では治癒・回復は無理だと医師が診断した状態で、余命は概ね数か月(半年)程度と予想される状態」とされています。

胃がんステージ4と末期

胃がんがどのくらい進行しているかは病期(ステージ)という基準で表されます。ステージとは、胃がんが粘膜のどのくらいの深さまで進んでいるかの深達度転移の有無とを用いた基準になります。

ステージは1~4期で表されますが、最も進行しているとされるステージ4は「胃から離れた位置にある臓器(遠隔臓器=肝臓・肺・腹膜など)への転移がある場合もしくは、多数(16個以上)のリンパ節転移がある状態」を指します。

ステージ4では、肝臓や腹膜に転移がある場合もあれば、多数のリンパ節転移や複数臓器への転移があるケースなど状態は様々となうことから、ステージ4でも「末期」を指す言葉ではありません。

胃がんの末期に見られる症状

胃がんの末期で比較的よく見られる症状は以下の通りです。
  1. 痛み(心窩部痛(みぞおちの痛み)・腹痛・背部痛・腰痛、そのほか様々な痛み)
  2. 強い吐き気、嘔吐
  3. 胃部や腹部の張り(膨満感)
  4. 食欲不振、著しく痩せる
  5. 吐血・下血・黒色便
  6. 腹水・むくみ
  7. 腹部にしこりを触れる
  8. その他、転移した臓器によって異なる様々な症状

痛み

胃がんの末期では、痛みを伴うことがよくあります。胃そのものによる痛みとしては、みぞおちの痛みや腹痛、時には背部痛として現れることがあります。

また、胃以外にリンパ節や肝臓・膵臓・腹膜・骨などに転移することで、背部痛や腰痛など様々な部位が痛むことがあります。

がんによる痛みは、食前食後を問わずに持続的な痛みのことが多く、苦痛を伴う症状です。このため、緩和治療で痛みを和らげる治療が最優先されることがあります。

強い吐き気・嘔吐

胃にできたがん・胃の周辺にできたがん、がんによる胃粘膜の不調から、吐き気や嘔吐が起こります。

胃部や腹部の膨満感

胃や胃の周りのリンパ節や腹膜などにがんがあると、その刺激で常に胃やお腹が張ったような感じになることがあります。

胃粘膜の不調により、消化不良を起こし、食べ物が停滞して膨満感を感じることもあります。

食欲不振、著しく痩せる

痛みや吐き気、膨満感、がんによる刺激等で食欲が落ちることがあります。また、がん細胞がエネルギーを消耗し、せっかく摂った栄養を奪われることで痩せてしまうこともあります。

吐血・下血・黒色便

がん組織は脆く(もろく)、血管が豊富にあるため、胃がんの組織が傷ついて出血することがあります。

吐血や下血、黒色便(胃で出血した血液が含まれた便)はこのために起こります。

腹水・むくみ

胃がんが、リンパ節・腹膜・肝臓に転移することで、腹水や浮腫み(むくみ)が起こることがあります。

胃がんの症状チェック

胃がんの症状には「特有とするものがない」とよく言われます。

胃がんは胃の粘膜から発生し、胃粘膜に異常が起きたり、胃粘膜の働きが悪くなることによって症状が引き起こります。

つまり、胃がんの症状は他の胃の病気や、日常的な体調不良でも起こり得る症状を含むため、症状を見ていても他の病気との区別しずらく、紛らわしいものなのです。

このようなことから、厚生労働省では症状がなくても胃がん検診を受けることを勧めています。

胃がんの症状チェックには意義があります。それはなぜでしょうか?

まず、私たちが日常的に胃がんに注意するには、症状が一つの目安にはなるということです。

胃がんを罹患していても症状は乏しく、症状が現れた時には既に進行しているケースも少なくなく、つまり、症状があるのに放置するのは危険だということです。

また、慢性胃炎や胃潰瘍といった、他の胃の病気が胃がんの前段階になることがあります。

そのようなことから症状チェックをし、気になる症状がある場合、胃炎や胃潰瘍の段階で治療しておくか、定期的に検診を受けることが胃がんの予防と早期発見に繋がるのです。

胃がんチェックをしてみよう

胃がんで見られる症状を以下に挙げてみました。大まかにではありますが、下方になると症状ほど進行している可能性が高い症状となります。

☑胃の不快感が続いている、ずっと胃がすっきりしない感じがする
☑胃の膨満感がある(胃が張る感じがする)
☑胃もたれがある
☑むかつき、胸やけ、吐き気がある
☑げっぷが多くなったようだ
☑口臭がきつくなった
☑食欲が進まない
☑胃の痛みがある、みぞおち辺りが痛む
☑黒い便が出る、便にコーヒーかすのような黒いものが混じる
☑微熱が続いている
☑顔色が悪いと言われる、立ちくらみなど貧血症状がある
☑特に何もしていないのに急に体重が減った(数か月で数kg以上)

一番最後に挙げた極端な体重減少以外は、胃炎や胃潰瘍などでも多く見られる症状です。

上記の何個に当てはまると胃がんという基準や目安はありませんが、症状が多く当てはまるようであれば早めの受診・検査をお勧めします。

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胃がんの治療・手術

胃がんの治癒を目的とする基本治療は、手術療法・抗がん剤治療・放射線治療の3つが一般的です。これらの基本治療に組み合わせて、症状を軽減するための対症療法や緩和療法が行われます。

また、手術は体への負担が大きい治療方法でもありますので、比較的早期の胃がんには内視鏡治療等が行われています。

胃がんの治療方針

胃がんの治療方針は、胃がん治療ガイドラインにある標準治療に基づいて決められます。また、治療ガイドラインでは、がんの進行度(病期・ステージ)によって標準治療が挙げられています。

基本治療の中で、これまでの治療の経験則から、胃がんの治癒や生存率の向上に最も効果があるのが手術療法だとされています。

手術療法に次いでよく行われる治療は抗がん剤治療(薬物療法・化学療法)です。こちらも長年の治療研究によって、抗がん剤の組み合わせや用法用量は標準的な方法が決められています。

また、放射線治療に関しては、胃がんそのものよりも手術で取り切れないリンパ節や腹腔・他臓器への転移に対して行われることが多くなります。

ステージ毎の治療方針

ステージⅠ~Ⅲの治療

胃がんで最も根治的だと言われているのは手術です。手術療法は、がん細胞や転移の範囲が限定されているステージⅠ~Ⅲでは第一選択治療となります。

リンパ節や他臓器への転移の有無によっては、手術に抗がん剤治療を追加されるかが考慮されます。このような手術後の抗がん剤治療においては、再発のリスクを抑える目的で行われます。

尚、ステージⅠの中でも「早期がん」の状態、つまり、がんが胃の粘膜~粘膜下層までに収まっておりなおかつリンパ節転移がない状態であれば、外科手術の代わりに内視鏡治療(内視鏡手術)が行われることがあります。

ステージⅣの治療※一部のステージⅢを含む

がんが最も進行した状態であるステージⅣでは、胃とは隣接していない臓器(遠隔臓器)への転移や腹膜転移がある状態が考えられます。

また、ステージⅣに関しては、手術後でも目に見えない転移が既に起こっている可能性があり、再発もしやすい状態だと言えます。

このため、ステージⅣでは手術ではなく、抗がん剤治療が優先して行われます。また、リンパ節転移や腹膜転移・他臓器への転移に対して放射線治療が適応となることがあります。

ステージⅢにおいて、がん細胞が大きさや手術が難しい部位にある場合、あるいは転移の数が多いケースでは、ステージⅣと同様に化学療法でがん細胞を小さくしてから手術が行われる場合があります。

緩和治療

手術を行うことが難しいステージⅢやⅣの患者さんにおいて、痛みや吐き気・食欲不振などといった、がんによる症状が強い場合があります。

そのような場合、症状を軽減して体力を回復させる、あるいは日常生活を過ごしやすくすることを特に重視した治療が行われます。これを緩和治療と呼びます。

緩和治療では、症状の苦痛やそれに伴う精神的・社会的な苦痛を抑える治療が主になり、使用される薬剤の種類も様々となります。

抗がん剤を緩和治療目的で使用されることや、食事が食べられない場合には手術を行われることもあります。

緩和治療というと終末期医療のイメージが強いですが、ステージを選ばずに症状に苦しむ方に行われる治療になります。

多くのがん拠点病院では、緩和治療のスペシャリストが在籍されています。

胃がんの外科手術

胃がんで行われる手術にはその目的別で分けると「胃がんの治癒を目的とした治癒手術」と「がんの治癒以外を目的とした非治癒手術」とがあります。

外科手術以外では、治癒目的で行われる内視鏡手術(内視鏡治療)等があります。

胃がんの治癒手術

胃がんの治癒手術とは、胃がんの完治を目的として行われる手術となり、さらに定型手術と非定型手術に分けられます。

胃がんの定型手術

定型手術とは、長年の治療研究の積み重ねによって治療方法が確立された手術になります。

内容は、がん病巣とその周囲を含めた範囲の胃を2/3以上、胃の周辺のリンパ節を広めに切除する(D2リンパ節郭清)方法です。

定型手術の術式には胃がんの発生箇所によって、噴門側切除・幽門側切除・胃全摘などが決められます。

最近では更なる治療技術の進歩により、腹腔鏡下手術で行われることが多くなりました。

胃がんのステージⅠ~Ⅲの多くは定型手術が適応となります。

定形手術の入院期間ですが3週間程度(大きな合併症がない場合)となりますが、腹腔鏡下手術では、開腹手術より数日入院期間が短くなる場合が多いです。

胃がんの非定型手術

胃がんの進行度や広がり方によって、定型手術とは異なる範囲の切除を行う手術です。

定型手術より小さな切除範囲の手術を縮小手術、逆に大きな切除範囲(さらに広い範囲でのリンパ節郭清や、膵臓・肝臓・脾臓・大腸など他臓器の切除を伴う)の手術を拡大手術と呼びます。

拡大手術の適応は、リンパ節や隣接臓器に転移のある進行胃がん(主にステージⅡ~Ⅲ)となります。

非定型手術の入院期間ですが、縮小手術は定型手術より短めで拡大手術では長めとなります。

胃がんの非治癒手術

非治癒手術とは、胃がんの治癒を目指す目的以外で行われる手術となり、緩和手術や減量手術があります。

胃がんの非治癒手術では胃切除しないケースが多く、合併症に関しては治癒手術とは異なります。手術を受ける際に医師からの説明で確認しておきましょう。

緩和手術・姑息的手術

緩和手術ではがんによる症状を軽減したり、その症状による生命の危険を回避するために行われる手術です。

胃がんの治癒を目的とせず、症状を軽減させる目的で行われる手術は姑息的手術とも呼ばれます。

がん細胞によって胃や周辺の消化管が狭くなり、食べ物が食べられない時に胃と空腸をつないで食べ物を摂りやすくする胃-空腸バイパス手術は代表的な緩和手術になります。

その他、姑息的手術では、がんからの出血を止めるための手術、がんによって胃の壁が破れた(穿孔)ことに対する洗浄と整復の手術、がんによる圧迫で起きた腸閉塞を解除する手術などがあります。

減量手術

手術によって、がん細胞の量を減らすことで症状を軽減したり、進行を抑えて延命したりすることを目的に行われる手術です。

胃がんの内視鏡手術(内視鏡治療)

がん組織が胃の表層である粘膜内にとどまっている、つまり早期がんにおいては根治治療として内視鏡手術が適応となる場合があります。

内視鏡手術は、胃内視鏡検査(胃カメラ)とそれほど体への負担も変わりません。保険適用上は「手術」となりますが、外科手術と比べると入院期間も短く、合併症がなければ数日程度で退院となります。

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胃がん手術の種類と特徴

胃がんの治癒を目指す手術(治癒手術)には、定型手術非定型手術があります。定型手術とは胃がんの治癒を目的とされる手術となり、これまで標準的に行われてきた手術方法になります。

定型手術では、がんを含めた胃の2/3以上と周辺のリンパ節を切除(D2リンパ節郭清)します。

胃切除手術の合併症

胃がんの治癒手術では胃切除を伴いますが、それには特徴的な合併症を伴います。m術式や再建法によって合併症のリスクが異なります。

縫合不全(ほうごうふぜん)

胃は消化管の中でも唯一、胃液を分泌する強酸の環境のため、手術で切った部分をそのまま繋ぐと上手く繋がらない場合があります。

また、胃の前後の食道や十二指腸においても内部環境が異なるため、そのまま繋いでしまうとやはり繋がりにくい場合があります。

胃のような消化管の手術においての代表的な合併症となり、縫合不全というものです。

縫合不全を起こした場合、感染を起こし熱や痛みが出たり、酷い場合には繋がらなかった部分から腹腔に胃の内容物が漏れ、腹膜炎となることがあります。

このため、胃の手術後は1~数日は絶飲食とされ、傷の安静を保って縫合不全を防ぐためには大切なことになります。

このような縫合不全の危険を減らすため、胃のどこを繋ぐかという再建法が大事になり、定型手術では長年の手術経験の蓄積によって色々な再建法が考え出されています。

ダンピング症候群

手術後、食べ物を溜めたり消化する機能が弱くなるため、急激に腸が動いたり、消化管ホルモンが分泌されたりすることで、食後に体調が悪くなることがあります。

これは胃の手術に特徴的な合併症でダンピング症候群と呼びます。

食べ物の逆流

胃と食道の境目部分に噴門という部分があります。きんちゃく袋の紐のように胃に食べ物を留める役割をしていたのですが、手術で切除することで食べ物が逆流し、様々な症状が現れます。

胃がんの定型手術の種類

幽門側胃切除術

胃がんの手術で最もよく行われている定型手術です。胃と十二指腸との境目の幽門を含む、胃の肛門側の部分2/3の切除と周辺リンパ節の郭清を行う術式です。

残った胃と十二指腸をそのままつなぐ再建法(ビルロートⅠ法)では縫合不全を起こすこともあるため、空腸とつないで縫合不全の危険を減らす再建法がとられることもがあります(ビルロートⅡ法)。

再建法は一長一短になりますので、その患者んの状態に応じて方法は選択されます。

この手術では、幽門を切除することで胃に食べ物を溜めることが難しくなるため、合併症のダンピング症候群が起こりやすくなります。

これに対して幽門の機能を温存するための術式が幽門保存胃切除術(幽門温存胃切除術)です。比較的がん組織の範囲が小さい場合に選択されます。

噴門側胃切除術

胃の食道側の部分に発生した胃がんに対してとられる術式です。比較的に早期がんで行われる場合が多くなります。

この手術では噴門を切除するため、合併症では逆流を起こしやすくなるのが特徴です。一方、この手術では幽門は残りますのでダンピング症候群は起こりにくくなります。

しかし、食道と残った胃をそのまま繋ぐと縫合不全を起こしやすいため、間に切除した空腸を持ってきて繋ぐのが代表的な再建法になります。

胃全摘術

胃全摘術では、胃の全部と周辺のリンパ節を摘出しますが、多くが同時に脾臓も摘出します。脾臓は血液細胞の代謝に関連する臓器ですが、摘出しても体にさほど大きな影響はない臓器とされています。

胃を切除して食道と十二指腸を直接繋ぐと縫合不全を起こしやすいため、間に空腸を繋いで再建します。

胃全摘術後は、食べ物が食道から空腸に直ぐに入り込むため、ダンピング症候群が起こりやすくなります。また、噴門も切除するため、逆流も起こりやすくなります。

胃がんの非定型手術

非定型手術は、がんの進行度に応じて定型手術の切除範囲を変えたものになります。定型手術に比べて狭い範囲を切除する縮小手術、また、より広く切除する場合を拡大手術と呼びます。

縮小手術には高齢者などで手術後の合併症に配慮し、切除範囲を狭く限定した胃部分摘出術や、幽門の機能を温存して合併症の軽減を狙った幽門保存胃切除術などがあります。

一方の拡大手術では、進行度に応じて術式は様々となり、胃の切除に加えて脾臓・十二指腸・膵臓・肝臓・大腸・腹腔内のリンパ節などが切除されます。

特に膵臓や肝臓といった臓器を同時に切除する際には、再建方法も複雑になり、定型手術よりも合併症の危険度が増します。

胃がんの内視鏡手術

胃がん治療において、最も根治的だとされているのは手術によるがん組織の切除です。

胃がんの手術で主に行われているのは、外科手術(メスを使って腹壁を切開して行う手術)ですが、リンパ節転移がない早期胃がん(深さが胃の粘膜~粘膜下層までの胃がん)に限って内視鏡手術の適応とされます。

内視鏡手術の特徴

ここで言う内視鏡手術は、いわゆる胃カメラの先端に組織を切り取るための器具を装着して行う手術になります。(ここでは、外科手術で使う内視鏡は腹腔鏡と呼んで区別させていただいています。)

内視鏡手術は胃カメラ検査と同じ感覚で手術を受けることができるため、外科手術と違って体の負担がとても軽いのが特徴です。

手術を受ける側の準備は、胃内視鏡検査と同様の内容で麻酔は、のどに局所麻酔をする程度で済み、一般的にその日のうちから歩くことが可能です。

胃がんの内視鏡手術の種類

内視鏡手術には切除の方法や切除する範囲によって2つの種類があります。
  • MR(内視鏡的粘膜切除術)
  • ESD(内視鏡的粘膜下層剥離術)

EMR(内視鏡的粘膜切除術)

EMRとは、高周波スメアという医療器具を使用し、がん組織を含む胃粘膜を切除する方法です。スメアとは、カウボーイの投げ縄のような輪になったワイヤーです。

これをがん組織の部分に引っ掛けて、ワイヤーを絞めながら高周波の電流を流すことで焼き切ります。ワイヤーの大きさには限界があるため、おおむね直径2cm程度の大きさまでのがんが治療対象となります。

手術時間は20分~1時間程度、基本的に手術翌日から流動食など食事が開始され、徐々に普通食に戻ります。入院期間は合併症がなければ4日~1週間程度です。

ESD(内視鏡的粘膜下層剥離術)

ESDとは、高周波ナイフ(高周波メス)を使用し、粘膜下層までを薄く剥がすように焼き切る方法です。EMRと比べるとより大きな胃がん(おおむね10cm程度まで)も手術対象となっています。

ESDでは薄い胃の壁をけ必要以上に傷つけずに、がん組織をだけを焼き切る技術が難しく、術者は内視鏡下での処置に熟達している必要があります。

また、EMRに比べると手術時間はやや長く、おおよそ1時間程度はかかります。

切除範囲や医療機関の方針にもよりますが、手術翌日頃から流動食などが開始され、数日かけて普通食に戻っていきます。入院期間は1週間程度が目安です。

内視鏡手術の合併症

内視鏡手術による主な合併症は穿孔と出血です。

穿孔とは胃の壁に穴が開いてしまうことです。内視鏡手術で深く切除してしまうと穿孔が起こる恐れがあります。穿孔を起こすと腹痛や吐き気・発熱などが起こり、腹膜炎に至る場合もあります。

また、手術の傷が血管の近くだった場合や、手術中の止血が不十分だった際に出血が起こることがあり、出血を起こすと気分不良・吐血・黒色便などの症状が見られることがあります。

いずれも内視鏡で処置できることが多いですが、酷い場合には外科手術で緊急処置をするケースもあります。

このため、手術後は胃の安静を守り、手術の傷が胃酸で傷つけられないように一時的に絶食をしたり、胃酸を抑える薬などが処方されることが多くなります。

胃がんの腹腔鏡下手術

腹腔鏡下手術とは、腹部を小さく数か所切開して腹腔鏡というカメラや手術器具を挿入し、腹腔内をモニターで確認しながら行われる外科手術です。

いわゆる胃カメラを使う内視鏡手術とは、異なる手術です。

胃がんの治療ガイドライン上においては、治療研究段階とされており、長期的な治療結果については明らかにはなっていませんが、開腹手術とさほど変わりはないと考えられています。

既に定型手術では、保険診療も認められています。実施医療機関は増えてきていますが、手術可能な病院が限られているのが実情です。

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胃がんの腹腔鏡下手術の長所

腹腔鏡下手術には以下のようなメリットがあるとされています。

傷が小さいため体力の回復も早い

通常、胃がんの開腹手術であれば15cm程度切開することになるのですが、腹腔鏡下手術では3~5cm程度の切開を4~5か所で行えるため、手術時間が短く済むことが多くなります。

また、傷による痛みが少ないため、手術後の歩行もしやすく、体力の回復が早いのが大きなメリットです。さらに手術後の傷も目立ちにくくなります。

手術後の食事の開始が早い

腹腔鏡下手術では、手術時間や麻酔時間が短いことから、腸の動きの回復も早いケースが多くなります。

腸の動きが早く回復すれば、その分より「早く食事を再開できる」ということになります。このために入院期間も短くなることが予測されます。

腸閉塞のリスクが低い

腹腔鏡下手術では、術後の腸の動きの回復が早いため、腹部の手術で起こりやすい合併症の一つ腸閉塞のリスクが軽減されます。

全身麻酔による呼吸器合併症のリスクが軽減される

腹腔鏡下手術では、麻酔時間が比較的短く、術後の回復が早いことから、呼吸器の合併症のリスクが軽減されます。

腹腔鏡下手術の短所

腹腔鏡下手術は、開腹手術に比べて執刀医の手術視野が狭くなります。このため、複雑な手術操作や広い範囲の手術には向いていないとされています。

また、手術視野が狭いことから、執刀医の技術に負うところがあるのも実情です。ごく稀ですが手術中に誤って傷つけてしまう可能性も0%ではありません。

腹腔鏡下手術では、全身麻酔が必要となるため、高齢者や循環器・呼吸器疾患を持った人など、腹腔鏡下手術は困難になる場合があります。

胃がんの腹腔鏡下手術の適応

腹腔鏡下手術は術者の技量にもよるため、適応は実施医療機関により異なる場合があります。

胃がんの手術のうち、定型手術(幽門側胃切除術・噴門側胃切除術・胃全摘術)では、腹腔鏡下手術は概ね適応となっています。

また、胃部分摘出術や幽門温存手術といった縮小手術も腹腔鏡下手術で行われる場合があります。

腹腔鏡下手術は、複雑な手術操作を不得意とするため、定型手術より広い範囲を切除したり、複雑な手術となることが多い拡大手術ではあまり適応にはなっていません。

胃がんの化学療法(抗がん剤)

薬物を使用して化学的に治療することを化学療法と呼ばれ、特にがん治療では、抗がん剤を使用したものを指しますが、分子標的薬での治療やホルモン療法も化学療法に含まれます。

胃がんの化学療法の適応

胃がんの治療方針は、治療ガイドラインに沿って検討されます。胃がんの根治的治療としては、一般的に手術療法が第一選択治療となります。

化学療法は、術後の再発や転移を防ぐためや、直ぐに手術を行えない場合等で行われたりします。

また、ステージⅣなどで手術が適応外な場合には、治療が化学療法から開始されることがあります。

抗がん剤を使った化学療法では副作用があり、体に負担がかかります。

そのため、化学療法の適応に関しては、全身状態や治療が行える十分な体力があるかなどが目安とされています。

胃がんの化学療法の流れ

胃がんの化学療法では、主流となる方法が大きく2種類あります。

1つ目は、トラツスマブという薬を使用し、そこに2種類の抗がん剤を組み合わせる方法です。

トラツスマブは分子標的薬で、細胞の表面に存在しているHER2タンパクという特殊なタンパク質に結合することで効果を発揮する薬とされています。

2つ目は、S-1とシスプラチンという2種類の抗がん剤(もしくはそれと同系統の抗がん剤)を使った二剤併用療法です。

1つ目の治療方法の軸になるトラツスマブは、HER2タンパクが無ければ治療効果が見込めないことが多くなります。胃がんの化学療法では、まずはHER2検査を使用することが多いです。

HER2陽性の場合、トラツスマブを使う治療法の適応となり、陰性の場合には二剤併用療法が行われることが多くなります。

化学療法の前の状態を知る

化学療法の前に血液検査などを行ない、現在の骨髄の状態や腎機能・肝機能・血糖値などを把握して、化学療法の負担に体が耐えられるかの確認する必要があります。

これは化学療法の副作用によって骨髄抑制(白血球・赤血球・血小板の減少)や腎機能・肝機能の低下の恐れや、化学療法とともに使うステロイド剤による血糖コントロールの不調の恐れが考えられるからです。

また、腫瘍マーカーやCT検査などで、がんの状態を把握しておくことで、化学療法後に再び同じ検査を行うことで化学療法の効果を知ることができます。

治療前に医師からの説明

化学療法前に治療の方法や内容・副作用などについて医師から説明があります。最近では薬剤については薬剤師から、治療の流れや入院生活については看護師から説明を行っている病院がほとんどです。

化学療法を行う前には、がん告知も行っていることが大前提となっています。

化学療法は入院が必要

胃がんの化学療法は副作用もあるため、初回はどんな治療方法でも入院治療が原則です。

胃がんの化学療法では、数か月から1年に渡って治療を繰り返すため、初回の入院ではその後の療養生活指導が行われることが多くなります。

シスプラチンを使う化学療法では、シスプラチンによる腎臓への影響を軽減するために大量の点滴が必要となるので基本的に入院して行われます。

トラツスマブでは、アレルギー反応が出る可能性があるため、初回は入院治療が原則です。(その後の対応は医療機関や他の薬剤との組み合わせなどによります。)

胃がんの外来化学療法

胃がんでも外来治療が可能な化学療法はあります。

入院の必要なシスプラチンの代わりのオキサリプラチンを使う方法となり、これとS-1もしくはカペシタビンとの二剤併用療法などが考えられます。

外来で点滴を行い、自宅で抗がん剤の内服を継続と副作用の自己観察をし、定期的に外来で採血などの検査を行っていきます。

外来で化学療法を行う場合、患者自身が抗がん剤の副作用についてある程度理解をして自己管理できることが望ましいです。

化学療法後の検査

治療前と同じように採血で骨髄機能・腎機能・肝機能・血糖値などを見ながら、副作用の有無や程度を確認していきます。また、腫瘍マーカー検査で治療効果の確認があることが多くなります。

一般的にCT検査は、数回治療を行った後や腫瘍マーカーの値に変化があった時に画像にて、がんの状態を確認したい場合などに行われます。

化学療法を終えても治療効果が少ない場合、抗がん剤の種類の変更が検討されます。

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胃がんの分子標的薬治療

分子標的薬とは、抗がん剤の新しい種類の一つで、作用の仕方がこれまでの抗がん剤と異なります。

抗がん剤の多くは、がん細胞が増殖しやすいという特性に対して、その増殖を抑えたり、成長を遅らせたりする抗がん効果を発揮するのが一般的でした。

これに対して分子標的薬とは、ある特定の分子を持つがん細胞を標的にし、その遺伝子やたんぱく質を抑える働きをするとされており、近年では研究開発が進み、一部のがんでの治療効果が認められています。

分子標的薬の特徴

これまでの抗がん剤は、がん細胞と共に正常な細胞にも影響があり、副作用が避けられないことが多かったのですが、分子標的薬においては、標的になる細胞が限られているため、副作用が少ないのが特徴です。

胃がんにおける分子標的薬

胃がんでもいくつかの分子標的薬が開発されています。これにより最新のガイドラインでは標準治療も変化してきています。

分子標的薬は特定の分子を持つ、がん細胞に効果を発揮するため、ステージを問わず特異的な治療効果が期待されています。

トラツスマブ(ハーセプチン)

細胞の表面に存在するHER2タンパクに選択的に結びつくことで効果を発揮する分子標的薬とされています。胃がんの抗がん剤治療では一次治療薬の一つになります。

胃がんで抗がん剤治療の対象となった場合、HER2検査を行い、HER2検査が陽性の場合には、トラツスマブを含むメニューで治療が行われるのが一般的です。

トラツスマブの副作用では、初回投与時にアレルギー症状が出ることがあるため、投与には医師や看護師の観察下でゆっくりと投与されます。

アレルギーが出ると、悪寒・発熱・呼吸困難・アナフィラキシーショックなどの症状が現れます。

他の重大な副作用としては、心臓への影響が考えられるため、トラツスマブを投与した方は、心臓超音波検査を行って副作用の有無を継続的に確認していきます。

ラムシルマブ(サムライザ)

2015年6月に発売された分子標的薬です。新しい薬ですが治療研究では、再発胃がんへの生存率延長に有意な効果があったとされています。

2015年の治療ガイドラインでは、再発胃がんやステージⅣやⅢで抗がん剤治療を繰り返している場合などに用いられる、二次治療薬としてラムシルマブの使用が推奨されるようになりました。

使い方としては、ラムシルマブの単独療法もしくはパクリタキセルとの併用療法が一般的です。

重大な副作用としては、インフュージョンリアクション、動脈血栓塞栓症(心筋梗塞・脳梗塞など)、消化管出血、間質性肺炎などが考えられます。

インフュージョンリアクション(サイトカイン放出症候群、もしくは急性輸注反応)とは、アレルギーとは異なり抗体医薬品を投与した時に起こるもので、急に血中にサイトカインが放出されることで、悪寒・発熱・頻脈・血圧変動などといった様々な症状が起こるものです。

胃がんの放射線治療

放射線療法とは、患部に適量の医療放射線を当て、がん細胞を壊して小さくしたり、無くしたりする治療方法です。

がんの治療方法においては、手術・抗がん剤と共によく用いられる治療方法で、放射線治療が単独で行われることもあれば、手術や抗がん剤など他の治療と併用されることもあります。

外科手術と比べて放射線治療は、体への負担が少なく、手術が難しい場所や大きさのがんでも対応できるなどのメリットがあります。

胃がんの放射線治療の適応

胃がんの治療は治療ガイドラインに則って判断されますが、根治的な治療方法として優先的に選択されるのは手術療法となり、次に用いられるのは抗がん剤治療(化学療法)です。

胃がんでの放射線治療は、主にはリンパ節や他の臓器など転移した病巣への治療に用いられる他、がん組織による症状を緩和するために行われることが多くなります。

また、胃がんの転移巣の治療では、一般的には外部照射という体外から放射線を当てる方法がとられます。

胃がんの放射線治療の実際

胃内視鏡検査や胃生検、CT検査などによって病期(ステージ)が診断され、ステージによって治療方針が決められます。

放射線治療がよく行われるのは、ステージⅣや手術が困難な一部のステージⅢなどになります。

放射線治療計画の決定

CT検査やMRI検査といった画像検査を行って、がんの場所や大きさを知り、血液検査などで全身状態を確認した上で放射線治療の具体的な計画が立てられること多くなります。

照射部位や照射線量・照射期間は、その時のがんの大きさなどにより異なりますので、治療前の説明で確認しておきましょう。

治療期間中の様子

治療が長期になる場合、1週間に1回程度の採血を行って、骨髄への影響や副作用などないかの確認が行われます。場合によっては外来で治療をすることも可能です。

予定の治療が終了したとき

一般的に腫瘍マーカー検査で治療効果の判定が行われます。CT検査など画像検査を行って確認することもあります。また、血液検査は適宜続けて副作用の状況を判定します。

腫瘍マーカーの数値下がっていない、あるいは画像検査でがん組織の縮小が認められない場合、照射が追加されて照射期間が延長する場合があります。

放射線治療の副作用

放射線治療の副作用には以下のようなものがあります。照射部位や照射線量によっても副作用には個人差があります。
  • 骨髄抑制(白血球の減少により感染しやすい状態になる、赤血球の減少により貧血状態になる、血小板の減少により出血しやすい状態になる)
  • 全身の倦怠感、疲れやすい、体がだるい
  • 食欲の低下
  • 吐き気、むかつき(腹部の照射によって胃や腸の粘膜が荒れる)
  • 皮膚炎(照射部位の皮膚が赤みを帯びるなど炎症が起こる、かゆみやヒリヒリする感じが起こる)
  • 下痢(特に腹部のリンパ節や腹膜などに照射する場合に起こりやすい)
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胃がんの先進医療

先進医療とは「厚生労働大臣が定める高度の医療技術を用いた療養その他の療養」です。

大学病院やがん研究センターといった研究機関をはじめ、様々な医療施設では、がんのように治癒が困難な病気に対して様々な治療研究を行われています。

そのような高度な医療技術の中で、ある程度の安全性や治療効果が確認された医療技術で、今後保険診療の導入も視野に入れて評価を行うべきものとして厚生労働大臣が承認したものを先進医療と言います。

平成29年2月1日現在で109種類があります。

先進医療ではまだ「保険導入のための評価前」ですから、先進医療にかかる費用は全額自己負担になります。その費用のうち、通常の治療と共通する部分(検査・薬剤料や入院料など)は保険診療扱いです。

全額自己負担である一方、様々な分野で先進医療が承認されていて、先進医療を受ける機会も増えてきているため、がん保険などに先進医療特約(数百円~)を付加する方も増えてきています。

粒子線治療

先進医療の中でも比較的耳にされるのが粒子線治療ではないでしょうか。粒子線治療には陽子線治療や重粒子線治療があります。

放射線の中でも電子よりも重いものを粒子線と言います。粒子線には中間子線や陽子線・重粒子線などが含まれます。

通常の放射線治療では、X線・電子線・ガンマ線などが使われますが陽子線治療や重粒子線治療は、従来の放射線よりも病巣に集中的な照射が可能であり、放射線治療より副作用が軽減されると言われています。

胃がんの場合、胃にできたがんや複数のリンパ節転移は基本的に陽子線治療の対象ではありません。その他の部位にできた転移巣も個数が限局されたものが対象です。

重粒子線治療の場合、ほぼすべての固形のがんを対象としていますが、やはり胃や腸といった消化管にできたがんは位置が不定となるため、基本的に治療の適応ではありません。

また、以前に放射線治療を受けている部位や複数の転移がある場合も適応外となります。

いずれも治療費は約300万円、実施施設は陽子線治療が11か所、重粒子線治療は5か所とされています。

活性化自己リンパ球移入療法

活性化自己リンパ球移入療法は免疫療法(免疫細胞療法)と呼ばれる治療方法があります。

患者自身から採取した血液中のリンパ球とがん細胞を使って、キラーT細胞を活性化してから体に戻します。このキラーT細胞が、がん細胞に特異的に作用することを期待した治療方法です。

先進医療の対象となるのが「がん性の胸水・腹水、進行がんに係るもの」という条件となり、胃がんでもこれに相当すれば先進医療の対象となります。

費用は1回7万円程度の治療を繰り返すため、数十万円程度となります。

腹腔鏡下センチネルリンパ節生検

センチネルリンパ節とは、「見張り番のリンパ節」という意味です。胃がんでは腫瘍の最も近くにあるリンパ節で一番最初に転移すると考えられるリンパ節です。

このリンパ節の細胞を取って調べる(生検する)ことで、がんのリンパ節転移の有無を知るというのが検査の目的です。

外科手術で行われますが開腹手術ではなく、腹腔鏡を使うためこの名前となっています。

腹腔鏡下センチネルリンパ節生検で転移がなければ、手術で必要以上に広い範囲を切除しなくて済むことから体の負担を減らすことができます。

がんが約4cm以下で1か所に限局されている早期胃がん(粘膜下層までの胃がん)に対して行われている先進医療です。

抗がん剤の腹腔内投与併用療法

胃がんの腹膜播種や漿膜浸潤に対して、パクリタキセルやドセタキセルを腹腔内に投与するいくつかの治療方法が先進医療に承認されています。

化学療法との併用や、初発胃がんであることなど先進医療の条件が様々ありますので、治療を受ける場合には医師に確認しましょう。

その他の胃がんの先進医療

ステージⅠ~Ⅲの胃がんでは、手術療法が第一選択として検討されることが多く、定型手術については体の負担を減らすため、腹腔鏡下手術が増えています。

現在、手術用ロボットを使った腹腔鏡下手術が先進医療として認められています。

胃がんの再発・転移時の治療

胃がんには治療ガイドラインがあり、標準治療に則って治療方針が判断されます。

治療ガイドラインにある標準治療とは、胃がんの進行度(病期・ステージ)ごとに定められています。ステージⅠ~Ⅲの根治治療は手術療法、ステージⅣは抗がん剤治療とされています。

胃がんの再発で多いのは、リンパ節・肝臓・腹膜などです。治療後に取り残されがん細胞が次第に大きくなったものと考えられています。

多数のリンパ節転移・血行性転移・腹膜転移にあたる状態となるため、ステージⅣと同等の状態だと見なされる場合が多くなります。

但し、初発時にどのステージで、どのような治療を受けたのかといった経過の違いがあり、再発の仕方も実に様々です。

再発が確認された時に再発巣を見つけることは、今後の治療効果を確実にする上で大事なことになります。

治療方針の検討

再発したがんの状態を確認後、治療方針が検討されます。基本的に治療ガイドラインに則って決められます。

再発した場合、手術が適応外と見なされるため、抗がん剤治療や放射線治療が選択されることが多くなります。

但し、限局された肝転移や肺転移については、がん細胞の切除のために手術が行われる場合があります。

肝転移ではラジオ波焼灼術や、抗がん剤の動注療法が行われることがあります。

抗がん剤治療では、前回に抗がん剤治療歴があると二次治療として、これまでとは異なる抗がん剤を使うなど、治療効果が得られるよう検討が繰り返されます。

2015年のガイドライン改訂では、分子標的薬ラムシルマブが再発胃がんへの治療の選択肢として組み込まれています。

転移した時の治療

転移時の治療方針も治療ガイドラインに則って検討されます。

リンパ節転移が少ない・胃と隣接した臓器への転移がる

基本的には手術が選択されます。さらに再発予防や転移の予防のために、抗がん剤治療が術後に行われるのが一般的です。

リンパ節転移が多い・遠隔臓器への転移がある・腹膜への転移がある

再発や転移の可能性が高いと考えらるため、抗がん剤治療や放射線治療が行われることが多くなり、治療効果や副作用の出方を見ながら続けられます。

抗がん剤において治療効果が得られにくい場合、抗がん剤の種類を変更が検討されます。

また、この状態の時には症状が強く、日常生活が困難にな場合、症状を軽減するための緩和治療が行われています。

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胃がん検査・診断

胃がん検診とは、胃がんの早期発見・診断のために行われる検査です。胃がんは早期治療をすることで、長期生存率が高くなることが研究によりわかっています。

しかし、胃がんの早期では症状が乏しく、また、40~50歳代を皮切りに高齢になるほど胃がんの発生率は高くなります。

このため、日本においては、50歳からの胃がん検診が推奨されており、自治体による補助や検診クーポンが配布されたりしています。

胃がんの確定診断について

問診(胃がんのリスク要因や症状の有無などを医師が聞き取る診察)と、各種の基礎的な検査を行い、総合して胃がんの疑いがあるかの診断されます。

一次検査で問診や胃X線検査(バリウムを飲んで撮る胃のレントゲン検査)など、比較的体に負担が少ない検査から行い、胃がんの疑いがあれば精密検査を加えられます。

2014年の胃がん検診ガイドラインの見直しにより、胃内視鏡検査(胃カメラ)も一次検査として推奨されるようになっています。

但し、胃内視鏡検査は「合併症のリスクがある」「一人一人の実施時間が長い」「実施する医師が確保しづらい」「内視鏡での合併症に対応できるだけの施設が確保しづらい」などの理由から、一次検査として行っている病院は限られてきます。

一次検査で胃がんの疑いがあれば、医療機関を受診しての二次検査(精密検査)に移ります。一般的に「胃がん検診」と呼ばれる市町村などの補助が入る一次検査はこの部分までです。

また、ヘリコバクター・ピロリ菌の検査やペプシノゲン検査などガイドラインでは、推奨度が高くない検査に関しては、独自に別で実施している自治体もあります。

最終的な胃がんの診断方法は、二次検査(精密検査)として胃内視鏡で生検検査を行い、胃がんと確定診断されることになります。

胃がん検診の流れ

胃がん検診の流れは以下のようになります。
  1. 50歳以降は、2年ごとに胃がん検診を実施しています。このタイミングで検診を受けると自治体の補助が受けられ、費用が数百円~千円程度となります。市区町村や保健所に問い合わせると、実施施設を確認できます。※一部の市町村では40歳から1年ごと実施の場合もあります。また、案内状やクーポンが届くこともあります。
  2. 実施している施設や自治体・保健所などに連絡して必要な場合は検診日を予約します。
  3. 一次検査(問診と胃X線検査もしくは胃内視鏡検査)を受けます。
  4. 数週間から1か月程度で一次検査結果(異常があるかないか)の連絡があります。
  5. 異常がない場合は次回の検診へ。
胃がんの疑いがある場合は、医療機関での精密検査(診察、胃内視鏡、血液検査、CT、MRIなど)を行い、胃がんかどうかの診断を受けます。

胃がんが無ければ、次回の検診や定期的な診察・検査となります。

胃内視鏡検査(胃カメラ)

胃内視鏡検査とは、「胃カメラ」と呼ばれる検査です。

口や鼻からファイバースコープを挿入し、直接的に胃や食道・十二指腸の内部(表面の粘膜の様子)を見ることができます。

胃内視鏡検査のメリット

胃X線検査(胃レントゲン検査、いわゆる胃のバリウム検査)やCTなど画像検査においては、胃や病変の影を見るので間接的な画像を見ることになります。

しかし、胃カメラでは胃粘膜を直接見ることができるのが一番の強みになります。

また、カメラに器具を付けることで組織を採取したり、色素で病巣を染める検査をしたり、時には粘膜を切除する手術や止血処置といった様々な処置を行うことが可能です。

胃X 線検査では「疑い」のレベルの判断しかできませんので、確定診断には胃カメラにて胃粘膜を目視した上、組織を採取し、がん細胞の存在を確認することが必要です。

全身麻酔が必要な外科的手術と比べるて、圧倒的に体への負担が少ないのも内視鏡の強みです。

胃内視鏡検査のデメリット・合併症

胃内視鏡検査は、カメラを呑む際の苦痛を感じる人が多く、また、合併症リスクがある検査です。

一人当たりの検査時間が長く、さらに検査の精度は実施する医師の技術に依存する上、高い技術を持つ医師の育成にも時間がかかります。また、費用も他の検査に比べると若干高価になります。

以上のような理由から、胃がん検診の一次検査に取り入れていない病院も少なくありません。

尚、カメラを呑む時の苦痛はよく知られていますが、から挿入するカメラは細いものを使用するため、口から挿入に比べると苦痛が少ないと感じる方が多くなります。

但し、検査の内容によっては細いカメラでは行えない場合もあります。

どうしても苦手だという人には、検査時に鎮静剤を使用することで比較的に苦痛が少なく検査を受けることができます。

合併症に関しては、カメラによる胃の損傷や穿孔(穴が開くこと)・出血などがあります。また、鎮静剤を使用した場合、嘔吐や吐物の誤嚥のリスクがあります。

稀にですが麻酔や鎮静剤によるショックも命の危険を伴う合併症の一つです。

胃内視鏡検査の流れ

胃内視鏡検査の流れは以下のようになります。
  1. 但し、食事や水分の制限などは、医療機関や実施する検査の内容あるいは実施時刻などによっても異なりますので必ず医師に確認しましょう。検査前日:夕食まで摂取し、夕食以降は絶食かもしくは就寝時以降は絶食です。※夕食は消化の良いものがお勧めです。胃に何か残っていると粘膜がよく見えないからです。※糖尿病がある方は絶食の確認をするとともにインスリン注射や血糖降下剤の内服をどうするか必ず確認しましょう。
  2. 検査当日の朝:内服薬があれば起床時に内服します。絶食です。水分は検査2時間程度前まで摂取可能です(検査時間とともに医療機関に確認しましょう)。※どの薬を内服するか・何時までに内服するか・昼以降の薬はどうするかなども確認しておきましょう。
  3. 検査前:消泡剤を飲んで胃の中の泡を消します。また、局所麻酔をします。※口からカメラを挿入する場合は検査の約30分~1時間前に局所麻酔薬を口に含んで麻酔をかけます。医療機関によってはスプレーなどで塗布されることもあります。※鼻から挿入する場合は、局所麻酔と鼻の粘膜のむくみを抑える薬をスプレーをしたり、スポイトで入れます。
  4. 検査直前:鎮静剤の使用を希望する方はこのタイミングで注射をされます。その後はぐっすり眠ってしまうか、意識はあるけれどももうろうとして苦痛を感じにくい状態になります。
  5. 検査中:右側を下にして横向きに寝た姿勢で検査を受けます。鎮静剤を希望しない場合は、意識がある状態で検査を受けるので医師によっては画像を見せてくれる場合もあります。検査時間は内容にもよりますが15分~長くて1時間弱です。※鼻からカメラを挿入する場合は、会話も可能です。※カメラの刺激で胃液を嘔吐したり、唾液が多量に出るのでタオルなどを持っていくと便利でしょう。※吐物で服の襟元が汚れたり、横向きで検査を受けるため、襟元や胴回りを緩めたり、ゆとりのある服装が望ましいでしょう。
  6. 検査後:咽頭麻酔が切れる30分~1時間後位を目安に水分・食事を摂取できます。初回は麻酔が切れているか確認するために水やお茶を少量から試しましょう。※鎮静剤を使った場合は、30分~1時間程度は眠い状態が続くので意識がしっかりしてから帰ります。できれば誰かに付き添ってもらい、車の運転は避けたほうが良いでしょう。
  7. 検査当日の食事:胃カメラで観察だけの場合は食事制限はありません。生検(胃の粘膜を採取する検査)の場合は柔らかい食事を摂りますが、必ず医療機関の指示に従いましょう。※検査により食事のタイミングがずれることがあるため、糖尿病の方はインスリンや血糖降下薬についても相談しておきましょう。
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胃バリウム検査

胃バリウム検査とは、X(エックス)線とバリウムを使用した検査となり、胃X線検査・胃レントゲン検査・胃透視検査・胃造影検査などとも呼ばれています。

通常のX線検査では、胃の粘膜は撮影できないため、バリウムを使います。バリウムが胃の粘膜に行き届くことで、胃の粘膜の凹凸や胃の動きなどを見ることができます。

胃バリウム検査で、胃に異物が見つかったとしても、胃がんなのか・良性のポリープなのかは影から判断できませんので、再検査として胃内視鏡検査(胃カメラ)が必要になります。

胃バリウム検査のメリット

胃内視鏡検査(胃カメラ)ほど特殊な技術を必要とせず、検査者の体の負担が少なく(X線による微量の被曝がある)、安価でできる検査なので大規模な検査の実施に向いています。

国立がん研究センターの大規模研究においても胃バリウム検査は、がん検診受診者の胃がんによる死亡率を低下させるのに効果があるしています。

このため、胃がん検診では推奨度が高い検査で、国内の胃がん検診では最もポピュラーな検査方法になります。

実際に造影剤が消化管を通過していく様子をライブで撮影できるため、胃がんの手術前後の食べ物の通過状態を確認するケースなのでもよく使われている検査です。

デメリット・合併症

胃バリウム検査で撮影できるのは、あくまでなので胃がんそのものの診断はできません。

バリウムがしっかりと胃粘膜全体に行き渡らないと部分的に撮り漏らし等が考えられます。このため、撮影時には画像をチェックしつつ、何回も角度を変えながら撮影していきます。

通常のレントゲン検査に比べると検査時間も長く、放射線の被曝量が多くなりますが被曝量が健康に問題ないとされています。

しかし、妊婦さんや妊娠の可能性がある場合、胎児への影響を考慮し、実施していない医療機関がほとんどです。万一、妊娠に気づかずに胃バリウム検査を受けても問題ないとされています。

胃バリウム検査後の合併症として表的なのが便秘です。

バリウムがスムーズに排泄されないと、バリウムが腸で固まってしまいます。時には腸閉塞を起こすほど重篤になるケースもあります。

便秘を防ぐためバリウムに下剤を混ぜた状態で服用したり、検査後に下剤が処方されることが多いです。

他の合併症としてはバリウムによる誤嚥が考えられます。

胃バリウム検査の流れ

胃バリウム検査の流れを以下に挙げました。但し、食事や水分の制限などは、医療機関や実施する時間帯によっても異なりますので必ず確認しましょう。(※印は注意点です)
  1. 検査前日:夕食まで摂取し、夕食以降は絶食です。※胃に何か残っていると粘膜がよく見えなくなるため、繊維質の少ない消化の良いものを早めの時間に摂ることをお勧めします。※糖尿病の方は、絶食の時間とともにインスリン注射や血糖降下剤の内服については必ず確認しましょう。基本的にはその他の内服薬には問題はありません
  2. 検査当日の朝:内服薬があれば起床時もしくは早朝に内服します。検査まで絶食です。水は摂取可能です。(検査時間とともに医療機関に確認しましょう)。※朝に内服する薬の種類・何時までに内服するか・昼以降の薬の内服をいつ飲むかなども医師に確認しておきましょう。
  3. 検査前:発泡剤を飲んで胃を膨らまします。次にバリウムを一気に飲みます。※発泡剤を飲むとげっぷが出そうになりますが、出さずに我慢してくださいという指示があります。
  4. 検査中:検査台の上に横になって撮影します。撮影のタイミングでは息を止めるよう指示があります。※バリウムを胃の壁全体に行きわたらせるため、横を向いたり体を回転させるなどの指示が出るのでその通りにしてください。※胃をあらゆる角度から撮るため、台が起こされたり傾いたりとかなり動きます。気分が悪くなったら直ぐに伝えましょう。※場合によっては途中でバリウムを追加して撮影します。※検査時間はおおむね10分~20分程度です。
  5. 検査後:処方された下剤を内服します。食事などの制限はありません。バリウムの排出をスムーズにして便秘を防ぐため水分は多めに摂取するように心がけましょう。※検査によって食事時間がずれることがあるため、糖尿病の方は検査後のインスリンや血糖降下薬についてもどうするか医師に確認しておきましょう。

検査後の注意点

バリウムによる便秘は重篤ですので、検査後は大便の状態を数日確認してください。最初のうちは白色の便が出て、バリウムが排泄されるにつれて茶色に戻っていきます。

検査の結果は、胃がん検診では数週間から1か月程度(※施設によって異なります。)かかります。

胃バリウム検査だけでは、病変が良性か悪性かの判断はできませんので、異常が疑われたときは医療機関を受診して精密検査を受けましょう。

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ピロリ菌検査

ピロリ菌とは、胃がん・胃十二指腸潰瘍・慢性胃炎などの発症要因だとされている菌です。

正式にはヘリコバクター・ピロリ菌と言いますが、これで1種類ではなく、世界には色々な種類があることがわかっています。

日本を含む東アジア圏のピロリ菌は、胃がんの発生率を高いことがわかっています。

但し、ピロリ菌に感染しているからといって全ての人で胃がんになるわけではありません。

また、ピロリ菌感染者に、萎縮性胃炎やストレスなどの要因が重なることでリスクが高くなることがわかってきています。

国立がん研究センターの調査では、ピロリ菌検査が胃がんの死亡率を下げるという関連性は低いという結果になっています。

ピロリ菌の胃がんへのリスクの不確定さだけでなく、検査には精度の誤差もあるため、胃がん検診への導入は推奨度が低い検査だとされています。

ピロリ菌検査は、既に慢性胃炎・萎縮性胃炎・胃潰瘍・胃がんといったピロリ菌と関連する疾患を持つ人では保険が適用されますが、予防などの目的になると自費になります。

一部の自治体では、自主的に検査費用の負担を行ったり、一定年齢以上に対して検診として行ったりしている場合があります。

ピロリ菌検査の方法

ピロリ菌を調べる検査には、内視鏡(胃カメラ)を使う方法と使わない方法があります。

検査には誤差がどうしても生ずるため、検査の精度を上げるには複数の検査を同時に受けるのが有用だと考えられています。

内視鏡を使わない検査方法

胃内視鏡(胃カメラ)を使わない検査のメリットは、検査方法が簡易であることです。

胃内視鏡を使用する検査では、カメラを挿入するという苦痛があり、合併症の危険を伴う検査です。このため、ピロリ菌検査のためだけに内視鏡検査を行うのは得策ではないと言えます。

逆に内視鏡を使わない方法に関しては簡易的に行え、費用も自費でも数千円程度と安価で済みます。

しかし、胃内視鏡を使わない方法では、どうしても検査対象が間接的になることです。

これまでは精度が落ちるなどと言われていましたが、最近では検査技術・精度と共に向上しています。
  1. 抗体検査:ピロリ菌の感染に対して人間の体が作った抗体を調べる検査です。血液・尿・唾液などに抗体が含まれているかどうかを調べます。
  2. 尿素呼気試験法:ピロリ菌は尿素を分解するウレアーゼという酵素を持っています。特殊な尿素を含む試験薬を飲んで数十分置き、尿素が分解されたかどうか調べる検査です。試験薬を飲んでしばらく待ち、息を容器に吹き込むだけの検査なので負担が少ないです。また、精度も比較的高いのでよく用いられている検査です。
  3. 便中抗原検査:便とともに排泄されるピロリ抗原を調べる検査です。負担がなく簡単な検査で、子供や老人でも容易にできます。

内視鏡を使った検査

胃内視鏡(胃カメラ)検査の際に、胃の粘膜を直接に採取して検査をします。胃から直接とった組織を検査するため検査の精度は高いと言えます。

但し、ピロリ検査のためだけに内視鏡検査を行うことはほとんどありません。人間ドックや胃潰瘍など、何らかの疾患の精密検査と同時に検査することが多くなります。

ピロリ菌検査に加えて、胃カメラ自体の手技料や他の検査が加わるため、費用は若干高めとなるでしょう。
  1. 迅速ウレアーゼ試験:胃カメラの際に胃の粘膜を採取し、ピロリ菌が作る酵素があるかどうかを調べます。迅速の名のとおり、数10分で検査結果が出ます。精度も良い検査です
  2. 培養法:胃カメラの際に胃の粘膜を採取してそれを培養し、ピロリ菌の有無を調べる検査です。培養しますので結果が出るには数日かかります。
  3. 鏡検法:採取した胃粘膜を顕微鏡で直接見て調べる検査方法です。結果は早くわかりますが、精度は多少落ちます。

自宅でできるピロリ菌の検査キット

最近ではピロリ菌の自己検査キットが販売されています。便や尿を提出するので苦痛もなく、簡易に検査ができます。検査費用は数千円程度です。

胃がんリスク検診(ABC検診)

胃がんリスク検診とは、将来的な胃がんへ危険度(リスク)を調べる検査です。

「胃がん検診」は胃がんの早期発見のための検診ですが「胃がんリスク検診」は、あくまで胃がんになる危険度の判定をするもので、がんを見つけるための検査ではありません。ここが大きな違いです。

胃がんリスク検診の実情

胃がんリスク検診は厚生労働省の見解においては、胃がんの死亡率を低めるための検診としては推奨度が低い検査とされています。

このため、胃がん検診には含まれない内容のため、保険は適用されず自費で受けなければなりません。

しかし、胃がん発生の危険度を明らかにし、高リスク者については、定期的なフォローをすることで胃がんへの予防的対応ができます。

国内外の学会では一定の成果を評価されていて、消化器がん検診学会やNPO法人で普及活動がされている検査です。

胃がんリスク検診の内容

胃がんリスク検診は「ABC検診」「ABC検査」とも呼ばれます。検査そのものは、ヘリコバクター・ピロリ菌抗体検査ペプシノゲン検査の2種類です。

この2種類の検査の結果をA~Dの4種類のリスク層に分けて判定します。

胃がんリスク検診は基本的に自費となり、初診料もしくは診察料なども含まれるため、医療機関により金額は異なりますが概ね5千円~1万円前後です。

うち、ピロリ菌抗体検査は予防目的であれば実費ですが、胃潰瘍や胃炎といった関連疾患がある場合は保険が適用されます。

ピロリ菌抗体検査

胃がんのリスク要因だと考えられているヘリコバクター・ピロリ菌の感染の有無を調べる検査です。感染によって生じる抗体の有無を調べます。検査方法には、採血検尿があります。

ペプシノゲン検査

採血などから胃の萎縮度(胃の健康度)を調べる検査です。慢性胃炎から萎縮性胃炎に進展する過程で胃がんが起こりやすいことがわかっているため、そのリスクを調べる検査です。

胃がんリスクのABC分類

ピロリ菌抗体とペプシノゲンの検査結果の組み合わせから、A~Dの4群に分けてリスク判定が行われます。

検診での分類は4種類で、ここにピロリ菌除菌後のE群が加わります。※以下で(-)は陰性、(+)は陽性を指します。
  • A群:ピロリ菌抗体(-)・ペプシノゲン検査(-)の群。胃の委縮は起きておらず、近い1年での胃がんのリスクはほぼ0、最もリスクが低い群です。
  • B群:ピロリ菌抗体(+)・ペプシノゲン検査(-)の群。胃の委縮は軽度で、1年間の胃がんの発生リスクは1000人に1人程度、定期的な内視鏡検査などが推奨される群です。
  • C群:ピロリ菌抗体(+)・ペプシノゲン検査(+)の群。胃の萎縮が進行しており、1年間の胃がんの発生リスクは500人に1人程度、定期的な内視鏡検査などが推奨される群です。
  • D群:ピロリ菌抗体(-)・ペプシノゲン検査(+)の群。胃の萎縮が高度な状態と考えられ、1年間の胃がんの発生リスクは80人に1人程度、最もリスクが高い群です。もちろん定期的な内視鏡検査を行うなど対応が勧められます。
  • E群:ピロリ菌の除菌治療後の群。除菌により胃がんのリスクは減りますが、その後も胃粘膜の萎縮そのものは改善しないため定期的な検査が必要。
なお、B~E群で自覚症状がある場合、内視鏡検査が必要だと考えられています。

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胃がんの腫瘍マーカー

腫瘍マーカーとは、特定のがんにおいて体内(血液中)に増える特定の物質のことです。検査方法は基本的に採血で、1日~数日で結果が出ます。

腫瘍マーカーとして使われている物質としては、CA19-9・CEA・CA50・CA125・SLX・STN・カルシトニンなど様々なものがあります。

腫瘍マーカーは、一種類のがんに対して特定の物質であることもあれば、数種類のがんで認められる物質もあります。

胃がんで血液中に増える物質、つまり腫瘍マーカーとして見ることができる代表的なものは、CA19-9CEASTNなどです。

CA19-9(糖鎖抗原19-9)は消化器のがんに由来するたんぱく質の名前です。胃がんのほかには、膵がん・胆道系疾患・大腸がんでも増加することがあります。

また、CEA(癌胎児性抗原)は、もともと胎児の消化器で作られるたんぱく質ですが、がん細胞でも作られるたんぱく質です。

胃がんの他、大腸がん・膵がん・胆道系疾患・肺腺がん・乳がんなどでも増加が見られることがありますSTN(シアリルTn抗原)は卵巣がんや再発胃がんでよく見られるたんぱく質です。

胃がんの腫瘍マーカーの見方

胃がんで増加が認められる腫瘍マーカーは、他のがんの腫瘍マーカーともなる物質です。

腫瘍マーカーが基準値より上昇している場合、その数値だけを見ても他のがんである可能性もあるため、腫瘍マーカーだけで胃がんだとは診断はできません。

また、早期がんでは腫瘍マーカーの増加量が少ないことが多く、基準値は設けられていますが、基準値を超えていると進行している可能性があります。

実際の腫瘍マーカーの使われ方

腫瘍マーカーは、どのような時に見る数字なのでしょうか?

例えば、手術でがんの組織を切除、あるいは抗がん剤や放射線治療が効果を発揮し、腫瘍が小さくなれば胃がんの細胞が減るので、そこで作られる腫瘍マーカーが減ることになります。

つまり、腫瘍マーカーが治療前の値と比べて減っていれば、治療効果があったということになります。

逆に腫瘍マーカーの急な上昇や大幅な上昇が見られる場合、がん細胞が増えたこと、つまり再発転移の疑いがあると予測できます。

このように腫瘍マーカーは、治療の過程で値を比較しながら経過を見ることで治療効果の判定をしたり、再発や転移の有無を調べたりすることに役立っています。

胃がんの腹部超音波検査(腹部エコー)

超音波検査(エコー検査)とは、体表面から超音波を当て、その反響で体の内部の状態を画像にして描く検査です。

検査部位や検査方法によって、腹部超音波検査・心臓超音波検査・乳房超音波検査・頸部超音波検査・内視鏡超音波検査・経腟超音波検査など様々な検査の種類がありますが基本的な原理は同じです。

超音波検査のメリット

超音波検査事態は体に負担の少ない検査です。検査する部位の体表面に超音波プローブを当て、検査を行うだけですので合併症のリスクなどはほとんどありません。

また、放射能被曝もありません。

検査機器ですが小型なものもあり、検査室に移動することが困難な場合には病室で行うことも可能になります。

さらに屋外へ携行できるものもあり、訪問診療や救急現場・災害時診療などにも活用されています。

超音波検査では、リアルタイムでその臓器の状態を見ることができるのもメリットです。血管内や臓器の血流を知りたい場合、検査を受けているその時の状態を直に評価することができます。

超音波検査のデメリット

超音波が届きやすいのは、固体や液体になりますので、臓器体液は映像化しやすくなります。しかし、気体は超音波を通しにくいため、消化管や肺を映像化するには不得意になります。

また、硬い骨に覆われている部分には、超音波が反射しやすいため、頭部には使用しづらくなります。しかし、それ以外のほとんどの臓器には使用可能だと言えます。

超音波検査は、実施者の技術(超音波の当て方)に精度に変動がしやすい検査です。このため、医師や検査技師の腕によっては描画が上手くいかなかったり、見落としが起こる可能もあります。

胃がんにおける超音波検査の意義

胃がんでよく使われるのは、腹部超音波検査と内視鏡超音波検査(EUS)です。

腹部超音波検査

腹部超音波検査では、空気を多く含む胃の描画は苦手な分野です。超音波検査が得意とするのは肝臓や膵臓・脾臓・リンパ節など胃の周辺の臓器です。

そのようなことから胃がんでは他の臓器へのがんの浸潤転移などを検査する方法として用いられます。

また、腹膜転移などで腹水が貯留している場合、腹水の評価にも超音波検査がよく使われます。

腹部超音波検査では、腹部に超音波を通しやすくするためのゼリーを塗り、そこに超音波プローブを当てるだけの、苦痛の少ない検査です。

内視鏡超音波検査

内視鏡超音波検査では、内視鏡の先に超音波のプローブをつけて胃粘膜の表面から超音波を当てて検査を行うことで、がんが粘膜の奥どのくらいまで進んでいるかを調べられます。

内視鏡超音波検査では、がんの深さがわかるので、胃がんの内視鏡手術の際にもどこまで切除するかを判断するために使われています。

内視鏡超音波検査は、胃内視鏡(胃カメラ)と同時に行われることがほとんどですので、検査の流れは胃カメラと同様の流れになります。

胃がんとCT検査

CT検査とは、ComputerTomographyの頭文字をとった略でコンピュータ断層撮影のことです。X線を使って体を撮影し、コンピュータ処理をすることで精密に撮影することができます。

代表的な画像は体を輪切りにしたもので、見たい部分のどこに何があるのか、輪切りの形の画像を並べることで立体的に把握することができます。

また、CTの撮り方によっては、縦切りの画像や回転させた画像や3D画像を撮ることもできます。

主な撮り方としては、単純CTと造影CTがあり、撮影では画像で強調される部分が異なるため、必要に応じて使い分けられます。

造影剤を使用すると、がんが強調して映し出されるため、精密検査ではよく使われます。

胃がんでのCT検査の意義

胃内視鏡検査(胃カメラ)は、主に胃粘膜の表面、バリウム検査では腫瘍の影しか見ることができません。

しかし、CT検査では内臓の細かな陰影を撮影して立体的に捉えられますし、造影剤を使うことでがんと思われる組織を強調することができます。

このため、胃がんではCT検査をすることで、がんの大きさや位置、広がり方などが具体的に映像で見ることができます。

また、リンパ節や腹腔・肝臓・膵臓・肺など他臓器への転移の有無や程度について見ることができます。

リンパ節や他臓器の転移の有無は、胃がんの病期(ステージ)を決める材料となりますので、精密検査ではCTは必ず行われると言っていい検査です。

また、CT検査は胃がんによる穿孔(穴が開く)などの合併症の発見にも用いられます。

CT検査の流れ

胃がんCT検査では、上腹部から腹部全体を撮影することが多くなります。通常、検査前1食程度は絶食となります。

単純CTでは食事制限がないことがありますが、医療機関によっては飲食制限は異なりますので確認しましょう。

金属類やボタン等は映り込むため、外してから検査室に入ります。検査台に横になって造影検査の場合、造影剤の注射を検査前もしくは検査中に行って撮影となります。

撮影後、特に飲食の制限はありません。撮影した画像は即時出来上がり、放射線科医の読影が入る場合には検査結果に数日かかる場合もあります。

CT検査のデメリット・合併症

CT検査ではX線を使って数十枚もの撮影を一気に行いますので、通常のレントゲン検査に比べると放射線の被曝量が多くなるのがデメリットですが、健康上に影響を与えるレベルではありません。

胃がんで治療を受けたり、再発したりした場合には、年に数回CT検査を撮るような場面に会うこともありますが、それでも被曝量は健康に問題となる量ではないとされています。

CT検査の合併症では、造影剤による気分不良・嘔吐、造影剤によるアレルギー反応があります。特に造影剤によるアレルギーは、生命の危険を伴うケースがあるので注意しなければなりません。

造影CT検査の前には、アレルギー歴についての問診を行い、造影剤の使用に同意書が取られます。問診にはしっかり回答することが大切です。

また、ペースメーカーや体内埋め込み型除細動器では、機器に変調を来した例があるため、撮影には注意が必要です。

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胃がんとMRI検査

MRI検査とは、Magnetic Resonance Imagingの頭文字を取った略で、日本語では核磁気共鳴画像法と言います。磁気との共鳴を利用し、体の内部を撮影する方法です。

MRI検査のメリット

体の内部を撮影する類似した検査としてCT検査があります。MRI検査とよく比較されますがMRI検査のメリットの一つは放射線を使わずに撮影できることです。

また、組織の種類によっては、CT検査よりもMRI検査の方がはっきりと精密に描画できる場合があります。MRIがよく活用されるのは脳神経系関節・軟骨などです。

また、体を輪切りにしたり、縦切りにしたりと様々な方向から撮影できるので、体の内部の状態を立体的に把握することが可能になります。

MRI検査のデメリット・合併症

MRI検査には特徴的なデメリットがいくつかあります。

MRIでは強力な磁気を使用するため、金属や磁性体を含む物を近づけたり、MRI装置に通すことができません。金属や磁性体によって、画像が乱れたり、熱傷を引き起こす場合があります。

このため、ペースメーカーなどの磁気に反応する体内機器を埋め込んでいる場合、この検査を受けることができません(一部ペースメーカーでは撮影可能)。機器が壊れてしまう恐れがあります。

身に着けている金属類(入れ歯・ヘアピン・かつら・アクセサリー)などは全て取り外さなければならない場合があります。

また、アイメイク(マスカラ・アイライン・アイシャドー・アイブロウなど)・入れ墨・アートメイク・カラーコンタクトなどにも磁性体が含まれているため熱傷の恐れがあります。

次にMRI検査では、狭い筒状の装置に入って検査が行われます。磁気を発生する際に大きな音が生じます。

さらに磁気を体に当てて精度の高い撮影を撮るには15分~30分程度時間がかかり、長い時間じっとしていることを必要とします。

このため、閉所な場所や大きな音が苦手な人、長時間じっとしていられない人では撮影が困難です。検査を受ける人の心理的負担が大きな検査です。

最近ではオープン型のMRI装置を導入している医療機関もあります。オープン型ならばMRI検査独特の閉塞感を軽減して検査を受けることができます。

MRI検査の合併症ですが、代表的なものに造影剤による気分不良やアレルギーがあります。造影剤のアレルギー反応は重篤な場合、生命の危険に及ぶこともあります。

MRI検査では、このようにデメリットや合併症もあるため、検査前に問診をして同意書を取るのが普通です。

胃がんでのMRI検査の意義

MRI検査では、組織の状態を立体的に把握でき、造影剤を使用することでがんが発生した部分を強調して撮影したりすることが可能です。

胃がんにおいては、がんの大きさ、リンパ節やその他の臓器(腹膜・肝臓・膵臓など)への転移の有無やその程度を知るのに役立ちます。

放射線を使用しないので、妊婦さんへの精密検査として使用することもできます(妊娠初期は除く)。

胃がんの生検

生検とは、体の組織の一部や細胞を採取し、病理医が直接に顕微鏡で見ることで病理診断を行う検査です。

生検から行われる病理診断では、目で見えないがん組織を確認して診断するため、最も確定的な検査として用いられています。

生検の役割

胃がんでは、生検の結果が確定診断の材料となります。

生検後に病理診断を行うもう一つの重要な役割は、がんの進行度やがん細胞のグループがわかるということです。

胃がんでは、進行度によって長期生存率が大きく変わるため、がんが胃粘膜のどの深さまで進んでいるかを見て判断されます。それには生検で得られた胃の組織の断面を見ることが必要です。

スキルス性胃がんにおいては、胃粘膜の表面に腫瘍を作ることは少なく、粘膜より下の層に広く張り付くように進行する胃がんです。

このため、生検をして胃の壁の断面を見なければスキルスだと判断ができません。

また、がん細胞が「どのグループに分けられるものか」ということも細胞を見て診断されます。

抗がん剤の治療などは、がん細胞のグループによって効果が異なるとがあるため、グループに応じた治療方法が選択される場合があります。

胃の生検の方法

胃の組織を採取する主な方法は、胃内視鏡検査(胃カメラ)の際にカメラの先端に小さな鉗子を付けて組織を摘み取る方法です。

外科手術でも胃の組織を取ることはできますが、胃内視鏡の方が体の負担はとても小さくてすみます。

生検の流れや段取りですが、通常の胃内視鏡検査とほとんど同様です。検査の所要時間は、通常の胃内視鏡検査よりも少し長めになる程度です。

胃生検の合併症・危険度

通常の胃内視鏡検査と胃生検との違いは、胃粘膜の組織を採取するため、胃粘膜に傷をつけるということです。

このため、胃生検後には食事制限があります。

胃生検後は、傷の安静のため検査後数時間は絶飲食となり、その後1日程度は軟菜食(お粥など)になります。また、数日間は刺激物が制限されます。

胃生検後の食後制限については、検査を受けた各医療機関に確認しましょう。

胃生検で最も代表的で重篤な合併症は胃の穿孔です。胃の組織を採取するときに傷つけすぎて胃に穴が開いてしまうものです。

また、胃生検では少量の出血を伴う場合があります。出血がある時は検査後の数日間、便に黒いものが混じることがあります。

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胃がんの治療後・術後

胃がん手術の合併症

胃がんの手術(ここでは根治を目的とした定型手術・非定型手術について主にお話します)の合併症には主に以下のようなものがあります。
  • 術後出血
  • 術後縫合不全
  • 膵液ろう
  • 腸閉塞(術後)
  • 術後肺合併症、術後呼吸器合併症
  • 循環器合併症
  • 創部感染
胃がん手術で特徴的なのが膵液ろうで、また、腹部や消化管の手術で特徴的なのが、術後縫合不全・腸閉塞・創部感染です。術後肺(呼吸器)合併症・循環器合併症は、全身麻酔に関連する合併症です。

急性胃拡張に関しては、全身麻酔での腹部手術で起きていた合併症でしたが、現在では麻酔や術後管理が進歩したため、非常に稀な合併症となります。

術後出血

胃のような消化管は血行に富む臓器です。そのため、胃を切除する際に幾つかの動脈を切ることになります。

また、再発予防のために大きな血管に近いリンパ節を切除することがあります。

そのようなことから、術後に大きな出血を起こす可能性があり、これを防止するために手術中は十分な止血処置がされ、手術当日はで臥床安静とされます。

出血は、血圧低下・乏尿・無尿、ドレーンからの血性の排液、創部ガーゼの汚染などで発見されます。手術当日から手術翌日程度の超急性期で最も生命に影響し得る合併症の一つです。

術後縫合不全・創部感染

胃・食道・腸では、それぞれ異なる消化液を分泌しており、酸・アルカリなど環境も全く異なります。

消化器は、食べ物が通過することで細菌感染する恐れがあるため、手術の傷口は必ずしも滅菌された清潔な状態ではありません。

消化管は1本の管のような構造ですので、途中にある胃を切除したら、どこかを繋がらなければ食べ物の通り道がなくなってしまいます。

この時に違う消化液を分泌し、環境も異なる臓器を繋げるのが消化管の手術の特徴です。

このため、繋いだ傷口がうまく繋がらない場合があり、これを術後縫合不全と呼びます。また、もともと雑菌がいる環境となりますので創部感染を起こしやすいと言われています。

これらは術後に悪寒を伴う急激な発熱・腹痛・腹部膨満・吐き気・嘔吐などで見つかります。また、縫合不全に関しては、術後食開始前の胃透視検査でわかることがあります。

高齢者など手術前の栄養状態が悪いと縫合不全を起こしやすいため、術前は栄養状態を整えておくことが大事です。また、術後リハビリや術後の禁煙も創部の回復を促すために大切です。

膵液ろう

胃と膵臓は近い位置にある臓器です。胃がんの手術では再発のリスクを抑えるため、膵臓の近くのリンパ節を郭清するもあります。

このとき、膵臓が傷がついて膵液ろうを起こすことがあります。膵液はとても強い消化液ですので、少しの漏れでも大変な炎症を引き起こします。

膵液ろうの発症で、時には腹膜炎や縫合不全を合併することもあります。

症状としては、強い腹痛・発熱・悪心・嘔吐などが現れ、ドレーンからの排液はワインレッド色になり、時にはショック状態に陥ることがあります。

ドレナージを適切に行うことで、膵臓の炎症を抑える薬剤や抗生物質の投与、点滴での水分補給などが主な対応になります。

腸閉塞(術後)

術後の腸閉塞も腹部の手術で起こりやすい特徴的な合併症です。術後数日からリスクがあり、数年経過しても起こる可能性がある合併症でもあります。

手術では、麻酔によって腸蠕動が一時的に抑制される上、開腹すると腸が外気にさらされて腸の活動の再開が遅れます。

一般的に腸閉塞を予防するには、できるだけ早く腸の動きを回復させることが言われています。

早く体を動かすことや、水分を摂取することなどで、体内のリズムを手術前に近い状態に戻すことが推奨されます。

このため、手術直後からベッド上での寝返りや、手術翌日には歩行を開始する術後のリハビリがされる場合があります。

胃切除後は、飲食制限が必ず伴うため、医師の指示に従って水分や食事を摂取しましょう。

術後肺合併症(術後呼吸器合併症)・循環器合併症

術後肺合併症(術後呼吸器合併症)・循環器合併症は、全身麻酔によるリスクのある合併症です。
最近では高齢者においても胃がん手術の適応になりますが、いずれも高齢者にリスクが高い合併症と言われています。

術後肺合併症には、手術中や手術後にずっと同じ状態で横になっているために起こる無気肺や術後肺炎があります。

防止のために術前は禁煙し、術後は寝返りを打って溜まった痰をしっかり出す対処がされます。

胃切除後症候群

胃がんの手術後、いくつか特徴的な合併症が起こりやすくなります。このような合併症を総称して胃切除後症候群と呼びます。

主なものには以下のようなものがあります。
  • ダンピング症候群
  • 小胃症状
  • 下痢
  • げっぷ、おなら
  • 逆流、逆流性食道炎、逆流性胃炎
  • 貧血
  • 牛乳不耐症
  • 栄養障害
  • 胆石症
  • 骨粗鬆症
以上です。他には残胃がん・吻合部潰瘍・輸入脚症候群なども挙げられています。

胃を切除後の合併症

胃には様々な機能があります。

「食事をある程度の時間ため込む」、「食事をため込んだ間に消化して粥のような状態にして腸に送る」、「消化ホルモンを分泌して消火活動を活発にする」、「ビタミンB12を吸収の補助をして赤血球の合成を助ける」などが挙げられます。

胃切除後症候群は、胃の一部もしくは全部を切除することで、胃の機能が果たせなくなったり、衰えてしまうことが原因で起こると考えられています。

これらの合併症は、胃の切除範囲や手術方法によっても症状の出方が異なってきます。

ダンピング症候群

胃切除後症候群の中でも代表的なものがダンピング症候群です。

胃を切除すると胃の消化機能が弱り、食べ物が未消化の状態で一気に腸に流れ込んでしまいます。

これにより、急激な腸の動きや消化管ホルモンの分泌が起こり、食後に症状が現れるのがダンピング症候群と言います。

胃で食べ物を溜めるのは、十二指腸との境目の幽門という部分が担っている機能であるため、幽門を切除する幽門側胃切除術胃全摘術の術後に起こりやすくなります。

ダンピング症候群は、症状が現れる時期により、早期ダンピング症候群と晩期ダンピング症候群とがあります。

少量ずつ、よく噛み、時間をかけて食事をとることで、この症状は軽減されることが多くあります。手術後の食事制限や分割食は、このダンピング症候群の予防も考慮されています。

食事中に水分を多量に摂取して、食べ物を流し込むようなことは避けた方が良いと言われています。

早期ダンピング症候群

早期ダンピング症候群の症状は、食後から数分~30分程度あるいは食事中から起こります。

冷や汗・動悸・頻脈・吐き気・嘔吐・下痢・腹痛・めまい・しびれ・腹部が張る感じなどといった症状が多くなります。

症状が1時間程度続くこともありますが、食事をいったん中止し、横になってしばらく休むことで症状が軽減されてくることが多くあります。

晩期ダンピング症候群

食後2~3時間で、発汗・めまい・空腹感・めまい・頭痛・頻脈などが起こることが多くなります。

小腸に食べ物が流れ込み、血糖値が上がることに対し、体がインスリンを分泌するために低血糖状態となっていることが考えられます。

一般的な対処方法としては、糖分の摂取が関係していることが多く、飴などで糖分を補給すると症状が軽減される場合があります。

小胃症状

胃がんの手術を受ける方が、最も気にされる合併症だと言われています。

術後、胃で食べ物を消化する機能が低下することがあります。

このため、食事中や食後に腹部や胃部の膨満感(張る感じ)や気分不良・吐き気・胃痛を感じることがあり、このことが原因で食事量が減ってしまいます。

しかし、徐々に食事量を増やしていくこと等で胃が慣れていき、数か月から1年程度かかって手術前の食事量に戻っていくことが多いです。

下痢

手術後1~数か月で起こりやすい症状と言われています。

手術後の消化管ホルモンの分泌の変化や、食べ物が急に症状に腸に流れ込むことによる反射、消化能の低下によるタンパク質や脂肪の吸収障害などが原因だと考えられています。

栄養分の高い食事をとり、食事や水分を小分けにして摂取することで対処することができますが、酷い場合には医師に相談しましょう。

げっぷ、おなら

胃がんの手術を受けた後、以前よりもげっぷやおならが頻繁に出ることがあります。

術後、胃が小さくなることで、げっぷが出やすくなることがあり、また、おならは食べ方や消化を気にすることで無意識に空気を飲み込んでしまい起こりやすくなると考えられています。

次第に治っていくことが多いので、あまり気にしすぎない方が良いと言われています。

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逆流性食道炎・逆流性胃炎

胃は袋のような形をしていますが、食道側に噴門が十二指腸側に幽門があることで袋の口を締めるように食べ物や胃酸を胃に留める働きや逆流を防ぐ働きをしています。

しかし、手術によって噴門や幽門を切除することで逆流が起こりやすくなります。

噴門側切除や胃全摘術を受けることで、逆流の影響で、むかつき・吐き気・嘔吐、逆流性食道炎などの症状が考えられます。

逆流性食道炎では、酷くなると胸元やのどの痛み・灼熱感、飲み込みにくさなどを訴える方もいます。

幽門側切除では、胆汁や膵液などの消化液が胃に逆流し、逆流性胃炎が起こりやすくなります。

この逆流性胃炎は、がんを発生しやすいという報告があり、ここに発生するのが残胃がんです。

逆流の対処としては、食事中や食後1時間程度は横にならない、また、就寝前に食事を摂らないようにし、食後は就寝まで3時間程度は時間を空けるのが良いとされています。

症状がひどい場合には、薬物療法もとられますので医師に相談しましょう。

逆流性胃炎

胃がんの根治を目指すための手術では、胃の壁にあるがん組織をできるだけ取り除くため、胃の一部もしくは全部を切除することが避けられない場合が多くなります。

このため、胃がんの手術後、胃を切除するために胃の機能が低下したり、損なわれるため、様々な障害が起こることが考えられます。

逆流性胃炎も、このような胃を切除する手術を受けた後に起こる胃切除後症候群の一つに挙げられます。

胃切除後症候群には逆流性胃炎の他に、ダンピング症候群・小胃症状・逆流性食道炎・胃切除後胆石・骨粗鬆症など、実に様々なものがあります。

逆流性胃炎はどうして起こるの

胃は袋のような形をした消化管ですが、十二指腸との境目には幽門という部分があり、その部分は巾着の袋が締まるように胃の中にため込んだ食べ物や消化液の出入りを調節しています。

幽門があり、それがしっかりと機能することによって、胃の食べ物が急激に十二指腸に流れ込むことがなく、また十二指腸の消化液が胃に逆流しないような構造になっています。

胃がんで幽門側胃切除術を受けると幽門を含む下部の胃を約2/3を切除することが多くなります。

このため、幽門の機能が失われ、胆汁や膵液を含む消化液が逆流することで残った胃に炎症を起こしてしまうのが逆流性胃炎です。

また、手術によって胃の機能が弱り、胃酸が減ることによって胃の中の細菌が増えることも原因ではないかとも考えられています。

逆流性胃炎の症状

逆流性胃炎では主に以下のような症状があります。
  • 主に空腹時に上腹部やみぞおちなど胃の辺りが痛む・不快感がある
  • 主に空腹時にむかつき、吐き気などある

逆流性胃炎への対処

逆流を防ぐことが大事ですので、食事中や食後は直ぐに横にならず、しばらく体を起こした状態でいることで症状が軽減されるといわれています。

ただ、幽門側胃切除術を受けているとダンピング症候群など、他の術後症候群のために座っていることが辛い場合もあります。

症状が強い場合には通常の胃炎のように胃酸を抑えたり、胃酸を調節する薬が処方されるなどの薬物療法が取られますので医師に相談しましょう。

逆流性胃炎のもう一つの問題

逆流性胃炎は萎縮性胃炎と同様の胃炎です。萎縮性胃炎と言うと慢性胃炎の中でも胃がん発生との関連性が大きいと考えられているのが胃炎です。

逆流性胃炎を起こしている胃粘膜は、通常の胃粘膜よりもがん化するリスクが高いと言える状態だと考えることが出来ます。

このように逆流性胃炎からは、通常の胃よりも残胃がんが発生するリスクが高いという報告もあることから問題視されています。

胃がんの術後

胃がんの手術後、体はどのような状態になるのでしょうか?胃がんの治癒手術(定型手術・非定型手術)を受けた患者さんの術後の生活についてお話しします。

胃がんの治癒を目指す定型手術・非定型手術は、胃の一部もしくは全部を切除する方法が多いため、ダンピング症候群や小胃症状のような特徴的な合併症のリスクが伴います。

内視鏡手術では胃を切除するわけではなく、粘膜の一部を切除するだけなので、退院後は手術前と特に変わりない日常生活を送ることが可能です。

また、症状を緩和するための緩和手術や姑息的手術では、胃を切除するわけではありませんが手術方法には幅があるため、医療機関で説明を聞いておきましょう。

胃がん手術後について

手術当日

胃がん治療による入院期間ですが、腹腔鏡下の定型手術で2週間程度、開腹手術では3週間程度、非定型手術の場合も術式により、入院期間に幅はありますが、約3週間程度が目安になりますが年齢や状況によって様々です。

手術直後の当日はベッド上に寝た状態で過ごし、傷を安静に保ちます。この時期は出血の危険もあります。

じっとしていると手術後の呼吸器合併症を起こしやすいため、寝返りや深呼吸の指示がある場合があります。

胃を切除していますので絶飲食となり、点滴は24時間となります。傷の痛みが強い場合には痛み止めの点滴でかなり軽減されます。

手術翌日以降

手術翌日(術後1日目)は、状態にもよりますがベッドを上げて座る練習や歩行を開始します。

容態にもよりますが早く歩いた方が呼吸機能や腸の動きが回復するため、傷の治りも早くなると言われています。

腹腔鏡下手術を受けた方など早い場合、術後1日目から水分摂取が許可されます。

医療機関や執刀医にもよりますが、腸の動きを聴診や放屁で確認するか、あるいはX線検査で腸にガスが溜まっていないことを確認してから水分が開始されます。

水分を開始して腹痛や発熱などの異常がなければ、水分開始の1~数日後に流動食や三分粥といった柔らかい食事が開始されます。

傷からのもれ等がないかを胃透視検査をしてから食事を開始する医療機関も多いです。

胃の切除後、ダンピング症候群や小胃症状や逆流などを起こしやすいため、1回の食事を数回に小分けした分割食で出されたり、間食が出されたりすることが多くなります。

術後の食事に注意

胃がんの手術後、合併症を軽減するには食事の食べ方に注意することが大事です。

食事の際には少量ずつよく噛み、時間をかけたり、食事の数回を小分けにするなご工夫することで合併症が起こりにくくなるとされています。

傷の経過や合併症に注意しながら、日にちをかけて柔らかい食事から通常食へ変えていくのが一般的です。

通常食になり、合併症の注意点や対処方法を理解して自己管理できるようになったら退院が検討されます。

入院中や退院前には、食事のとり方の注意点や食事内容について指導を行っている病院が多くあります。

術後の傷口の処置

通常、傷の抜糸(最近はホッチキスのような器具で傷を縫うため、抜鈎(ばっこう)とも言います)は、手術後は約1週間程度をめどに行われることが多くなります。

傷の内部の出血や膿を排出するための管(ドレーン)がなければ、おおむね手術後2~3日でシャワーも可能になるでしょう。

退院後の生活

手術による傷口ですが、見た目にはくっついた状態に見えますが、中の筋肉まで癒合するには1か月程度はかかると言われています。

その期間は、体を強くひねったり、腹筋に強い負荷をかけるような運動は避けた方が良いとされています。

しかし、胃腸の動きを促すためにも散歩などの軽い運動が推奨されますので医師と相談して適度な運動を心掛けると良いでしょう。

ダンピング症候群・小胃症状・逆流といった合併症に関してですが、手術の術式などによって個人差があり、退院する頃には、ほとんど気にならない方もいます。

また、食事量ですが、直ぐには戻りにくく、数か月~1年程度かけて普通の成人の摂取量に戻していくようになります。

食事内容に大きな制限はありませんが、刺激物やアルコールに関しては、数か月間は控えるように指導があるかと思われます。必ず自己判断はしないで通院時に医師に確認しましょう。

退院後の通院は傷の経過にもよりますが、初回は退院一週間後程度、その後は月1回程度になり、次第に間隔が開いていきます。

リンパ節転移の数や再発のリスクによっては、その後化学療法(抗がん剤治療)が行われます。

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胃がんの転移・再発

がん転移とは、がん細胞が発生した場所から、何らかの方法で移動して別の場所にがん組織を作ることです。

一方の再発とは、手術や抗がん剤などの治療後、時間が経過してから治療した部位に再度がんが発生したり、他の場所に転移することを一般的に指します。

胃がんの転移のしかた

がんの転移のしかたには大きく3つあります。
  • リンパ行性転移
  • 血行性転移
  • 腹膜播種性転移

胃がんのリンパ行性転移

がん細胞がリンパに乗って転移したものをリンパ行性転移と呼びます。

胃などの消化管は、食べ物から吸収した脂肪を血管から吸収してリンパに乗せて運ぶため、胃の周囲には多くのリンパ管やリンパ節が存在します。

このことから、胃がんの転移で最も多いとされているのがリンパ節転移なのです。

リンパ行性転移は、胃に近いリンパ節から遠くに広がっていくと考えられ、定型手術では転移や再発を防ぐためにD2と呼ばれる広い範囲のリンパ節が切除されます。

胃の近くのリンパ節の転移であれば、手術にて全て切除することで治癒する可能性が高くなります。

胃がんの血行性転移

胃がんが進行し、血管にがん細胞が入り込むことで他の臓器に転移することがあり、これを血行性転移と呼びます。

血行性転移がよく見られるのは、血管に富んだ臓器となり、肝臓・肺・脳・骨などが挙げられます。

胃と隣り合っていない臓器にがん組織があるということ(遠隔転移)は、血行性転移の可能性が高く、ステージⅣと判断されることが多くなります。

血行に乗ってがん細胞が運ばれているため、目に見えない転移がある可能性が高く、再発の可能性も高いと考えられます。

血行性転移があると外科手術の適応にはならず、抗がん剤治療が選択されることがほとんどです。

胃がんの腹膜播種性転移

胃がんが進行し、胃壁の外にある腹膜に転移することがあり、または腹腔のスペースの中にがん細胞がこぼれ落ちて、がん細胞増えることなどもあります。

腹腔は腹膜という大きな壁で囲まれた部屋のようなもので、その中に胃や腸・肝臓・膀胱・卵巣などがあります。

腹膜にがんが転移すると、がん細胞は腹腔を移動して他の臓器に転移することがあります。これを腹膜播種性転移(播種性転移・腹膜播種)と呼びます。

腹膜播種性転移ではステージⅣとなることが多く、血行性転移と同様に既に目に見えない転移や再発の可能性が高いため、やはり外科手術の適応ではなく、抗がん剤治療から適応されることが多くなります。

胃がんの再発

胃がんの再発が現れやすいとされているのが、リンパ節や肝臓・肺・腹腔などです。治療で取り切れなかったがん細胞が少しずつ育つことで起こると考えられています。

胃がんの再発の多くは、先ほど挙げた転移と同じ状態のため、多くは抗がん剤治療の適応となります。

治療後に再発が見つかるのが約1~2年以内が最も多く、5年を超えると少なくなるという結果が出ています。

再発の早期発見のためには、治療後の3年間は3か月から半年ごとの検診を、それ以降は年1回程度の検診が勧められています。

手術時に取り残された胃の一部からがんが発生することがありますが、これは新しく発生したがんと見なされ、残胃がんと呼ばれます。

残胃がんは、厳密には再発とはみなされないため、手術が可能になることが多くなります。他への転移の程度などから手術療法の適応かどうかが判断されます。

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胃がんの生存率

がんなどの治療成績を示す一つの指標として生存率があります。治療開始から一定期間に生存している割合を計算したものとなり、治療方法やがんの進行度(ステージ)などでも分けられて算出されます。

生存率には、5年生存率・10年生存率などがありますが、がんの種類によっては、統計の数が少ないために計算されないものもあります。

生存率には「相対生存率」と「実測生存率」があり、実測生存率とは死因に関係なく集計したものですが、相対生存率の方は、がんによる死亡意外の要素を補正して算出されたものです。

このため、一般的には治療効果を見る時には相対生存率が用いられています。

相対生存率では、治療の成否だけでなく、患者さんの年齢や基礎疾患や合併症なども影響してくるため、一概に全ての患者さんに当てはまるとは言えませんが一つの目安になる数字です。

ステージ別の胃がん5年生存率

全国がん(成人病)センター協議会(全がん協)の2017年2月の集計による2006~2008年の間に胃がんの治療(手術療法・化学療法・放射線療法その他含む)を受けた患者さんの各ステージ別の症5年生存率と症例数、および2016年度の集計結果(2005~2007年に診断・治療)との比較は以下のとおりです。
  • ステージⅠ:(2017年度、以下同様)98.1%(症例数、12,559件)←(2016年)97.3%
  • ステージⅡ:66.4%(症例数、1,588件)←65.7%
  • ステージⅢ:47.3%(症例数、1,991件)←47.2%
  • ステージⅣ:7.3%(症例数、3,387件)←7.3%
  • 全症例:74.5%(18,514件)←73.1%

5年生存率の読み取り方

5年生存率で見る限り、ステージが進むほど生存率が低くなっています。これは早期発見することで治療効果が高いことを表しています。

この生存率(治療効果)には、様々な要素が関係してきますので、一概に全ての例に当てはまるわけではありません。

例えば、ここには男女差や年齢別での結果は出ていません。

一般的には高齢者は他の疾患を持っていることが多く、手術や抗がん剤治療など体に大きな影響のある治療に対する耐性が低く、合併症や副作用のリスクも高くなります。

このような要素があるため、高齢者においては生存率が低くなるのが一般的です。

しかし、全体的に5年生存率は上がっていて、これは治療技術の進歩や検診の普及により、早期治療の効果が出ていると考えられています。

また、他のがんの5年生存率と比べると、がん全体の5年相対生存率は60%強となり、肝臓がん・肺がんの全ステージでは、30%台、膵臓がんなどではさらに低くなります。

このことからも胃がんは、がんの中では比較的長期生存が可能ながんだと言われています。

医療機関別の年生存率

全国がん(成人病)センター協議会では、医療機関ごとの生存率などのデータも公表しています。しかし、医療機関別のデータを見る時には注意が必要です。

各医療機関によって集まる患者さんにはがでますし、選択する治療方針にも差があります。また、生存率は長期の追跡調査をしなければ出せない統計となります。

一施設内において患者さんの長期追跡は困難となります。患者さんによっては途中で医療機関を変える場合もあります。

さらに、一施設内で扱える患者数は、統計の母数としては小さいため、他施設との比較や同施設での年度による比較も困難です。

医療機関別の5年生存率は、その医療機関の治療成績を必ずしも表しているものではありません。

胃がんの10年生存率

生存率とは、がんの治療成績やがんの治りやすさを知るための一つの指標として用いられます。治療の開始から数年間の間、生存している患者さんの割合を計算したものです。

生存率のデータは、がん全体、がんの種類、がんの進行度(ステージ)、治療方法などに分けて集計されています。

生存率には、死因に関係なく死亡例数を集計した実測生存率と、がんに関係ない死因や要因を除外して推計された相対生存率とがあります。

がんの治療成績の指標としては、相対生存率が一般に用いられています。

計算して補正されてはいるものの、生存率には基礎疾患や合併症など様々な素因が影響しますのでマスデータとして、がんの治りやすさや治療成績として参考にできる数字ですが、これによって余命が決まるわけではありません。

生存率で主に引き合いに出されるのは、5年生存率になります。大規模な生存率の調査が始まったのは1990年代後半ですので、5年生存率は膨大な数字が出揃っているためによく用いられるのです。

これに対して10年生存率に関しては、集計期間が十分でなく、積み上げが少ないデータになります。

全国がん(成人病)センター協議会(全がん協)による、がんの10年生存率の大規模集計が初めて行われたのは2016年です。2017年1月に2回目のデータが公表されました。

2017年2月の集計では、2000~2003年に診断・治療が行われた20施設・18部位のがんの45,359症例について10年生存率が公表されました。20施設に限られた数字のため、施設別の生存率の算出はされていません。

全部位全病期(ステージ)での10年生存率は58.2%でした(同症例内での5年生存率は63.8%)。

全国がん(成人病)センター協議会(全がん協)が2017年2月に公表した2000年~2003年の間に胃がんの治療(手術療法・化学療法・放射線療法その他含む)を受けた患者さんの各ステージ別の10年生存率と症例数は以下の通りです。

また、同症例の5年生存率も比較として挙げてみました。
  • ステージⅠ:93.9%(症例数、4,392件)(5年生存率;95.8%)
  • ステージⅡ:55.8%(症例数、652件)(5年生存率;61.6%)
  • ステージⅢ:38.1%(症例数、821件)(5年生存率;43.5%)
  • ステージⅣ:7.0%(症例数、1,279件)(5年生存率;8.9%)
  • 全症例:67.3%(7,579件)(5年生存率;70.1%)

10年生存率の読み取り方

上記を見る限り、5年生存率と同様にステージが進むほど生存率が低いことが分かります。つまり、早期の状態で発見して治療を開始するほど治療効果が高いということが言えます。

また、5年生存率と10年生存率を比較してみるとあまり大きな差はないことがわかります。5年生存している例の多くがさらに長期生存できる可能性があることを示しています。

但し、ここには男女差や年齢別での結果は出していませんので、あくまで一般的な数字として参考にしてください。

また、高齢者になるほど他の疾患を持っていることが多く、手術や抗がん剤治療など体に大きな影響のある治療に対する耐性が低く、合併症や副作用のリスクも高くなる傾向にあります。

このような要素があり、高齢者は長期生存率が低くなるのが一般的です。詳しいデータは全がん協のホームページで調べることができますが、あくまで目安としてご覧ください。

尚、他のがんの10年生存率との比較では、胃がんの10年生存率は比較的高く、早期治療により長期生存が可能ながんだと考えられています。

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スキルス性胃がん

胃がんを分類する際には、いくつかの分類方法が用いられます。

中でも胃がんの組織の見た目や形の特徴により、分類する方法がボールマン分類と呼ばれる方法となり、形態的分類あるいは肉眼的分類とも呼ばれる方法です。

胃がんのボールマン分類では、0型から4型に分けられ、0型は早期がんと呼ばれ、進行がんは、粘膜下層の下まで進んでいる胃がんで1~4型に分けられます。

1型に関しては、粘膜に限局して盛り上がったがん組織で、2型は限局された潰瘍を作るもので、3型は同じく潰瘍を形成しますが境界がやや曖昧なものになります。

そして4型がびまん性浸潤型と呼ばれる型となり、見た目は平坦で、隆起したがん組織や潰瘍は見られず、胃の壁に木の根のように張り巡らされていたり、小石を撒いたように広がっているがん組織です。

「スキルス」「スキルス性胃がん」と呼ばれるものはこの4型の広がり方をしています。

特に広く胃の大部分に広がるようなボールマン4型の胃がんをスキルス性胃がんと言います。硬がんとも呼ばれる胃がんでスキルスとは「硬い」という意味なのです。

スキルス性胃がんの特徴

スキルス性胃がんは、胃粘膜の表面的な特徴に乏しく、正常な組織との境界が曖昧だったりするため、検査を受けても早期発見が難しいとされています。

このため、自覚症状が出てから見つかった時点では、既に胃の壁全体に進行していることも少なくありません。また、リンパ節や腹膜、他の臓器への転移がきっかけで見つかることもあります。

また、胃壁に深く広く進行して行くことから転移も起こしやすくなります。

特に腹膜転移を起こしやすいことで知られており、診断時には半数近い人が腹膜転移を起こしているとも言われています。

スキルス性胃がんは、胃がん全体でも約10%の割合を占めています。

通常、胃がんは高齢になるほど発症率が高くなりますが、対してスキルス性胃がんは、20~40代という比較的若い女性に多く見られます。

スキルス性胃がんの原因

ピロリ菌との関連性は低い

スキルス性胃がんは、他の胃がんと比べて色々と異なる特徴を持った胃がんです。

通常の胃がんでは高齢になるほど発生リスクが高く男性に多く見られるのに対し、スキルス性胃がんに関しては、発症ピークが20~40歳代の若い女性となります。

胃がんの原因と考えられているヘリコバクター・ピロリ菌とスキルス性胃がんの関連性は低いという報告があります。

スキルス性胃がんと遺伝性

遺伝性胃がんの家系が言われていることから、日本でもスキルス性胃がんと遺伝に対する研究が続けられています。

また、数年前から日本人のスキルス性胃がんの遺伝子研究においても成果が報告されており、ある遺伝子の変異が高頻度で見られ、細胞の増殖を制御する働きに関わり、この遺伝子が細胞のがん化の引き金になっているのではないかという報告です。

さらに別の遺伝子の異常により、マウスでのスキルス性胃がんの発生が証明されていますが、必ずしも全てのスキルス性胃がんが遺伝子の異常によるものだとは言えない状況です。

がんの抑制や発生に関わる遺伝子は多数の種類があるため、一つの遺伝子の異常が、がん化にどれほど影響するのかを知ることもなかなか難しいようです。

しかし、数々の遺伝子の発見が、スキルス性胃がんの治療薬の開発に役に立つのではないかと期待されています。

スキルス性胃がんの症状

スキルス性胃がんは、胃粘膜の表面に病変をあまり作りません。そのため、初期症状がほとんど無いというケースが多くなります。

もともと胃がんは初期症状に乏しいと言われていますが、スキルス性胃がんに関しても同じことが言えます。

スキルス性胃がんの場合、早期発見の診断が難しく進行も速いため、症状が出た時には既に悪化していたということも少なくありません。

スキルス性胃がんの主な症状

スキルス性胃がんの症状は、通常の胃がんと同様で特にこれといって特徴的な症状はありません。

その中でも代表的な症状としては、胃の不快感、胃の膨満感、胃もたれ・むかつき・胸やけ・吐き気、げっぷが増える、食欲不振、胃痛・上腹部痛、黒色便(便に胃からの出血が混じる)、吐血、貧血、微熱、体重減少などが挙げられます。

胃がんにおいても同様ですが、これらの症状があるからスキルス性胃がんだと言い切れる症状ではありません。

スキルス性胃がんの場合、胃が硬くなって動きが悪くなる、胃が委縮するとことで下記のような症状が比較的現れやすいと言われています。
  • 食事量が減る、少量でお腹が膨れる感じがする
  • 吐き気
  • 胃痛・上腹部痛
  • 吐血
  • 下痢
  • 上腹部に固い大きなしこりのような胃を触れる
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進行して気付くスキルス性胃がん

スキルス性胃がんは、早期発見が難しく進行も速いため、発見時に他の臓器への転移を起こしている状態が半数を超えると言われています。

また、他の臓器に転移が起こり、転移先において症状が現れることで発見されることも少なくありません。

スキルス性胃がんで特に起こしやすい転移は、腹膜転移だと言われています。

腹膜転移は、がん細胞が胃の壁を超えて、お腹の腹腔という空間を覆っている腹膜に転移するものです。

腹膜にできた腫瘍によって、腹水・むくみ・便秘や下痢といった便通異常・腹部膨満感・腹痛などが症状として現れることが考えられます。

また、腹腔には色々な臓器があるため、肝臓や胆道の近くに腫瘍ができると黄疸、腎臓や尿管の近くに腫瘍ができると水腎症、卵巣に転移すると下腹痛や下腹部膨満感など、その臓器に応じた多様な症状が現れることがあります。

スキル性胃がんのステージと治療

ステージⅠ~Ⅲの治療

スキルス性胃がんだけでなく、胃がんの標準治療として最も根治的な方法は、がん細胞を体から取り除くこと、つまり手術療法になります。

胃がんのステージⅠ~Ⅲでは、標準治療としては手術が第一選択となります。

スキルス性胃がんでもこれは例外ではなく、ステージⅢまでであれば手術が行われるのが標準的です。

スキルス性胃がんの場合、再発の可能性が高いため、手術の後に再発防止のために術後化学療法として、抗がん剤治療を行うことが多くなります。

ステージⅣの治療

ステージⅣとは、腹膜転移や多数のリンパ節転移、あるいは他の臓器へ転移を起こしている状態を指します。

既に目に見えない形で身体のどこかにがん細胞が存在している可能性が高く、手術でがん細胞を全て取りきることは難しいことが多く、手術療法の適応にならないのが通例です。

この場合、化学療法(抗がん剤治療)が主に行われますが、転移の部位によっては放射線療法などが行われます。

ステージⅣになると、痛みが強くなったり、出血・穿孔の症状が見られる場合には、がんの治療ではなく、食事が食べられるように当面の症状を軽減するための処置や痛みや出血を取り除くための手術といった緩和療法が適応されます。

スキルス性胃がんの化学療法

スキルス性胃がんの抗がん剤治療では、TS-1という内服する抗がん剤と、点滴の抗がん剤(シスプラチンなど)を組み合わせた治療がよく行われています。

また、腹水が見られる腹膜転移については、抗がん剤による腹腔内化学療法が行われることがあります。

その他の治療

他の臓器への転移巣については、放射線療法や抗がん剤動注療法などその部位に応じた治療が行われます。

腹水がある腹膜転移に対しては、活性化自己リンパ球移入療法などの免疫療法も行われることがあり、一部に関しては先進医療の適用が認められています。

ステージⅢ・Ⅳのスキルス性胃がんでは、痛みや吐き気・食事量の減少など様々な症状が見られる可能性があります。

症状によっては、化学療法や手術など体力を使う治療を行えない場合があり、そのような場合には、肉体的、精神的な苦痛を軽くすることを重視した緩和治療ががん治療と並行して行われることがあります。

スキルス性胃がんの検査

胃バリウム検査

胃バリウム検査は、胃がん検診では最もよく行われている検査です。このバリウム検査では、胃の凸凹の影を見ることになります。

バリウム検査では、がん細胞が腫瘍だったり、クレーターのようにくぼんだ潰瘍を作る胃がんを見つけることが多くなります。

スキルス性胃がんは、塊や潰瘍を作らないため、その凸凹の影からはスキルス性胃がんは見つかりにくくなります。

しかし、スキルス性胃がんは、胃粘膜が硬く動きが悪くなり、さらに胃が小さく萎縮することがあり、その様子からバリウム検査にて発見に至ることがあります。

胃内視鏡検査(胃カメラ)・胃生検

胃内視鏡検査(胃カメラ)は、胃粘膜の表面を見る検査です。スキルス性胃がんの場合では、腫瘍や潰瘍を作らないため、発見することが難しいことがあります。

胃生検では、胃の細胞を見ることでがん組織を特定できる検査のため、スキルス性胃がんが特定できます。多くは胃内視鏡のもとで胃粘膜を採取して検査されます。

CT検査・腹部エコー

原因が不明な腹部の症状や、腹水などを精密検査であるCTや腹部エコー検査によって、腹膜転移やリンパ節転移・他の臓器への転移したスキルス性胃がんが見つかることがあります。

その他の胃がん検査

スキルス性胃がんでは胃粘膜が硬く厚くなるために触診(体の表面から触れる診察)で発見に至ることもあります。

また、最近では遺伝子の関与が取りざたされているスキルス性胃がんですが、遺伝子検査が一般的に行われるところまでには至っていません。

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セカンドピニオン

セカンドオピニオンとは、英語で直訳すれば2番目の意見という意味です。

患者さんが、診断や初期診療をした医師、現主治医以外の第三者的な医療機関から診断や見解を得るという行為、または得た意見そのものを指します。

現在、診療を受けている医師から提示された診断に納得がいかない場合や、その治療方針と違う治療方法を模索したい場合などで活用されています。

あくまでセカンドオピニオンとは、別視点での意見を得るために「患者から主治医以外の医師に相談を持ち掛けるもの」であり、医師を変えることを目的にしたものではありません。

つまり、セカンドオピニオンは、患者さんが自分に合った治療方法や療養生活を数ある治療の中から選択し、自己決定するための一つの判断材料となるものだと言えます。

セカンドオピニオンは、インフォームドコンセントのためのツールで、医師との信頼関係を構築するためのツールだとも言えます。

セカンドオピニオンにかかる費用

先ほども挙げたようにセカンドオピニオンとはあくまで「主治医以外の医師の意見を得るために相談する」という形式のものです。ですから診療ではありません。

そのため、セカンドオピニオンにかかる費用は、自由診療扱い(保険適用外)となるため、全額自己負担になります。

医療機関によって料金は異なります。事前にどのくらいの費用負担になるのか確認しておいた方が良いでしょう。

また、セカンドオピニオンの際、現在診療を受けている医療機関からの紹介状が必要となり、その費用も必要です。

さらにセカンドオピニオンの担当医師が、追加で検査を行うような場合には追加費用がかかる場合があります。

尚、セカンドオピニオンを受けている医療機関では、専門のセカンドオピニオン外来を設けている病院も増えています。

セカンドオピニオンを受けるなら

胃がんについてセカンドオピニオンを受けてみたい主な事柄をいくつか挙げました。

胃がんの診断についてのセカンドオピニオン

  1. 胃がんという診断で間違いないのか
  2. 病気の進行度(病期・ステージ)の判断や生存率・余命について
  3. 治療方針について、主治医が挙げている以外の方法はあるのか

胃がんの手術についてのセカンドオピニオン

  1. 手術の切除範囲について(例;胃は残せないのか?)
  2. 主治医が挙げている以外の手術方法はあるのか
当然ですが、主治医の意見(ファーストオピニオン)とセカンドオピニオンとが一致する場合がありますし、セカンドオピニオンによって治療の選択肢が増える場合もあります。

セカンドオピニオンを受けたら、その意見を持ち帰り、主治医と改めて診断や治療方針について話し合い、最終的にどこの医療機関で治療を受けるかを決めることになります。

インフォームドコンセント

インフォームドコンセントとは、英語で直訳すると説明と同意という意味になります。医師から充分な説明を受けて患者さんがそれに納得して同意することを言います。

1970年代頃から欧米を皮切りに起こった動きで、患者さんの知る権利を尊重するために必要だとされています。

日本でも普及し、現在は治療や検査を受ける際には、本人や家族の同意が必要となっています。

インフォームドコンセントは大事

胃がんの標準治療で最も根治的とされているのは手術です。

内視鏡手術ならば合併症などのリスクは低いですが、外科的手術の場合は麻酔や合併症によるリスクがあり、手術後の食生活も多少の変化を余儀なくされます。

また、手術以外の治療として抗がん剤治療や放射線治療がありますが、患者さんによっては副作用が多くみられる治療になります。

このようなリスクのある治療を受ける前に病気のことを知り、進行度を知り、治療によるリスクなども知った上で、患者さん(あるいは家族)が病気と向き合って、治療を選択できるようにするためにインフォームドコンセントが大切だとされています。

医師の説明の際に聞いておきたいこと

では、どんなことを医師や看護師から聞いておけば良いのでしょうか。医師の説明の際に聞いておきたい主なことを挙げました。

胃がんと診断された時

  1. 胃がんの状態:深達度(がんの深さ)、病気の進行度(病期・ステージ)、転移の有無、位置、数、生存率等
  2. 治療方針:どのような治療をどういう流れで行っていくのか、医師のお勧めの治療法は何か、お勧め以外ではどのような治療方法があるか等
  3. 診断や治療方針に納得ができない場合、セカンドオピニオンの受け方

手術を受ける時

  1. 手術の方法・内容:どんな手術か(胃や周りの臓器をどの程度切るのか、傷はどの程度の大きさなのか)、麻酔の方法、輸血の有無、およその手術時間、およその入院期間等
  2. 手術の合併症:手術や麻酔によってどんな合併症が考えられるのか、リスクはどの程度か等
  3. 手術の流れ:どの程度で歩けるか、どの程度で食事ができるようになるのか等
  4. 手術後の生活:手術後に日常生活や食生活にどんな変化が考えられるのか、仕事はいつ復帰できるか等
  5. 手術後の治療:手術の後に他の治療を行うのかどうか、どんな治療なのか等

抗がん剤治療や放射線治療を受ける時

  1. 抗がん剤治療の方法・内容:どんな療法名か、どんな薬かを使うか、治療日数、何コース行う予定か、およその入院期間等
  2. 放射線治療の方法・内容:どの部位に照射するのか、1回の治療時間はどのくらいか、治療日数、何コース行う予定か、およその入院期間等
  3. 副作用について:どんな副作用が考えられるか、どんな予防策や対策があるか等
  4. 治療中・治療後の生活:日常生活上の注意点はどのようなことか等
以上に挙げたのは主なことです。

インフォームドコンセントの際に重要なことは、気になることや聞きたいことは医師や看護師に伝えて納得することが大切です。

これ以外にも気になることは出てくるのは、当たり前のことです。医師や看護師としっかり話をして治療を受けましょう。

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参考文献等

  • 国立がん研究センターがん情報センター「胃がん」
    東京都中央区築地5-1-1
    https://www.pref.aichi.jp/cancer-center/hosp/12knowledge/iroirona_gan/02i.html
  • 国立がんセンター東病院「胃がんについて」
    千葉県柏市 柏の葉6-5-1
    https://www.ncc.go.jp/jp/ncce/clinic/gastric_surgery/050/010/index.html
  • がん研有明病院「胃がん」
    東京都江東区有明3-8-31
    https://www.jfcr.or.jp/hospital/cancer/type/stomach.html
  • 日本医師会「胃がん検診」
    東京都文京区本駒込2-28-16
    https://www.med.or.jp/forest/gankenshin/type/stomach/checkup/
  • 近畿大学医学部外科学教室「さらに詳しい胃がんのお話」
    大阪府大阪狭山市大野東377-2
  • 愛知県がんセンター中央病院「胃がん」
    名古屋市千種区鹿子殿1-1
    https://www.pref.aichi.jp/cancer-center/hosp/12knowledge/iroirona_gan/02i.html
  • メディカルノート「胃がん」
    https://medicalnote.jp/diseases/%E8%83%83%E3%81%8C%E3%82%93

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