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肺がん

肺がんとは

肺がんとは簡単に言ってしまえば肺に悪性腫瘍(がん)ができた状態を指し、日本だけでなく世界的に見ても肺がん患者数は増え続けています。

現在、日本人の死亡原因の第1位は肺がんとされ、少し前までは胃がん日本人では多かったのですが1998年に肺がんが第1位となり7万人以上の方が肺がんで亡くなられています。

肺がんはの死亡者は20年前と比べると約10倍にも増加しており、このままでは20年後に10万人以上の人が肺がんで死亡することが予測されます。

また、肺がんは男性が圧倒的に多く発症するというデータがあります。その男女比率は約3:1となり、たばこ(喫煙)が深く関係していると考えられていますが確定的ではありません。

一方で喫煙歴の無い女性に肺がんが最近増えてきており、原因としては喫煙から受ける副流煙や女性ホルモンの関与が懸念されています。

肺がんの原因

原因は喫煙なのか?

肺がんの原因には様々な説が言われていますが、じつは「がん」発生のメカニズムははっきりとは解明はされていません。

未だ解明されていないといっても一番の原因と考えられているのはやはり喫煙です。たばこを多く吸う人ほど肺がんのリスクは高くなると言われています。

たばこを吸う程度を表す「喫煙指数」という言葉をご存知でしょうか?

1日の喫煙本数×喫煙年数が600以上だと肺がんのリスクが、かなり高くなると言われています。例えば、1日1箱(20本)を30年間でちょうど600本になります。

非喫煙者でも家族に喫煙者がいれば、副流煙を受動喫煙という形でフィルターを通さない高濃度の発がん性物質(ニコチン・タール)を吸ってしまうことになるのです。

最近ではこの副流煙による健康への被害が懸念され分煙が進められています。


考えられる様々な原因

肺がんの原因としてよく聞くのは喫煙ですが研究によって他にもいくつかの原因が確認されています。

例えば、女性ホルモンや化学物、さらには免疫力を下げるという意味でストレスが肺がんと深く関係していると言われています。

エストロゲン

近年、女性ホルモン(エストロゲン)が肺がん(特に肺腺がん)に深く関わっていると報告されています。

月経期間の長い女性(初潮から閉経までの期間が長かった人)や、エストロゲン補充治療を受けた女性に肺腺がんの発症リスクの可能性が高いという報告されています。

遺伝

がん細胞とは、遺伝子に傷が付き蓄積することで発生しているという説があります。家系にがん患者が多い場合には遺伝子の傷を修復しにくい体質を受け継いでいる可能性はあります。

しかし、最近の研究では「がん」自体が遺伝するのではなく、家族の体質に加えて生活習慣や食習慣が似てくることが「がん家系」の大きな要因になると言われています。

化学物質

特殊な職業などの関係でアスベストやアルミニウムやクロム、ヒ素などが肺がんの原因になることは広く知られています。

ダニやカビ

大気汚染やダニやカビが肺がんの原因という説もありますが、はっきりした証明はされていません。

肺がんと喫煙の因果関係

世間一般に肺がんの一番の原因はタバコだと思われる方がほとんどだと思います。

肺がんにかかる危険度を知ることができるのが喫煙指数(ブリンクマン指数)です。

一日に吸うタバコの本数×喫煙年数

という数式で表されるように、喫煙の年数が長ければ長いほど肺がんのリスクは高まります。

ちなみにタバコを吸う人の肺がんによる死亡リスクは、非喫煙者の4~5倍です。1日1箱(20本以上)の喫煙で10倍以上という統計になります。

タバコを吸う本人でなく、その周りにいるタバコを吸わない人の副流煙による喫煙でも肺がんになる可能性は2~3倍も高くなると言われます。

以前に、タバコによるがんの発病リスクが、同じ本数を吸う人でも遺伝子によって変わるという発表がありましたが、はっきりした根拠はないようです。

喫煙者が減少しても肺がん死亡者は増加している

近年タバコによる健康被害が懸念され、喫煙率が下がってきています。その一方で、肺がんによる死亡率が年々増加していることから、最近ではタバコと肺がんの因果関係を見直す話もあります。

肺がん,タバコどういうことかというと日本での男性の喫煙率は30年前がピークでした。

しかし、タバコを吸っていてもすぐ肺がんになるわけではありません。30年のタイムラグによって肺がんによる死亡が徐々に増えているという見方もあります。

じっさいに、アメリカでは喫煙者の減少から、少し遅れてから肺がん死亡率が下がる統計もあります。

また、タバコを吸わなくても肺がんになる人や、愛煙家でも元気に長生きする人がいるのも事実です。

必ずしもタバコが肺がんの一番の原因ではないという考え方を持つ専門家もいらっしゃいます。

このような専門家達が、タバコ以外の要因と肺がんの関係性を調べていくことが肺がん治療の未来を切り開く第一の課題だと考えているようです。


肺がんの症状

肺に「がん」が生じても、ある程度の大きさにならないと症状は皆無と言えるでしょう。

初期段階の代表的な症状としては、乾いた咳が長引く、声のかすれが治らない、食事でむせやすくなった、体重減少などが挙げられます。

さらにがん移転が進むと、ホルモンバランスの崩れから手足の抹消の浮腫(むく)みや痛みを伴う、脳転移による頭痛や吐き気、肝臓転移による腹痛、そして骨転移による局所の痛みを確認することがあります。

肺がんが多く発生する場所は肺野型(肺全体と奥の方)と肺門型(肺の入り口近く)の2つに分けられます。

肺野型と肺門型が多い

肺野型とは肺の奥深い肺野部(気管支の末梢にできる)にできた「がん」です。この肺がんの怖いところは初期症状がほとんどないところです。

がん組織が広がり、肺門のリンパ節近くまで転移してくると声がかすれたり、激しい咳や血痰といった症状が現われはじめます。

定期検診のレントゲン検査で、肺に陰が確認されていても自覚症状が全くない、念のために詳細な検査をしたら「肺がん」が見つかった・・・というケースも少なくありません。

さらに進行すると胸の痛みや背中の痛み、胸水が溜まると呼吸困難(息切れや息苦しさ)といった症状がみられるようになります。

一方の肺門型とは肺の入り口付近に「がん」ができる肺がんです。肺門型の肺がんは早い時期から頑固な乾いた咳が確認できます。

咳止めの薬を服用すると一時的に良くなることもありますが完全に治ることはありません。薬を止めれば再び咳がはじまり、咳がひどくなると痰に血が混じることもあります。

この咳を「風邪でも引いたのか」「たばこのせいだろう」だと思ってしまう人が多く、見逃してしまう人も少なくありません。

肺門部の肺がんはレントゲンやCT検査等では見つけにくく、痰を詳細に検査する喀痰細胞診(かくたんさいぼうしん)をしなければ診断することが難しいです。

肺がんと咳(せき)

肺がんの主な症状として知られるのが咳です。じつに肺がん患者の80%は咳に苦しむと言われています。

初期の肺がんの症状として挙げられるのが咳、熱、痰というように、非常に風邪と似たものなので見逃すことが多いようです。

一方で肺がんが進行しても咳などの症状が全くない人もいます。

初期の肺がんから来る咳は乾いた空咳であることが多く、風邪であれば放っておいても数日から数週間で治る一方、肺がんからくる咳は継続して長期間続くのが特徴です。

しかし、空咳が長期間続くからと言って、必ずしも肺がんであるとは限りません。咳の原因は様々で気管支炎や咳喘息、結核や百日咳なども似た症状なので大変紛らわしいものです。

これらの病状と肺がんとの区別ははっきりとないため、肺がんの発症年齢期や喫煙歴などから心配な人は放っておかず、病院で咳の原因を調べることが大切です。

長引く咳には要注意

痰の量や血痰がないかなど、状態をチェックし目安としては1ヶ月以上咳が長引く場合、特に40歳以上のタバコを吸う人は検査を受けてみるべきです。

肺がんからくる咳は「がん」やその周囲の炎症が気管支や肺、横隔膜を刺激するために起こり、病状が進み湿り気のある咳は痰や分泌物を排出することが原因で起こってきます。

食事がとれなかったり、夜も眠れないほど咳が続くと体力を消耗するので、肺がん患者には風邪薬にも配合されている鎮咳薬や気管支拡張剤などの咳止めが処方されます。

また、気管に発生した「がん」が原因の場合には、放射線治療を行うことで咳の症状が軽くなる場合もあるようです。

末期患者で骨に転移がある場合には、咳で肋骨を骨折することもあるようなので十分な緩和ケアが必要になります。

肺がんと血痰(けったん)

肺がんの初期症状の一つに血痰(けったん)が出るというものがあります。

血痰とは、肺や気管、気管支、喉からの出血が痰に混じって出るものです。主な原因として肺や気管支の血管からの出血や気管支などの粘膜の炎症による出血、また鼻血が喉に落ちてきて血痰として出ることもあります。

じつは血痰だけで見ると90%は他の病気(慢性化した風邪、肺炎、気管支炎、気管支拡張、肺結核、肺血栓、肺梗塞)と診断されるので、肺がんである確立は非常に低くなっています。

しかし、肺がんの初期症状で咳があった人が85.7%、さらに血痰が出るという症状があった人が57.1%、咳と血痰の両方の症状が同時に見られた人は92.9%という統計があります。

中でも喫煙者に多いとされる肺門部(気管や気管支)にできた肺がんでは血痰が出る可能性が高いので喫煙者は日ごろから痰をチェックしておくといいでしょう。

肺がんの初期症状からくる血痰の特徴として、鮮明な赤い血の塊のようなものではなく、痰の中に糸のような細い血が混じる程度のものです。

血痰は肺がんの重要な初期症状でもあるので、『ただの風邪』と軽く見ずに病院できちんと検査を受けることをお勧めします。


肺がんの末期症状

肺がんの末期症状では、体中の痛みと呼吸困難といった重篤な症状が現われます。肺がんの遠隔転移はステージ4とされ、末期がんと診断されます。

肺には全身に酸素を行き巡らせるという役割がありますが、その役割が「がん細胞」を全身に送ってしまうため、転移しやすい環境とも言えます。

転移が骨に行けば、胸や背中、腰、肩の痛みが強くなりますし、脳に転移すれば、身体の麻痺、言語障害や頭痛、吐き気などの症状がでて、生活にも様々な支障が出てきます。

また、肺に水が溜まることが多く、水がたまれば呼吸困難が現われることがあります。

さらに最終的な末期になると浮腫み(むくみ)や痛みといった症状が強くなり、食欲もなくなるので衰弱が進みます。

末期の肺がん患者は、容態が急変して呼吸困難などで死に至るという可能性もありますので注意が必要です。

痛みを和らげる緩和ケア

そういった苦しさの中での抗がん剤治療は患者の体力を奪いますので抗がん剤治療を続けず、苦痛や痛みを和らげる緩和ケアをメインに行う選択があります。

緩和ケアには患者自身のQOL(生活の質)を改善さるために痛みや呼吸困難の症状を薬で和らげるだけでなく精神的なサポートも含まれています。

緩和ケアで使われる鎮痛薬には色々な段階がありますが、最終的にはモルヒネを使います。

モルヒネで痛みは緩和されますが、悪心嘔吐、血圧低下、便秘、眠気、呼吸抑制などの副作用は避けられません。

モルヒネの量を多くすると患者は眠るように楽になるものの、コミュニケーションはできなくなってしまいます。

痛みや苦しみを感じずに安らかに最期を迎えることも患者や親族の選択肢でもあります。

一方で患者さんの中には余命宣告から何年も過ごされた方や、最後まで痛みや苦しみの症状がない方もいらっしゃるのも事実です。

肺がんの治療・手術

肺がんの治療方法は大きく分けて、手術(外科治療)、放射線治療、薬物療法(抗がん剤治療)の3つからなり、がんの種類やステージによって異なった組み合わせで治療が進められていきます。

肺がんには非小細胞肺がんと小細胞肺がんの2種類あります。非小細胞肺がんのIIIA期までは手術と放射線、若しくは抗がん剤治療の組み合わせで治療が進められます。

一方、IIIB期以降と小細胞肺がんの場合では手術は殆ど行われず、放射線治療と抗がん剤治療が中心に行われます。

手術適応の判断基準として考えられているのは下記3点です。

a.術後の生活の質(Quality Of Life=QOL)が保たれるか
b.手術のリスクと術後の合併症の可能性
c.外科治療以外の治療法に関する説明を受けているかどうか

これらの判断基準は手術を決める前に医師と患者の間でよく話し合われるべきことです。

肺がん手術

現在、肺がんの主な治療方法は、手術、放射線治療、抗がん剤治療となっていますが、肺がんの分類(非小細胞肺がん、小細胞肺がん)や病期(ステージ)によっては手術ができない場合があります。

通常、手術の対象は非小細胞肺がんのI期とII期、IIIA期の一部、そして小細胞肺がんではI期(早期肺がん)となっていますが、患者の状態や年齢、心肺の機能、合併症などを総合的に考慮して決められます。

進行したがんや手術に耐えられる十分な体力がない場合など放射線や抗がん剤治療などの他の治療になります。

胸腔鏡下手術が主流

従来の肺がん手術では開胸手術が行われており、肋骨に沿って約20cm以上切開し、1~2本の肋骨を切断して胚葉を切る方法でした。

しかし、最近では胸腔鏡下手術(きょうくうきょうかしゅじゅつ)が主流になってきています。

胸腔鏡下手術とは、2箇所の創(約1.5cmと約6~8cm)から胸の中に胸腔鏡(内視鏡)を挿入して、モニターを観ながら行う手術方法で傷が少ない分痛みなどの患者への負担が減ります。

従来の切開手術と比べ、手術時間も多少は短くなり、標準的な胚葉切除なら約2~3時間、肺部分の切除手術なら約1時間程度で終わるものもあるそうです。

入院期間は手術後の抗がん剤などの追加治療などによって違ってきますが、胸腔鏡下手術は患者への負担が少ないぶん、術後の回復が早いため、体力があまりない患者にも対応できます。

肺がん手術の成功率は病期や治療方法によって違ってきますが、手術をするならば早ければ早いほど成功率は上がり、1A期の5年生存率は80%以上となっています。


化学療法

肺がんの治療は手術(外科療法)、放射線療法、そして薬物療法(抗がん剤による治療)が主流になっています。

肺がんには非小細胞肺がんと小細胞がんがあり、非小細胞肺がんは病期によって手術、放射線治療、薬物治療の組み合わせ、または単独で抗がん剤治療が行われます。

一方、小細胞肺がんは診断された時点で移転していることが多いのですが抗がん剤の効果が高いため、手術はステージIのみ行われますが治療の中心は抗がん剤治療になります。

従来の抗がん剤治療では、がん細胞のみでなく健全な細胞にも作用するため、様々な副作用がつき物です。

しかし、最近ではがん細胞のDNAのどの部分に異常があるのかを調べることが可能になり、そこに直接働きかける分子標的薬での治療が行われています。

日本で使用される抗がん剤

日本では2002年に分子標的薬イレッサがでてきて、非小細胞がんに劇的な効果をもたらす一方で重篤な副作用をもたらす報告もされ、統計的にははっきりした効果は得られませんでした。

しかし、7臨床背景ではアジア人女性の非喫煙者、肺腺がんの患者に高い効果が得られるとされています。

2009年以降、アムリタ(ペメトレキセド)が非小細胞肺がんの治療に使われ、それまでの抗がん剤に比べて生存期間が延びるとされています。

同時にその頃承認されたアバスチンは扁平上皮がんを除く非小細胞肺がんの治療に使うことができるようになり、臨床試験では素晴らしい効果を残しています。

特にアバスチンは「がん」への栄養を送らないようにする効果でがんを小さくするので、他の抗がん剤との併用で効果を高めるとされています。

また従来の抗がん剤に比べ、分子標的薬は異常のある細胞にだけ働きかけるので健康な細胞を痛めることなく、副作用が比較的軽いのが特徴です。

重要なのはレジメン

現在の医療では多くの種類の抗がん剤が使われています。また、それらの抗がん剤を数種類を組み合わせて行なう治療も進められています。

そこで重要になってくるのがレジメン(抗がん剤治療の用量や用法、治療期間を明記した治療計画)です。

新薬や分子標的薬と従来の抗がん剤の併用を含め、QOL(生活の質)を下げないような副作用の配慮と患者個々に効果のある治療方法を複合的に考えたレジメンは近年多様化している傾向にあり、患者と医師とのコミュニケーションは大きな課題となってくると考えられます。

放射線治療と抗がん剤治療

放射線治療は病巣に直接放射線をあてて、癌を小さくする治療につかわれる場合と再発や転移の予防に使われる場合があります。

どちらも健康な細胞にまで放射線があたるので多少の副作用は避けられないのですが、近年CTシミュレーションによる3次元治療計画が立てられるようになり、病巣のみに大量の放射線を照射して正常な細胞への影響を減らすことが可能になってきています。

抗がん剤治療も肺がん治療の主流となります。最近では小細胞肺がんに有効な分子標的治療(がん細胞にだけに作用して正常な細胞への悪影響が少ない治療)ができる治療薬が開発されており、副作用が少ない上に劇的な効果が見られる一方でその安全性については未だ確立していません。

治療しない肺がん治療

近年、CTやPETといった画像検査の技術が向上し、早期発見・治療が可能になりましたが、すでに進行してから「がん」が発見されるケースも少なくありません。

完治する治療法が極端に少ない場合に治療しないという選択をする人もいらっしゃいます。

外科手術、放射線治療そして薬物療法はどれにいたっても体にかかる負担やリスクは避けられません。

また、抗がん剤に関しては副作用があれば、QOL(生活の質)が低下してしまいます。

痛みや不快感の緩和はするものの、QOL(生活の質)をこれまで通り保ちつつ、余命半年と宣告された人でも2年3年と生きて、苦しまずに亡くなっていく人も少なくはありません 。

このように「治療しない」という選択肢も含めて、患者自身が治療方法を選択できる時代になってきていると言えます。


小細胞肺がん

肺がんは大きく分けて2種類あり、非小細胞肺がんと小細胞肺がんに分けられ、小細胞肺がんとは他のがんと比べて細胞が小さく、肺の入り口近くの太い気管支に発生する「がん」です。

肺がん全体の13%~15%と少数派ですが腫瘍の発育や転移が早く、早い段階からリンパや他臓器への転移がみられ、すでに転移して発見されることが多いようです。

しかし、小細胞肺がんは放射線や抗がん剤治療がよく効くという特徴があり、ステージIは手術と化学療法の混合治療をステージIIからは積極的な化学治療がすすめられます。

また、脳転移が多く見られ、脳にがんが広がるリスクを減らす目的での放射線治療(全脳照射)が行われることもあります。

小細胞肺がんの原因ははっきりと分かっていませんが、喫煙や大気汚染が原因ではないかと考えられています。

小細胞肺がんの症状・治療

初期症状は長く続く咳や痰(血痰)、胸や背中の痛み、呼吸困難などで、進行すると体重減少や頚部リンパ節の腫大、上半身の浮腫み等が見られたり、脳転移がある場合は頭痛、体の麻痺や言語障害、性格の変化などの症状が現れます。

小細胞肺がん小細胞肺がんは、ステージ1~4期の病期分類以外に限局型と進展型に大別して治療方針を決めていきます。

限局型では早期のケースでは手術で「がん」を取り除いてから抗がん剤治療することがありますが、通常では転移がしやすいため、手術は行わずに放射線治療に抗がん剤による治療を組み合わせて行います。

また、進展型では体全体に効果ある抗がん剤治療を実施します。痛みなどの症状を改善するための緩和ケアを中心とした治療を行って、患者さんが苦痛なく過ごせるようにします。

小細胞肺がんは初回の治療で「がん」がなくなったとしても再発する可能性が高く、再発後の予後は余り良いとは言えません。

現在、新しい治療薬が開発されつつあり、臨床試験での有効性を検証しており、患者は臨床試験に参加することも可能なようです。

肺がんの転移

転移とは「がん細胞」が血液やリンパ液によって別の臓器に移動して成長する状態を指します。

肺がんは酸素を血液によって全身に送る役割があるため、転移がしやすい「がん」と言われています。

とくに小細胞肺がんは、初期の段階から転移が見られる傾向にあります。

肺がんの特性として、脳、骨に転移しやすく、進行がんで治療が困難なケースでは緩和治療が中心に行われます。

脳への転移

肺がんを発症すると脳の硬膜に転移することが多く、痙攣や麻痺、感覚障害、めまい、頭痛などの症状が現れます。

また、脳の転移した場所によっては、記憶障害や人格の変化などの症状が起こることもあります。

中でも小細胞肺がんでは、転移しやすい髄液に転移が見られると、手足のしびれ、腰痛、背中の痛みの症状が現れます。

脳に転移が発見された場合、主な治療法として放射線療法が挙げられますが、場合によって手術が適応されることもあります。

骨への転移

肺がんを発症すると骨へ転移する可能性がでてきます。

転移しやすい箇所は、肋骨、胸椎、骨盤、大腿骨などですが、肺がんの骨転移は体幹部分に加え、肘や膝よりも末梢の部分への転移が見られます。

肺がん,骨転移症状としては、腰や手足の強い痛みと骨の破壊が進むため、骨折をしやすくなります。

例えば、大腿骨の骨折をすると歩けなくなり、寝たきりになってしまう可能性があり、寿命に大きく影響してきます。

骨転移の場合も放射線療法が主に行われますが、最近では薬物治療(分子標的薬)が使用されるようになり、効果がある場合は短期間に新しい骨が作られ修復されることも分かっています。

脳と骨、どちらの転移も患者のQOL(生活の質)を保つことを優先させ、治療を進めることが重要になってきます。


肺がんのステージ

肺がんの進み具合を表す目安になっているのが病期(ステージ)です。ステージは大きく4段階に分けられており、ステージI、II、III、IVから表記されます。

ステージIは肺内に「がん」が留まっていて、リンパ転移がない状態を指します。

ステージIIでは肺内に「がん」が留まっていて、肺内のリンパ節にのみ転移があるか、リンパ転移はないものの「がん」が直接肺外の切除できる範囲に広がっている状態です。

ステージIとIIでは手術が主な治療法となり、手術後に放射線や抗がん剤治療が組み合わせられる場合があります。

ステージIIIは他の臓器への転移はないものの、ステージIIよりも進んだ状態の事で「がん」の広がり方や患者の体力などの状況によって放射線、抗がん剤、手術の治療、もしくはそれらの組み合わせた治療が適応されます。

手術をして、転移防止のために抗がん剤治療をしたり、抗がん剤治療後に手術が可能であれば手術したり、抗がん剤と放射線治療を併用するなど、治療方法はがんの進行具合や患者の容態によって様々です。

ステージIVは肺から他の臓器に転移している状態です。治療は抗がん剤がすすめられますが、患者の状態や希望を考慮して治療方針が決められます。

肺がんは他の「がん」に比べて血液を介して非常に転移しやすいがんで、特に脳転移と骨転移が多く見られることがあります。

脳転移が見られる場合には人格が変わったり、吐き気や言語障害、手足のしびれなどの症状があり、骨転移の場合は胸や背中、腰の痛みや骨折をしやすいといった症状が現れます。

がんの治療成績を表す目安として、肺がんの診断や治療をうけた患者が5年生存した確率を表したのが生存率ですがステージIの5年生存率は80.7%と高めですが、ステージIIになると42.5%と低くなり、ステージIIIは21.2%、ステージIVになると4.7%と大変厳しい数字が出ています。

(全国がん(成人病)センター協議会の生存率共同調査 KapWeb(2014年10月集計)による)

肺がんの検査

X線検査・CT検査

肺がんの疑いがある(定期検診・人間ドックの胸部レントゲンで異常が見られたり、咳・痰が続く、血痰がでる、呼吸困難の症状)がある場合、医師から要再検査を指摘されます。

そうなると精度の高いX線検査やCT検査、血液検査、喀痰細胞診などの様々な検査を行って「がん」の診断を行ないます。

腫瘍(しゅよう)マーカー

血液検査、または採尿をするだけで測定できるのが腫瘍マーカーです。がんの性質や広がりの目安となります。非常に簡単な検査ですが「がん」があっても腫瘍マーカーは正常な数値を示すこともあり、この検査だけではがんの確定はできません。

喀痰細胞診(かくたんさいぼうしん)

喫煙者に多い肺門部の「がん」を調べるのに適しているのが喀痰細胞診で、喫煙者や元喫煙者は必ず受ける検査です。

胸水穿刺細胞診(きょうすいさいぼうしん)

胸水がある場合は胸水を抜き取って検査、胸水穿刺細胞診を行います。

気管支鏡検査(きかんしきょうけんさ)

X線検査やCTにて異常な陰やリンパの腫れがみられたり、喀痰細胞診で悪性細胞が見つかった場合、気管支鏡検査(麻酔をかけ、内視鏡を鼻か口から入れて気管支を観察、組織や細胞お採取して検査)がされます。

経皮的肺生検(けいひてきはいせいけん)

喀痰細胞診や気管支鏡検査を行うことが難しかったり、行っても判断ができなかった場合に皮膚の上から細い針を肺に刺し、肺の組織をとり病理検査をする経皮的肺生検を行います。

胸腔鏡検査(きょうくうきょうけんさ)

胸腔鏡検査(外科手術の一種、皮膚を切開して器具を使い、肺や胸膜、リンパ節の組織を一部採取して検査する)が行われますが、これらは病巣に針をさして細胞や組織を採取するするため、肺に穴が開いて縮んでしまう場合があるため(気胸)、経過を見る必要があり、数日間の検査入院をすることになります。

肺がん自宅検査キット

自宅でも検査できる検査キットがインターネットでも販売されています。通常喀痰細胞診では3日間続けて痰を採取しますが、自宅で痰を採取して検査機関に郵送するだけで結果が送られて来るので病院に行く必要がなく便利です。

肺がん腫瘍マーカー

からだのどこかに腫瘍ができると、通常の健康体では見られない物質や組織が血液中に数多く出現します。これが腫瘍マーカーです。

そこで血液や尿に増加した腫瘍マーカーの数値を計測するのが腫瘍マーカー検査になります。

肺がんに限らず、他の部位の「がん」でも、がん細胞によって増加する物質が異なるため、各がんに適応した腫瘍マーカー検査が実施されます。

しかし、腫瘍マーカーは「がん」が進行していても必ず数値が基準値を超えるとは限りません。

腫瘍マーカー検査は、初期のがんのスクリーニング(選別・ふるい分け)には不向きで、診断の補助、治療効果の指標、再発のモニタリングに適しています。


腫瘍マーカーの組合せ

現在、肺がんだけに反応して数値が上がるという腫瘍マーカーはありませんので組み合わせで検査します。

肺がんで使用される腫瘍マーカーには、CEA、SLX、CYFRA、SCC,NSE,ProGRPなどがあります。中でもCEA、CYFRA、ProGRPの組み合わせが有用性が高いと言われます。

CEAに関しては一般的な腫瘍マーカーとなり、肺がん以外の「がん」でも数値は上がります。肺がん全体の陽性率は50%で、肺腺がんでの陽性率は60%になり、とくに転移がんや進行がんの場合に数値が上がることが多いようです。

CYFRAは扁平上皮癌で数値が上がり、扁平上皮癌の60~80%で陽性になります。CEAたSCCよりも正確性が高い腫瘍マーカーです。

ProGRPは、小細胞がんで数値が上がる腫瘍マーカーで陽性率は60~70%で非小細胞がんでの陽性率は10%以下となっています。

腫瘍マーカー検査だけで、肺がんの診断(特に早期がんの診断)をすることはできず、レントゲンやCT、組織検査で確定していきます。

また、腫瘍マーカー検査は手術や科学療法においての治療効果の判定や、再発や経過観察の治療補助として有効的です。

障害年金

病気にかかると治療費などの費用が意外と必要になります。

このような非常事態には公的な助成制度がありますので間違ってもカードローンや消費者金融などに手を出さずに、まずは医療機関や地方自治体に相談しましょう。

ここで紹介する障害年金とは、病気やけがによる障害によって、日常生活や仕事に支障が出た時にもらえる公的年金制度の一つです。

この障害年金は肺がんに限らず、全てのがんが対象となり、公的年金制度に加入しており、保険料の納付用件を満たしていれば申請できます。

基本は初診日から1年6ヶ月経過した時点での身体状況で判断されますが、体調の状況によっては、それよりも早く申請することが可能です。

例えば肺がんの場合、在宅の酸素吸入が必要な患者さんもいらっしゃるかと思いますが、1年半待たなくても酸素治療が始まった日より障害が認定されます。

また、それ以外でも初診日から1年半の時点で、抗がん剤治療の副作用による症状で仕事や生活にに支障をきたす場合は障害が認定されます。
  • 障害基礎年金の受給金額は、1級で年間約99万円、2級では約79万円です。
    ※18歳以下の子供がいる場合には加算金があります。
  • 障害厚生年金は、収入によって異なり、3級の場合には最低保障額が約59万円です。
    ※厚生年金や共済年金(1・2級)に加入している人は、障害基礎年金に対して障害厚生年金若しくは障害共済年金が上乗せられます。
他にも高額療養費制度といって一定額(収入によって助成額が変化)以上の医療費を地方自治体が負担してくれるという制度もありますので活用したいものです。

障害年金の申請

外的(目に見えて身体の機能が変わる場合)に障害が確認できる場合には判断も簡単なのですが、抗がん剤治療の副作用による仕事や生活への支障はわかりにくいため、書類の書き方によっては申請の可否が分かれることもあるようです。

自身が記入する「病歴・就労状況申立書」と、主治医からの「診断書」の整合性が合否を決めるカギとなってきます。

自身が記入する「病歴・就労状況申立書」では、自身の症状によってどれだけ仕事や生活に支障をきたしているかを説明します。

ポイントは症状の日記など詳しくメモしておくと、後でわかり易くて良いでしょう。

主治医に書いてもらう「診断書」の内容もシンクロしていた方がより良いです。

主治医が診断書を作成する時、どのように生活や仕事に支障をきたしているかを説明し、依頼時にメモを添付するなどの工夫をしたり、病院のソーシャルワーカーや相談室で相談してみましょう。

もし、自身で申請が難しい場合はお金は少しかかりますが、社会保険労務士に相談するのも一つの方法です。


参考文献等

  • がん研有明病院「肺がん」
    東京都江東区有明3-8-31
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  • 日本呼吸器学会「肺がん」
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    http://www.jrs.or.jp/modules/citizen/index.php?content_id=25
  • 東京慈恵会医科大学付属柏病院「肺がんの基礎知識」
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    http://www.jikei.ac.jp/hospital/kashiwa/sinryo/40w_case_03_1.html
  • 岩手医科大学腫瘍センター「肺がん」
    岩手県盛岡市内丸19-1
    http://www.iwate-med.ac.jp/hospital/gancenter/chiryou/naiyou/02hai.html
  • 愛知県がんセンター中央病院「肺がん」
    名古屋市千種区鹿子殿1-1
    https://www.pref.aichi.jp/cancer-center/hosp/12knowledge/iroirona_gan/11hai.html
  • NHK健康チャンネル「肺がん」
    https://www.nhk.or.jp/kenko/disease-363/
  • 岐阜大学医学部付属病院がんセンター「肺がん」
    岐阜県岐阜市柳戸1-1
    https://hosp.gifu-u.ac.jp/center/gan/treatment/lungs.html
  • 国立がん研究センターがん情報センター「肺がん」
    東京都中央区築地5-1-1
    https://ganjoho.jp/public/cancer/lung/index.html

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