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大腸がん

大腸がんとは

大腸の表面(最も内側の面)は粘膜で覆われていますが、その粘膜組織にできるがんが大腸がんとなります。

大腸は盲腸・結腸・直腸とに分かれ、厳密には肛門は大腸とは別の組織ですが、肛門に発生するがんも含めて大腸がんと呼ぶこともあります。

また、大腸の構造上、結腸までと直腸とでは、がんの進み方や転移の仕方が異なることが多く、手術方法や治療方法も異なってくるため、結腸がんと直腸がんとして分けて考えられることも多いです。

大腸がんの9割以上が腺癌と呼ばれる種類です。腺癌とは、上皮性の悪性腫瘍の一種で腺組織に由来するものです。

さらに大腸がんの多くは、良性の腺腫であるポリープからがんが発生したものと考えられています。

日本人と大腸がん

少し前までは欧米諸国と比べて日本人の大腸がんは、比較的少ないがんとされていました。

国内でがんの発生や死因についての統計を取った1960年代では、胃がんや肺がんなどと比べると死亡者数で見てもそれほど目立ってはいませんでした。

大腸がんとは新しい調査結果では、日本のがんの部位別の罹患者数は大腸がんが第1位、また、死亡者数も第2位となっています。

この原因として、食の欧米化、肉食化、脂肪摂取量の増加、メタボリックシンドロームの増加などが大腸がんの発生に関連しているのではと考えられています。

また、高齢になるほど大腸がんの発生率は増えるため、高齢化が進んだ日本では大腸がんは身近な病気とされています。

実際の調査結果で見てみると、大腸がんの死亡者数は増えているものの、死亡率は1990年代以降は横ばいになっています。

つまり、大腸がんの治療効果が向上していることがわかります。

また、1990年代以降は、大腸内視鏡検査などの精密検査の技術が確立され、広く普及した時期でもあります。

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大腸がんの動向

厚生労働省は3年ごとに「患者調査」を行っています。

その最新(2014年)の統計によると「結腸および直腸の悪性新生物」(ここに大腸がんが含まれます)の総患者数(継続的に治療を受けている人)は、約26万人で前回調査から約3万人の増加となっています。

がん(悪性新生物)で治療中とみられる総患者数は、前回調査から約10万人の増加となっていますが、その中でも大腸がんが増えていることが見て取れます。

また、同じく2014年度のがん統計で見ると大腸がんの罹患者数(新しくがんになった人)は、全てのがん患者数の中でも部位別に見ると第1位となっています。

罹患者数を男女別・部位別に見ると、男性で肺がんに次いで第2位、女性でも乳がんに次いで第2位の多さとなります。

この結果を見ると大腸がんが日本人にとって、決して珍しくない病気と言わざるを得ないかもしれません。

なお、罹患率(その病気にかかる人の割合)で見ると、大腸がんは1960年代~1990年代までは増加傾向でしたが、それ以降は横ばいの状態にあるとされています。

大腸がんの死亡率

一方の大腸がんの死亡率(大腸がんで亡くなる人の割合)ですが、1960年代以降は増加傾向になりましたが1990年代以降は減少傾向にあるとされています。

しかし、患者数が増加しているため、死亡者数(実際にその年に大腸がんで亡くなった人の数)としては増えているという結果になっています。

2014年のがん統計では、がんの部位別に死亡数を比較して見ると大腸がんでの死亡数は、全体では第2位、男性では肺がん・胃がんに次いで第3位、女性では第1位となっています。

大腸がんになりやすい人

大腸がんの危険因子として以下のようなものが挙げられます。
  • 食生活
  • 日常生活
  • 家族歴(遺伝)
  • 年齢
  • 既往歴
これらを多く抱える人ほど大腸がんになりやすいと言われています。

大腸がんの発生率を見たとき、年齢とともに上昇することが統計上明らかえで、最近では加齢が大腸がんの大きなリスクとして考えられています。

高齢になるほど大腸がんの発生率は上がるため、40歳以降は大腸がん検診を定期的に受けることが推奨されます。

食生活の関係

大腸がんはどちらかというと先進国に多いがんと言われます。

大腸がんのリスクになる食生活としては、肉食(とくに赤肉食や加工肉製品の摂取)、食物繊維の摂取量が少ないこと、脂肪摂取量が多いこと、などが挙げられます。

国立がんセンターの研究結果では、日本人にとって肉食が明らかなリスクになるという根拠は見つかりませんでしたが、欧米では加工肉の摂取によって、大腸がんの発がん率が高まるという報告があります。

また、野菜の摂取量が少ない人は、他の多くのがんや成人病にかかりやすいとされ、さらに肥満な人においても大腸がんになりやすくなることが指摘されています。

本当に大腸がんは増加傾向なの?

少し前まで大腸がんは欧米人に多く、日本人には少ないと言われていましたが、最近は日本人の大腸がんの発生率も欧米とそれほど大差なくなってきていると言われます。

大腸がんの発生要因として、食生活や生活習慣の影響が大きく、肥満・飲酒・喫煙・赤肉食・加工肉食・塩分過多・ストレスなどがその代表的なものです。

これらの要因を抱えている人は現代社会において増えており、生活環境の変化が大腸がんの増加に繋がっているのではないかと考えられています。

また、大腸がんの発生を年齢別に見ると40歳代くらいから発症が増加し、高齢になるほど罹患率が高くなる傾向にあります。

これについては加齢による腸の老化・免疫機能の低下やリスク要因の蓄積などの影響が考えられますが、社会の高齢化が進み、高齢者人口が増えていることが大腸がん患者数の増加に繋がっているとも考えられます。

年齢

大腸がんの患者数を年齢別にみてみると、40歳を過ぎた頃から患者数が増えはじめピークは67歳前後になることがわかります。

このような結果から、いくつかの団体が大腸がん検診開始の推奨年齢を発表していますが、どの団体も50歳で一致しています。

この検診基準は、大腸がんの家族歴がない人や、若年で大腸がんと診断された血縁者がいない人を対象にしたものです。

もし家族や血縁者の中に大腸がんを患った患者さんがいる場合には、40歳から検診を受けることが推奨されています。

がん全般の罹患率(日本人10万人あたり、がんになるのは何人なのかを示した割合)では、臓器別にみても大腸がんは男女をもに上位を占めているのが現状です。

大腸がん検診は40歳から

大腸がん,年齢会社や地方自治団体では、40歳から大腸がん検診を行っている所が多くなり、無料または低費用で検診が受ける事が可能になります。

大腸がん患者の男女比率に関しては、男性の方が多く5:4とされており、アルコールやたばこを好む人が男性の方が多いという理由も考えられます。

日本人の大腸がんの患者数は、臓器別にみてみると男性では、肺、胃、に続いて3番めに多く、女性に関しては第1位となります。

大腸がんは他のがんに比べると治る確率が高く、早期治療が治療を行うことで高い確率で治癒できるといわれています。

早期の段階では自覚症状がないため、40歳以上の人は定期的な健診が重要になってきます。

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大腸がんの症状

大腸がんを患っても初期段階での症状がほとんどないことが多く、自覚症状がある場合には進行しているケースもあります。

このように大腸がん特有の症状が少ないことから、発見が遅れることも少なくありません。そんな初期症状の少ない大腸がんですが、代表的な症状をいくつかあげてみます。

まずはおならの変化です。おならは食生活の変化でも変わって来ますが、おならの回数が多くなって、刺激臭や腐敗臭が酷い場合には大腸がんの初期症状の可能性があります。

その他の症状として、便秘気味・下痢気味、疲れやすい、食欲があまりなくなった、時々下腹部が痛む等があるのですが、大腸がんに限った症状ではありません。

大腸がん,症状さらに残便感がある、お腹が張っていると感じる、腹痛が起こる、お腹を触るとコブ状のしこりがある、また腫瘍からの出血によって貧血が起きて、貧血からの動悸や息切れの症状もあり、腸閉塞からの嘔吐、また原因不明の体重減少なども重要な自覚症状になります。

がんの発生する分部によって症状はそれぞれ異なってきますが、主に腫瘍や潰瘍病変からの出血によって起こる下血・血便・貧血・便秘・下痢・腹痛・腸閉塞などがあげられます。

血便(便潜血)を見逃さない

小腸に近い部位(上行結腸や横行結腸)に発生したがんの場合は、肛門までの距離が長いため、出血していても便の色は変わらないことが多いです。

そのため、血便があっても分りにくく便も柔らかい状態になり、腹痛などの症状も出ないため、発見が遅れる場合があります。

大腸がん,症状一方、肛門に近い部位であるS状結腸や下行結腸にがんができた場合、血液や粘液が混ざった便が出たり、下血といった症状が確認できることがあります。

また、肛門に非常に近い直腸にがんができた場合、鮮やかな赤色の血便が出ることがあります。

さらに直腸の付近に発生したがんに関しては、肛門に近い腸管が狭くなるので、細い便や便秘、下痢など、腸管が健全に塞がって、激しい痛みがある腸閉塞(イレウス)が起こったりします。

この血便ですが、痔と勘違いする人も少なくないようで、発見が遅れることもあります。

例えば、排便した後にトイレットペーパーに血が付くなどの症状も痔の症状だと思ってしまいがちですが、実は大腸がんだったというケースもあるのです。

大腸がんは早期発見で完治する確率の高いがんですので、血便などの気になる症状が出た場合は、決して楽観せずに消化器科や肛門科で大腸がんの検査も行われていますので、出来るだけ早く検査をすることが大切です。

大腸がんの兆候

大腸がんの兆候というと血便などを思い浮かべる人が多いと思いますが、そのような症状が確認される頃には、がんが進行している可能性も少なくありません。

初期の大腸がんは無症状であることが多いため、なかなか発見しずらいのが特徴です。

また初期症状があったとしても、下痢、便秘、腹痛等というような、普段の日常生活でもよく起こるような症状なので、見逃してしまいやすくなります。

とくにを患っている人は、大腸がんの発見が遅れる場合があるので、血便といった症状が続く場合は「いつものことだから。」と楽観せずに検査を受けましょう。

おなら

大腸がんの兆候の中でも、一番わかりやすい症状はおならの変化です。おならの回数が増えて、刺激臭、腐敗臭が酷くなったら要注意です。

しかし、これの症状は日頃食べるものによって、おならの匂いが変わってしまうので自覚するのは難しいかもしれません。

体験談によると、今までは無臭だったのに酷い腐敗臭がするようになり、おならの回数が増えたという兆候があったという患者さんもいるようです。

便の状態からの兆候

大腸がん,兆候,便秘便が細くなった、軟便になった、便の色が黒っぽい、便に潜血が….など便通の状態も大きな目安になりますが、普段から下痢をする習慣のある人は「いつもの事」と見逃してしまいがちになるので注意しましょう。

また、残便感があり、トイレに入っている時間が長くなった・・という兆候もあるようです。

急に疲れやすくなった、食欲があまりなくなったなども大腸がんにあまり関係なさそうな項目も兆候として見られるようです。

大腸がんは早期発見と適切な治療で完治する確率がとても高いがんです。いつもと違う状態が続く場合は大腸がんの兆候を疑って、早めに診察・検査を受けましょう。
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大腸がんの原因

大腸がんの原因は色々考えられていますが、大きく影響しているのが食生活の欧米化だと言われています。

日本人の食生活は長い間、穀物と野菜中心の食事でしたが、近年の欧米化によって肉や油などのたんぱく質や脂肪分を多く含む食事が増えました。

高カロリーの食事を続けていると体内から脂肪を消化する為の胆汁がたくさん分泌され、その胆汁に含まれる胆汁酸が発がんに関係していると考えられいます。

大腸がんの原因それに加えて食物繊維の不足から、便秘が原因で便に含まれる発がん物質が長時間滞留することで、がんが発生しやすくなるという説もあります。

また、大腸内には500種類以上の腸内細菌が存在しますが、食生活の変化によって腸内細菌のバランスが崩れることが、がんを発生してしまう原因の一つだという意見もあります。

便秘・ストレスが原因説

食生活によって便秘になる人も多いかと思いますが、この便秘も大腸がんの原因の一つという説があります。

便が長い間、大腸に溜まると腸壁と便の接触時間の長さが関係しているというのです。多くの女性は便秘に悩まされますが、女性の大腸がん発生率は、全てのがんの中でも第一位となっていることから関係性が考えられています。

また、ストレスも大きな原因の一つだと考えられます。

大腸がんに限らずストレスはがん全般、また他の病気の原因となることはよく言われていますが、とくに大腸がんとストレスの関係は密接でストレスによって免疫力が下がることが最近わかってきています。

ストレス=緊張をすると便秘をしたり、下痢をしたりすることがありますが、このようにストレスが大腸にダイレクトに働きかけることは一目瞭然でストレスの影響を直接受ける器官だといえます。

大腸がんとポリープの関係

大腸がんは大腸の粘膜から発生するがんのことを指します。大腸がんの9割以上を占めているのは腺癌と呼ばれる種類です。

腺癌とは皮膚や粘膜といった上皮組織から発生する悪性腫瘍で、大腸の粘膜にもある腺組織に由来するものです。

また、大腸がんは大腸ポリープががん化して起こる場合と大腸の粘膜から直接に発生する場合に分けられます。粘膜から直接発生する大腸がん一般的に平坦な形をしています。

広い意味ではポリープとは、粘膜にできた盛り上がった形の病変を指す言葉で良性か悪性かは問いません。100個以上できるものはポリポーシスと呼ばれます。

大腸がん,ポリープこのポリープが実際に良性の病変か悪性の病変なのかは、その細胞や組織をとって顕微鏡で調べる病理検査(生検)が必要になります。

実際に、病気として問題になるのは、ポリープの中でも過剰に増殖し続けて健康に影響を及ぼす悪性腫瘍、つまりはがんということになります。

大腸にできるポリープの多くは、大腸の粘膜に(つまり上皮性に)発生する良性の腺腫で、「大腸ポリープ」という言葉も良性を指して言います。特にS状結腸直腸に発生しやすいとされています。

大腸ポリープで多いのは、茎があるキノコのような形をした有茎性ポリープです。

粘膜が盛り上がった形をしているが茎が不鮮明なものが亜有茎性、盛り上がっているだけで茎がわからないものを無茎性と呼ばれます。

無茎性で回りの組織との境界がはっきりしないものや潰瘍を作ったりするようなものには、悪性のものが多いとされています。

良性大腸ポリープの治療

ポリープには放置しても大丈夫なものも含まれていますが、大腸がんの多くはこの良性のポリープががん化して起こることがわかっています。

大腸ポリープは大きくなるほどがん化する可能性が高くなると考えられています。このため、日本では5mm大を目安に切除するべきと考えられています。

大腸ポリープの多くは内視鏡手術で切除でき、通常は1泊程度の入院で受けられます。

尚、無茎性ポリープの場合やポリープの大きさが大きすぎる場合、あるいは一部ががん化し始めているような場合には、内視鏡手術で切除が難しいためが外科手術となることもあります。

一度に100個以上発生するポリポーシスに関しては、がん化する可能性が高いと考えられていて、遺伝性の病気のことが多いです。こちらはポリープの大きさに関わらず外科手術の対象とされています。

薬剤による大腸がん予防の報告

大腸がんには良性のポリープが悪性化して起こる場合があります。近年、欧米ではアスピリンに大腸ポリープを抑制する効果があり、引いては大腸がんの抑制に有効だという研究が発表されています。

この結果を受けて日本でも国立がん研究センターなどで研究が行われ、アスピリンには大腸ポリープの再発を抑制する効果があると発表されました。

この研究結果では、喫煙者には効果が見られず、アスピリンがポリープの抑制にどう働くのかその機序もまだ明らかにはされていません。

この研究は規模が小さかったため、引き続き現在(2015年11月発表)はより大規模な研究が行われています。

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大腸がんの治療・手術

内視鏡的治療

大腸がんの内視鏡的治療とは、カメラに映し出された画像を確認しながらのがん組織の切除、つまり内視鏡手術になります。

大腸がん,内視鏡的治療大腸内視鏡検査で使用するファイバースコープの先端に小さな手術器具を装着して行うものです。(外科手術で腹部を切開して挿入する内視鏡は腹腔鏡と呼んで区別されます。)

内視鏡手術には腫瘍の形や切除の方法・切除する範囲によって、ポリペクトミー(内視鏡的ポリープ切除術)とEMR(内視鏡的粘膜切除術)とESD(内視鏡的粘膜下層剥離術)という種類があります。

適応は2cm程度の大きさのがんまでとされていますが、ESDではやや大きめのがんを切除することが可能です。

大腸がんの内視鏡での手術が適応となるのは、がんの進達が大腸の粘膜内、あるいは粘膜下層まで達していても進行が軽度なもの、かつリンパ節転移がないと考えられるものです。

このため、内視鏡手術の適応は、リンパ節転移がない早期がんと条件が限られてしまいます。

大腸がんの内視鏡手術では、全身麻酔をかけたり傷の痛みがある外科手術とは違って、体の負担が軽いのが特徴でありメリットだと言えます。

また、手術後の回復が早く、その日のうちに問題なく歩くこともできます。

内視鏡手術で切除した組織は病理検査(生検)に回されます。その結果、切除範囲より広いがんの進達が考えられる場合は追加で外科手術が必要となることもあります。

内視鏡的治療の流れ

手術前日

手術の準備は大腸内視鏡検査と同様です。

繊維質が少ない腸検査食とし、夕食以降は禁止となり、夕食後~就寝前に下剤を服用します。

日頃から内服している薬がある方や糖尿病でインスリン注射などを行っている方は医師の指示に従って薬の内服や注射を行ないましょう。

手術当日・手術前

腸を洗浄するため多量(通常は2リットル)の下剤を内服します。また、腸の動きを調整する薬を内服しますが水・お茶などは飲用可能です。

便に固形分が含まれなくなり、透明な液体になったら前処置が完了です。

内視鏡手術

手術前に点滴を始めます。下剤をかけたので水分補給の目的と緊急時に対応できるよう血管を確保しておくためです。

多くの医療機関では鎮静剤や鎮痛剤を使って行われます。

手術直前に投与され、手術中は痛みなどが軽減され、眠っている間に終わる場合が多くなります。

手術後

手術後は医療機関の指示に従ってください。1時間程度で鎮静剤の効果も切れ、歩けるようになりますが激しい動きは避けるようにしましょう。

水やお茶は摂取可能な場合が多いですが、飲食の開始についても医師から指示があるので守りましょう。

内視鏡的治療の合併症

内視鏡手術においての主な合併症は穿孔出血です。

穿孔とは大腸粘膜を深く切除し過ぎて穴が開いてしまうことです。

穿孔を起こすと手術中にわかることもありますが、数日後に腹痛・吐き気・発熱などが起こり、腹膜炎に至って判明する場合もあります。

また、血管近くの粘膜を切除した場合や止血が不十分な場合など、術後出血が起こることがあります。

出血は主には下血・血便で判明し、腹痛・気分不良・貧血症状などが起こることがあります。症状が無く、手術翌日の採血結果で判明することもときにあります。

いずれの合併症も内視鏡で処置できることもあれば、緊急に外科手術が必要になる場合もあります。

腹腔鏡手術

腹腔鏡手術(腹腔鏡下手術)とは、腹部を数cm切開して小さい孔を4~5か所程度作り、腹腔鏡というカメラや鉗子などの手術器具をその孔から挿入し、モニターを通して手術範囲を見ながら行われる外科手術です。

肛門から内視鏡(ファイバースコープ)を挿入して行う内視鏡手術とは全く異なる手術です。

腹腔鏡手術では、腹部を見やすくするために腹腔内に炭酸ガスを入れて腹部を膨らませて手術を行います。この操作のために全身麻酔が必要な手術です。

腹腔鏡手術には主に次のようなメリットがあるとされており、日本でも徐々に増えつつある手術方法です。

傷が小さいの負担が少なく、回復が早い

開腹手術では一般的に20cm程度の切開が必要となる場合が多いですが、腹腔鏡下手術では3~5cm程度の傷で済みます。

このために手術時間(麻酔時間)も開腹手術より短縮することが可能です。

傷が小さいので痛みが少なく、術後の体力回復が早いのがメリットだとされています。

入院期間は開腹手術よりも短く済み、社会復帰も早いとされており、手術後の傷も目立ちにくいです。

手術後の食事開始が早く、腸閉塞のリスクが低い

手術時間や麻酔時間が短く済み、手術後の歩行や体力の回復が早いと腸蠕動の回復も早いとされています。

腸の動きが早く回復した分だけ、早く食事を再開することが可能になります。

大腸がんの手術では、腸閉塞は最も注意したい重大な合併症の一つです。腸蠕動が早く回復すれば、それだけ腸閉塞のリスクが軽減されると考えられます。

腹腔鏡手術のデメリット

腹腔鏡下手術は、開腹手術と比べて手術時の視野が狭くなります。

大腸がんの手術では、時に広いリンパ節郭清を必要とする場合があるため、十分な手術時の視野が確保できない場合があります。

大腸がん,腹腔鏡手術また、腹腔鏡手術後の再発や転移といったリスクについては、十分に検証されていない部分も多々あります。

手術視野が狭くなるため、あまりに複雑な手技を求められる手術には適していないとされ、特に直腸がんでは骨盤内に多くの臓器や神経・筋肉が集中しているため、腹腔鏡手術では困難な場合も少なくありません。

このようなことから、結腸がんと比べて直腸がんでは腹腔鏡手術の適応となるケースは多いとは言えません。

腹腔鏡手術では、独特な技術が求められるので、腹腔鏡手術の成否はどうしても術者の技術に負うところがあることが言えます。

腹腔鏡手術では炭酸ガスを注入するという操作上の理由により、全身麻酔を受けられない方は基本的に腹腔鏡下手術を受けることはできません。

腹腔鏡下手術の適応

術式から見て適応されやすいのは、結腸がんの手術と直腸がんの前方切除術などです。

さらに手術範囲や切除範囲、患者さんの全身状態や全身麻酔を受けられるかなどで適応が判断されます。

また、医療機関によっては実施できる医師がいない場合もありますし、術者の技術によっても適応が異なる場合もあります。

ロボット支援手術(ダ・ヴィンチ)

ロボット支援手術とは、ダ・ヴィンチという医療専用のロボットを使った手術になります。

ロボットの支援と言っても手術の操作をするのは人間の外科医です。

手術する部位付近に数か所を小さく切開し、カメラや小さな手術器具を挿入し、拡大された3Dの高画質の画面を見ながら、ロボットアームを操作して行われます。

最近では画像の解析度も上がり、細かい作業をロボットアームで安定して行うことができるため、より精密な操作を求められる手術への最新の技術として導入する病院が少しずつ増えています。

大腸がん手術ではかつて開腹手術がメインだったのが、最近では腹腔鏡手術が多く実施されるようになってきました。

開腹手術よりも傷が少なく済むため、手術による全身への負担が軽減されることで知られている手術です。

大腸がん,ロボット支援手術,ダ・ヴィンチこの腹腔鏡手術に取って代わる最新の技術がロボット支援手術ということになります。

とくに直腸がんの手術では、狭い骨盤内で行わなければならず、周囲に尿管・膀胱・卵巣・子宮さらにはそれらの臓器や肛門の働きを司る神経や筋肉が多数位置しています。

そのため、手術操作が細かいものとなり、神経や筋肉をできるだけ温存して機能障害を減らすためには、術者の巧みな技術を必要とする手術になります。

しかし、操作が難しい直腸がんの半数以上が腹腔鏡手術で行なわれるようになってきています。

そこで拡大した画面を見ながら、より細かい作業を安定して行える手術支援ロボットは、直腸がんの手術にとってはありがたい存在とも言えるわけです。

このようなことからロボット支援手術は、主に直腸がんの手術で導入され始めていることが言えます。

細かい作業が安定して行える

ダ・ヴィンチによる手術では、高画質で拡大された立体的な画像と、手ぶれの補正も可能な安定して巧緻動作が最大のメリットです。

直腸がんでは周囲の臓器や神経・筋肉に留意した細かな作業が求められるため、ダ・ヴィンチの特徴を活かした手術が可能だとされています。

これによって肛門機能の温存や他の臓器への影響の軽減も期待されています。

手術の傷が小さく、回復が早い

開腹手術に比べて傷の大きさが小さく済むのが大きなメリットです。全身への負担が少なく済むため、回復が早く、痛みも少なくて済みます。

腸閉塞のリスクが低い

傷の痛みが少なく、手術後の歩行や体力の回復が早いことから腸蠕動の回復も早いと考えられています。このため大腸手術において主要な合併症である腸閉塞のリスクも減ると考えられています。

術者の技術に頼るところがある

ロボット支援手術ではロボットアームを操作しての間接的な操作になるため、手で行う手術とは全く異なる独特の感覚の中で手術をしなければなりません。このため、術者にも熟練度が必要とされます。

歴史の短い手術

ロボット支援手術の歴史はまだ20年程度です。導入している医療機関も多いとは言えませんし、確実に行える熟練した術者も多いとは言えません。

また、手術の安全性(再発のリスクや、実際の術後の機能障害の程度)なども、短期での評価しか得られておらず、十分な検証には至っていません。

費用の問題

現在、大腸がんにおいてのロボット支援手術は保険適用外になります。このため、ダ・ヴィンチを導入している医療機関であっても、腹腔鏡手術が難しいような一部の直腸がんでしかあまり行われていないのが現状です。

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結腸がんの治療・手術

結腸がん手術の適応

大腸のうち、回盲部(小腸末端の回腸と盲腸とのつなぎ目のところ)からS状結腸までの結腸に発症したがんを結腸がんと呼びます。

内視鏡手術で取り切れない大腸がんは、外科的手術の適応になります。転移の程度や病状や全身状態によっては、化学療法や放射線療法が優先される場合もあります。

手術では、がん組織を含む腸管と転移があるリンパ節、及びその周囲までを含む範囲を切除します。

つまり転移や再発の可能性を減らすため、病巣よりも広い範囲を切除します。また、肝臓や腹膜など他の臓器に転移があり、切除可能な場合にはそれも同時に切除します。

結腸がん手術の主な術式

結腸がんの外科的手術には、根治的手術と姑息的手術・緩和手術があります。

根治的手術とは、病巣を取り除いてがんの根治を目指すための手術です。

これに対して姑息的手術や緩和手術は、当面の症状の緩和や生命の危険の回避などを目的としていて、必ずしもがんの治癒のための手術ではありません。

結腸は回盲部からS状結腸までの1本の管です。結腸がんの手術では、腸を20cm程度(がん組織を含んでその両側10cm程度)切除するのがスタンダードな方法です。

術式は切除する部位(がんがある部位)によって名前が付けられています。大腸の口側から順に、主な術式は以下のとおりです。
  • 回盲部切除術:右下腹部の回盲部にできたがんを切除します。
  • 結腸右半切除術:腹部の右側を上向きに走行している上行結腸のがんを切除します。
  • 横行結腸切除術:上腹部を右から左に走行する横行結腸にできたがんを切除します。
  • 結腸左半切除術:腹部の左側を下向きに走行している下行結腸のがんを切除します。
  • S状結腸切除術:左下腹部から肛門の手前までのS状結腸のがんを切除する手術です。
いずれの手術も開腹手術と腹腔鏡下手術の場合があります。

腹腔鏡下手術の適応外の場合は開腹手術となり、麻酔は全身麻酔、もしくは腰椎麻酔となります。

腸閉塞や腸穿孔を起こしている場合やそのリスクが高い場合などには、結腸切除術と併せて人工肛門造設術が行われることもあります。

この人工肛門造設ですが、症状が軽減するまでの一時的な場合と永久的な場合があります。

手術後の身体への影響

結腸がんの開腹手術では、腹部を10数~20cm程度切り開いて手術をします。基本的に全身麻酔になりますが腰椎麻酔で行える場合もあります。

結腸がんの手術手術では20cm程度の結腸を切除して繋ぎ、その周囲のリンパ節が切除されます。

小腸で食べ物が消化されて便となり、大腸でその水分が吸収されて固形の便として排出されます。

結腸は全体で長さが約1.5mもある器官なので、通常は20センチ程度の切除であれば、手術後の後遺症はほとんどないと言われています。

手術直後、傷が落ち着くまでの1~数か月は便通が安定しにくいことがあり、食事で刺激物や生物は避けた方が良いですが、その後の食事制限はないことが多くなります。

特に合併症などがなければ、概ね手術翌日から水分開始となり歩行も可能で2~3日後には粥などの柔らかい食事が開始されます。

開腹手術の入院期間ですが、合併症や他の治療がなければ3週間程度になります。

手術による主な合併症

結腸手術の主な合併症としては、創感染・縫合不全・腸閉塞などがあります。また、全身麻酔による合併症としては循環器合併症・呼吸器合併症・腸閉塞などがあります。

創感染・縫合不全

結腸にはもともと腸内細菌がいるため、手術の際にも完全に無菌の状態にすることが困難なことが言えます。このため、手術の傷(創部)に細菌が付着することで感染を起こす可能性があります。

また、縫合不全とは、手術で縫合した部分がうまくくっつかないことを指します。創感染と縫合不全は、術後数日してから発熱や腹痛といった症状で見つかることが多く、抗生物質の投与、食事の中止、創部を洗浄したりして治療しますが再手術が必要な場合もあります。

腸閉塞

腸閉塞は、腸の手術では重大な合併症です。術後数日で明らかになることもあり、数年たってから発症することもあります。

手術直後に腸閉塞を予防のためには、手術翌日の歩行開始とともにしっかりと体を動かして、腸の運動を回復させることが大切になります。

万一、腸閉塞になった場合には水分や食事の摂取が中止となり、最悪の場合は手術で詰まった部分を切除することになります。

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直腸がんの治療・手術

直腸から肛門までに発生したがんを直腸がんと呼びます。

直腸がん,手術同じ大腸に分類されますが結腸がんと直腸がんでは、がんの進み方や転移・再発のしやすさが異なってきます。

直腸は骨盤の深い部位に位置しています。

その周囲には膀胱・前立腺・卵巣・子宮といった様々な臓器があり、それらの臓器の働きに関連する神経や筋肉存在します。

直腸がんの手術では、がんの根治を目指してがん組織を含む周囲まで切除するとなると臓器の機能に後遺症が残ることがあります。

臓器や神経・筋肉は排尿や性生活といった日常生活への影響が考えられ、生活の質や精神的・社会的生活にも影響することもあり得ます。

また、肛門部や肛門括約筋を切除することによって、排便機能に支障を来すこともあります。

直腸とともに膀胱や尿管などを切除するとなると、手術は消化器外科だけでなく泌尿器科も交えた複雑な手術となる場合があります。

直腸がんの手術の適応

内視鏡で、がん組織が取り切れないような場合には手術が適応されます。転移の程度や病状・全身状態などの条件によっては化学療法などが優先されることもあります。

直腸がんの外科的手術には、根治的手術と姑息的手術・緩和手術とがあります。根治的手術では、病巣を取り除きがんの治癒を目的とした手術です。

対して姑息的手術・緩和手術は、症状を和らげる・生命の危険を回避することなどを目的とした手術になります。

直腸がんの根治的手術

直腸がんの術式は、切除する範囲と肛門の機能を温存するのか、周辺臓器の機能を温存するのか内容によって分けられます。主な術式は以下の通りですが、がんの位置や深達度などによって術式は変わってきます。

直腸局所切除術

基本、組織が肛門に近い部位に限局した早期の直腸がんに対して行われることの多い手術です。がん組織を含む腸管を部分的に切除します。肛門機能は温存されます。

前方切除術

開腹手術にてがんがある腸管を切除します。腸管を縫い合わせる位置によって、低位前方切除術と高位前方切除術に分けられます。

いずれも肛門機能温存術ですが、低位前方切除術の場合は手術で縫い合わせた部分が肛門に近いため、一時的に人工肛門を造設して傷が治りやすいようにします。腹腔鏡下手術で行われることもあります。

直腸切断術

肛門に近い直腸にできたがんに対して行われる手術です。肛門を含む直腸を一緒に切除するため、同時に人工肛門が造設されます。

括約筋間直腸切除術

肛門の筋肉の一部を切除し、下部直腸を切除する肛門機能の温存を目指す手術です。再発や転移のリスクなどがまだ検証不十分な手術です。残存肛門機能の評価は明らかになっていません。

腸閉塞や腸穿孔を起こしている場合や、手術後の排便コントロールが難しいことが予想される時には、併せて人工肛門造設術が行われることがあります。

また、膀胱や尿管を切除する場合、人工膀胱の造設や尿管再建術などが併せて行われることもあります。

括約筋間直腸切除術

大腸は大きく結腸と直腸に分けられますが、その構造にはかなり違いがあります。

直腸は肛門に近く、周囲を肛門括約筋が取り囲んでいる部位です。

このため直腸がんの手術では、がんの位置が肛門に近い場合やがんの進行が深いほど、肛門括約筋や肛門管、及び肛門を同時に切除しなければ根治が難しいとされていました。

大腸がん,括約筋間直腸切除術このような手術方法では、肛門機能が残されず人工肛門を造設しなければならない例が多くありました。

肛門やその周囲の筋肉や神経を切除することで他にも機能障害が残ることもあります。

従来、スタンダードとされていた上記のような手術方法では、避けられなかった機能障害をできるだけ減らすために手術方法の研究が進み、行われるようになったのが括約筋間直腸切除術です。

直腸や肛門管の周りには肛門括約筋がありますが肛門括約筋は内側から(粘膜側から)見て、内肛門括約筋と外肛門括約筋の2層の筋肉があります。

従来の手術方法では2層の筋肉全てを切除していましたが、括約筋間直腸切除術では、がんの深さがそれほど深くない場合に筋肉を内側から部分的に切除してある程度の肛門括約筋を温存する方法です。

括約筋間直腸切除術は、技術が進歩したことで比較的に最近行われるようになった手術になります。

括約筋間直腸切除術の種類

括約筋間直腸切除術は、肛門括約筋を切除する範囲によって主に2種類の方法があります。

内肛門括約筋切除術(内括約筋切除術、ISR)

がんの深さが直腸や肛門管の粘膜から、軽度に内肛門括約筋に達している場合に選択される手術です。

この手術では内肛門括約筋までを切除し、外肛門括約筋は温存されます。そのため、肛門機能もかなり温存されやすいです。

外肛門括約筋切除術(外括約筋切除術、ESR)

がんが内肛門括約筋まで、やや深く進んでいる場合に選択される手術方法です。がん組織に近い部位については、外括約筋の一部までを切除する手術です。

括約筋間直腸切除術のメリット・デメリット

括約筋間直腸切除術の最大のメリットは、肛門と肛門括約筋の温存によって肛門機能の温存が期待できることです。

対してデメリットもいくつかあります。

この手術の成否は、まだまだ術者の技術によるところがあると言えることです。

比較的に新しい手術方法となり、筋肉の間を切除するという繊細な手術のため、高度な技術や経験が要求されるからです。

また、手術方法として新しいため、様々な検証が不十分だということです。

再発のリスクや肛門機能の温存について、どれほど効果があるのかはまだ完全には明らかになっていません。

この手術方法を選択肢に入れる場合には、これらのようなリスクについても十分に医師と相談するのが望ましいでしょう。

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手術による合併症

手術による主な合併症

手術の主な合併症には、創感染・縫合不全・腸閉塞などがあります。

また、全身麻酔による一般的な合併症としては循環器合併症・呼吸器合併症・腸閉塞などがあります。

創感染・縫合不全

大腸にはもともと腸内細菌がいるため、手術では感染のリスクが高い部位です。

このため、手術創に術後感染を起こすことがあります。

また、縫合不全とは、手術で切除した腸を縫合した部分が上手く癒合しないことです。

直腸の手術では傷が肛門の近くにあり、肛門機能が温存された手術では、排便時など息んだ時や排便コントロールが上手くいかず、便が硬い場合などに手術の傷に負担がかかり、縫合不全を起こしやすいことがあります。

創感染と縫合不全は、術後数日経って発熱・創部の痛み・腹痛などの症状が出ることで見つかることが多くなります。

治療では抗生物質の投与や食事の中止・創部の洗浄などが行われますが、場合によっては再手術になることもあります。

腸閉塞

腸閉塞は、腸の手術ではとくに注意が必要な合併症です。

術後数日で起こることもありますし、手術後の傷が周囲と癒着することによって数年たってから起こることもあります。

直腸がん,合併症手術では麻酔により腸の動きが止められます。

通常は術後に麻酔の影響から回復する中で、だんだん腸の動きも回復していくのですが、腸の手術では腸を切除するという行為や、手術中に腸が空気に触れるなど様々な刺激によって腸の動きの回復が遅れることがあります。

このような手術中の要因や、術後の癒着によって腸閉塞は起こると考えられています。

手術直後の時期に腸閉塞を予防するには、歩行開始とともに体を動かして、腸の運動の回復も促すことが大切です。

また、退院後は便通やおならのセルフチェックをして繊維質を多めに摂ったり、水分の摂取に注意したり、適度な運動を心掛けるなどして、柔らかめの便通が定期的に得られるようにコントロールすることが大事だとされています。

腸閉塞の治療としては、まずは絶飲食が行われます。急を要する場合や絶飲食で改善しない場合は手術で対処することになります。

手術後

手術後の生活と管理

手術の傷の大きさは術式によって異なります。

腹腔鏡下手術であれば数cm、経肛門的手術であれば10cm程度、開腹手術や直腸切断術であれば20cm程度に及ぶこともあります。

直腸がんの手術では、肛門機能や骨盤自律神経の機能が温存されるかで大きく手術後の生活が変わってきます。

人工肛門を造設した場合、管理などについては入院中に指導を受けることになります。

患者会を設けている病院も少なくありません。また、永久的な(一時的でも長期になれば)人工肛門造設であれば、身体障害者認定の申請ができます。人工膀胱についても同様です。

肛門機能が温存された場合でも人工肛門を造設時においても排便のコントロールは重要です。少し軟便程度の排便が1日に数回得られるのが理想的だとされています。

理由は硬い便であると手術の傷に負担がかかるからです。これによって縫合不全や腸閉塞といった合併症を予防することができます。

直腸がんの手術特に合併症がなければ、概ね手術1~2日後には水分開始となり、歩行が可能になります。

手術2~数日後には粥などの柔らかい食事が開始されることが多くなります。

直腸の手術による消化機能への影響はほとんどないため、刺激物や生ものといった食事を避ければ、退院時までにほとんど食事制限はなくなります。

通常は歩行開始とともに手術時に挿入した排尿用のカテーテルも抜去されますが、直腸がんの手術では痛み止めの薬(硬膜外注射)の影響や骨盤自律神経の損傷によって排尿困難となることがあります。

このため、カテーテルの抜去に長くかかったり、排尿訓練を受けてからカテーテル抜去となることもあります。

入院期間は術式によってかなり異なります。局所切除術であれば2~3週間程度、直腸切断術では1か月ほどかかることもあります。

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大腸ステント

ステントとは管状の器官が狭くなったり、通りが悪くなった箇所に留置し、狭くなった部分を拡げて通りを良くする医療器具です。

大腸ステント消化管血管などそれぞれの部位に適したステントが存在し、金網でできた筒のような形状をしたものが多くなります。

大腸ステントに関しては、大腸の内側が狭くなった場合に、内側から留置して拡げて通りを良くするために用いられます。

大腸がんでは、「がんそのものによって大腸が狭くなった」、「外科手術後の影響(癒着)などによって大腸が狭くなった」、「リンパ節や腹膜への転移から外的圧迫によって狭くなった」などで使用されることが多くなります。

とくに大腸では腸閉塞を起こすような重篤な場合に用いられることが多いです。

腸閉塞(ちょうへいそく)とは、大腸では大便・水分・ガスなどの内容物が通過障害を起こしている状態を指します。

大腸ステントの適応と合併症

腸閉塞などを起こし、腸の狭窄の解除が必要でありながら外科手術を行えないような例などでは、大腸ステントを留置する治療法が検討されます。

尚、大腸ステントの留置は大腸内視鏡によって行われます。大腸ステントによって大腸の通過障害が改善されることで、食事の摂取なども可能となります。

腸閉塞を起こしているような大腸では、その粘膜が弱い場合があり、大腸ステントを留置する際などで大腸が傷つけてしまい、孔(あな)が開いてしまう穿孔が考えられます。

また、ステントが外れたりずれてしまい、十分な効果が得られない場合もあります。

重粒子線治療

放射線療法とは患部に医療放射線を当て、がん細胞を壊す治療方法です。

放射線の中でもヘリウムイオン線よりも重い電子線のことを重粒子線と呼び、これを利用した治療方法が重粒子線治療です。使われているのは主に炭素イオンです。

日本では、世界に先駆けて重粒子線治療の実用化に成功しています。

重粒子線治療と従来の放射線治療の違い

体の外から照射するレントゲン検査などでお馴染みのX線という放射線があります。

X線は体外から当てると体内の深い位置になるほど威力が弱ってしまいます。

そのため、体内の深い位置にあるがんを治療するには、病巣以外の手前の臓器等にも放射線が影響してしまうことになります。

対して重粒子線は照射によるエネルギーのピークを体内の狙った場所に狙った形で設定できます。

このため、体の深い位置にあるがん組織にも効果的に照射が可能で、病巣より手前の臓器等への影響を減らすことができるとされています。

つまり、副作用を軽減できることが期待できるのです。

重粒子線治療は、比較的新しい治療方法ですが「切らないがん治療」として知られるようになってきました。

大腸がんにおいての重粒子線治療

重粒子線は決まった個所に集中して照射するのに適しているため、限局した部位の進行していないがんの治療に適しているとされています。

大腸がん,重粒子線治療「限局した進行していないがん」という条件で見ると大腸がんでは、内視鏡手術や外科手術という根治性の高い治療法が既にあります。

また、重粒子線を局所に集中して照射するためには、大腸は位置が動きやすく、薄い管状の臓器なのであまり適しているとはいえません。

重粒子線治療は新しい治療方法で、一部のがんでは高度先進医療の対象となっていますが、上記のような理由もあって大腸がんでは対象とされていません。

現在は、大腸がんの中でも直腸がんの術後再発例に対して臨床試験が行われている状態です。

重粒子線治療を受けるには以下のような適応条件が決められています。
  • 悪性の腫瘍(がん)だと診断されていて、患者自身がその告知を受けて病識があること
  • 広範な全身転移がないこと
  • 過去に放射線治療を受けたことがない(今回の治療部位と前回の治療部位が異なる)こと
現在、日本国内で重粒子線治療が行われているのは、放射線医学総合研究所病院、群馬大学重粒子線医学センター、兵庫県立粒子線医療センター、九州国際重粒子線がん治療センター、神奈川県立がんセンターとなります。※2017年8月

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抗がん剤治療

大腸がんの治療は、まず手術が第一選択肢となりますがステージII以降になると手術後の補助、また手術不可能な進行がんや転移・再発が確認されると抗がん剤治療が行われる場合があります。

手術後の補助として行われる抗がん剤治療ですが、再発の可能性が高いステージIIIの患者に推奨されています。

また、ステージIIであっても再発の可能性がある場合には、抗がん剤治療を行う場合があります。

術後の抗がん剤治療では、様々な投与方法がありますが基本的に治療期間は6か月を標準としています。

新しい抗がん剤で生存率が向上

抗がん剤は経口薬が使用されることが多く、TS-1やカぺシタビンが単体で投与されることがあります。

大腸がん,抗がん剤例えばカぺシタビンの場合、1日2回服用する方法を21日間行い7日間休むという方法を1コースとして実地します。

この抗がん剤は、下痢や嘔吐の副作用が少ないことが長所で、主な副作用としては手足の先が赤くなったり、晴れて痛くなる手足症候群等があげられます。

その他、手術後の抗がん剤として、通院しながら注射剤によって投与する方法があります。

進行・再発がんに対する抗がん剤治療法は、近年の新しい抗がん剤や分子標的薬の登場で生存率は大幅に向上してきているのも事実です。

放射線療法

大腸がんの治療方針はがんの進行度(ステージ・病期)の診断後、大腸がん治療ガイドラインに基づいて選択されます。

大腸がん,放射線療法初発の大腸がんでは、最も根治的だとされているのは手術療法です。

このため、他臓器に転移しているステージⅣやステージⅢまでの手術ができない場合を除いては、基本的には手術が選択されます。

大腸がんの放射線治療においては、手術療法をメインとした補助療法として行われることが多く、照射の時期によって、術前照射・術中照射・術後照射があります。

補助療法の目的は、がんを小さくして手術で取りやすくする(術前照射の場合)、手術の切除範囲を狭めて肛門を温存する、術後の再発リスクを下げるといった目的になります。

また、放射線治療は、リンパ節や肺・脳など他の臓器など転移したがんの治療に用いられる他、痛みなどの症状緩和のために行われることがあります。

放射線治療の流れ

治療開始前

精密検査によって初発ではステージ診断がされ、転移がある場合にはその状態などが詳しく調べられます。

CTやMRIといった画像検査にてがんの位置や大きさを確認し、血液検査で全身状態を確認した上で照射線量や照射回数が計画されます。

治療期間中

放射線治療ですが1カ月程かかることがあります。1週間に1回程度は採血を行って、白血球数や副作用を確認しながら行われます。場合によっては外来で治療をすることもあります。

治療後

腫瘍マーカー検査やCTなどの画像検査にて治療効果の判定をします。

また、血液検査は副作用の状況を見るため、しばらく続けれることがあります。

腫瘍マーカーが下がりにくい、画像検査でがん組織が小さくなっていないといった場合には追加照射が行われることもあります。

放射線治療の副作用

放射線治療の副作用として主には次のようなものが考えられます

照射部位や照射線量によって副作用には個人差があり、一般的に副作用症状は照射線量が多い、回数が多いほど強くなる傾向があります。
  • 全身倦怠感、易疲労感
  • 骨髄抑制(白血球などの減少による免疫力の低下、赤血球の減少による貧血、血小板の減少による出血傾向)
  • 食欲不振、吐き気、むかつき(主に腹部の照射による症状)
  • 下痢(主に下腹部の照射による)
  • 照射部位の皮膚の炎症、かゆみやヒリヒリ感・熱感
中でも骨髄抑制からの感染は生命の危険もある合併症です。

骨髄抑制が進んだ場合、照射も中止になることがあります。放射線治療中は採血結果に気を付けながら、手洗い・うがい・マスクを装着するなど感染予防には留意することが望ましいでしょう。

大腸がんのステージ

大腸がんのステージ(病期)分類は、がんの進行度を示すものになり、ステージ0からステージIVまでの5段階からになっています。

大腸がんでは、大腸の粘膜から腸の粘膜にどれだけ深く入り込んでいるか(深達度)、リンパ節への転移はあるのか、また他の臓器(肺、肝臓、腹膜など)への転移はあるかの3項目を総合してステージが決定されます。

このステージという診断は、患者へのより適切な治療法を決めるためにも重要となってきます。

各ステージの詳細

ステージ0の大腸がんは、がんが粘膜の中にとどまっている状態となり、転移の可能性はほぼなく、内視鏡でがんを切り取る手術が可能です。ステージ0での5年生存率は約95%になります。

ステージIの大腸がんは、固有筋層(筋肉の層)までに留まっている状態で、治療は浸潤の割合にによって異なります。ステージ0と同様に内視鏡でがんを切り取ることが可能です。

大腸がん,ステージ大腸の壁への浸潤が深いものは、取り残しやリンパ節転移を防ぐためにも手術によって、がんの部分と転移の可能性があるリンパ節を切除します。

色々な可能性を考慮して、内視鏡治療か手術かを決定しますが、おおよその目安は2センチ以下だと内視鏡の治療が行われることが多いようです。ステージIの5年生存率は約90%になります。

ステージIIの大腸がんは、固有筋層を超えて周囲にひろがっているものの、リンパ節には転移していない状態です。この時点での5年生存率は約85%で、まだまだ高い倍率と言えます。

ステージIIIは、がんの浸潤の深さに関わらず、リンパ節転移がある場合を指します。ステージIIIの5年生存率は約60%~75%と少し低くなります。

ステージIIとステージIIIの大腸がんの治療は、病変分部を含む大腸と転移の可能性があるリンパ節を切除します。最近では腹腔鏡手術が多くの病院で受けられるようになり、患者の体への負担を軽くする事できます。

切除したリンパ節にがんの転移がある場合、再発予防の為の抗がん剤治療が手術後に行われる場合があります。

ステージIVの大腸がんは、肝臓や肺、腹膜などに転移している状態です。一般的に大腸がんでは肝臓や肺に転移したケースでも、がんの切除が可能であれば積極的に手術が行われます。

手術を行うかどうかは、転移のある場所、数、患者の状態を総合的に見て決定されますが、抗がん剤治療が勧められる場合もあります。ここでの5年生存率は約19%と他のステージに比べ、ぐっと低くなってきます。

大腸がんの症状としては腹痛や出血がありますが、初期の場合症状が出ることがほとんどなく、早くてもステージII以上にならないと症状は出ないといわれているので定期的な健診が勧められます。

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大腸がんの検査

大腸がんの検査は大きく分けて2種類からなり、検診法診断法があります。検診法は大腸がん検診とも言われ、症状の認められない健康な人に対して実施されます。

最初は問診から始まり、便を調べる「便潜血検査」や肛門からの触診による「直腸診」があります。

便潜血検査ではお馴染みの深い検査キットが手渡され、便の表面をこすり取って採取する棒状のものと便を保管する容器が一体化したものがあります。

大腸がん検査採取した便は検査を行う医療機関に提出し、数週間以内に結果を受け取ることができます。

この検査は食事制限等が必要なく、手軽な上に費用も1000円前後と安く、毎年受ける事で大腸がんによる死亡率が60%~80%減らせるというデータがあります。

排便時便に、「便の色は黒く(赤く)ないから大丈夫」、「血液が付着している様子がないから大丈夫」などと勝手に判断して検査を受けない人がいますが、この便潜血検査では目に見えない微量の血液まで調べています。ですので、ポリープなどの早期発見にもつながるのです。

大腸がんの診断法

検診法で異常がみられる場合や、日常生活に支障をきたすような症状がある場合には、診断法(注腸造影検査、大腸内視鏡検査)にてより、詳細に腸管の状態を調べていきます。

大腸がん,検査注腸造影検査ではバリウムと空気を肛門から注入し、大腸のレントゲン撮影をします。前日の夜から下剤を飲み、腸を空にしてから行う検査でコブのようながんは見つけやすい反面、小さながんや平たく広がったがんは見つけにくいとされています。

一方の大腸内視鏡検査では、肛門から管状の小型カメラを挿入する方法で、直接に大腸の粘膜を観察できる事です。

がんの位置や大きさを確認でき、同時に大腸組織の一部を採取(生検)して詳しく調べる事で、悪性か良性なのかを判定することができます。

発見されたものが早期がんだった場合には、内視鏡検査時に切除して治療終了となる事もあります。

万一、大腸がんと診断された場合、さらに詳しく調べるために、エコー検査、CT検査、MRI検査、PET検査と色々な検査を進めていき、治療方針を決められて行きます。

便潜血検査

大腸がんの便潜血検査の役割

便潜血検査とは、便の中に含まれている目に見えない血液(ヘモグロビン)の有無を調べる検査です。大腸がんの初期段階では症状が乏しいがんとされ、腹痛など自覚症状がある時には既に進行していることも少なくありません。そして、大腸がんの初期症状に多いのが下血です。

下血というと明らかな出血が見られたり、便に血液が付着したり、赤い便が出たり、ということを想像するかたが多いようですが、実際には目に見えないほどの少ない量で出血していることが多くなります。

そこで目に見えない血液を調べることができる便潜血検査の出番というわけです。便潜血検査は大腸がん検診の一次検査としてよく行われています。

採取した便を提出するだけなので体への負担が少なく、費用も安価で済みます。このため、自治体で行われている大人数に対してのがん検診の一次検診としては有用だとされています。

ただ、便潜血検査では、便の中に血液が含まれているかどうか、ということを調べる検査ですので、「含まれている血液がどごで出血しているか」までを知ることはできません。

便に血液が含まれる可能性がある大腸がん以外の病気としては、他の消化管のがん・消化管潰瘍・消化管の炎症(胃炎・腸炎など)・ポリープ・痔・血液疾患・赤痢・寄生虫など実に様々です。また、多量の肉食でも便中に微量の血液が検出されることもあります。

このため、便潜血検査の中でも化学的便潜血検査と免疫学的便潜血検査とを使い分けたり、他の精密検査を行ったりすることで出血している部分を特定することができます。

便潜血検査の方法

通常、大腸がんのスクリーニング目的で行われる便潜血検査は2日間の連続検査で行われます。検査キットは1キットにつき1回の便を入れます。

便潜血検査便が出た時間帯などは問いませんが、2日間の検査(2キット渡された)の場合は、1日に2回以上便が出ても必ず日を分けて採取するようにしましょう。

便を採取する時は、便器の中にトイレットペーパーを敷いて便が流れないようにします。便潜血検査キットの多くは溝のついた棒のようなものがありますので、それで便を擦り取ります。

便のどこか一部を取るのでなく、全体を擦って付けるようにして採取します。2日間の便潜血検査のうち、どちらかでも血液反応があれば陽性となります。

陽性の場合は、大腸内視鏡検査や直腸指診・注腸造影検査などの二次検査が行われるのが一般的です。

大腸がん検診では便潜血検査で陽性の場合、便潜血検査を再検査することはあまりエビデンスがなく、大腸がんの早期発見には上記のような二次検査にただちに移ることが望ましいとされています。

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大腸内視鏡検査(大腸カメラ)

大腸内視鏡検査とは

大腸内視鏡検査とは、肛門から内視鏡を挿入して、肛門・直腸・結腸・回盲部(回腸と盲腸のつなぎ目の部分、小腸と大腸の間の部分)までの大腸の粘膜を直接見ることで大腸の異常を確認する検査です。

大腸内視鏡検査単にカメラで観察するだけでなく、内視鏡の先端に様々な器具を装着することによって病理検査(大腸粘膜の組織や細胞を採取して顕微鏡で見る検査)や粘膜切除手術を行うこともできます。

大腸がんの検診では、通常は一次検診(症状がない人に検査をしてがんの可能性を調べるための最初の検査)では大腸内視鏡検査は含まれてはいません。

一次検診で負担が少なく簡単にできる便潜血検査を行い、陽性だった場合に二次検査(精密検査)として大腸内視鏡検査が行われることがほとんどです。

大腸内視鏡検査は、すでに下血など何らかの症状があり、早期の診断が求められる場合には緊急で行われることもあります。

これまでに大腸ポリープの既往歴があったり、大腸がんのリスクが高い場合は定期的に行われることもあります。その場合、頻度としては1年~2年に1回程度行われることが多いです。

大腸内視鏡検査では、大腸がんの他に大腸ポリープや潰瘍性大腸炎など様々な大腸疾患を知ることができます。

大腸内視鏡検査の流れ

大腸内視鏡検査で検査をスムーズに済ませて精度を上げるには、便を出して検査前に腸を洗浄し、粘膜がよく見える状態にしておくことが大事です。

そのため、検査前日から当日にかけては下剤等で大腸をきれいにします。(どうしても下剤を使えない場合は、高圧浣腸などで行われることもあります)。

以下に一般的な大腸内視鏡検査の流れを挙げていきますが、下剤を使えるかどうか・水分を摂取できるかどうか・全身状態など医療機関によって異なることがあります。

また、下剤の内容や食事制限の内容も検査施設によって異なるため、必ず検査施設の指示通りにしましょう。

検査前日

検査前日の食事は繊維質を減らした食事をして、夕食後は基本的に絶食となります。腸検査食を購入することもできます。

水分は大丈夫です。

下剤内服後、下痢になるのでむしろ水分は摂っておいた方が良いでしょう。

但し、ジュース類など繊維質があるものや刺激物・アルコール等は避け、お茶・お水・スポーツドリンク等の程度にしましょう。

夕食後、あるいは就寝前に下剤を内服します。

検査当日

朝から腸の動きを調節する薬と下剤を内服します。

多くの施設で使われているのは、2リットルほどの水で溶かす洗腸用の下剤を2時間ほどかけて飲む方法です。

気分不良・腹痛・吐き気・嘔吐・頭痛・冷や汗・寒気・動悸・脱水症状などの症状が出ることがあります。

症状が出たら下剤を飲むのを一旦中止して、医療機関に相談しましょう。

脱水の危険がある高齢者や同時に内視鏡手術を行う場合などは、点滴をしながら下剤を飲んで準備することもあります。

洗腸するにしたがって便には固形物が見られなくなり、レモン汁のように透明な液体になります。こうなれば前処置は完了です。

いよいよ検査へ

検査中は鎮静剤や鎮痛剤を使って検査を行っている施設が多くあります。

カメラを通す時に痛いのではないかと心配されるかもしれませんが、苦痛なく検査を受けることもできます。

検査時間はおおむね30分程度です。腸の長さや状態によっては、より早く済んだり時間がかかることもあります。

検査後は、カメラで観察しただけか・病理検査のため組織を採取したか・粘膜を切除する内視鏡検査をしたかといった検査内容によって、食事の再開時期が異なりますので医師や看護師に確認しましょう。

また、内視鏡手術をした場合には、通常は1泊以上の入院をすることが多くなります。

大腸内視鏡検査のみの場合は、費用は数千円程度(保険適用の場合)です。

注腸造影検査

注腸造影検査とは

注腸造影検査とは、肛門からバリウムを注入して撮影する大腸のレントゲン検査です。

通常のレントゲン検査では、大腸の形や腸の中にある空気や便が影になって写し出されますが、細かな大腸粘膜の異常は撮影できません。

このため、バリウムを通すことで粘膜の凸凹を写し出すのが注腸造影検査になります。

この検査によって大腸がんや大腸ポリープの他、大腸憩室などが見つかることがあります。

X線を使用するため微量の放射線被曝があり、妊婦さんには使用できない検査です。被曝量ですが健康には問題はないとされています。

大腸がんと注腸造影検査

通常、大腸がんのスクリーニング検査で最初に行われるのは検便検査(便潜血検査)です。ここで疑わしい結果が出た場合には、大腸がんの有無を確認するために詳しい検査に移ります。

一般的には大腸内視鏡検査ですが、行えない場合には注腸造影検査が行われることがあります。

また、注腸造影検査では大腸全体の形がよくわかるため、大腸がんの手術前後などで大腸の通過状態などを見たりする場合にも使用いられます。

注腸造影検査で見え方

注腸造影検査では、バリウムが付着した箇所が白く、それ以外や空気が黒く写ります。

注腸造影検査このため、バリウムが通っている大腸の形が写し出されます。粘膜の表面にできたがんは影になって写るというわけです。

影だけではこれが必ずしもポリープなのかがんなのか診断できません。

より確定的な診断をするためには、大腸内視鏡検査で細胞を採取したり、手術で組織を採取して生検(病理検査)をすることが必要になります。

また、この検査では腫瘍の大きさが小さい場合、上手く画像に写し出されない場合があります。

その他には、注腸造影検査では腸の形がよく見えるため、大腸がんによって腸が癒着したり、細くなったりしている部分を知ることもできます。

腸がわずかでも穿孔している場合、腹腔内にバリウムが漏れていることでわかります。

注腸造影検査の流れ

注腸造影検査では大腸の中に残った大便の影が入ると病変と見誤ることがあります。このため、前日から検査用の繊維質の少ない食事(腸検査食)と下剤を使って腸を洗浄してから行います。

検査前日は腸検査食を摂り、夕食以降は検査終了まで絶食になります。前日の夕食後~就寝前に下剤を内服します。

検査当日は腸の動きを抑える抗コリン薬を注射します。検査台に横になって肛門からチューブを挿入してバリウムを注入し、次いで空気を入れて大腸を膨らませます。

バリウムが腸全体に行きわたるように少し体の角度を変えたりして、十分に行きわたったら撮影します。検査時間はおおむね15~20分程度です。

注腸造影検査の注意事項

肛門からバリウムや空気を入れるため、腹部の不快感や腹部が張る感じがみられることがあります。

また、検査後にバリウムによる便秘を起こすことがあるので検査後は水分をしっかり摂り、便の色に気を付けることが大切です。

検査前日は腸検査食、検査当日は検査終了まで絶食となるため、内服薬がある方は必ず薬について医療機関に確認して指示の通りにしましょう。

また、抗コリン薬の副作用で前立せん肥大・緑内障・不整脈などが悪化する恐れがあるため、検査前に確認しておきましょう。通常は検査前にこうした病気についての問診があります。

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超音波内視鏡検査(EUS)

大腸の内視鏡検査というと肛門から内視鏡を挿入し、肛門・直腸から結腸・回盲部(小腸と大腸のつなぎ目の部分)までの大腸の粘膜を肉眼的に見ることができる検査です。

超音波内視鏡検査(EUS)とは、内視鏡の先に超音波検査を行える器具を装着して行うものです。

超音波検査とは、超音波を体や粘膜の表面から当て、その反響時間の違いを画像化することで表面からではわからない組織内部の状態を見る検査です。

超音波内視鏡検査では、内視鏡検査にて肉眼で大腸粘膜の表面を見るだけでなく、それに加えて超音波検査で粘膜の深部の異常の有無を画像化して見ることができます。

表面から見えない腫瘍の有無・位置・深達度・大きさ・浸潤の状態・周囲の組織の状態・周辺のリンパ節の状態などを画像で調べることができます。

超音波内視鏡検査の流れと費用

超音波内視鏡検査は、通常の大腸内視鏡検査と準備や流れは変わりません。

検査前日は腸検査食(繊維質が少ない食事)にし、夕食後以降は検査が終了するまで絶食となります。

検査前日から当日にかけて多量の下剤を服用し、大腸の中にある便をきれいに洗い流した上で検査を受けます。

超音波内視鏡検査尚、超音波内視鏡検査で使われるファイバースコープは、内視鏡検査だけの場合に比べると多少太めの物が使われることが多いようです。

このため、カメラを通す際には通常の内視鏡検査と比べると、不快感など苦痛度がある可能性があります。

通常の大腸内視鏡検査であっても、検査中に鎮静剤や鎮痛剤を使って検査を行っている医療機関も多くあります。

痛いのは嫌だな・不安だなと感じる方は、検査を受ける前に相談しておくと、より苦痛が少なく検査が受けられるでしょう。

検査時間は通常の大腸内視鏡検査よりは時間が必要となり、30分~1時間弱程度です。

検査後の食事再開や食事内容については、その都度医療機関に確認して指示通りにしましょう。

大腸内視鏡検査のみの場合は、保険適用で費用は数千円程度ですが超音波内視鏡の場合は加算が付くので数百円~千円程度高めとなるでしょう。

仮想内視鏡検査

仮想内視鏡検査とは

通常の大腸内視鏡検査は肛門から内視鏡(ファイバースコープ)を挿入して、カメラを通して大腸の粘膜を直接見ながら粘膜の異常を調べる検査になります。

これに対して仮想内視鏡検査とは、バーチャル内視鏡検査、あるいは3D-CT検査とも呼ばれます。

仮想内視鏡検査では、3D-CT検査とも呼ばれるように最新のCT装置によって、体の表面から撮影して得た情報から大腸の内部をコンピュータで3D化して、まるで内視鏡検査を受けたかのような画像を得ることができる検査です。

仮想内視鏡検査のメリット

大腸内視鏡検査では、前処置として多くの下剤を服用するなど前処置による体の負担があります。

仮想内視鏡検査では、それほど多量の下剤を必要としないケースが多くなります。

また、カメラを体に入れることはないため、痛みなどの苦痛も少なく、内視鏡検査と比べると検査時間は短く10分程度になります。

仮想内視鏡検査のデメリット

内視鏡検査のように直接に粘膜を見るわけではなく、がんやポリープを見つける精度に関しては内視鏡検査と比べて若干低いとされています。

仮想内視鏡検査仮想内視鏡検査では、中等度以上の大きさのものでは一定の評価はされているようです。

また、多量の下剤をかける必要がないとはいえ、腸の中に便が残っていると精度が落ちる可能性があるため、医療機関によっては下剤を使用している場合があります。

この仮想内視鏡検査は、あくまで画像のみの検査になるので、病理検査(生検)をすることはできません。このため、仮想内視鏡検査だけでは大腸がんの確定診断は難しいことがあります。

また、CT検査となりますので微量の放射線被ばくを伴います。

最新の医療装置を使用するため、行われている医療機関は限られることになります。

仮想内視鏡検査の流れ

仮想内視鏡検査の精度を上げるには、検査前に便をしっかり排出して粘膜がよく見える状態にすることが大事です。

検査前日

検査前日の食事は腸検査食(繊維質を減らした食事)となります。夕食後は検査終了まで絶食です。

お茶・水・スポーツドリンクなど、繊維質や刺激物などを含まない水分は飲んでも構いません。

夕食後、あるいは就寝前に下剤を内服します。

医療機関によっては検査の精度を上げるために、内視鏡検査ほどではなくとも多くの下剤を処方されることもあるようです。

検査当日

検査直前に腸の動きを抑えるための筋肉注射をし、お尻から管を入れて空気で腸を膨らませてから撮影が始まります。

撮影自体は数分で済み、検査後は歩いて帰れます。食事制限などもありません。

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CT検査

CT検査は画像検査の一種です。

レントゲン検査と同じようにX線を使って体の内部を撮影しますが、その画像をコンピュータで処理することにより、体の内部を詳しく見ることができます。

CTとは「Computer Tomography」の頭文字で、コンピュータ断層撮影のことで、体を輪切りや縦切りの層にして撮影できるので断層撮影と言います。

輪切りや縦切りの連続した画像を並べることで、体の中をより立体的に把握することが可能となり、最近では画像の解析技術が上がっているため、機械によっては3Dの画像も撮ることができます。

撮影方法には単純CT検査(造影剤を使わない)と造影CT検査があります。造影剤を使うことによってがんが強調して映し出されるので、がんの精密検査ではよく使われる検査です。

大腸がんとCT検査

特に自覚症状がない人に対して行われる大腸がん検診では、主に検便(便潜血検査)が行われ、異常があれば大腸内視鏡検査で大腸粘膜をを調べるのが一般的な流れです。

大腸内視鏡検査では大腸粘膜を表面から見ることと、粘膜組織を採取して病理検査(生検)をすることができます。

CT検査大腸がんかどうかという診断はできますが、大腸がんの進行度を知るためには、がんの深さ転移の有無を調べる精密検査が必要になります。

この段階でよく行われるのがCT検査です。あるいは、大腸がんによって強い腹痛や腸穿孔・腸閉塞といった急激な自覚症状がある場合にも、緊急検査としてCT検査はよく行われます。

CT検査であれば、大腸のどの部分にどんな大きさのがんがあるのか、がんがどの程度広がっているか、大腸が細くなったり詰まったりしていないか、リンパ節や他臓器への転移の有無や程度などを調べることができます。

こうしてCT検査で得られる情報から、大腸がんの病期(ステージ)を決めて治療方針を考えていくため、精密検査としてはよく行われる検査です。

また、CT検査は治療経過の確認のためにもよく行われる検査です。

CT検査の注意事項

CT検査では微量の放射線被曝があるため、基本的に妊婦さんは受けることができません。

通常のレントゲン検査と比べると被曝量も多くなりますが、年に数回か受けたとしても健康に問題はないとされています。

ペースメーカーや埋め込み型除細動器を使用している人は機器に変調を起こすという例があるため、検査を受ける前に医師に相談しましょう。

造影検査では、重篤な合併症として造影剤によるアレルギー反応があり、アナフィラキシーショックの例も少なくありません。

このため、造影検査前には必ずアレルギーチェックの問診があります。

造影剤にはアレルギー反応以外にも、吐き気や気分不良や腎障害といった合併症もあります。

CT検査の撮影の流れ

検査当日の検査直前の食事は抜きとなります。午前中検査であれば朝食抜き、午後検査なら昼食抜き、といった感じとなりますが医療機関によって食事制限は異なりますので、必ず確認して指示に従いましょう。

内服中の薬がある場合や糖尿病の治療中といった方は、薬の内服や食事やインスリン注射・血糖降下薬の使用についても医師に確認ししましょう。金属類やボタン等のない服装になって検査室に入り、検査台に横になって撮影します。

造影検査の場合には、造影剤の注射が検査前か検査中にあります。造影検査で検査時間は数分から20分程度です。単純CTでは数分で終わります。比較的体の負担や苦痛は少ない検査だと言えます。

撮影後は飲食の制限はなく、撮影した画像は即時出来上がります。医師の診断が入るので、緊急時以外の検査結果は後日の診察で説明されます。

MRI検査

MRI検査の特徴

MRI検査は、磁気の共鳴を使って体の内部を細かく撮影する検査です。

MRIとは、英語で「Magnetic Resonance Imaging」の略で、日本語訳すると核磁気共鳴画像法ということになります。

体の内部を細かく撮影できるCT検査がありますが、脳や関節など軟部組織についてはMRIの方がよりはっきりと画像化できる場合もあります。

また、MRIでは放射線被曝がないというメリットがあります。

このため、用途や対象者に応じてCT検査と使い分けられており、妊娠初期を除いて妊婦でも使用することができます。

但し、MRIでは強い磁力を使って撮影するため、金属磁性体は持ち込むことができません。

MRI検査これらの物を持ち込むと、機械が故障したり画像に乱れが生じたりやけどの恐れがあるからです。

このため、ペースメーカーや体内埋め込み型除細動器などの埋め込み型医療機器があるとMRIを受けることができません(一部のペースメーカーでは撮影可能なので医師に確認を)。

また、アイメイク(マスカラ・アイライン・アイシャドー・アイブロウなど)やカラーコンタクト・入れ墨・アートメイクなどにも磁性体が含まれている恐れがあり、検査を受けられないことがあります。

MRI検査にもCT検査と同様に単純MRI(造影剤を使用しない)と造影MRIがあります。

造影検査では強調したい部分を変化させて撮影することもできます。これによってより組織の異常を得意的に発見することができます。

大腸がんとMRI検査

特に自覚症状がない人に対して大腸がんの有無をスクリーニング時には、できるだけ体や費用の負担が少ない便潜血検査が行われるのが一般的です。

便潜血検査で陽性であれば、大腸内視鏡検査などの精密検査に移る一般的な流れで、大腸内視鏡検査で大腸がんが見つかった場合には、次には治療方針を決めるために病気の進行度(病期・ステージ)を診断する必要があります。

この段階でよく行われるのがMRI検査やCT検査といった、体の内部をより精密に知ることができる画像検査になります。

MRI検査によってがんの位置・大きさ、リンパ節や他の臓器(腹膜・肝臓・肺など)への転移の有無や程度、大腸の状態などを知ることができ、これによってステージが診断されます。

MRI検査の流れ

検査前日は飲食などの特に制限はありません。検査当日は検査直前の食事は絶食になることが多くなりますが、時間帯にもよりますので医療機関に確認しましょう。

また、併せて内服薬やインスリン注射などについても確認しておきましょう。

MRI検査では強い磁力を使うため、金属や磁気を帯びた物は持ち込むことができないので、検査室に入る前に身に着けている金属類(入れ歯・ヘアピン・かつら・アクセサリー)やアイメイク・カラーコンタクトなどは全て取り外しておきます。

検査台に横になり、造影検査の場合には先に造影剤の注射をします。

MRI検査では検査時間が15~30分程度かかりますが、検査途中に体を動かすと画像がきれいに取れません。

このため、台にベルトで体を固定されます。また、機械からかなり大きな音が鳴るため、耳栓や耳当てが使われることが多いです。

準備ができると機械の中に入って撮影開始です。

機械は直径数十cmの狭い空間です。撮影中は入り口も閉じられるため、気分が悪くなったりした場合は手に握ったボタンを押して知らせるなどします。

MRI検査の注意事項

MRI検査は、狭い筒状のような装置に入って行われます。しかも15分~30分程度時間がかかり、長い時間じっとしていることが大事な検査です。機械から大きな音もしてそれで不快になる人もいます。

このため、閉所恐怖症の人や大きな音が苦手な人、長時間じっとしていられない人では撮影が難しい場合があります。小児などでは、鎮静剤を使って眠った状態で撮影することもあります。

最近では閉塞感の少ないオープンMRIを導入している医療機関もありますが、導入施設が少ないのが現状です。

また、造影剤によって気分不良やアレルギーが起こることもあります。

造影剤のアレルギー反応ではアナフィラキシーに至るような重篤な場合もあります。検査前の問診表や説明などはしっかり受けておきましょう。

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PET・PET-CT検査

PET検査・PET-CT検査とは

PET検査もPET-CT検査も、画像検査の一種となります。PETとは、英語でPositron Emission Tomographyの略で、陽子放射断層撮影という意味です。

PET・PET-CT検査PET検査では、陽子を含んだブドウ糖液を内服して撮影します。ブドウ糖の取り込み量が多い細胞に陽子が集まるため、その部分が画像で黒く映し出されるという仕組みで撮影されます。

がん細胞は成長スピードが健康な細胞よりも早く、多量のブドウ糖を消費する細胞です。このがん細胞のこの性質を利用して、がん細胞の部分に印をつけて撮影するようなものです。

PET-CT検査は、PET検査にCT検査(コンピュータ断層撮影)を組み合わせたものです。CT検査と言えば体を輪切りにして見たような画像を連続して得られる検査です。

PET検査ではブドウ糖の取り込みを撮影するため、時間的なずれが生じることによって画像にずれやぼけが生じることがあります。

PET-CT検査であれば、このずれを防いで画像の精度を上げ、よりがん組織の位置や大きさを特定しやすくなります。

大腸がんのPET検査・PET-CT検査の意義

大腸がん検診では、基本的には検便(便潜血検査)が行われ、そこで異常があれば大腸内視鏡検査を受けて大腸粘膜の異常の有無を調べたり、生検に出した組織からがんの確定診断に進みます。

ここまでは大腸粘膜についてのがんの有無を診断するための流れです。治療を始めるには、転移の有無やがんの進行度(ステージ・病期)を診断しなければ治療方針の立てようがありません。

そのようなことから大腸がんのステージ診断を行うため、あるいは治療後の治療効果の判定といった状況で、PET検査やPET-CT検査が行われる場合があります。がんの転移は全身のいろいろな部位に起こる可能性があるため、PET検査のように全身を一度に撮れる画像検査は有用な検査だと言えます。

PET検査・PET-CT検査の注意事項

メリットも多いPET検査ですが、やはり限界や弱点はあります。

一つは、がん細胞のブドウ糖の取り込みの性質を利用しる検査ですが、取り込み量が少ない初期のがんや悪性度が低いがんなどの場合は写らない場合があり得るということです。

二つ目には、がん細胞の性質を利用した検査だとは言え、PET画像に写っているのは「ブドウ糖が多く含まれている場所」であって、必ずしもその画像だけは大腸がんだと確定診断はできないということです。

また、放射線を使って撮影するため、微量の放射線被曝があるため、基本的に妊婦は受けることができません。

費用は保険適用3割で3万円~4万円程度といったところです。

PET検査は必ずしもどこの病院でやっているものでもなく、診察を受けている医療機関以外の施設に検査を受けにいかなければならないこともあります。

PET検査・PET-CT検査の撮影の流れ

検査前日には特に準備はありません。

検査当日は検査前5時間くらいは、空腹になるように午前中の検査なら朝食・午後の検査なら昼食を抜いて検査を受けられることになるでしょう。

金属やボタンなどは写真に写り込むため外しておきます(検査着に着替えるところも多いです)。

検査前にブドウ糖の注射をします。場合によっては内服する場合もあります。

ブドウ糖液が全身に行きわたるように、静かに横になって1時間程度待ち、その後は撮影となります。

検査終了後、食事や飲水の制限はとくにありません。

大腸がんチェック

大腸がんになりやすい状態なのかどうか、以下の項目をチェックしてみましょう。

☑ 年齢は40歳以上である
大腸がん,チェックリスト☑ 40歳以上の場合、定期的な大腸がんの検診を受けていない
☑ 平均して1日1合以上の飲酒習慣がある
☑ 赤身肉が好きでよく食べる
☑ ハム・ソーセージといった加工肉が好きでよく食べる
☑ 野菜など繊維質の摂取量が少ない
☑ 肥満である、メタボリックシンドロームだと言われている
☑ 運動習慣がない
☑ 継続して喫煙している
☑ 家族(血縁者)に大腸がんの人がいる

いかがでしたか?これらの項目は大腸がんの危険因子だと言われています。該当するものが多い場合、大腸がんのリスクが高い状態だと言えるかもしれません。

発症年齢で見てみると40歳以上の人では、高齢になるほど大腸がんの発症率が上がるとされています。肥満度(BMI)は、体重(kg)÷{身長(m)×身長(m)}で計算できます。BMIが25以上で肥満とされ、この場合は大腸がんの発生率が上がるという調査報告があります。

また、食生活や日常生活の中にも大腸がんにかかりやすくなる要因があります。いずれも、研究によって報告されているリスク要因です。

大腸がんの症状によるチェック

大腸がんの早期では自覚症状に乏しいことが多く、症状があるころには既に進行していることも少なくありません。

注意したい症状をチェックしてみましょう。

☑ 大便に血液が付着している、大便に血液が混じっていることがある
☑ 赤っぽい便(血便)が出ることがある
☑ 下痢が続いている
☑ 以前はそうでもなかったのに便秘が続くようになった
☑ 下痢と便秘を繰り返す
☑ しぶり腹がある、息んでもすっきりしない
☑ おならや便が出にくく、お腹が張る感じがするときがある
☑ 大便が細くなってきたようだ
☑ 大便がすっきりと出ず、残便感がみられることがある
☑ 腹部にしこりや硬い物を触れることができる
☑ ここ数か月で急に体重が減った

以上のような項目に該当する場合、検診を受けるか医師の診察を受けることがお勧められます。

さらに腸に関連した症状がない場合でも以下のような症状は注意しましょう。

☑ 空咳が出る、血痰が出る、胸が痛い、息切れしやすくなった、声がかれる
☑ 足のむくみがひどい、他は痩せたのに腹部が張る、肌が黄色くなったようだ
☑ 頭痛がひどい、頭痛に吐き気やめまいが伴う

このような症状では大腸以外への転移の可能性も考えられ、大腸の症状に気づいていなくても、他の臓器に転移している可能性もあります。

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大腸がんの転移

大腸がんは他の臓器に転移がみられても、患者さんが手術に耐えられるだけの体力があり、術後の生活に支障がでないだけの臓器が残せると判断されれば手術が積極的にに行なわれます。

大腸がんの場合、転移したがんを抗がん剤のみで治療することが難しいものの、転移したがんを全て取り除くことができれば、約40%の人のがん治療は良好だといえます。

しかし、がんが全て取り除くことができない場合や、患者が手術に耐えられないと判断された場合、抗がん剤治療放射線療法が行われます。

近年は、大腸がんに効果がある抗がん剤が開発されてきており、患者の余命を伸ばしてきています。

また、痛みや症状を和らげ、患者のQOL(生活の質)を下げないで日常生活が送れるようにするための緩和ケアも取り入れ、治療が行われます。

肝臓と肺に転移しやすい

大腸がんは、肝臓に転移しやすいがんです。

大腸がん,転移大腸がんと診断された人の約11%に肝転移がみられ、大腸がんの手術を受けた患者の約7%の人に肝臓での再発がみられます。

次に転移が起こりやすいのが肺となり、大腸がんと診断された人の約2%に肺転移がみられ、大腸がんの手術を受けた人の約5%に肺での再発がみられます。

がんがすべてとりきれないと判断された場合はどちらの場合も、抗がん剤治療や放射線療法がすすめられ、がんが小さくなってから切除手術を行う場合があります。

大腸がんでは、肝臓や肺、腹膜などの離れた臓器に転移が確認されるとステージIVと判断され、5年生存率は約19%と低くなってしまいますが、5年生存率というものはあくまでも平均的な値であって患者一人ひとりの余命を決定づけるものではありません。

大腸がんの末期

大腸がんは、早期治療で100%に近い確率で治癒する可能性が高いといえます。また、がんを切除する事ができれば、たとえステージIIIやIVの進行したがんでも治る可能性は高くなります。

しかし、転移がみられるような末期の大腸がんになると、がんを切除することが難しくなり、余命が短くなる可能性があります。

大腸がんの症状は主に、下血、血便、便秘、下痢などがありますが、末期症状になってくると排便や排尿の困難、体重減少、腰痛、腸内出血による貧血、腸閉塞などの症状が強くなってきます。

この時期になると大腸は消化器官としての働きが低下し、全身の倦怠感がひどく、食べられないという状態になるので体重減少といった症状が現われはじめます。

大腸がんが腸管内に深く浸潤して、腸を突き破ると大量に出血する事もあり、同時にがんは腹腔内に広がる腹膜藩種がおこります。腹膜にがんが広がると腹膜炎を起こし、発熱や嘔吐、激しい腹痛が症状として現れます。

大腸がん末期の治療

大腸がんは、肝臓や肺に転移することが多いようですが、に転移すると激しい痛みを伴い、骨の変形や骨折を起こしやすくなります。稀にですが、がん細胞が脳に転移して意識障害が現れることがあります。

末期の大腸がん末期の大腸がんでは、他のがんと同じように根治を目ざす治療ではなく、延命のための抗がん剤治療、放射線治療、痛みや精神的なケアを行う緩和治療が中心となってきます。

また、末期の大腸がんでは、痛みが強くなるのでモルヒネを使った治療が行なわれます。

以前は患者の痛みの緩和と意識レベルを保つことが困難でしたが、最近では患者の意識レベルをある程度保ちつつ、痛みや苦しみをコントロールすることができるよう、モルヒネの研究も進歩してきています。

最期まで、患者のQOL(生活の質)を保ちつつ、痛みや苦しみをコントロールすることが最優先の治療になります。

余命宣告について

末期がんの場合、すでにがんが色々な所に転移していて、手術ができない場合は医師から3ヵ月、6ヵ月等と余命を宣告されることがあります。

この余命は、これまでのデータをもとに医師が推測するもので、決してその通りでなく、宣告された余命より短い命の人もいれば、2年、3年と生きている人もいます。

一つ言えることは、がんで余命を宣告された場合、脳出血や心臓発作、交通事故での即死といったものよりも残された時間を大切にできるという考え方もあるようです。

近年では担当医に治療方法を任せるのではなく、医師の意見を取り入れつつも自分で治療方法を選択していく患者も増えています。自分に合った治療法でどのような最期を迎えるのか、一番満足できる方法を選択することも可能なのです。

大腸がんの生存率

大腸がんは大きく結腸がんと盲腸がんの群、および直腸がんとに分けられ、その構造の違いから転移や再発の起こしやすさが異なります。

また、大腸がんの進行度(ステージ・病期)は、初期の0期~Ⅳ期まであり、その後の転移や再発のしやすさ、治療効果などが異なります。

このため、生存率はステージ(病期)や部位によって大きく異なります。

全がん協(全国がん(成人病)センター協議会)のホームページでは、ステージや部位、その他性別や治療方法によって生存率を見ることができます。

5年生存率

2017年2月集計の大腸がん全部位の最新の5年相対生存率は、以下の通りです(全年齢層・男女別なし、診断2008年、全4568件)。※相対生存率については後程に解説します。
  • Ⅰ期(0期含む):99.0%
  • Ⅱ期:92.3%
  • Ⅲ期:86.7%
  • Ⅳ期:21.7%
  • 全症例:77.1%
ここに挙げた数字は2008年に診断された症例の生存率です。

部位別に見たとき、結腸がんと直腸がんではⅢ期では直腸がんが数%低く出ていますが、それ以外では大きな差は見られなくなっています。

10年生存率

最新の2000年~2003年までに大腸がんと診断された3684件についての10年相対生存率は次の通りです。(全部位・全年齢層・男女別なし)
  • Ⅰ期:95.3%
  • Ⅱ期:81.5%
  • Ⅲ期:74.3%
  • Ⅳ期:8.3%
  • 全症例:69.2%
集計数が少ないため、3か年の集計結果を挙げています。早期の治療が生存率に影響することが読み取れます。

生存率とは治療成績

生存率とは、主にがんの治療成績を見るための指標とされています。がんと診断されて治療を開始した方のうち、ある年数を経過した後で生存している人の割合を表しているのが生存率です。

あくまで生存している人の割合ですから、転移や再発の有無、5年後の病状や健康状態などは問いません。

生存率という数字は必ずしもがんの余命などを確率や推測するような数字ではないということも心に留めておきたいところです。

生存率には2種類ある

生存率には相対生存率実測生存率というものがあります。

実測生存率は、単純に死亡数を差し引いた生存数から見た割合となりますので、死因が何かということも含んでいない数字です。

大腸がん,5年,10年生存率対して相対生存率は、その該当するがんでの死亡例を推計するため、年齢や性別となど死因に影響する他の要素を除外して計算された数字です。

このため、がんの治療生成績を見るには相対生存率が主な目安になります。

がんの生存率には5年生存率と10年生存率がありますが、実は生存率の集計や計算は1990年代後半から始まった統計としては新しいものです。

5年生存率は、一定の積み上げができていることから指標として用いられますが、10年生存率に関しては集計数は多くありません。

また、医療施設別の生存率もありますが、この場合は統計の母数が少なくなり、症例ごとの要素に影響されやすい数字だと言えます。

このため、必ずしも生存率がその施設の治療の良否を表しているとも言えないことにも気を付けたいところです。

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大腸がんの再発・再発率

手術でがん組織を切除しても、その周囲には肉眼では見えない細胞レベルで既にで飛んでいる場合があります。

そのため、手術では広い範囲でがんを含む組織を切除しますが、結果的に取り切れずにがん細胞が残ることがあります。

残ったがん細胞が少しずつ大きくなって、再び腫瘍を作ることを再発と呼びます。

また、がん細胞は血液やリンパによって他の臓器やリンパ節に転移している可能性があり、それが大きくなって転移という形で見つかることがあります。

大腸がんの再発率

再発率は、ステージ(病期)によって異なってきます。

大腸は、リンパ管、リンパ節、血管も豊富な器官なため、粘膜下層より下に進んだがんでは再発率が上がってしまいます。

大腸がん,再発ステージⅠでも粘膜下層までの場合は、再発率は1.5%程度、筋肉まで進んでいる場合では約6.5%(およそ15人に1人)だと言われています。

これがステージⅡでは、13%(7~8人に1人)程度、ステージⅢでは約30%程度になるとされています。

また、結腸がんでは再発率は約14%、直腸がんでは約24%と直腸がんの方が高いという結果があります。

再発の可能性が考えられる場合、手術後に化学療法を行うことでできるだけ残ったがん細胞を減らす治療をします。

大腸がんの再発の時期ですが、数か月で起こる場合もあれば数年かかることもあり、再発したほとんどの患者さんは手術後5年以内に再発の診断を受けているという結果が出ています。

再発の早期発見には定期健診

再発であっても、がん細胞が小さい早期の状態で発見し、早期に治療することが大事になります。

定期健診でよく行われるのは、問診、採血(特に腫瘍マーカー)、レントゲン検査やCT・腹部超音波検査といった画像検査、大腸内視鏡検査などです。

治療終了から3年は1~3か月に1回程度、その後、おおむね半年に1回程度の定期受診や採血となります。画像検査はそれよりも少し長めに間隔を置いて行われます。

再発した大腸がんへの治療

再発時にはその方によってかなり病状が異なりますが、精密検査をして手術での切除が可能であれば手術が行われます。

しかし、手術が当面難しい場合には化学療法や放射線療法が優先的に行われることもあります。また、化学療法や放射線療法の後に手術が行われることもあります。

大腸がん予防

大腸がんを完全に予防するという方法はありませんが、なりにくくする方法は色々と研究されています。

国立がん研究センターの予防研究グループは、疫学研究の結果と生物的なメカニズムの両面から、身体活動が大腸がん(とくに結腸がん)のリスクをほぼ確実に下げるという結論を発表しています。

運動を適度にしている人は、まったく運動しない人の半分程度しか大腸がんにならないという研究結果もあります。

また、ビタミンDが大腸がんの予防につながるといわれていますが、屋外の運動によって日光にあたることで体内でビタミンDが多く合成されることも、この研究結果に関係している可能性があります。

適度な運動とバランスの良い食生活が大切

大腸がんを防ぐには健康的な食生活も重要になります。

国立がんセンターが提唱する「がん予防12カ条」の内、半分以上の8カ条が食生活や食習慣に関連していることもあり、とくに胃がんや大腸がんなどの消化器系のがんは、食べ物と深く関係していると考えられています。

大腸がん,予防,野菜また、大腸がん予防のための食事では、野菜と魚をしっかり摂ることが大事です。

大腸がんのリスクを下げるとされている食べ物は、食物繊維の多い食品、にんにく、牛乳、ヨーグルト、カルシウムの多い食品となります。

一日の目安として、野菜を小鉢で5皿、果物1皿、牛乳コップ一杯またはヨーグルト1個はとるように勧められています。

適度な運動と野菜を中心とした健康的な食生活は、大腸がんのリスクを減らすだけでなく、肥満、糖尿病、心臓病、血管病など、全ての生活習慣病の予防にも効果的とされます。

また、2次予防としてポリープをがん化する前に切除することが、がん予防につながると言われています。

アメリカの研究グループによると、ポリープの段階で切除する事によって、大腸がんの死亡率が半分以下になったと報告から、がんの芽を早めに摘むためにも定期的な検査は重要だといえます。

危険因子を避ける

日常生活の中にも大腸がんの危険因子が潜んでいます。例えば、飲酒や喫煙は大腸がんのリスクを高めるとされています。

大腸がんになりやすい人特に飲酒は、統計でも大腸がんの発生と関連性があるとされていて、多量の飲酒が習慣づいている人ほど大腸がんにかかりやすいと言われています。

また、運動不足も大腸がんにかかりやすくなる要因だと言われています。

適度な運動習慣は、ストレスを緩和して体が本来持っている抗がん効果や免疫機能を高め、大腸がんの発生を抑えると考えられています。

また、ストレスが高い生活を続けていると体の免疫機能の不調のもとになるため、がんのリスクになり得ると考えられています。

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人工肛門(ストーマ)

人工肛門はストーマ(ストマ)とも呼ばれます。

直腸がんが肛門近くや肛門にできたがんの場合、手術で肛門を切除しなければならない場合があります。

また、肛門から離れた結腸がんであっても、腸閉塞を起こしている場合などには便の通り道を作るために人工肛門が必要となる場合があります。

「人工」の肛門と言いますが、特別な器具などを付けるわけではなく、切除した腸管の末端の出口を腹部の皮膚に作ることで便を排出させるものです。

しかし、人工肛門は本来の肛門や直腸のように便を溜めて排出したり、タイミングよく排出したりできるわけではありません。

このため、人工肛門のところに袋状の装具を付けることで便を受け止めるのです。

尚、人工肛門を永久的に作る場合(直腸がんや肛門のがんの場合に多い)と、一時的に作る場合(腸閉塞などの症状が改善するのを待って後で人工肛門を閉じる手術をする)とがあります。

また、「ストーマ」という言葉は、腹部に作った排泄口全般を指す言葉です。

このため、ストーマには便を排出する消化管ストーマ(つまり人工肛門)と、尿を排泄する尿路ストーマ(いわゆる人工膀胱)とがあります。

直腸がんの場合には、膀胱や尿路とも臓器の位置が近いため、時には人工肛門だけでなく、尿路ストーマが必要となることがあります。

ストーマ外来と患者会

人工肛門には抵抗感を持つ方も少なくありません。また、日常生活が突然変わってしまうことに戸惑いを持つ方もおられるでしょう。

人工肛門,ストーマこのため、人工肛門の手術を行っている病院施設には、基本的に人工肛門の専門の看護師がおり、専門のストーマ外来を開設していることが多いです。

手術前からストーマについて説明を受けたり、ストーマを作る位置について医師や看護師と相談したりすることもできます。

また、手術後はストーマの状態を定期的に診察してもらったり、ストーマ特有の問題や悩みについて相談することができます。

ストーマ造設の手術件数が多い病院では患者会を作っているところもあります。

人工肛門の管理

人工肛門の管理は、主に装具の交換・便の廃棄と排便のコントロール・皮膚のケアなどがあります。

日常生活では運動や仕事など、人工肛門があるからという理由で特に制限されることはありません。装具が圧迫されたりしないように衣服で締め付けないように気を付けることが大切です。

装具の交換

手術を受ける前から装具交換の説明を受けることもできます。

手術直後は傷の観察も含めて看護師が装具交換を行いますが、手術の傷に問題がなければ手術数日後から看護師とともに装具交換の練習を始めます。

装具は皮膚に直接貼り付けるタイプと、台紙のような面板を貼って袋を別に頻繁に交換できるものがあります。

どのような装具にするかは、その方のお腹の形・ライフスタイル・皮膚の状態などから看護師と相談して決めることができます。また、合わなくなれば変えることもできます。

手順としては、
  1. 貼っていた装具を剥がす
  2. ストーマ周囲を洗浄する
  3. 水分をふき取り乾かす
  4. ストーマ・皮膚・剥がした装具の様子を観察する
  5. 新しい装具を貼り付ける
以上のような手順が基本になります。

匂いが気になる場合は、専用の消臭剤もあり、装具の中に入れることもできます。

温泉などに入りたいという方には一時的に人工肛門を押さえるパッチのような装具もありますが、基本的に装具を装着したまま入浴が可能です。

装具の購入費用については永久的ストーマの方は、身体障害者の手続きをすることで補助を受けることができます。

便の廃棄と排便コントロール

人工肛門の場合でも下痢や便秘を起こす場合があります。

また、人工肛門を設置した位置が小腸に近いほど下痢となりやすく、肛門に近いほど便秘になりやすいでしょう。

人工肛門,管理下痢になると不意に装具が外れたり、人工肛門の周囲の皮膚が炎症を起こしたりすることがあります。

人工肛門には筋肉がないため、便秘になると改善しづらく、時には腸閉塞を起こす危険もあります。

このため便を廃棄時には便状態の観察をすることが大事です。

バランスの良い食事をとり、適度な運動をし、食物繊維や乳酸菌など腸内環境を整えるようなものを摂取しましょう。

便の廃棄は、気になったタイミングですることができます。

食後や入浴の後では、便が出やすいので外出の際などに気を付けると良いかもしれません。また、外出時には替えの装具などを準備しておくと安心です。

皮膚のケア

皮膚に装具を貼り付けることや下痢など便による刺激によって、皮膚が炎症を起こしたり、ただれることがあります。

装具を剥がす時には剥離剤を使って丁寧に剥がす、装具交換の洗浄では擦るのではなく、洗浄剤を泡立てて泡で優しく洗う、装具はしわになったり、隙間ができないように密着させるなど、装具交換時に気を付けることで予防が可能です。

スキントラブルがあると装具の装着が難しくなってしまいますので、早めにストーマ外来や医師に相談しましょう。時には装具を変更するなどの対処も必要かもしれません。

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参考文献等

  • 国立がん研究センターがん情報センター「大腸がん(結腸がん・直腸がん)」
    東京都中央区築地5-1-1
    https://ganjoho.jp/public/cancer/colon/
  • 徳洲会グループ「大腸がん」
    東京都千代田区九段南1-3-1
    https://www.tokushukai.or.jp/treatment/digestive_surgery/daicho_gan.php
  • 済生会広島病院「大腸がんについて」
    広島県安芸郡坂町北新地2-3-10
    https://www.saiseikai.com/department/list/digestive_surgery_canser.html
  • がん研有明病院「大腸がん」
    東京都江東区有明3-8-31
    https://www.jfcr.or.jp/hospital/cancer/type/colon.html
  • 日本医師会「大腸がんとは」
    東京都文京区本駒込2-28-16
    https://www.med.or.jp/forest/gankenshin/type/largeintestine/what/
  • 大腸癌研究会「大腸癌ガイドライン」
    東京都千代田区三番町2
    http://www.jsccr.jp/index.html
  • 日本生活習慣病予防協会「大腸がん」
    東京都港区西新橋2-8-11
    http://www.seikatsusyukanbyo.com/guide/colorectal-cancer.php
  • 東京慈恵会医科大学「大腸癌」
    東京都港区西新橋3-25-8
    http://www.jikeisurgery.jp/diseasegroup/lower-dig/colrect/colon-ca/colon-ca.html

大腸がんの関連書籍

 
  • 大腸がん よくわかる最新医学シリーズ 著者:福長洋介(がん研有明病院消化器センター長副部長)
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